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第1話
040. 初めての街です9
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「イツキー。
今日はマグのお手伝いしてー」
朝ご飯のおかずはスクランブルエッグ。
バンディお手製の半熟でトロっとしながらも、しっかりとスプーンですくえる硬さのタマゴを、マグは取り皿に分けて、申し出と共に渡してくれた。
あまりにも自然な流れに、疑うこともなくそのまま口に流し込みながら頷いた。
「ぢゃあ、ご飯が終わったらすぐに支度するね」
「うん。
でも、なにするの?」
「ちょっとソコまで♪」
ボクよりも早くスクランブルエッグとパンを食べ終えると、牛乳を飲み干してマグはさっさと支度をしに部屋に戻ってしまった。
「どこ行くんだろう」
「ついていけばいいんだよ」
「でも、フゥさん?
マグちゃんと二人じゃ、もし魔物かなにかに襲われたら……」
「そんなもん、オマエが戦え」
「そんな~」
フゥの無責任な言い方に泣き言を言っていると、アニーも食事を終えて席を立った。
「マグもああ見えて一人前のコンクエスターなのだ。
心配はいらないのだ」
「そうだな。
イツキこそ足引っ張るんじゃねぇぞ?」
「もう、好き勝手言うんだから……」
ブツブツ言いながら、パンの最後の一かけらを齧っていると背もたれのない椅子に座っていたボクの背中に勢いのある小さな手が当たった。
「さぁ、行こうか!」
「もう!?
ちょっとまって……」
慌てて残りを口に収めて、牛乳で流し込んだ。
「今日は何をするの?」
「薬草摘みだよっ」
◇ ◇ ◇
しばらくマグについて歩いていった。
「楽しそうだね」
「うん、お天気もいいし。
お茶の用意もして、お弁当も作ってもらったし♪」
「それじゃピクニックみたいだね」
「ちゃんと依頼を受けたお仕事にいくんだよー」
プンプン、と口で言って見せたマグはこちらに向き直って楽しそうな笑顔を見せた。
大通りを通って、昨日と同じように山側の門をくぐる。
子どもらしい動作がいちいちかわいい。
「なに?
そういう趣味?」
エリィは無視しよう。
マグのかわいさだけがここにある純粋無垢な芸術だ。
「たしか、この丘を越えると昨日の牧場だったよな。
こっちなの?」
「もうちょっと先だよ。
向こうの草原に生えている薬草を摘みに行くの」
さらに歩くと、丘をもう一つ越えた先に黄緑色の草原が広がっていた。
それこそ学校のグラウンドほどはある平地に足首ほどの背丈の草が生えており、点々と様々な色の花が咲いている。
「ぢゃあー、こうしてー、こうだよー」
マグはその場に膝をついて無造作にブチブチと草を引っこ抜いていた。
「こう?」
しゃがみこんでよく目を凝らすが全部同じに見える。
見よう見まねでやってみる。
どれが薬草なのか分からなかったので、勘だ。
「えっと、そうじゃなくって。
その手に取ってる草の、さきっぽの柔らかいところだけをプチって」
マグの手元を注意してみると、ほんの指の関節一つ分ほどの長さを色の淡い新芽だけ摘み取っていた。
ボクも膝をついて、一本ずつ丁寧に見て、触って、選別してから摘み取ったモノをマグに見せた。
「これかな?」
「そうだよー。
そうやって、親指と人差し指で……
ウンウン。
上手だねっ」
黙々と作業を続けた。
晴れやかな日差しと頬を撫でる風が気持ちいい。
「あ~~~……
腰が……」
上半身を起こして背を伸ばす。
「疲れたー?」
「普段、こんなことしないから、背筋が……」
「お茶にしよっか」
マグは持ってきた編み込みのバスケットから金属製のケトルやティーセットを取り出し、てきぱきと準備を始めた。
すでに二人が座るには十分な大きさの敷物が草の上に広げられ、ボクはそこに腰を下ろして彼女を見ていた。
「ちょっとだけ、お願いね」
マグがつぶやくと、例のヤオの粒が瞬き、即席のかまどに火が付いた。
そこで湯を沸かしている間に、サンドイッチの包みを広げる。
「はい、オヤジさんが作ってくれたんだよ」
「バンディさんってなんでも作るんだね」
「すごいでしょー」
朝と同じ小ぶりの丸パンに葉野菜とチーズが挟まった、まさにピクニックにピッタリなサンドイッチだ。
「いただきます」
噛り付くと、食べ飽きない、素っ気なさすら感じたパンに野菜のシャキシャキ感とチーズの塩気が絶妙だった。
「どうぞー」
マグが渡してくれたティーカップに注がれたお茶も、湯気が立ち、優しい香りのするスッキリとした味わいだった。
温度と水分が疲れた体を更に癒してくれた。
「おいしいね♪」
「うん」
今日はマグのお手伝いしてー」
朝ご飯のおかずはスクランブルエッグ。
バンディお手製の半熟でトロっとしながらも、しっかりとスプーンですくえる硬さのタマゴを、マグは取り皿に分けて、申し出と共に渡してくれた。
あまりにも自然な流れに、疑うこともなくそのまま口に流し込みながら頷いた。
「ぢゃあ、ご飯が終わったらすぐに支度するね」
「うん。
でも、なにするの?」
「ちょっとソコまで♪」
ボクよりも早くスクランブルエッグとパンを食べ終えると、牛乳を飲み干してマグはさっさと支度をしに部屋に戻ってしまった。
「どこ行くんだろう」
「ついていけばいいんだよ」
「でも、フゥさん?
マグちゃんと二人じゃ、もし魔物かなにかに襲われたら……」
「そんなもん、オマエが戦え」
「そんな~」
フゥの無責任な言い方に泣き言を言っていると、アニーも食事を終えて席を立った。
「マグもああ見えて一人前のコンクエスターなのだ。
心配はいらないのだ」
「そうだな。
イツキこそ足引っ張るんじゃねぇぞ?」
「もう、好き勝手言うんだから……」
ブツブツ言いながら、パンの最後の一かけらを齧っていると背もたれのない椅子に座っていたボクの背中に勢いのある小さな手が当たった。
「さぁ、行こうか!」
「もう!?
ちょっとまって……」
慌てて残りを口に収めて、牛乳で流し込んだ。
「今日は何をするの?」
「薬草摘みだよっ」
◇ ◇ ◇
しばらくマグについて歩いていった。
「楽しそうだね」
「うん、お天気もいいし。
お茶の用意もして、お弁当も作ってもらったし♪」
「それじゃピクニックみたいだね」
「ちゃんと依頼を受けたお仕事にいくんだよー」
プンプン、と口で言って見せたマグはこちらに向き直って楽しそうな笑顔を見せた。
大通りを通って、昨日と同じように山側の門をくぐる。
子どもらしい動作がいちいちかわいい。
「なに?
そういう趣味?」
エリィは無視しよう。
マグのかわいさだけがここにある純粋無垢な芸術だ。
「たしか、この丘を越えると昨日の牧場だったよな。
こっちなの?」
「もうちょっと先だよ。
向こうの草原に生えている薬草を摘みに行くの」
さらに歩くと、丘をもう一つ越えた先に黄緑色の草原が広がっていた。
それこそ学校のグラウンドほどはある平地に足首ほどの背丈の草が生えており、点々と様々な色の花が咲いている。
「ぢゃあー、こうしてー、こうだよー」
マグはその場に膝をついて無造作にブチブチと草を引っこ抜いていた。
「こう?」
しゃがみこんでよく目を凝らすが全部同じに見える。
見よう見まねでやってみる。
どれが薬草なのか分からなかったので、勘だ。
「えっと、そうじゃなくって。
その手に取ってる草の、さきっぽの柔らかいところだけをプチって」
マグの手元を注意してみると、ほんの指の関節一つ分ほどの長さを色の淡い新芽だけ摘み取っていた。
ボクも膝をついて、一本ずつ丁寧に見て、触って、選別してから摘み取ったモノをマグに見せた。
「これかな?」
「そうだよー。
そうやって、親指と人差し指で……
ウンウン。
上手だねっ」
黙々と作業を続けた。
晴れやかな日差しと頬を撫でる風が気持ちいい。
「あ~~~……
腰が……」
上半身を起こして背を伸ばす。
「疲れたー?」
「普段、こんなことしないから、背筋が……」
「お茶にしよっか」
マグは持ってきた編み込みのバスケットから金属製のケトルやティーセットを取り出し、てきぱきと準備を始めた。
すでに二人が座るには十分な大きさの敷物が草の上に広げられ、ボクはそこに腰を下ろして彼女を見ていた。
「ちょっとだけ、お願いね」
マグがつぶやくと、例のヤオの粒が瞬き、即席のかまどに火が付いた。
そこで湯を沸かしている間に、サンドイッチの包みを広げる。
「はい、オヤジさんが作ってくれたんだよ」
「バンディさんってなんでも作るんだね」
「すごいでしょー」
朝と同じ小ぶりの丸パンに葉野菜とチーズが挟まった、まさにピクニックにピッタリなサンドイッチだ。
「いただきます」
噛り付くと、食べ飽きない、素っ気なさすら感じたパンに野菜のシャキシャキ感とチーズの塩気が絶妙だった。
「どうぞー」
マグが渡してくれたティーカップに注がれたお茶も、湯気が立ち、優しい香りのするスッキリとした味わいだった。
温度と水分が疲れた体を更に癒してくれた。
「おいしいね♪」
「うん」
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