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102. 邁進
しおりを挟む結局、俺は、火山スライムキングにやられて、消沈した気持ちを引きずったまま、キャンプ地である第32階層に帰ってきた。
「ご主人様、そんなに気を落とさないで下さい!夕食が終わったら、僕が裸でマッサージをして上げますから!」
シロが、俺を慰めてくれる。
というか、シロの裸のマッサージは魅力的だが、俺のチ〇コがもたないだろ!
「シロ。お前の気持ちだけは、受け取っておく」
「やっと、ご主人様、喋ってくれましたね!」
シロは嬉しそうに、俺に抱きついてきた。
どうやら、俺を喜ばさせる為に、今日はノーブラらしい。
背中に、シロのコリコリのサクランボを感じる。
「グッ!」
俺は、思わず勃起し、悶絶する。
「ご主人様! 元気になりましたね!」
どう見ても、悶絶してるだろ!
確かに、下半身の暴れん坊将軍は元気になったが、もう既に、元気になり過ぎて破裂寸前なのだ。
「気持ちは分かったから、俺から離れろ!」
俺は、シロの首根っこを掴み、投げ飛ばす。
しかし、シロは空中で器用に糸を出し、華麗に着地した。
「ご主人様の愛情表現は、日増しにどんどん激しくなりますね」
シロは、俺がぞんざいに扱えば、扱う程、俺への愛情が増していくな……。
とか、頭の中で考えていたら、
「おっ! セドリック! もう進化終わったのか!」
どうやら、ラインハルト達も、第33階層の探索という名のゴキ退治から戻ってきたようだ。
「まあな」
俺は、妙になれなれしいラインハルトに、まだ慣れていない。
本当に、俺とラインハルトは仲が良かったのか?
ラインハルトの事は、脳ミソが復活して以来、少しづつ思い出してきているのだけど、仲良くしてた記憶など全く無いのだが……。
「お前、本当にビックリしたぜ!
昨日、ダンジョン探索中に、いきなりぶっ倒れるんだからな!
姐さんが説明してくれなかったら、本気で死んだと勘違いしてた所だぞ!」
確かにな……。
俺も、いつもの感覚で進化してしまっていた。
最近は、どこで進化してもシロが何とかしてくれているので、気を許し過ぎてたかもしれない。
これからは、もっと気をつけた方がいいかな……進化中は無防備になるし。
「悪かったな。いつもの感覚で進化してしまっていた」
俺は、一応、心配してくれたみたいなので、頭を下げる。
「まあ、別にいいけどよ。
で、セドリック! 進化して、何が変わったんだ?
見た目は、変わってないようだが?」
何故だかよく分からないが、ラインハルトは、進化に興味津々であるようだ。
まあ、殆どの男の子が変身願望があるのと同じか。
俺も、地球で子供だった頃、バッタ男に変身するアニメに興奮してたものだ。
「パーフェクト·レッサー·バンパイアから、パーフェクト·バンパイアに進化したんだ」
「パーフェクト·レッサー·バンパイアから、パーフェクト·バンパイア?
何だそれ? やたら、長ったらしいな」
「兎に角、パーフェクト·バンパイアになったんだよ!」
「まあ、劣化版のバンパイアから、パーフェクトなバンパイアになったって事だろ?
で、どこが変わったんだよ?」
やはり、ラインハルトは進化に興味津々だ。ガンガン聞いてくる。
「あまり変わってないな……。
元々、パーフェクトなレッサー·バンパイアだったから、バンパイアの欠点は元々、克服出来てたし……」
「何だ、それ?」
ラインハルトは、明らかに落胆している。
俺は聞かれたから、教えたのだぞ。
シロに頭が上がらないラインハルトの癖に。
俺は、シロのご主人様なんだぞ。俺に対しても、敬いやがれ。
俺がラインハルトに対して、イラついてると、
「流石、セド兄!」
ケンジの無駄なヨイショに、また、イラッ!と、する。
このタイミングで、ヨイショなんか要らんわい!
「そうね。確かに、それ程、ステータス自体は、変わってなさそうね。
だけど、スキルに『変化』ていうのが、新たに増えてるようね」
アナスタシアが、俺のステータスを勝手に確認したようだ。
「ああ、それな。どうやら、蝙蝠に変化できるようになったみたいだぞ!」
「セドリック、お前、ますます人間離れして来たな!」
ラインハルトが、失礼な事を言ってきた。
というか、スケルトンやリッチー時代の方が、人間離れしてた気がするんだけど。
「『変化』なんて、普通だろ? アナスタシアだって、第5階位闇属性魔法を使えば、何にだって変身できるだろ!」
「闇属性魔法の場合は、幻惑を見せてせるだけで、本人自身が本当に変身してる訳ではないわ。
セド君の『変化』のように、本当の蝙蝠になれる訳ではないの」
アナスタシアが、わざわざ説明してくれた。
まあ、賢者になったアナスタシアなら、その内、本当に変身できる魔法ぐらい開発しそうだけどな。
賢者魔法で、若くなったし。
「ご主人様は、凄いんです! ご主人様が蝙蝠に変身したお姿は、神々しく、とても美味しそう……じゃなかった、魅力的なお姿だったのです!」
シロが、涎を垂らしながら、俺を褒め称える。
というか、涎を垂らしてる時点で、俺の事を完全に、美味しそうなデザートや何かと思ってやしないか?
やはり、絶対にシロの前では蝙蝠にならない方が良いだろう。
「まあ、俺の方は、こんな感じだったけど、お前らの方はどうだったんだよ!」
俺は、進化の事を、これ以上聞かれるのが面倒くさくなってきたので、話を変える。
「ハッハッハッハッハッ! やっと聞いてくれたか!
俺達は、今日、怪しいデカい扉の部屋を発見したんだぜ!」
ラインハルトが、よっぽど話したかったのか鼻高々で自慢してきた。
「ボス部屋か?」
俺は、ラインハルトに質問する。
「ああ、間違いないな」
アムルーダンジョンの各階層には、一応フロアーボスがいる。
まあ、倒す実力があれば倒してしまってもいいのだが、フロアーボスは、別に、下層に下る階段前にいる訳ではないので、スルーしてしまってもいいのだ。
というか、フロアーボスが、冒険者から逃げ回ってる場合もあるしね。
オリ姫とかも、第29階層のフロアーボスだった気がするが、火山スライムキングに虐められてたし……。
兎に角、アムルーダンジョンのフロアーボスは、RPGゲームのように、必ずフロアーボス部屋に鎮座してる訳ではないのである。
「第33階層のフロアーボスは、何か有りそうな気がするのよね」
「確かにな」
俺は、アナスタシアの意見に同意する。
というか、アムルーダンジョンでは、今まで、下層に下る階段前に部屋を構えたフロアーボスなど居なかった。
確かに、他のダンジョンでは、RPGゲームと同じように、必ず階段前にフロアーボスがいるダンジョンもある。
しかし、ここはアムルーダンジョン。
他のダンジョンの常識など当てはまらない。
まあ、常識に当てはまらないといえば、アムルーダンジョンは、魔王が巣食うダンジョン。
これまでのダンジョンとは、そもそも全く当てはまらないのが当たり前なのだ。
しかも、第33階層からは、何者も絶対に通らせないという強い意思が感じられた。
第33階層のその先こそ、もしかしたら魔王が統治する領域なのかもしれないのだ。
「これは、気を引き締めなきゃならないな」
「だな」
「ですね」
歴戦の猛者である、ラインハルトとアナスタシアも同意する。
「ご主人様なら、余裕ですよ!」
「キュイ!」
「流石、セド兄!」
「お腹減ったニャ~」
最後に、駄猫が何か言ったが、気にしない。
俺は、心を引き締め、ハーレム勇者を目指し邁進するだけなのだから。
ーーー
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