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2 . 純新無垢なお姫様

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『 くぁあ …… 』

雛子は小さないびきを立てながら座布団の上で熟睡していた


「 んむ … 雛子の世話は誰に任せようか … 」

そんな中信長は妹のお市にそう問い掛ける

「 雛子のお世話は … 私がします 」
信長は考える仕草を見せてから言った

「 いや …… やっぱり俺がやる、見れない時は蘭丸にでも 利家にでも任せれば良い 」

お市は目を見開き心底悔しそうな顔をする 。
雛子を取られたから …… 嫌、多分雛子に
兄である信長が取られたからだ


「 お市 …… 下がれ 」

「 っ…… はい 」

お市が部屋から出れば雛子が目を覚ます



『 おいち …… ? 』
どうやら寝ぼけて信長とお市を
見間違えたそうだ

『 雛子お腹空いた …… 』

「 俺はお市じゃないぞ ? 信長だ 、 お市の兄の 」
そうすれば少しの間不思議そうにしていたが
一気に明るくなる


『 お市のお兄ちゃんかぁ !
ならいい人だね ! 』


信長は柔らかい表情をつくる

「 雛子は今日から養子になったからにはお姫様何だぞ ? もっと警戒しなくちゃな ? 」

『 のぶながは大丈夫でしょ ? お市のお兄ちゃんだから ! 』

「 俺が嘘ついてるかもだろ ? 」

そう信長が問えば雛子は ⎯⎯⎯ …

『 あっ …… そっかぁ 』
⎯⎯⎯ と気難しそうな表情で考える

そんな雛子の表情がコロコロと変わっていくのが可愛らしく見えて込み上げてくる笑いを堪えるようにして笑う 。

「 くくっ 、良い良い 、 お腹すいたんであろう?菓子でも持って来ようか ?ここで待っていろ 」

信長が出ていったタイミングでお市が
見計らった様に入って来る

「 雛子 ! あっちの森へ遊びに行こう 」
そうすれば雛子は食いつき気味に返事をする


『 ……!うん ! 』
雛子は疑うことも断ることも
出来なかった




「 おいち ……! まってよ ! 」

森へ入ればお市は雛子が身体が弱い事を
知っていながら早歩きでずんずん前へ
進んでいく


そして奥の方に来た途端お市を見失って
しまった

『 ひぐっ …… う … こわい 』

心臓の痛さと息苦しさ、それに加えて
慣れない場所に恐怖を抱き鼻をすすり
涙を流しながらその場に座り込む

もしかしたらお市も迷子になっちゃってるかも

雛子は心配になり泣きやんだと思えば
泣き出すを繰り返していると


「 雛子様 …… でしょうか ? 」

顔が整っているお兄さんに名前を呼ばれ
安心で涙が引っ込む

『 …… だぁれ ? 』

そう問えば返事が返ってくる
「 お殿様信長の家臣 …… 前田利家でございます … 利家とお呼びを 」


『 …… !そっかぁ ! じゃあ安心だぁ ! 』

雛子はまた疑う事をしなかった

そんな無邪気な姿に利家は目を惹かれていた

「 っ ……  お殿様信長が心配しておりました …… 

何をしていたのですか ? 」

利家は雛子の目線に合わせるように屈んで雛子に問い掛ける


『 お市と … あ! お市は ! 』

「 お市様は先程お戻りに …… 」

そう言えば利家は考える様な仕草を見せる
「 …… 意地悪 ですかね ? 」

利家はお市の性格を良く理解していた 。
お殿様信長に対しての独占欲が強く
そんなお殿様信長に気に入られた雛子に
嫉妬をしたんだろう

『 そんなこと …… ! お市は優しいの !
雛子が勝手にまよっちゃって … 

雛子が迷った所為でお市が怒られちゃったら
どおしよ … !

……としいえと雛子の内緒ね …… ? 』

雛子はやっぱり疑えなかった

「 でも … 」

『 おねがい ! としいえ ! 』

利家はこんなに純新無垢な女の子が意地悪
されているのが許せなかった 

「 おれは … くやしいです 」

そんな事を言ったって雛子には意味が
伝わらない
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