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「やっと見つけた」

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光明寺博士は私の顔をじっと見ている。
しばらく沈黙が続くと思うと光明寺博士が口を開いた。

「ハハハハハ!笑わせてくれますね。ミセスかの子。あの日、山で会ったのは私ですよ。このコンピューター、スマホに見えますが、最新のスーパーコンピューター2千台分の能力を発揮するコンピューターでしてね。
もちろん他にも想像を絶するコンピューターは私の研究所にありますがね。」

自信に満ちた笑い声の後、光明寺博士が私に鋭い視線でそう言った。
あの小さなスマホみたいなものが最新のスーパーコンピューター2千台分の能力ですって?
他にも凄いコンピューターがある……。
私は光明寺博士が本気になれば恐ろしいことになると感じた。

「ミセスかの子、あなたが緑色の人と呼んでいたのは、私がこのコンピューターで周りと同化したんですよ。透明にもなれますが、わからないと意味がないんでね、同化したところであなたに玉を渡した訳です。」

そういうと光明寺博士はスマホのようなコンピューターを使った。すると光明寺博士の全身は部屋と同化し、あの山であった時と同じようになった。違うのは身体が透けて部屋と同じに見えることだけだ。
私は息ができなくなってきた。

私がたくさんの人達を救うと信じていた、あの虹色の玉は光明寺博士が作ったんだ!

「ミセスかの子、それからあなたに授けた玉。あれは特殊な装置でして、声を出さずとも心に念ずるだけでなんでもできる夢の装置です。
できないことは何もありません。あの玉さえあれば宇宙服を着なくても宇宙にも行ける。核兵器が無くとも一つの国も滅ぼすこともできる。ところが………。」

そこまで言って光明寺博士の表情が変わった。眉間にシワを寄せて全身をプルプルと振るわせている。私は息ができなくて声が出ない。
この状況からどうしたら抜け出せるのか必死で考えていた。

「ところが………ところが、あの玉は操作するのに、特異な体質の人間にしか反応しない!
私は操作できない!私自ら操作できれば簡単に人類の平和は実現していた。しかし私はその体質では無い。そこで、このコンピューターでその特異な体質の人間を調べた。すると、ミセスかの子、あなたを含めた3人が適合者だった。
そして、私は山に来るように操作し、あなたが最初に来た訳です。まさしくあなたは選ばれた方。ミセスかの子!」

あの日、私がいつもと違い、昼間に起きたのも山に行ったことも全て光明寺博士に操られていたことの出来事だったの?
もし、私以外の他の2人が光明寺博士の言うことを聞く人だったら、みんなの幸せどころか、たくさんの人達が殺されていたかもしれない……。

私はこの玉がとても危険なものだと感じた。

「わ、私は、私はあなたのような人の言うことは聞かない!あなたは平和の為と言っているけど、あなたはただ自分の野望の為だけ。たくさんの人達があなたに不幸にされたわ!」

私は息ができないほどだったけど懸命にそう言った。

「ハハハハハ!そうそう言い忘れましたが、あの玉は、人々の幸せをエネルギーにして稼働してましてね。想念もエネルギーですからね。不幸では負のエネルギーになって、きちんと稼働しない。よって正のエネルギーの幸せをエネルギーにして稼働しています。ミセスかの子。あなたがここに来て、多くの会社が倒産したり、紛争が起こったり、多くの人々が不幸に巻き込まれる等々のようなニュースを耳にしませんでしたか?」

また自信に満ちた笑い声を発して光明寺博士が言った。人々の幸せをエネルギーにしていたって?
どういうこと?私の知らない間に自分では、たくさんの人達を幸せにすると信じていた、この玉でたくさんの人達が不幸になっていたの?

私はガクッと全身の力を無くした。私が知らなかったとは言え、そんなことだったなんて……。
光明寺博士は不敵な笑みを見せて私を見つめている。

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