ぼくはきみの目をふさぎたい

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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Frozen watchfulness

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「…………」
 
 いま僕は呆然として、あの脱衣場にいる。
 ちなみに体はもう(やけにふわっふわで、甘い良い匂いがして、まるで高級ホテルのそれのような)バスタオルで拭き終わったので、とりあえずバスローブを着ているが、それというのも、さっき…――。
 
 僕がソンジュさんに手渡された紺色のバスローブを羽織るなり、彼はするり…僕の肩と、ローブの隙間に手を差し込んできて――ソンジュさんはなぜか突然、(今着ようとしている)僕のローブを脱がし始めたのだ。
 
『……? あの…、ソンジュさん…?』
 
『…浴室じゃ嫌だったんでしょう、ユンファさんは…ね。俺が体洗うのも拒んで、結局ご自分でぜーんぶ洗われましたものね…――しかし、此処ならいいでしょう…? 此処はあくまでも、んだから。』
 
 と、僕の胸元を見下ろしながら、(絶対拗ねているのに)穏やかな笑顔を浮かべているソンジュさんは、その声にしても凄くなめらかで優しかったのだが――すと…と軽く、彼に脱がされた紺色のローブが落ち、僕の肘あたりで留まった。
 いや、僕が咄嗟に『あ…っ』と、それが完全に落ちていかないよう、自分の二の腕を押さえたからだ。――するとソンジュさん、目をギラリと妖しく光らせ、『…エロいなそれ…』とぼそり、つぶやいた、ような気がする。
 
『……、あの…此処、も…嫌です…、……?』
 
 せっかく体洗ったのに…――というか、なん、なんだろう…? なぜなんだろう、というか…?
 というのも、ソンジュさんの視線が触れているところがやけにぞわりとして、なぜか僕の意識が、そこに集中してしまうのだ…――思わずうつむいた僕は、ほとんど無意識的に、ローブの下のほうを手繰り寄せ…持ち上げ、自分の股間を隠した。
 もちろんもう片腕は胸元を…――ただ、袖の肩を直そうとすると、…ソンジュさんには『だーめ』と止められてしまった。
 
『…その仕草もまた、あでやかですね…?』
 
『……ぁ…あの、…』
 
 耳や頬が熱い。――恥ずかしい…かも、しれない。
 僕は多分いま、ソンジュさんに裸を見られることに、酷い羞恥心を覚えている、らしい――さっきセックスしたのに、今まで裸なんて、不特定多数の人々に数え切れないほど見られているというのに、今更なぜなんだろう。
 そういえばさっき、ベッドの上でも同じような…あれ、恥ずかしかったらしい。――しかし、それは…なぜ?
 
 なぜなのかは、正直わからないが…――。
 
『……そ、ソンジュさん…、……』
 
『……はい?』
 
『……み…、……ぃぇ…、…』
 
 見ないでください、と言いたかったが――ただ僕は、もう今更恥ずかしいことなんてないだろう、性奴隷だったくせに、なんていう自己批判的な声が頭の中にあるため、そのことを口にする勇気もなかった。
 ソンジュさんは僕の片耳に顔を寄せてくると、…こう色っぽく囁いてきた。
 
『…もしかして…俺に明るいところで肌を見られてるのが、恥ずかしいの…?』
 
『……ふっあぁ…っ♡ ぁ、ご、ごめんなさ…ごめんなさい、変な声出して、…』
 
 なぜだかこのときの僕の熱い耳は、いつもより敏感になっていた。――ソンジュさんの低くしっとりとしたささやき声、そして彼の湿った生あたたかい吐息にビクつき、上擦った声がもれてしまったのだ。
 僕は彼から顔を遠ざけ、下でローブを押さえているのとは反対の手で、口元を覆う。――その折り曲げた腕で、かろうじて胸を隠しながらだ。
 
『ふふ…だから、変な声じゃないよ、ユンファさん…えっちで可愛い声だ……』
 
『……ぃ、いえ…、……』

 なぜだか僕は、今目が潤むくらい、ソンジュさんに裸を見られたくないらしいのだ。
 今も彼の視線があるように思われる鎖骨あたりが、首筋が、どうしてもモゾモゾした違和感を訴えてくる。――本当になぜなのか、自分じゃわからない。
 
 なんでだろう…――?
 いや、少なくとも僕は、嫌なのだ。
 なので、申し訳なくは思うのだが――僕はソンジュさんの二の腕を掴み、グッと彼を引き離しては…眉に力を入れ、彼の目を見据える。
 
『…嫌。したくありません、今は……ごめんなさい…』
 
『……、…わ、…っわかり、ました、…』
 
 するとソンジュさん、明らかにひくひく、と片頬を引き攣らせはしたのだが、引いていった。――そのあと何か恩着せがましく、『ユンファさんの嫌なことはしないと約束しましたしね、ね? 俺、ユンファさんのためならムラムラしていても我慢しますから。』とか、ブツブツ(褒められたいわんこ顔で)言っていたが。
 
 
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