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186. セド血族
しおりを挟む次の日の朝、ミレーネがバンパイア【セド血族】に進化していた。
見た目は全く変わらない。
しかし、認識阻害マントを脱いでも、ミレーネの事を知ってる筈のドレーク親子が全く反応しなかった。
本当に謎だ。
ダンピールの時もバンパイアに進化した時の顔も見た目も全く同じだというのに。
まあ、そんなドレーク親子は置いといて、早速、ミレーネのステータスを見てみる。
名前: ミレーネ
種族: バンパイア【セド血族】
称号: 勇者の血族
スキル: 魅了 鑑定 変化
魔法: 第2階位闇属性魔法、第2階位風属性魔法
力 280
防御力 150
HP 350
MP 550
称号の忌み子が消え、新しく鑑定スキルと変化スキルをゲットしている。
俺の血族なので、光属性魔法が使えるようになるかも?
とか、思ってたのが、やはり光属性魔法と闇属性魔法は相反する魔法なので、同時にゲットするのは難しいらしい。
まあ、メアリーやドレーク親子とか、始祖の血筋の奴らも光属性魔法が使えないので、それが普通なのかもしれない。
てな訳で、ミレーネの進化も終わったので、俺達は第29階層にレベル上げに向かう事にした。
ドレーク親子が、すぐに聖剣エクスカリバーを見に行きたいと駄々を捏ねたが、『始祖の兄貴の言う事が聞けなのか?』
と、脅したら、すぐに俺に従うと土下座をした。
俺の目標は、レベルをアムルーダンジョンで極限まで上げて、黒髭に簡単に殺されなくする事なのだ。
「第7階位闇属性魔法、ザ〇キ!」
ドレークの即死魔法ザ〇キが炸裂する。
やはり、第7階位のザ〇キだと、第6階位のザ〇キと比べると即死確率が高い。
そして、残った火山スライムキングを、メアリーが新しくシロに打って貰った神剣紅蜘蛛で斬り裂いていく。
「凄い! 凄いぞ! この刀! お祖母様の形見の日本刀より良く斬れるぞ!」
メアリーが、シロに打って貰った紅蜘蛛をベタ褒めする。
まあ、この件も二回目なんだけど。
ドレークとメアリーが張り切ってるので、俺とシロとミレーネとネムラム姉妹はやる事がない。
ミーナは、湖畔のログハウスで留守番というか惰眠を貪っている。
しかしながら、ラクでいい。
ドレークとメアリーが頑張ってるので、俺達のレベルはグングン勝手に上がっていくのだ。
とか、思っていたら、俺はいつの間にか進化出来るレベルに達していた。
まあ、一周目になったパーフェクト·バンパイア準男爵になれるだけなんだけど。
俺は、レベルアップを優先させる為、第29階層で進化する事にする。
もしかしたら、火山スライムキングを狩りまくってるメアリーとドレークの近くにいたら、経験値が稼げるかもしれないしね。
そんな感じで、第29階層火山スライムキングの縄張りでテントを張り、次の日。
「うぅぅぅ~ん!」
俺は、シロに膝枕された状態で目が覚めた。
「ご主人様、進化が終わりましたね!」
「ああ! これで一周目と同じ、パーフェクト·バンパイア準男爵になれた!」
とか、言っていたら、俺の隣でミレーネも寝ていた。
「もしかして、ミレーネも進化中?」
「ハイ! ミレーネさんは、バンパイア準男爵【セド血族】に進化できると言ってましたよ!」
「何だと!準男爵って、俺と一緒じゃねーか!」
「そうですね。ですがご主人様はパーフェクト·バンパイアで、ミレーネさんは普通のバンパイアですよね?」
「違うだろ! 普通のバンパイアじゃなくて、バンパイア【セド血族】だよ!
日光を克服したバンパイアって、まんまパーフェクト·バンパイアと同じだろうがよ!」
「確かに」
「それに、ミレーネは、最初から魅了スキルが使えるんだぞ!
俺なんか、やっと魅惑スキルだし……」
「そう考えると、もはやご主人様よりミレーネさんの方が格上みたいですね!
ご主人様と同じ、鑑定スキルまでもゲットしてますし」
無情な言葉の殺し屋シロが、駄目押しをしてきた。
「糞ーー! これではミレーネの始祖様としての威厳が……」
俺は、四つん這いになり悔し涙を流す。
「それにしても、最初から魅了スキルを持ってたなんて、ミレーネさんは誰の子供だったんでしょうね?
魅了持ちの爵位持ちのバンパイアって、そんなに居ないですよね?」
そんな傷心の俺をスルーして、シロは話を続ける。
「最低でも、辺境伯以上だろ?」
「ドレーク親子以外で、始祖から直接血を分けてもらった純血種って居るんですかね?」
シロが、俺的にどうでも良い疑問を投げ掛けてきた。
「分からん。ネムラムに聞いてみたら?」
「嫌ですよ! ネムラムとは喋らないと決めてますし!」
「そんなに、ネムラム姉妹が嫌いなのか?」
「嫌いというか、許せないんです!
ドレーク親子は、一周目でミレーネさんと、ドーナツ島に残してきたゴールデンスカル海賊団を皆殺しにしたんですよ!
逆に、普通に許してるご主人様の方が信じられませんよ!」
「今回は、ミレーネも生きてるし普通だろ?」
「普通じゃないです! ヤッパリ、始祖の指輪の精神耐性(特大)効果は良くないものです!
ネムラム姉妹が妹属性とか、ご主人様はアホですか?
このままでは、ご主人様の人としての優しさが無くなってしまいます!
始祖の指輪を、僕に貸して下さい!
精神耐性(特大)効果を、無くしてあげますから!」
俺は、あまりのシロの剣幕に、思わず始祖の指輪を、シロに渡してしまった。
というか、シロは、簡単に始祖の指輪の付随効果を消す事が出来るのか?
その事実に、驚くんだけど……。
「ハイ! どうぞ! これでご主人様は、人間だった時の心を取り戻せますね!」
なんか簡単に、シロは、始祖の指輪に付与されていた精神耐性(特大)効果を消してしまった。
この、なんともない日常の出来事と思われた事件が、後に襲う苦しさの始まりになるとは、全く気付かずに。
そしてシロが、始祖の指輪から精神耐性(特大)の効果を消した数十日後、
俺は、始祖の指輪に付与されていた精神耐性(特大)の、本当の恐ろしさを知る事になったのだ。
ーーー
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