骨から始まる異世界転生～裸の勇者はスケルトンから成り上がる。

83. 二刀流

　
　レベル上げ道場の第29階層に籠ってから、1ヶ月が経った。

　今の俺達のレベルは、こんな感じ。
　俺がLv.32、シロがLv.57、オリ姫がLv.45、ミーナがLv.50。

　そう、ミーナがLv.50になったのだ。
　だからといって、猫種の究極体であるスーパーキャットはこれ以上は進化しない。

　しかし、ミーナには、変化が起こった。

「眠いニャ～」

　そう、ミーナは喋れるようになったのだ。

　ステータスは、こんな感じ。

　名前: ミーナ Lv.50
　種族: スーパーキャット
　職種: 勇者
　称号: グータラ過ぎて、猫にされてしまった猫耳族。
　スキル: 聞き耳、探索、スーパー状態異常耐性、人語
　魔法: 第4階位光属性魔法、第4階位土属性魔法
　力 650
　素早さ 2200
　HP 620
　MP 1300

　めっちゃ強い。
　だけど、全くやる気がない……。
　ずっと、眠いやら、ダルいやら、腹が減ったやら言って、惰眠を貪っている。

　人語が喋れない時は、ニャ～しか言わなくて可愛いらしかったのに、猫語を人語に訳しただけで、これほど可愛げが無くなるとは思ってもみなかった……。
　やはり、頭が良いシロの推論が正しかったようである。

　そう、猫が人語を喋ると、全く可愛くなくなるのだ。

　良く考えれば、猫という生き物は基本グータラしている。
　基本、ひなたで惰眠を貪るか、フラフラ散歩しているだけだ。

　そんな猫が、喋っても、マトモな会話になる訳がない。
　しかも、俺の事を主人と思ってないみたいだし……。

　俺に言う言葉といえば、「腹減った」と「飯持って来い」だけなのだ……。

　いつも俺に可愛らしく、ニャ～ニャ～言ってたのは、実際は、「腹減った」と、「飯持って来い」だったみたいだ。

　俺は、その現実を知って、数日間、マトモに火山スライムキングを倒せなくなってしまった程だった。

　それから気を取り直して、レベル上げを続けていたら、次に、オリ姫がLv.50になった。

　ステータスは、こんな感じ。

　名前: オリ姫
　種族: オリハルコンスライムact1Lv.50(進化可能)
　称号: シロの妹分、お喋りしたいスライム
　魔法: 第4階位光属性魔法、第4階位火属性魔法
　力 3000
　防御力 15000
　素早さ 10000
　HP 5000
　MP 250

　俺は、何に進化できるか鑑定してみる。

　［オリハルコンスライムact2に、進化できます］

　うん、思った通り。

　act1に進化して、体が柔らかくなったから、
　act2に進化したら、分裂できるか大きくなったりするのだろう。

　それとも、もしかして、ミーナみたいに喋れるようになるのか？
　ミーナみたいに、毒舌だったらちょっとヤダな……。

　しかし、オリ姫は、ミーナと違って良い子だ。
　スライムは、良い子と決まっているのだ。
　有名なセリフにもあるだろ！

「僕は悪いスライムじゃないよ！」っていう奴。
　良く考えたら、あのスライム、普通のスライムにしか見えなかったけど、人語を喋れるって、相当凄いスライムだったのかもしれないな……。

　そんな事を考えつつ、俺はオリ姫のステータス画面に点滅している、オリハルコンスライムact2の文字をクリックしたのだった。

　そして次の日、俺とシロと二人でレベル上げに勤しんでいると、進化を終えたオリ姫が元気に戦線に復帰してきた。

「おっ！ オリ姫、進化が終わったか！」

「キュイ！」

　どうやら、オリハルコンスライムact2に進化しても、言葉は喋れるようにならなかったみたいだ。

「オリ姫、進化して何か変わったか？」

「キュイ！」

「ん？ 何だって、体を2つに分裂できるようになっただと！」

　俺的に、巨大になれるようになるか、分裂できるようになるかの二択だと思っていたが、実際、分裂できるようになると聞いたら、色々なイメージが沸き起こってきた。

「オリ姫！ 2体に分裂して、オリ姫モーニングスターと、オリ姫ソードにactチェンジしてみろ！」

「キュイ！」

　シロは返事をすると、2体に分裂して、オリ姫モーニングスターとオリ姫ソードにactチェンジした。

「凄いぞ！ オリ姫！」

　俺は、めっちゃくちゃ興奮する。
　良く考えれば、俺は、オリハルコン製の武器や防具を2つもゲットできた事になるのだ。

　オリハルコン製の武器など、現在、ハルマン王都の中央公園にある岩に突き刺さっている聖剣エクスカリバーしかないと言われている。

　そのオリハルコン製の武器や防具を、オレは2つも手にする事ができるのだ。

　しかも、どんな武器や防具にも自由に形を変える事まで出来てしまうのだ！

　もしかすると、このままオリ姫のレベルが上がっていけば、分裂できる数も増えていくかもしれない。

　そうすれば、刀、鎧、盾とか、オリ姫に変身させて、全ての装備をオリハルコン製にする事だって可能なのだ！

　俺のワクワクは止まらない。

　取り敢えず、ワクワクを抑える為に、オリ姫ソードの斬れ味を確かめるべく、シロが製作したミスリルの刀と二刀流で、ソードアート・オ〇ラインのキ〇トの如く、火山スライムキングを斬りまくったのだった。

　ーーー

　ここまで読んで下さりありがとうございます。
　面白かったら、お気に入りにいれてね！