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124 君が憂き目に合いませんように※モブユン
しおりを挟む寝台の上、四つん這いになったユンファ様のことを後ろから犯すジャスル様――ばちゅばちゅばちゅと、ユンファ様の帯を巻いたままの細腰を掴み、そうしながら俺のほうへ振り向いているジャスル様は、いやに勝ち誇った顔をしていた。
「…お前がどれほどこのユンファに惚れていようが、このユンファはワシのもんじゃ、…のおユンファ、そうだな…?」
「…ん、…んぁ…、ぁ、…ぅ…っんうぅ……は、はい、はい、旦那様……」
ユンファ様は苦しげに喘ぎながら、腕を立てたままでうなだれつつ、コクコクと何度も頷いた。――俺はというと、ユンファ様のそれが俺を庇っているためだと理解していたばかりに、ただ黙ってそうまぐわう二人を見ていた。
止めてやりたかった。――いや、いっそジャスルを殺してやりたかった。
ジャスルはユンファ様の、その白い尻を撫で回し――ゆっくりと、彼のナカを味わうように動いた。
「…ワシが命じれば、これは何でもするよぉソンジュ…? どんなに恥ずかしいことだって、惨めなことだってする…のおユンファ、お前、わんわんとメス犬のふりもしたな…?」
「…んん…、はい……」
「…………」
俺とて側でそれを見ていたのだ――そんなこと、知っている。
…首輪を着けられ、散歩だと四つん這いで歩かされ――ちんちん、などと卑猥な格好を強いられて、…わんと鳴け、犬とつがえ、ご褒美は魔羅だ、お前のエサは子種だ…――そういった変態じみたことをユンファ様に強いて、そして、彼がそれに言いなりとなって従っていたその哀れな姿、俺とて忘れたくても忘れられぬ光景だ。
「…それから、ほとんど全裸でワシの部屋に来たもんなぁお前は…、みぃんなにいやらしい乳首も、おちんぽも見られてなぁユンファ……」
「……は、…はぁ…は、…はい、とても…興奮いたしました……」
「……っ」
理解できなくはない。
…そう…ユンファ様が、ご自分はもう穢れきったと、もう自分は清い体ではないのだと…――もうこんな自分じゃ、こんな体じゃ、俺のものにはなれぬ、と言っていたこと。…理解できなくはないのだ。もちろん俺が、そうしてユンファ様は穢れきってしまったと、彼の体が恥ずかしい体だと思っているわけではない。
半透明の浴衣――顔を真っ赤にして、泣きそうな顔を俯かせ…ジロジロとすれ違う下女や下男に、軽蔑の眼差しを、好奇の眼差しをその全身に注がれて――やや前かがみになり胸を隠した腕、股間を隠そうとしていたその白い手さえ、ガタガタと羞恥に大きく震え。
護衛として側を歩いていた俺は、せめて少しでもユンファ様のお体を隠そうと、羽織りを肩にかけてやった上で、その人の体を隠すように側を歩いた。――しかし彼は、「駄目だよ、君が怒られてしまうよ、いいから、大丈夫だから…」と、俺の羽織りを返してきた。
そして「お願い…見ないで、ソンジュ……」と涙声で言っては、ジャスルの命を忠実に守って、そのままその人の部屋へと向かって歩いた。
しかもその上、しこたまその人を犯したあと――精まみれのまま、蕾から白濁を垂らしたままに、またその浴衣を着させてわざわざ、ユンファ様の部屋にそのまま帰れ、と命じたジャスルは、雄臭いその人に注がれる嫌悪と侮蔑の眼差しを、あえて受けよと。
それに興奮したならば、部屋で自慰でもするがよい、と下劣なセリフを吐き捨て――ゲラゲラ笑っていたのだ。
慕ったつがいだけに体を、唇を捧げたい――そんな有り触れた幸せに憧れていたユンファ様が、もうとても恥ずかしくて、俺を慕っているからこそ恥ずかしくてたまらないからと、…もう俺のものにはなれぬ、と言ったそのお言葉、痛いほどに理解できるからこそ、俺は身が張り裂けんばかり思いがあるのだ。
「…なあ、ワシのためなら何だってするんじゃろうお前は、ユンファよ…。ワシの前で、泣きながら小便垂らしたことだってあったなぁ…? 美味かったぞ、小便まで果実酒の味がしたわ…。ぐふふ…お前はワシの性奴隷じゃ、ワシがいつでも好きに使ってよい肉便器じゃ、――そんなワシの所有物が、間違ってもこのソンジュなんかと、人並みにつがい合ってなどおらんだろうなぁ…?」
「……ぁ、あぁ…ぁ…はい、ジャスル様、…」
「……っ」
ギリッと噛み締めた俺の奥歯が鳴る。
…しかし…――四つん這いで、ジャスルにただ揺さぶれているユンファ様が、うなだれたまま、苦しげにこう。
「…ジャスル様…っ僕は、…僕は、ジャスル様のものでございます、…僕の全ては、ジャスル様のもの、…ん、…ぁ、はぁ…っな、何でもいたします…、何でも、何でもいたします…、貴方様の、ためならば……――僕は貴方様の、…に、肉便器です……」
肉便器、とさえユンファ様の口から言わせ、それでいくらか満足したらしいジャスルは――呆然と立ち尽くす俺のほうへ、優越感にまみれた見下しの笑顔で振り向いた。
「……ぐ、ふふふふふ…のお聞いたかソンジュ…? お前の可愛い可愛い蝶は、ワシの肉便器らしいわ……」
「……、…、…」
今に、殺してやろうか。
…しかし、俺の殺気を察したのか――ユンファ様は更に声を張り上げ、
「…っ僕の全てはジャスル様のものです、! 僕はジャスル様だけのもの、…っ性奴隷とされても、犬とされても家畜とされても、肉便器とされても…男娼でも、ジャスル様のお側に置いていただけるだけ幸せです、…っ他の者にうつつを抜かすことなどありえません、ソンジュのことなどどうでもいい、…当然のことながら、…メオトであるジャスル様のみが、…っ僕の所有者でございます、……っ」
「…ほれソンジュ…、何とか言ったらどうだ…?」
ジャスルはニヤけながら、後ろからユンファ様の首元を掴み、彼の上体を抱き起こして――背後から、その人の半開きの唇を吸う。…「んん…んまいわ、んまいんまい…」と、あたかも俺にそれを見せ付けるように、横目で俺の様子をいやらしく伺いながら。
一方のユンファ様は固く目を瞑り、むしろ自分から舌を出して、ジャスルと舌を絡め合っている。
「……何を言えというのです…、っ元より、――元より私は、ユンファ様に惚れているわけではないのですから…、当然のことながら、そのお方は…貴方様のものでございます、ジャスル様……」
殺してやったってよかった。
…俺はもはや、何も怖くはない。――ただ…ユンファ様が、自分のことを貶めてもなお、俺のことを守りたかったというお気持ちは、よく理解している。
「……ほれ、あの可哀想な負け犬が、負け惜しみを言っておるぞユンファ…可哀想に、お前に惚れちまったらしいんじゃ……」
「…はは…、か、可哀想に……なんて身の程を知らぬ、哀れな犬でございましょうか…、僕と想い合えるなどと、万が一にもあり得ないというのに……」
虚ろな笑顔で――はらりとこぼれた、悲しみの涙。
…どたりと手放され、ユンファ様は寝台に顔を伏せてはそこの布をぎゅうっと縋るよう掴み、…どちゅどちゅと手荒く後ろから、ジャスルに犯されながらも。
「…あっあ、ぁ…じゃ、ジャスル様、…っいずれ僕は、あのソンジュに無理やり犯されてしまうかもしれません、…どうかもう、別の護衛を、……どうか、あれ以外の護衛をおつけくださいませ、……」
“「…ソンジュは僕と共に、この籠に囚われることもないだろうに…――君だけでも、自由になれる方法はないのか…?」”
「……、…、…」
なれば、できぬ…――。
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