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神の目は見ている※モブユン
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しおりを挟む「…本当、情けないですよ、…自分で決めて、両親の反対を押し切ってまで、勝手に此処に来たくせに、――実は僕、始めのころ、本当はつらくて……」
『KAWA's』そして『AWAit』――性奴隷としてそこで働かされている僕は、その実本当は、始めのころとてもつらかった。
昨日までなんの経験もなかったような僕が、胸元の透けるシャツを着せられて、突然性的ないやらしい目でじろじろ体を、僕の顔を見られて、そしてあの“スペシャルメニュー”を要求され――『AWAit』では、自分の下半身を開いて見せなければならず、…それも、あたかも楽しそうに、笑顔を浮かべて、嬉しそうにだ。――それに恥ずかしい、自分をおとしめるセリフを、笑顔で言わなければならない。…何をされても感謝しなければならない。…土下座して、自分への陵辱行為を頼み込まなければならない。
恥ずかしくて、恥ずかしくて、恥ずかしくて――今初めて会った人にキスをされ、体をまさぐられて、舐められて…犯されて。酷いことを言われておとしめられ、あまつさえそれを僕に言わせる人ようなたちばかりで。
隅々まで舐めなければならない体も、隅々まで見せなければならない自分の体も、厳しく教え込まれるテクニックも。――本当に恥ずかしくて、屈辱的で、…本当につらかった。
正直、僕は始めのころ、毎日毎日泣いていた。
でも、僕が泣くとケグリ氏は「また泣くのか?」と僕を責めて、「やっぱりお前は男じゃないな…とはいえ、女でもない。…お前は女以下のメスだ」と…僕をおとしめる。――僕はそれもまた悔しくて、悔しくて、メソメソ泣いてしまった。
仕事でさえそうつらかったというのに…――家に帰れば、あの“性奴隷契約書”通りのことを、ケグリ氏とズテジ氏に要求された。
そして、毎日毎日、ケグリ氏とズテジ氏に犯された。
「つらくて、本当に…――ズテジ氏は、僕のことをどこまでも道具のように扱ってきて、…」
ズテジ氏は、僕のことをまるで性処理道具のように扱う人だった。
あるときは自分がAVを見ているときに男性器を僕にしゃぶらせ、その間は『自分でまんこでもちんぽでもいじって濡らしとけ』と言い、自分が勃起した時点で自分に跨がれだとか、あるいは四つん這いになれと指示された僕のナカに勃起を挿入し、そしてめちゃくちゃに――道具を扱うように――腰を振る。
「…僕が少しでも声を出そうものなら、ズテジ氏は僕の鼻と口を塞ぐ…――男の喘ぎ声なんか聞きたくないって…、オナホが感じるなって…、ブスだからって、布団を顔に被せられたまま犯されたり……」
ズテジ氏はその際、僕が思わず声を出そうものなら『オナホが感じてんじゃねえよ』だとか、『キモい声出すなよ、女の代わりに仕方なくオナホのお前を抱いてやってるんだから』とか、それくらい僕を“オナホ”として扱うことを徹底していた。――そしてズテジ氏は、僕の容姿をけなす人だ。
「…そのデカい図体でよがってんじゃねえよ、キモいとか、そばに立っていただけでも、その図体でそばに立つな、ムカつくって…ブスのくせによく生きていられるなとか、ムカつく顔をしてるって…ブスすぎて殴りたくなる顔だって、――でも…ほんと、よくわからなくて……」
ただ…――その行為が終わり、僕のナカにたっぷり射精したズテジ氏は、ベッドの上で僕のことを抱き締めて離さなかった。
「…なぜだか…そういう酷いセックスが終わると、ズテジ氏も、僕に結婚を迫ってくるんです…――なんというか…赤ちゃん返りをしたようになって、僕に甘えてきて…、…」
『おっぱい飲ませて…』あるときは僕の乳首にしゃぶりつきながら眠るズテジ氏は、赤ちゃんのようにすすり泣きながら『ユンファ、どこにもいかないで…僕と結婚して…』と切ない声を出して言ってくる。
「…世の中には、…こんな人もいるんだなって……」
ちなみにズテジ氏は、年下ですらない。
彼は僕よりも年上の三十二歳で、その容姿にしても180センチ、太ったかなり大柄な男だ。
その太った顔はまるで飢えた豚のように醜く、厚い一重まぶたの下は黒いクマが常に浮かんで、浅黒い肌にはいくつも赤く炎症したニキビがある。――モウラよりは、ズテジ氏のほうがケグリ氏の面影がある。
「僕、…本当…世間知らずでした…、甘やかされて育ったんです…、だから、…自分より年上の、大柄な人に、赤ちゃんみたいに甘えられると、…どうしたらいいか、正直わからなくて…――ただ、気持ち悪いと思ってしまって…、嫌になって…」
そんな男に平たい片胸を揉まれ、乳首にしゃぶりつかれながら『頭なでなでして…』と甘えられても正直、『早くミルク飲ませて…僕の赤ちゃん、早く妊娠して…僕だけのものになって、ユンファ…』――そう僕の乳首に吸い付く大柄の男に、僕はなんとも言えなかった。…ただ、ゾッとした。おぞましいものを見ているような気分になるのだ。
「いや…それは、当然かと……」
「……、…」
ふと見れば、ソンジュさんもドン引きした顔で僕に同調してくれた。――すると不思議にホッとして、そうですよね、とは言えないものの、…少し話しやすくなった気がする。
「……それにケグリ氏も、やけに結婚しろ結婚しろって…――僕を犯しながら、言うんです。…“私だけのものになったら、もう生活に困らせることもないよ”なんて…、僕に旦那様と呼ばれたいみたいで……」
『ユンファは私だけのものだ、あぁユンファ、私のユンファ、私が助けてあげるからね、もう困らせないからね、ご両親も養ってあげるからね、私の神子になってくれ、…早く旦那様と呼んでおくれ…っ』
正直――驚くくらいだ。
この一年半以上…ケグリ氏は毎日僕を犯しているのだが、いまだに、僕の体に飽きもせず――旦那様モードになると――今もこの調子なのである。
「…今はまあ、いい加減僕に飽きないのかと思っているくらいなんですが…――ただ、はじめはやっぱり、…なんというか、つらくて…、その…ぉ、ぉま、んことか…言われるのが、正直ショックだったというか…いや、今はそうでも、ないんですけど……」
僕が今その単語に詰まったのは、そういう雰囲気でもないこの場で、ソレを口にすることが正直はばかられたからである。――とはいえ、一年半も毎日毎日その言葉(何ならそれよりもよりももっと酷い言葉)を口にしていて、今更恥ずかしいとは思わない。…ただそれは、今は、という話なのだ。
『あぁユンファのおまんこ気持ちいいよ、ユンファのぐちょぐちょおまんこ、これがあのユンファ君のおまんこなんだなぁっ』――そもそも僕は、こういうおまんこ、とか、おちんぽ、という単語自体、知ってはいても口に出したことがなかった。…つまり言わされるのはもちろん、聞くことにすら恥辱を覚えて、つらかったのだ。
二十六歳までなんの経験もなかったから、というのもあるだろうが、何より僕は、もともと進学校に通っていたために――まあ男子校ではあったが、…周りの同級生や友人は、下ネタを話すにしてもあまりこう、…こういう露骨な単語を口にしてはこなかった。
何となくこれまでの、僕の周りの人々の雰囲気は、いうなれば上品なお坊ちゃんたち、というような人ばかりであったのだ。
「…それに…ケグリ氏に、あるとき言われたことがあって……」
ケグリ氏は、僕のナカを何度も穿ちながら、僕の目をうっとりと――それでいて鋭い、欲情した目で見下ろしながらこう言った。…『おじさんは、君が小さなころからずっと好きだったんだよ、ずっとこうしたかった、ずっと君が欲しかった、…』と。
「…小さなころから、僕のことが好きだったって…――奥さんにしたかった、ずっと僕が欲しかったって……」
そう僕の上で衝撃告白をしてくるケグリ氏は、あたかもロマンチックなセリフを自分が言っているかのように、陶酔した口調で、――『私は何度も君でオナニーしたんだ、ユンファ君が私の奥さんになる妄想をして、何度も何度も頭の中で君をめちゃくちゃに犯してね、おじさんは何度もおちんちんを硬くしていたんだよ』
「…はは…何度も、僕でヌいたって…――正直、怖くて…、あの優しかったケグリおじさんに、本当は僕、ずっとそういう目で見られていたんだなって…」
何度も何度も、毎日のように死にたいと思っていた。
「…でも、いえ、女性ならともかく…オメガとはいっても別に、僕は男ですしね…しかも、普通のオメガ男性ならまだしも、僕なんかが――僕みたいな男が、そういうのにいちいちどうこう思う必要は、ないと思っているんですけど…」
「……、それは、なぜです」
「…え…?」
振り返った先にあったソンジュさんの顔は、何かシンプルな疑問を宿している神妙な顔だった。
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