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64 無垢な欲情※

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 ユンファ様の粒立った赤らむ乳首、むにゅりと乳頭から摘み、そのまま舌先でコロコロと乳首の先を転がしてやる。
 もう片方はまた、カリカリと軽く引っ掻いて。――するとユンファ様は、ビクンッと下腹部から上を跳ねさせ。
 
「…ぁ、♡ …んん…♡ …んんん…♡」
 
 ユンファ様は、すり、すり…と、膝を擦り合わせている。――確かに感じ、悩ましげにゴクンと喉を鳴らすその人に、俺は口を乳首から離し。
 くにくにと染まりつつあるその二つの突起を、悪戯にもてあそびながら、…ユンファ様の顔を見て、ふっと笑った。
 
 すると、震える唇を必死に引き結んで堪えているユンファ様は、チラリと俺へ、涙で艶めく薄紫色の瞳を向けた。――困惑のあまり、今にも泣き出しそうな顔である。
 
「…今ユンファ様にもたらされているこの快感こそが、ということ…、そしてこれは、秘め事における一つの幸福でもあるのでございます、ユンファ様…――これにおいては誰しもがそう…何も変なことではなく、はしたなくなんかもありませぬ。…むしろ……」
 
「……? ん…♡ んふ…♡ ソンジュ様…ぁ…♡」
 
 とろんとした切れ長の目――そうなのですか、という目付きでありながら、俺に乳首をこりこりともてあそばれているばかりに、ときおりひく、…ひく、としつつ小さく湿った声をもらすユンファ様は、今誰よりも妖艶で美しく、何よりも愛おしくて、誰よりも可愛らしい姿をしている。
 
 ぽーっととろけた顔だ。
 火照った頬、ときおり寄る美しい眉、はぁ…はぁ…とあえかな吐息をもらす赤い唇は艶めき、ふくよか――何よりも、とろりとその切れ長のまぶたがゆるみ、長いまつ毛の影の下、その薄紫色は熱を孕んで潤み、それでいて当惑からか、不安げに俺のことをじっと見つめてくる。
 
「…むしろ、今の感じておられるユンファ様のお姿は…とてもお可愛らしく…妖艶で、この世の誰よりも愛おしく、美しい……端的にいえば、ユンファ様のそのお声も、お顔も、貴方様の反応の全てがかなり、唆られまする……」
 
 俺がのんびりそう言うとユンファ様は、ぽうっと蕩けた顔でありながらも嬉しそうに、ふわり…にこっとしたのだ。――それから彼はやや目を泳がせると、ふい、と顔を横へ背け。
 
「……は…、ん…♡ ソンジュ様、……ぁ…♡ た、確かに、とは思います…――ん、んん…♡ 先ほど…ジャスル様に、そ、その…そこをたくさん舐められ、吸われたとき…とても、気持ち悪く思いました…、…でも…はぁ……」
 
 そしてユンファ様は斜に顎を引き、うっとりと恍惚げにまぶたを閉ざしつつも、その美しい眉は悩ましげに顰める――俺に両の乳首をくりくりとされたり、カリカリとされたり、こね回されるなど…終始ソコをもてあそばれているからだ――。
 
「…ぁ…♡ そ、ソンジュ様に…たくさん、こう、していただくと…ぴりぴりして…でも、駄目…だめなのです…――確かに幸せだけれど…僕、もう、体が凄く熱くて……凄く、がじくじくするのです……」
 
 と、言いながら、膝の側面をすりすりとしながら、ユンファ様が両手で押さえたのは――下腹部である。…なんという…。
 
「…妙な声も出てしまうし…、力も入らない…体が震え、頭がぼうっとして…、苦しくはないのに、まるで風邪を引いてしまったときのよう…――ん…♡ 本当に今、僕の体、凄く変だ……」
 
 はにかんだようにもっと眉の根を寄せたユンファ様は、はた、と俺を不安げに見てくる。
 
「…へ、変なのです…、それなのに…ソンジュ様に、もっと触れてほしい…、やめてほしくない…、でも――なんだか、悪い事をしているような……はしたない、駄目な事を、求めてしまっているような気がして……」
 
「…ふふ…そんな、決して悪い事なんかでは…ご安心めされよ、みなそのようなものです。ユンファ様は決して、はしたなくなどありませぬ。…」
 
 俺はユンファ様に顔を寄せ、ちゅ、と彼に簡単な口付けをした。――すると彼は、とろんとした顔で俺を見ては、恥ずかしそうに、泣きそうにきゅっと顔を歪めると、…伏し目がちになり、かあっと目元を赤らめる。
 そしてユンファ様は、その唇に人差し指の側面を添えて何か、言いにくそうにモゴモゴと。
 
「……ソンジュ様…、しかし、もしかすると…そのみな、よりも僕は、はしたないかと…その、白状すると…実は僕、いま、す…すごく――濡れて…もう、袴が…ごめんなさい、とても恥ずかしい……」
 
「……ぐ、……」
 
 よもや…ユンファ様は、ムラムラする、ということすらも知らなかったらしい。――まさか…ユンファ様はかなり純情、下手な乙女よりもやはり初心そのもの、この人をはしたないと言う者がいるなら、ただこのユンファ様を貶めたいためだけに違いない――いや、可愛い。…俺よりも年上の、それでいて俺よりもよほど何も知らぬユンファ様に、妙なほどの深い愛おしさを覚える。
 これは、まるでまだ飛べぬ小鳥を手のひらの上に乗せて、大事に守っているような、そんな愛おしさともよく似ている。――しかしそれでいて、だからこそ、か…どうしようもなく唆られるのだ。…どんな人よりも可愛らしいからこそ食べてしまいたい、襲ってしまいたい、と。
 
「……ふふ…、なんてお可愛らしいのか……」
 
「…? ぁ……」
 
 
 俺は――ユンファ様の腰の裏を支えつつ、その人を優しく押し倒した。
 
 
 
 
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