ぼくはきみの目をふさぎたい

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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夢と目合う ※ ※モブユン

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 ※いつも本当にありがとうございます🙇‍♂️💕💕
 またしてもおまたせしてしまってすみません…!
 体調を崩して寝込んでます(した)…! 
 ちょっと風邪を引いちゃったのであれなんですが、頑張ります…っ!😭※
 ※ほんのすこ~~しだけ修正しました※

   ×××



 
 
 
 
 
 
 
 
 
「――どう考えても俺は“変態”ではないだろう!」
 
 やはり確信的に俺は「変態」などではない!
 ユンファさんには全く、をされてしまったものである。
 それこそ俺のような先進的な思想を携えた若者を「変態」などとしてしまえば、この国の未来さえもきっと暗い……そんなこと、このヤマトの明るい未来のためにも決して許されることではないだろう。
 ましてや恋人、結婚、伴侶、夫(夫々ふうふ)というパートナーシップのみに留まらず、これから俺とユンファさんは、およそ世の中や条ヲク家の改革へ共に乗り出す、いわば共闘関係にもなり得ることであろう――さまざまな意味で、同じ釜の飯を食う関係性になり得る、ということである――。
 
 ならばよりユンファさんの、そのような俺への「変態」などという酷く誤謬ごびゅうした印象は、ここらへんで今一度しっかりと払拭、是正しておかねばなるまい。
 ――First Impressionsとは、さまざまな意味でも信頼関係の構築において、割に重要な要素ともなるものである。
 
 では、さあユンファさん……俺のこの、素晴らしい健全なる思想を聞いて――と見ればユンファさんは、
 
「……、…、…」
 
 片手で掴んだ二の腕をしきりにさすり、居心地悪そうに肩を縮めながら、冷や汗をかいているその青褪めた顔を、その二の腕のほうへ憂鬱げに伏せている。――憂いた黒眉に翳るその切れ長まぶたの伏し目、生え揃う黒く長いまつ毛の先に宿る青褪めた憂鬱さえもが美しい……やはりユンファさんの美貌には、不幸も幸福も、何だってよく似合うのだ。
 
「…あぁ何とお美しい……」
 
 言いながら俺はユンファさんの腕にあるその片手を取り、自分の胸の前、両手で彼の片手を包み込む。彼の手は殊に指先が冷え切っている。
 
「…ところで…あの、どうぞ聞いてください。」
 
「……ぇ…? あ、はい…」
 
 俺に手を取られながらはたと俺を見るユンファさんは、警戒した様子ではありながらも目を大きくし、表向き当たり障りのないようにと感じの良い笑みを浮かべる。…が、その笑顔には若干何が何やらという当惑が控えめに漂っているばかりか、やや無理に引き上げられたその両頬は、密かな警戒による硬さもまた重石となって、小さくひくついている。
 
 とはいえ…その当惑や警戒も今この瞬間だけのもの。
 きっとユンファさんも俺の健全なる思想を聞けばすぐさま納得、手っ取り早い名誉挽回、たちまち俺は、「変態」との汚名を即座に返上できるはず――と、俺は困惑しているユンファさんの薄紫色の瞳をじっと見据え、くっと少しだけ顔を傾ける。
 
「…俺は…実はこれでも常日頃から、この国の未来を案じているのです。」
 
「……へ…? ぁ、はあ…はは…」
 
 するとユンファさんは『な、何だいきなり…?』と、ぎこちない笑みを浮かべる。そして彼は「えっと」と瞳をくるぅり一周させてから、顔を正面に戻して顎を引く。
 そして俺が切り出した話題の真意を窺うよう、やや上目がちに俺を見てきては、――『僕、いきなり、なんの話をされているんだ…?』と困惑の薄紫色の瞳で言いつつも、
 
「…はは、す、凄いですね…! いやぁ何というか…しゃ、社会派で……」
 
「……、…」
 
 駄目か、愛想笑いである――。
 いやそれはそうか……俺にしてみれば、思考内の地続き的な話題ではあるのだが――何なら俺としては、内に秘めたる例の健全なる思想を語る、いやこの国の未来をユンファさんと語り合うことによって、彼の「誤謬した俺への印象」を是正するのみならず、あわよくば、あわよくば、あわよくばワンチャン「見直した! 何なら好き!」狙い……ではあったのだけれど――その一方でユンファさんの視点に立ってみれば、確かにかなり唐突にふられた話題でしかないのである(言うまでもなく俺の脳内会議の果ての話題であるからだ)。
 何なら今のユンファさんの目の中には『やっぱりこの人、ちょっと変な人、なんじゃ…?』
 
「……ごめん。今のは忘れて…、……」
 
 まあ少なくとも…先ほどの健全なる思想をユンファさんへと話すのは、今、ではないようだ。――だが機会を見て、いずれはぜひ…とは思うがしかし、これはどうやら見誤ったタイミングで俺が例の思想を語ったところで、むしろユンファさんの俺に対する「変人奇人の何なら変態」という悲しき勘違いが、より深まってしまいそうな気配である。…どうやら俺が思っていたよりも根深い印象らしい。
 
 というか、俺はまたしてもmistakeを繰り出してしまったらしい(何なら今例の話題を切り出したことによって、より誤解が深まってしまったようだ)が……まあそれ以前に俺は今、まず「対処策」を考えなければならないのだった。せっかく時間をもらってもいるのだし、このタイミングで煮詰めておかなければ……――さっと目を伏せる俺は、ユンファさんの片手の指の背から甲までを、やさしく撫でさする。
 
「どうしたら貴方はわかってくださるのかな、俺は変人奇人ではないと…ましてや変態だなんて……、はぁ……」
 
 しかし俺は、断じて「変態」などではないのだ。
 大体俺は、それこそ何か変わった特殊な性的嗜好を持っているというわけでもないし――なおたまに同音異義語の「性的指向」と「性的嗜好」がごっちゃになっている者がいるが、二つは全く違うものである。いわば「性的指向とは習性」、「性的嗜好とは趣味」といったところだ――、また例えば風船フェチであるとか下着フェチであるとか、体液フェチ、臭いフェチ、俺にはそういった特殊なフェティシズムも無い。
 
 いやしかし、思えば――俺にそれらフェティシズムが一切無い、とは言い切れないところがある。
 例えば風船を膨らまそうと一生懸命になっているユンファさん、ぷうっとハムスターのように可愛く頬を膨らませ、息継ぎにはぁ……ひたすら風船を膨らましているユンファさんの顔はうす赤く、しっとりと汗ばんで――ぎゅうっと風船を抱き締めるユンファさんも愛らしければ、それで割れた風船にビクンッ、怯えた顔をするユンファさんもまた非常に……勃つよね、それは普通に、完全に。
 また、それこそユンファさんの使用済み下着なら収集したいし、購入としてもいくらでも俺は出すし、…なんなら結婚をしたら収集も何も、あちらこちらにユンファの使用済み下着Paradise……やっぱり結婚したい。
 
 ユンファの体液? 全て俺の甘露。
 ユンファの匂い? 全て俺の妙薬。
 
 つまり、俺のフェティシズムにはちょっとした簡単な条件が一つだけある――俺の興奮にそれらフェティシズムが適用されるためには、……すなわち、まあ強いてフェチでいうなら俺は、「ユンファフェチ」というをもっている程度、ということだ。が、それも俺の彼への一途な愛が故で、
 
 ともなれば俺は極めて健全、それどころか、世の中の男たちよりかもっと俺は「模範的な性欲」をばかり抱いている男とさえ言えるに違いない。
 やはりこの俺が変態とはとんでもないことだ――が、
 
 しかし俺だって男なのだ……性的なことに全く興味が無いとは、そんなわけもないのである。
 それこそ、いわゆるサディストとマゾヒストが楽しむような、もっといえば(俺の夢想妄想の中で)可愛い俺のユンファを徹底的にいじめちゃうようなこともあるけれど、そういった太陽と月のSun and Moonはまあ確かに、俺にもあるにはあるけれど……俺は別にそればかりにしか興奮できないわけでもないし(俺はだ)、それは単なる趣味、俺は誰にも迷惑などかけていないし、実際実生活における支障なども全く出ていないのだから、言い換えるところ社会不適合者という意味の「変態」だなんてとんでもない……そもそも、お互い合意の上で興奮するシチュエーションでのプレイを楽しんで何が悪いの? 
 
 ただその日の気分でDominator(支配者)になりたいとき、俺の見ている夢の傍らにSubmissiveな(隷属する)ユンファがいるというだけのこと、需要と供給、激しく壊れるまで愛したいと灼熱の、目が眩むほど強い光を放つ支配の太陽と、激しく愛され熱され照らされたい、灼熱の陽光に身も心も染められたい隷属の月、両者のパズルのピースがピタリと合わさった結果およそ110度とHOTな満月に、そうして俺はただひと時の、情熱的かつ刺激的な「Blood Moonの夢」を楽しんでいるというだけのこと。
 
 もちろんサディストとマゾヒストは性質こそ対極であっても、あくまでも「対等」なのであるし、何なら俺は世の中のマゾをよろこばせてきたくらいだ(とはいえ、、だけれどね)、ましてや、俺にはまさかあのケグリ共のように、根本的な人の尊厳破壊や、人の人生をまで壊して卑しく勃起するような趣味はない。――変態はそれこそアイツら、あのケグリ共の勘違いドS様みたいな恥ずかしいプレイともいえない噴飯物の愚かしいサディズムと、俺の崇高なる洗練された自他共に悦を齎すサディズムを同じものにしないで、非常に不愉快。虫唾が走る。
 
 まあ我ながら少し性欲は強いほうだとは思うけれど、それも(ユンファさんに対する)が人よりいくらか強いというだけで、いうなれば俺はただユンファさんを一途に深く深くdeepに愛している、それだからが人よりちょっと強いというだけ……だから俺はユンファさん相手ならいつでも勃起をするし、ユンファさんを深く深く愛しているからこそ、ユンファさんの肉体の隅々どこにおいても勃起ができる。
 
 ただそれだけのこと。
 それこそユンファさんの一部であるのなら、彼の爪の垢にでさえ俺はよろこんで勃起することが可能だ。煎じなくとも結構、新鮮なうちに悦んで飲みましょう。――これほどの「真実の愛」なんて、この世に二つとあるだろうか?
 
 今だってそう…ユンファさんへの愛が故に――なぜ?
 
 この俺がよりにもよって、まるで社会不適合者のをされるとはね……全くをされてしまったものだよ。
 ……それがプレイ中ならまだしも…――サディスティックな責めをしてくださるユンファ様の、そのゴミを見るような冷ややかな切れ長の目に見下されながら、「この変態」と罵られるのなら俺としても、もちろん(いろんな意味で)手放しで歓べるのだけれど…――、まさか本気で彼に「変態」などと思われてしまうとは、非常に心外……。

 大体――。
 
「……俺の羞恥心が欠如しているですって…? そもそも俺とて羞恥心くらいきちんとあるだ……」
 
「……ん、♡ …ぁ、あの、……」
 
「…変態、羞恥心の欠如…? 何故この俺が、そんなをされてしまった…――?」
 
 羞恥心の欠如……いや、それこそに関してはたしかに、羞恥心など欠片も感じはしないけれど――だけれどそれは、誰しもがそうでしょう? 
 なぜ本当は羞恥心を覚えもしないことにわざわざ、「お恥ずかしながら…」などと嘘をついてまで、遠慮や謙遜をしなければならないというの?
 
 先ほどだって……何に恥じろというのか?
 
 あまりにもばかりに、先ほど抱き合う距離で見つめ合っていたさなか、ユンファさんには俺の「わかりやすいデカさ」を認知されてしまったが――しかし、生まれつきどうしても宿にあるのだから致し方あるまい?
 ましてや俺は、ユンファさんの“タンザナイトの瞳”のあまりの奥深い美しさにというのことなのだ。
 俺の勃起は何ら恥じるべきところのない、いわば純真無垢たる「求愛反応」である。――ましてや愛しい人と二人きりの今「勃起が明らか」というのに、恥ずかしい要素なんか何があるだろうか? 
 別に群衆の面前で勃起しているわけでもないのだし、恥ずかしがることなんか何も無いだろう。
 
 大体、勃起した(自慢のデ…)恥部を好きな人、すなわちユンファさんの目に晒すことだってもちろん、そもそも何ら恥じらうべきことではない。俺には真の変態の露出狂のように誰でもいいから見てくれ! なんて欲求はないのだ、
 何より俺は何ら恥じるべきモノなど持ってはいない。どこに出しても恥ずかしくない、むしろ人に、こと男たちに羨ましがられて然るべき、愛するだ。
 
 ましてやなぜか、先ほど俺の「暴れん坊なデカさ」をチラと一瞥したユンファさんに、『正直信じられない…な、なぜんだ……?』などと訝しく思われてしまったようなのだが、それだって仕方のないことではないか?
 俺だって人。俺だって男。俺だって生き物。勃起というのは許されて然るべき、である。――ユンファさんだって同じ男なのだし、何なら、俺はユンファさんが勃起していたら「可愛いな」とむしろ俺も興奮するくらいだというのに……彼だってもう少し俺の勃起にも、寛容な態度を示してくれてもいいじゃないか。
 
「……ぁ、♡ …ぁ、♡ あの…っか、カナイ、…っカナイさん…! く、くす、擽ったぃ……」
 
「……、…」
 
 しかもユンファさんは更に、俺が(フル)勃起を隠すこともなく平然としていること、そして明らかに勃起をしながら恥じらいもせず、彼の目を見つめながら「ロマンチックなセリフ」を言ったこと、またその「(俺の説明不足でユンファさんが理解できなかった)ロマンチックなセリフの内容」に対して、『もしやこの人羞恥心無いのか…?』『変態…?』などと酷い勘違いをしてしまったようである。
 
「……あ、あの、カナイさん…? あの…ぁ、♡ ……っん…♡ …あっかっカナイさんっ? あの、ぁ、あの……」
 
「…あぁそうか…、……」
 
 いやなるほどそうだった……そもそもユンファさんは、恋愛経験の乏しい人なのである。――それだから彼は「ロマンチックなセリフ」に耐性がない。しかも、ユンファさんはどうやら根っからの「bashful boy恥ずかしがり屋さん」のようだ。
 
 それで彼は俺の先ほどのセリフもまた理解できなかったし、「(要約)何か意味わからんけどとにかくキッショ」と思ってしまわれたのだろうけれど、それは結局だ。
 
 俺はその点においても羞恥心など感じようがないし、というか俺に何か問題があると言われたところで、俺には何が問題なのかもはっきりいってわからない。
 
 しかしまあ、わからないなりに俺を理解してくれようとしたユンファさんにならい(やはりいつしも信頼関係を築くにおいて大切なのはお互いのrespectだ)、今後のためにも、ここはユンファさんの「bashful boy恥ずかしがり屋さん」な気持ちに寄り添ってみようか…――。
 
 例えば…恋愛経験の無い人にはありがちなことだけれど、そういう恋愛経験の無い人が恥ずかしがる(恥ずかしくないの、と思う)こと、ひいては「問題」だと捉えがちなこととして俺に思い付くのは、ロマンチックな愛のセリフをユンファさんに言うこと……だろうか。
 
 先ほどの俺のセリフも、きっとユンファさんにとってはあまりにもロマンチックが過ぎて、彼は受け入れる前にまず恥ずかしいと――ひいてはそんなことを(勃起しながら)人の目を見て言うなんて、『羞恥心無いのか』と――感じてしまったのだろう。けれど、それを「恥ずかしい」と言われてもね。
 
 どのようなタイミングやシチュエーションにおいても、愛を感じたのなら、熱い愛の言葉はすぐに伝えるべきだ。
 人はいつ死ぬかもわからない。ともすれば誰もが一秒後に心臓発作で死ぬかもしれない。愛を伝えないままどちらかが生涯を終えてしまって後悔をするより、どちらにしても愛を伝えてから死んだほうが良いに決まっている。――何でもそうだろう、しない後悔よりする後悔というやつである。
 
 そしてどのようなタイミング、どのようなシチュエーションにおいても死が訪れるように、どのようなタイミングで、どのようなシチュエーションでユンファさんに俺が愛おしさを感じるかは、誰にもコントロールなどできない。
 
 死と愛は緊急なのである。
 故に、それがどのような場面で、どのようなタイミングであったとしても、例えば二人きりでも人前でも、この胸に熱い愛が込み上げてきてしまったのならば、その俺の愛は今すぐユンファさんへと伝えるべきだ。熱いものは熱いうちに…鉄は熱いうちに打て…紅茶だって、れたてが一番美味しい。
 
 まあ、きっとユンファさんのような恥ずかしがり屋さんは、こと人前でそういったロマンチックなセリフを言われることに恥ずかしさを覚えるのかもしれないけれど――二人きりでもはにかんでらっしゃるくらいだしね――とはいえ、俺は彼一人に向けて言っているのだから、それをいやらしく盗み聞きする他者のほうが悪いし、何より、部外者がそれで何を思ったところでどうでもいいじゃないか。ユンファさんがときめくか否か以外は何も重要じゃない。
 
 大体、月下ツキシタ夜伽ヤガキ曇華ユンファという人の素晴らしさをつくづく言葉にしてをすること――ユンファさんへ向けた俺の言葉はあくまでも甘言というような「褒め言葉」ではなく、どれも「形容」である――を、控えろと言われてもね……まあまだ実際に言われてはいないのだけれど。
 それこそ「真実をただ形容しただけ」で「恥じろ」と言われても、さすがに俺だって困る。――白い紙に対して「これは白い紙です」と言って、「なぜそんな恥ずかしいことが堂々と言えるの?」と言われても……誰だって困惑するでしょう?
 
 何より、生来の夢想家ロマンチシストの上そういったことを生業なりわいにまでしている俺にそれを「やめろ」というのは、もはや「死ね」と言っているも同然。なんて残酷なことをおっしゃるのか。どうしようもない。やめられない。やめられるわけがない……ひいては俺が(これから)それでユンファさんを養ってあげるのだから、彼は自分のためにも、はにかまずその言葉全てを丸ごと受け入れるべきである。
 
 あとは、ユンファさんに触れること……これもそうだね、そう……なのである。
 
 触れたくなったのなら仕方がない。
 例えどのようなタイミング、どのようなシチュエーションであったとしても、俺がすぐに唆られるほど妖艶なユンファさんが悪いし、何よりフラストレーションを溜め込むのは非常によくない。
 溜め込んだ結果爆発をして、ともすれば、彼をその場で犯してしまうかもしれないでしょう? ストレスもフラストレーションも、小さくこまめに発散したほうがいいものだ。そんなことは言うまでもない常識である。
 
 そもそもそれを「やめろ」と言われても、のだから、彼のためにもやめないほうがいいじゃないか?


「……、……」
 
 なるほど。これでも俺は一応、好きな人であるユンファさんの「恥ずかしがり屋な心」に寄り添ってあげようと努力はしてみたのだけれど……いわば素晴らしい月下ツキシタ夜伽ヤガキ曇華ユンファという人に対して思い付く限りのロマンを尽くすことには、俺は誰に何と言われようが、どうしても羞恥心など覚えようがない。――それら「真実の愛」に対して、一体何を恥じるべきことがあろうか?
 
 そもそもこんなこと程度に羞恥心なんて感じるわけがないだろう。…まあ確かに、ことヤマト人はストレートな愛情表現を恥ずかしがる傾向はあるが、それだって「慣れていないせい」だ。
 
 
 あぁそうか、わかった――要するに、結論。
 
 
 
 
 
 思えば、これこそが俺の愛――「真実の愛」なのだから、ユンファさんが慣れるしかないのだよ。
 だけれど、俺のロマンチックな言動に恥ずかしがっているユンファさんも可愛らしいから……彼が慣れてしまうまで、そのはにかんでいる姿をも楽しめる。いいね。俺の愛も伝えられてむしろ一石二鳥かもしれない。
 
 


「……ふふ…――。」
 




 尚の事やめられない――。
 
 
 
 
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