141 / 163
141 赤い印※微
しおりを挟む座ったまま、手の指を絡めあって繋ぎ――ユンファ様と唇をやわく食み合う。
「……ん…♡ …ふ……」
舌を絡めて、絡めとって、絡めあって――たっぷりと、口付けばかりを楽しんだ。
唇を合わせて、唇を上も下もちゅうと吸い、ふっくらとした唇を舐め、紅を舐め取り、その甘い舌を舐め、果汁の溜まった舌の裏を舐め――歯の裏を舐め、熱くなった歯茎を舐め、舌の根に至るまで絡め取り。
くちゅ、くちゅ…ちゅ、ちゅ…と太陽の下ではあまりにも明け透けに、艶めかしい音が自然と立つ。
息継ぎに唇を離すたび、ユンファ様の息はあがっていった。――今もそのように、はぁ…はぁ…と、少し泣きそうな顔をうす赤くしている彼は、切なさをその端正な眉に宿し。
「…はぁ…ソンジュ、…もう、…そろそろ……」
媚薬の効果もあるか…――あるいはどこにも早急に触れず、ただ接吻ばかりを交わしたせいもあるか…――体が熱くなり、疼いて疼いてたまらないというふうに俺へ、なかば懇願めいてそう曖昧に求めてきたユンファ様に、俺はくすりと笑った。
白く長い首…鎖骨のくぼみの下に輝く薄紫色の宝石、繋がり、ころりと垂れた俺の牙――。
「……、…っ♡」
俺はユンファ様の、その開かれた衿元から手を忍び込ませ――するとそれだけで、ユンファ様の眉が切なく寄る。
「…なんと触り心地の良い、美しい肌だろうか……」
しっとりと手に吸い付くような肌は熱く、もうユンファ様の胸板についた乳首は服の下、凝りとなっている――熱く濡れた首筋に顔を寄せれば、それだけでひくり、彼の体が期待したように跳ねる。
俺はユンファ様の胸板を撫で回しつつ、その首筋をれー、と舌先で舐めた。――やはり甘い。
「……ん、♡ は、…」
ぞくぞく、と震えた彼の体、粟立つ首筋――唇を押し付ければ、ぴく、と……その初心な反応に、声はなく。
甘い肌は熱く熟し、熱を出しているようであった。
俺は自らの唇を掠めるようにそっと、その首筋を食む。
「……ッ♡ ん…♡ ……ん…♡」
カタカタと震えて、ときおりぴくん、…ぴくんと上体を揺らすユンファ様は、――カリカリと乳首の先を優しく引っ掻くと、ビクンッとひと際大きく体を跳ねさせた。
しかし俺はそれを続けず、ユンファ様の胸板をまったりと回し揉む。――喉仏にちゅっと口付けてから、おもむろに唇と舌を下へすべらせ――鎖骨の中央のくぼみを、舌先でくすぐる。
「……ぁ…♡」
悩ましい小さな声をもらしたのち、ユンファ様は泣きそうな声で俺に。
「ソンジュ、…ソンジュ…お願い、焦らさないで……」
「……ふ…、……」
俺はそれを鼻で笑うだけ、ユンファ様の愛しい瞳に口付けるように、鎖骨のくぼみの下にある薄紫色に接吻を落とし――それからくっきりと浮いた、硬い鎖骨を唇で食む。
そうしながら服の下、ユンファ様のきゅうと集まる乳首の周りを指先で丸くなぞり、は…っと息を呑むユンファ様の首筋へ戻る俺は――彼の首に、強く吸い付く。
そうしてぢゅっと吸い付けば…ユンファ様の、雪白の肌に浮かんだのは、歪な丸の血痣。――「んっ♡」と小さく甘い声をもらした彼、やや下り、もう一つ赤を、…もう一つ、もう一つと、いくつも血痣を。
「……ソン、ジュ…、は…っ♡ ソンジュ、なに、何をしているの…?」
「…ふふ…、血痣をつけておりまする…――ユンファは俺のつがいなのだと、俺が、貴方様を愛したのだという証に……」
「………、…」
するとユンファ様は、吐息でばかり「そんな…そんな…」と言葉を失っている。――顔を見れば斜に伏せられたその端正な顔、かあっとはにかみ赤の濃くなった頬、それでいて幸福そうな恍惚の横顔。
やや反らされたその雪白の首筋には、いくつもの歪な赤がくっきりと映えて浮かび、美しく――それでいて耽美な官能を唆る眺めがしかと、太陽光に照らし出されている。
「…こうすればもはや、誰が見てもユンファは、俺にたっぷりと愛されて抱かれ――すなわち、貴方様が俺のものであると、誰しもが理解する…、この血痣は、そのような意味を持つ印なのでございます」
「……、はぁ…なんだか少し、恥ずかしい……」
そうはにかむユンファ様は、それでいてその赤い唇の端をきゅっと上げて、満更でもなさそうに笑った。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

BL短編まとめ(甘い話多め)
白井由貴
BL
BLの短編詰め合わせです。
主に10000文字前後のお話が多いです。
性的描写がないものもあればがっつりあるものもあります。
性的描写のある話につきましては、各話「あらすじ」をご覧ください。
(※性的描写のないものは各話上部に書いています)
もしかすると続きを書くお話もあるかもしれません。
その場合、あまりにも長くなってしまいそうな時は別作品として分離する可能性がありますので、その点ご留意いただければと思います。
【不定期更新】
※性的描写を含む話には「※」がついています。
※投稿日時が前後する場合もあります。
※一部の話のみムーンライトノベルズ様にも掲載しています。
■追記
R6.02.22 話が多くなってきたので、タイトル別にしました。タイトル横に「※」があるものは性的描写が含まれるお話です。(性的描写が含まれる話にもこれまで通り「※」がつきます)
誤字脱字がありましたらご報告頂けると助かります。





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる