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187. パーフェクト・バンパイア子爵

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 第29階層に篭ってから、数十日後。

 俺達は順調に、進化とレベルアップを成し遂げ、
 俺は、パーフェクト·バンパイア子爵Lv.45に、ミレーネもバンパイア子爵【セド血族】Lv.45に、シロがLv.63、オリ姫はLv.10、メアリーLv.52、ドレークLv.98、ネムラム姉妹Lv.67になっている。

 やはり、ドレークがいるとレベル上げが簡単だ。
 ド〇クエでお馴染みのザ〇キは、メタル系スライムと相性が良い反則魔法だしね。

 まあ、火山スライムキングが、メタル系かどうかは謎だけど。

「これだけレベルが上がれば、黒髭海賊団と対抗できるんじゃねえか?」

 メアリーが、適当な事を言ってくる。

 メアリーは自分が殺された時の記憶が無いから、黒髭海賊団の強さを分かっていないのだ。
 実際に、メアリーアン海賊団と黒髭海賊団は、何度かカチ合った事があったらしいが、本格的な戦闘にはなった事はないらしい。

 メアリーが、マオパイパイに乳を揉まれるくらい。

 でもって、黒髭海賊団は、誰もが認める五公最強の海賊団である。

 だからといって、流石の黒髭海賊団も、本気でメアリーアン海賊団と戦争しようとはしない。

 メアリーアン海賊団を敵に回すという事は、同時に、鬼ヶ島に住む始祖の血を引く屈強の鬼人族とオーガ、総勢1000人全員を敵に回す事になってしまう。
 何故なら、メアリーとアンは、メアリーアン海賊団の頭であると同時に、鬼ヶ島の女王でもあるからだ。

 流石の黒髭海賊団でも、始祖の血を引き、異常な再生能力を持っている鬼ヶ島の鬼人族とオーガに、おいそれとは手出しが出来ないのである。

「無理だな。お前は2度も黒髭海賊団の小次郎に、瞬殺されてるんだぞ?」

 俺は、メアリーに事実を告げる。

「小次郎って、黒髭海賊団の侍野郎か?
 瞬殺って……アイツって、そんなに強かったのか?」

「メッチャ強い。ケンジ以上だな?」

「ケンジ? 誰だそいつ? 私より強いのか?」

 まだ、この周回でケンジに会った事のないメアリーが聞いてくる。

「ケンジは、純粋な剣の腕だけなら、お前より強いぞ! 何せケンジは天才だからな!」

「天才って。私だって、今まで剣では誰にも負けた事が無いんだけど」

「だからお前は、小次郎に2回殺されてるから。それにお前は、ケンジと魔法無しの試合をして普通に負けてたけどな!」

「嘘だろ! 私が侍以外の奴に負けるものか!」

「ケンジは、職業剣豪だから歴っとした侍だぞ!
 孤児だから日本人の血を引いてるか知らないけど、だけど黒髪細目だから日本人かワノ国の血を引いてる可能性は高いな」

「なんと、やはり侍恐るべし。お祖母様が鬼ヶ島に来る前に、ワノ国で修行しただけの事はある」

 なんかメアリーが、妙に納得している。
 メアリーの日本とワノ国の憧れは、もう病気と言える程なのだ。

「で、どうするんですか? ご主人様?」

「どうするって、どうしよう?
 俺達、どんだけレベルを上げたら黒髭海賊団に勝てるんだ?
 分かんないまま、レベル上げしてもキリが無いぞ……」

「それは、僕にだって分かりませんよ!
 実際、修行といっても、ドレークとメアリーさんだけが、火山スライムキングと戦ってるだけですし、僕達、何もしてないから強くなった実感も何も無いですからね」

「確かに……なら、また、黒髭海賊団に挑んでみるか?
 死んだらやり直せばいいし!」

 俺は軽い感じで提案してみる。
 実は、今まで何度か黒髭に殺されたが、精神耐性(特大)の効果か、それほど堪えてなかったのだ。

「僕は、全然構いませんよ! ご主人様と一緒に死ねるのは本望ですから!」

「私もいいぜ! 死んだ記憶も、小次郎に殺された記憶も何もないからな!
 鬼人族にとって、強者と戦う喜びは、死より勝るからな!」

 相変わらず、メアリーは男らしい。

「私も、始祖様が行く所なら、どこでも着いて行きます!」

 俺に心酔仕切っているミレーネも、着いて来てくれるようだ。

「じゃあ! 行ってみるか!」

「「おお!」」

「ちょっと待って下さいませ! 猊下!
 私共は、早く、聖剣エクスカリバーが有る場所に行きたいのですが……」

 折角、盛りあがっていたのに、ここに来てドレーク親子がグズってくる。
 まあ、ドレーク親子にしたら、黒髭より聖剣エクスカリバーだろう。
 ドレーク親子は、始祖の為だけに生きてきたのだから。

「だったら、このマップラーを貸してやるから、勝手に行って来い!
 それから、アムルーダンジョンで人間を見かけても、絶対血を吸うなよ!大問題になるから。
 そして、アムルーダンジョンから出たら、アムルー冒険者ギルドのギルド長ブルースを頼れ!
 アイツは、俺のこの世界の兄貴分だから、聖剣エクスカリバーの在り処を教えてくれる筈だ!」

「分かり申した。それではマップラーをお借りします」

 ドレーク親子は、俺からマップラーを受け取ると、急いで聖剣エクスカリバーの元に行くと出発してしまった。

 よっぽど、聖剣エクスカリバーが気になるのだろう。
 多分、俺に付き合っていたのは、俺が始祖の兄貴だからであって、勇者を始祖の指輪に導けと、始祖にキツく言われていたからだ。

 そうでなければ、俺の知ってるサイコ野郎のドレークが、俺にわざわざ付き合う訳がないのである。
 実際、マップラーを渡したら、別れの挨拶もそこそこに、直ぐに出発しちやったし。

 そんな訳で、俺とシロとメアリーとミレーネは、自分達の今の力を確かめる為に、第35階層を目指す事にする。
 これから起こる、悲劇を知らずに。


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