ぼくはきみの目をふさぎたい

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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翳目 ※

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 くちくちくちと絶妙なテンポで、絶妙な力加減で僕のモノを扱いてくるソンジュさんの、その手首を掴んだ僕は、
 
「…あ、♡ あぁやめ、♡ …やめて、だめ……、お、おかしくな、…なってしまう、……」
 
 うなだれ、低くそう呟いた。
 何も媚態だとか、扇情の目的でそう言ったわけじゃない。――おかしくなる、と言われて唆られる男はいくらでもいるのはそうだが、…僕はこのままだと、鹿になってしまいそうなのだ。
 すると僕の耳元で、ソンジュさんは低くこう囁いてきた。
 
「…おかしくなればいいじゃないか…? ユンファがボロボロに壊れてくれれば…俺無しではもう、生きてゆけなくなるものね…? ぶっ壊れろよ…壊れろ、壊れろ壊れろ壊れろ……」
 
「…ぁ…っ?♡ …ぁぁ、♡ ぁ…♡ ぁ、♡ ぁ…っ♡ らめ、…なの、に……っ」
 
 ぐちゅぐちゅと速く激しく扱かれると、泣きそうなくらい、…きもちいい…――ソンジュさんのその低い声すら快感となり、ゾクゾクと背筋が震えて粟立った。
 僕は逃げ腰になって腰を引くが捕らえられたまま、…触れられてもいない乳首が、かゆいくらい敏感になっている。…バスローブのややザラついたタオル地に、身じろぐたびに擦れる乳首の先、すると勝手に、ビクッと体が反応してしまう。
 なけなしの抵抗に、僕自身を扱くソンジュさんの手首を掴んだままなのだが、ぐちゅぐちゅと全体を扱くその手の動きは止まらない。――力では優るはずもなく、なんなら今の僕の力は、女性よりも弱いかもしれない。
 
「…ぁッ♡ んぁ…♡ ぁ、ぁ…?♡♡ ち、くび…までぇ、や…ァ、~~~ッ♡♡♡♡」
 
 バスローブの隙間から手を差し込まれ、乳首の先をくにくにされると、僕はビク、ビクンッと反応してしまう――ソコからの快感が直に感じるほど、自身にビリビリと送り込まれてゆく――。…僕の頭に反して、体は“ずっと触ってほしかった”と喜んでいるみたいだ。
 僕の体からはもうくったりと力が抜け、すっかり背後のソンジュさんに身をゆだねてしまっている。
 駄目だ、と立ち上がろうとして、ソファのヘリを掴むが、――腰が、脚が震えて力が入らず、できない。
 
「…可愛いな…ユンファ、おちんちんばっかりかと思ったら、乳首もこんなに硬くなってるよ…? 乳首もいじめられるの、大好きだものね…ほら、気持ち良い…?」
 
「…は、♡ うぅ…♡ ぅぁぁ…♡♡ ぁぁ…♡ ぁぁぁ…♡♡」
 
 自身をめちゃくちゃに扱かれながら、乳首の先端をピンピンと弾かれ、くにくにと先端に指を着けて回されると、もう情けない声しか出ない。――腰が勝手に、前後にくねっている。…駄目だ、やめろ、と頭では思っているというのに…物欲しげ、もっとして…と、いやらしく揺れてしまうのだ、自分の腰が。
 
「…もう苦しいよね…、パンツ、脱ごうね……」
 
「……ふぁ…♡…あ…♡」
 
 する、…ずる、ずるるっと脱がされ、下ろされてしまった下着、それにすら感じて…ボロリと飛び出てきてしまった熱いモノが、ピトンッと僕の下腹部に触れる。――そして、思わずもれ出た甘ったるい自分の声に下唇を噛み締めた僕は、自分のソレを見たくないと顔を背けながら俯いた。
 
「…おちんちん反り返っちゃってる、ふふ…――ショックだね…? 嫌なのに…駄目なのに…ね。」
 
「……ッ、…ふ、…ッ」
 
 その通りショックで、僕は悔しくて泣きそうである。
 込み上げる嗚咽を噛み殺し、それでも泣くものかと堪えているが。
 抜けていない僕の脚を拘束するように膝下で留まった下着、ソンジュさんは片手で僕の上体を押さえ、血まみれの手のほうで僕の勃起をぐちゅぐちゅと、激しくも絶妙な力加減でしごいてくる。
 
「俺の血、ユンファのおちんちんに塗り込んであげるね…」
 
「……ふ゛…っ♡ グ、♡♡ ……~~~ッん゛…♡♡」
 
 するともう僕は、前にかがむほど感じてしまう。
 正直もう、…イきそうだ。――するとソンジュさんは、どこか楽しげでありながらとぼんやりと、こう囁いてくる。
 
「…ユンファ、もうイきそうなの…? おちんちんがかたーくなってきた……」
 
「……ッあ、♡ はぁ、…ちが、…ぅク、♡♡ ~~ッ♡♡」
 
 僕は下腹部と自身を強張らせて、違う違うと必死にかぶりを振った。…とにかくこの激しくも絶えず与えられる快感に耐えて、息を詰めている。――これでイってやるものか、と意地になっているともいえる。
 
「…貴方って本当、狡い人…――また嘘を吐くのだね…憎らしいくらい賢くて、気高い…やっぱり貴方は銀狼ぎんろうだ…、だけれどね……」
 
 ソンジュさんは僕の乳首の先を、ぐりっとすり潰し――自身の的確な場所を、速く激しく扱きあげてきた。
 
「……ふ゛…っ♡♡♡ …~~~ッだm…ッk、♡♡♡」
 
 なかば乳首をそうされるのが、となっている僕は、結局…抵抗虚しくソンジュさんの手の中で爆ぜた僕自身、久しぶりにソコでの刺激でイった僕は、その射精に頭が真っ白になる。
 
「は…っはー…♡ はー…♡ はー……♡」
 
 うなだれた先――自分自身の赤らんで艶めく鈴口から、ぴゅく、ぴゅ…と勢いの弱まった白濁が吹き出る様を、まじまじと見留めてしまった。
 
「……貴方が逃げ回れば逃げ回るほど、俺は…執拗に貴方を追い掛け続けたくなる…狼なのですよ、ねえユンファ…ふ、ふふ…――たとえ、またユンファが俺の元から逃げ出したとしても…ユンファが世界の何処にいようが、関係ない…、俺たちはまた自然と惹かれ合い、必ずまた出逢うことになるでしょう…。それが、なのですから……」
 
「……は…、…はぁ……」
 
 カリ…チョーカーのタンザナイトを一本の爪先で掻いて示したソンジュさんの声は、いやに艶めかしくゆったりとしている。…ソンジュさんのそのセリフを耳元で聞いた僕は、ぞくんっと腰から上を震わせた。
 そして、彼は後ろから僕の腹をぎゅうっと抱き締め、うなだれた僕のうなじにこう、生暖かい吐息を吐きかけてくるのだ。
 
「…貴方を射止めるまで…この白いうなじに噛み付くまでは、どこまでも…逃げ回る貴方を、どこまでも…どこまでも…永遠に、追い掛け続けてあげる……」
 
「…っは、…ク……ッ」
 
 眉が寄る。
 マーナガルム…北欧神話、月を喰らおうと――永遠に月を追いかけ続けている、魔狼。
 
 
 無理だと、虚しくさえ思う。
 もはや逃げる意味なんてあるのだろうか。――僕はいずれ、その狼に喰われる運命さだめだというのに。
 
 
「…………」
 
 
 僕は憮然として霞んだを、力なく伏せた――。
 
 
 
    つづく
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