ぼくはきみの目をふさぎたい

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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Pale blue-eyed jealousy ※微 ※モブユン

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 ソンジュさんは手に持った“性奴隷契約書”を見下ろし、ひょいとしたり、眉を上げる。
 
「…次に二つ目。――当然のことながら、お互いの生命維持に関わるような危険なプレイはいたしません。…一時的な首絞め等はお望みならばいたしますが、ユンファさんに苦痛のみを与えるような責め方はせず、あくまでもお互いが楽しめる範疇でのプレイをします。…」
 
「…………」
 
 性奴隷契約というわり、随分僕に寄り添った内容だ。
 この性奴隷契約は、お互いに楽しむため(セックスライフの刺激の一環として)というニュアンスを感じる。――いや、とはいっても、結構なサディストであるようなソンジュさんなので、…何だかんだいってもやはり、楽しめることには楽しめる、のはそうなのかもしれないが。
 
「なお、もし俺がやり過ぎたり、本当に嫌なことをユンファさんにしてしまった場合や、苦しいという限界を迎えてしまった場合…――ユンファさんは、俺の体のどこかをトントンと叩いてください。…それがNOといたしましょう。そうされた場合、俺は直ちにその行為をやめます。」
 
「……なるほど…」
 
 正直、僕が思っていたのとは違うが…――むしろ、僕は嬉しくもなってきた。…何というか…性奴隷契約なのに、ソンジュさんに大切にされている感が、ある。
 
「はい。…また、プレイを中断したい場合においても、そのように。…次に、三つ目。――先ほど言ったように、ユンファさんが本当に嫌なラインを越えない俺からの要求に関しては、基本的にすべて従っていただくものとします。…あくまでもそのときは、性奴隷とご主人様ですからね。」
 
「…はい」
 
 僕の目を見てニヤリと笑うソンジュさんは、また目線を下げる。――彼は手に持つ“性奴隷契約書”を、妖しい笑みで見下ろして。
 
「…そして、四つ目。――仮にピアスやタトゥーなどを増やしたくなったり、肉体改造等の希望がお互い、あるいは二人のうちどちらかに出てきた場合は、必ずお互いが冷静なときに話し合い、慎重に意思を確認し合ったあと、決定するものとします。…つまり、片方の一方的な要求でそういったものを施す権利は両者になく、あくまでも、お互いが納得し合った場合でのみ、それらが実現します。…」
 
「……、…」
 
 うんうんと頷く僕は、…あのノダガワの人々とソンジュさんの違いに、いっそ感心しているほどだ。――本当にお遊びという以上のことはなく、おかしな話かもしれないが、性奴隷である僕に十二分配慮してくれている内容である。
 
「…五つ目。――どちらかがやってみたいプレイがある場合は、都度提案と相談をし、お互いがプレイ内容に納得した上で、そのプレイを実行するものとします。…」
 
「…………」
 
 何というか…もっとあの、僕とケグリ氏たちが交わしたような、理不尽で淫蕩な内容かと思いきや――いや、ある意味ではソンジュさんらしいかもしれない。…あれほどのサディストでありながらも、理性的なサドというか、少なくともただの勝手なサディストではないようだ。
 
「六つ目。――この性奴隷契約は、俺がユンファさんのご主人様として貴方を独占し、またユンファさんも俺を独占するものとして、お互いに他者との性奴隷契約は締結できないこととします。…つまり、あのケグリたちとの性奴隷契約は、となり…ユンファさんのご主人様は、俺のみ、となります。」
 
「……、…」
 
 ソンジュさんは俺だけだからね、と少し強い眼差しで僕を見てきたので、僕は正直、…どうしたらいいのやら。なぜなら僕は、…一応ケグリ氏にソンジュさんへ貸し出された性奴隷なのである。――しかしソンジュさんは突然冷ややかな目をして、「お返事は…?」と脅すような低い声で僕に迫ってくる。
 
「…ぁ、あの、…はい、わ、わかり、ました…」
 
 頷く以外の選択肢を与えられていない気しかせず、僕はおずおずとながら了承した。――それに満足気にニコッとしたソンジュさんは、笑みで細められたその切れ長、嬉しそうな水色の瞳で僕の目を見つつ。
 
「…そして、七つ目。――この性奴隷契約は、ユンファさんが俺の側にいる間を期限とし、とはなりますが…あくまでも、お互いが楽しむためだけの関係性であるため、…俺のみならず、ユンファさんも当然、この性奴隷契約を破棄、内容変更をする権利を有しています。」
 
「……、ぁ、はい…、…?」
 
 …?
 いや、でも、――一週間…?
 ついわかったような返事をしてしまったが、疑問に目をしばたたかせる僕――を見てもソンジュさんは、ニコッと爽やかに微笑む。
 
「……とりあえず、これで以上です。――他に、何か契約内容に含みたいことや、変更したい点があれば遠慮なくおっしゃってください。…」
 
「……ぁ…いいえ、特には…」
 
 ない…というか。
 むしろ、ただ刺激的なセックスを(恋人と?)楽しみたいだけの、形ばかりの契約であることに僕は正直、やっぱりな…と。――は…思うのだが、…って?
 すると僕の妙な顔を見ていたソンジュさんは、「では、契約書のほうも相違ないかご確認ください」と。
 
「…………」
 
 僕はすっと寄せられた、その“性奴隷契約書”に目を通す。
 
 
 
 
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