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28. 聖スケルトンの罠
しおりを挟む俺は目を醒ますと、オクタプルベッドに寝ていた。
どうやらシロが、ベッドに運んでくれてたみたいだ。
ヤケに広いベッドに、1人で寝るのは寂しい。
ベッドから起き上がり、身体を見たら純白に光り輝いていた。
普通の骨だった時より、白そうだ。
やはり、頭に聖の文字が付くので、普通より白いのかもしれない。
身体が、白くなったのは確認できた。
問題は、歯が白くなっているかだ。
実際、肉が付いた時、見えるのは歯なのだ。
ボディーだけ白く、歯だけがプラチナのままだったらお話にならない。
鏡が無いので、俺は急いで湖に走る。
湖面に映る俺の歯は、驚く程、真っ白に光り輝いていた。
「やったぞー! 遂に、歯が白くなった!
まるで、歯が命のセレブタレントのようだ!」
俺は嬉し過ぎて、角度を変えて歯の輝きを確認する。
角度変える度に、歯がキラキラと光り輝く。
「オッ! そうだ。ステータスの確認が、まだだったな」
俺は、歯が白くなった事に興奮し過ぎて、肝心の聖スケルトンのステータスを見るのを忘れていた。
種族: 聖スケルトン lv.1
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
魔法: 第2階位光属性魔法。第2階位火属性魔法。第2階位闇属性魔法。第2階位風属性魔法。
力 15
運 50
HP 30
MP 200
「オッ! レベル1の段階から、風属性魔法が使えるようになっている。
それから、全ての魔法が、第2階位からになってるぞ!
ん?! 運とMPも上がっている。
やっぱり頭に聖の文字が付くと、運も上がるのか?
まあ、聖人なのに運が悪いって、おかしいもんな!」
俺は、納得いくステータスに大満足だ。
早速、レベルを上げをしたくなったが、少し、気になる事がある。
「聖スケルトンって、やっぱり、聖属性のスケルトンなんだよな。
そしたら、人肉食べたいとか、闇属性の感情が無くなっているのではないのか?」
俺は試しに、シロに頼んで牙狼族の肉を焼いてもらう。
「肉うめぇーー!」
やはり、肉への欲求は変わっていないようだ。
問題は、人間を見て、食べたくなるかどうかだ。
これは早目に確かめないとだな。
俺がこのまま、人肉の欲望を抑えられない状態だと、目標のハーレムを作る事など、程遠い事だ。
これは、俺にとって非常に重要な問題なのだ。
もしかしたら、肉棒が復活する事より重要な事かもしれない。
『だって、人肉の欲望を抑えられなければ、女の子に長時間近づけないんだもん!』
女の子と長時間一緒にいれないんじゃ、S〇X出来ないし、ハーレムなんて夢の夢だ。
3分で終わらせたら、S〇X出来るかもしれないけど。
兎に角、いくら考えてても仕方が無い。
脳ミソ無いんだし。
俺は、テーブルから立ち上がる。
「行くぞ! シロ!第5階層へ!」
「キュイ!」
俺は、颯爽とシロに飛び乗り、第5階層に向かった。
ーーー
俺は第5階層に着くと、直ぐに雄叫びを上げる。
「皆さん! 気絶して下さい!」
聖スケルトンになったからなのか、少しだけ言葉使いが丁寧になったようである。
まあ、そんな事は置いといて、まずは実験だ。
俺は、気絶している女冒険者を見つけて、人目がつかない草むらに連れ込んだ。
そして、おもむろに服を剥ぎ取ってみた。
それと同時に、無い筈の肉棒がそそり立つ感じがする。
「オォォォォーーキタキタキタ、気持ちだけチ〇コが立ってきたぞ!」
俺のムラムラは絶頂だ。
しかし、3秒後、俺のムラムラが急激に収まってしまった。
「何故だ?」
俺は試しに、女冒険者のサクランボをクリクリしてみる。
「オォォォォーーキタキタキタ、俺の肉棒が熱くなってきたぞーー!」
しかし、3秒後、また、俺のムラムラが急激に収まった。
「こ……これは……」
もしやと思ったが、もしかしたら……。
「イヤイヤイヤ、そんな事は無い。たまたま偶然だ!」
俺は気を取り直して、女冒険者に抱きつき、体をスリスリしてみた。
「オォォォォーー! キタキタキタ! 俺の44マグナムが、火を吹きそうだぜ!」
しかし、3秒後、俺のムラムラは綺麗に消え去ってしまった。
間違いない……俺が恐れていた事が、現実になってしまったようだ。
俺は聖属性のスケルトンになってしまった事により、悪い事をしようとすると、直ぐに心が浄化されてしまうのだ。
「なんてこった……」
俺は四つん這いになり、涙を流す。
骨なので、気持ちだけだけど。
ハーレムを作るには、聖属性は不要だ。
要らないと言った方が良い。
人肉を食べたいという欲求は無くなったようだが、現在の俺の唯一の楽しみである、女冒険者へのイタズラが出来なくなってしまったのだ……。
「クッ……こんな筈では……」
聖スケルトンなんて、直ぐに止めてやる!
今直ぐ、第22階層に戻って、レベル上げだ!
そして、悪いスケルトンになってやる!
そう俺は、心に決めたのだった。
しかし、この何気ない決断が、後の運命を大きく変えてしまう事になるとは、この時の俺には分かる筈の無い事だった。
ーーー
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