上 下
187 / 568

186. セド血族

しおりを挟む
 
 次の日の朝、ミレーネがバンパイア【セド血族】に進化していた。

 見た目は全く変わらない。
 しかし、認識阻害マントを脱いでも、ミレーネの事を知ってる筈のドレーク親子が全く反応しなかった。

 本当に謎だ。

 ダンピールの時もバンパイアに進化した時の顔も見た目も全く同じだというのに。

 まあ、そんなドレーク親子は置いといて、早速、ミレーネのステータスを見てみる。

 名前: ミレーネ
 種族: バンパイア【セド血族】
 称号: 勇者の血族
 スキル: 魅了 鑑定 変化
 魔法: 第2階位闇属性魔法、第2階位風属性魔法
 力 280
 防御力 150
 HP 350
 MP 550

 称号の忌み子が消え、新しく鑑定スキルと変化スキルをゲットしている。
 俺の血族なので、光属性魔法が使えるようになるかも?
 とか、思ってたのが、やはり光属性魔法と闇属性魔法は相反する魔法なので、同時にゲットするのは難しいらしい。

 まあ、メアリーやドレーク親子とか、始祖の血筋の奴らも光属性魔法が使えないので、それが普通なのかもしれない。

 てな訳で、ミレーネの進化も終わったので、俺達は第29階層にレベル上げに向かう事にした。

 ドレーク親子が、すぐに聖剣エクスカリバーを見に行きたいと駄々を捏ねたが、『始祖の兄貴の言う事が聞けなのか?』
 と、脅したら、すぐに俺に従うと土下座をした。

 俺の目標は、レベルをアムルーダンジョンで極限まで上げて、黒髭に簡単に殺されなくする事なのだ。

「第7階位闇属性魔法、ザ〇キ!」

 ドレークの即死魔法ザ〇キが炸裂する。
 やはり、第7階位のザ〇キだと、第6階位のザ〇キと比べると即死確率が高い。

 そして、残った火山スライムキングを、メアリーが新しくシロに打って貰った神剣紅蜘蛛で斬り裂いていく。

「凄い! 凄いぞ! この刀! お祖母様の形見の日本刀より良く斬れるぞ!」

 メアリーが、シロに打って貰った紅蜘蛛をベタ褒めする。

 まあ、この件も二回目なんだけど。

 ドレークとメアリーが張り切ってるので、俺とシロとミレーネとネムラム姉妹はやる事がない。
 ミーナは、湖畔のログハウスで留守番というか惰眠を貪っている。

 しかしながら、ラクでいい。

 ドレークとメアリーが頑張ってるので、俺達のレベルはグングン勝手に上がっていくのだ。
 とか、思っていたら、俺はいつの間にか進化出来るレベルに達していた。
 まあ、一周目になったパーフェクト·バンパイア準男爵になれるだけなんだけど。

 俺は、レベルアップを優先させる為、第29階層で進化する事にする。
 もしかしたら、火山スライムキングを狩りまくってるメアリーとドレークの近くにいたら、経験値が稼げるかもしれないしね。

 そんな感じで、第29階層火山スライムキングの縄張りでテントを張り、次の日。

「うぅぅぅ~ん!」

 俺は、シロに膝枕された状態で目が覚めた。

「ご主人様、進化が終わりましたね!」

「ああ! これで一周目と同じ、パーフェクト·バンパイア準男爵になれた!」

 とか、言っていたら、俺の隣でミレーネも寝ていた。

「もしかして、ミレーネも進化中?」

「ハイ! ミレーネさんは、バンパイア準男爵【セド血族】に進化できると言ってましたよ!」

「何だと!準男爵って、俺と一緒じゃねーか!」

「そうですね。ですがご主人様はパーフェクト·バンパイアで、ミレーネさんは普通のバンパイアですよね?」

「違うだろ! 普通のバンパイアじゃなくて、バンパイア【セド血族】だよ!
 日光を克服したバンパイアって、まんまパーフェクト·バンパイアと同じだろうがよ!」

「確かに」

「それに、ミレーネは、最初から魅了スキルが使えるんだぞ!
 俺なんか、やっと魅惑スキルだし……」

「そう考えると、もはやご主人様よりミレーネさんの方が格上みたいですね!
 ご主人様と同じ、鑑定スキルまでもゲットしてますし」

 無情な言葉の殺し屋シロが、駄目押しをしてきた。

「糞ーー! これではミレーネの始祖様としての威厳が……」

 俺は、四つん這いになり悔し涙を流す。

「それにしても、最初から魅了スキルを持ってたなんて、ミレーネさんは誰の子供だったんでしょうね?
 魅了持ちの爵位持ちのバンパイアって、そんなに居ないですよね?」

 そんな傷心の俺をスルーして、シロは話を続ける。

「最低でも、辺境伯以上だろ?」

「ドレーク親子以外で、始祖から直接血を分けてもらった純血種って居るんですかね?」

 シロが、俺的にどうでも良い疑問を投げ掛けてきた。

「分からん。ネムラムに聞いてみたら?」

「嫌ですよ! ネムラムとは喋らないと決めてますし!」

「そんなに、ネムラム姉妹が嫌いなのか?」

「嫌いというか、許せないんです!
 ドレーク親子は、一周目でミレーネさんと、ドーナツ島に残してきたゴールデンスカル海賊団を皆殺しにしたんですよ!
 逆に、普通に許してるご主人様の方が信じられませんよ!」

「今回は、ミレーネも生きてるし普通だろ?」

「普通じゃないです! ヤッパリ、始祖の指輪の精神耐性(特大)効果は良くないものです!
 ネムラム姉妹が妹属性とか、ご主人様はアホですか?
 このままでは、ご主人様の人としての優しさが無くなってしまいます!
 始祖の指輪を、僕に貸して下さい!
 精神耐性(特大)効果を、無くしてあげますから!」

 俺は、あまりのシロの剣幕に、思わず始祖の指輪を、シロに渡してしまった。
 というか、シロは、簡単に始祖の指輪の付随効果を消す事が出来るのか?
 その事実に、驚くんだけど……。

「ハイ! どうぞ! これでご主人様は、人間だった時の心を取り戻せますね!」

 なんか簡単に、シロは、始祖の指輪に付与されていた精神耐性(特大)効果を消してしまった。
 この、なんともない日常の出来事と思われた事件が、後に襲う苦しさの始まりになるとは、全く気付かずに。

 そしてシロが、始祖の指輪から精神耐性(特大)の効果を消した数十日後、

 俺は、始祖の指輪に付与されていた精神耐性(特大)の、本当の恐ろしさを知る事になったのだ。

 ーーー

 ここまで読んで下さりありがとうございます。
 面白かったら、お気に入りにいれてね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。

星の国のマジシャン
ファンタジー
 引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。  そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。  本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。  この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...