魔王なんだから人を殺しても合法だよね!!〜クズな神様に無茶振りされた人間嫌いの魔王がおりなすダークな物語〜

残念な隣人さん。

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お約束キタ━(゚∀゚)━!!☆

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「おい、じょうちゃん。ガキのおもりなんてしてねーで俺達と一緒に楽しいことしようぜぇ」

 ネメシスたちというより、ネメシスにのみ話しかけたのは、ゲスな思考を隠しもしないニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべて近づいてくる体格のいいおっさんとその仲間が二人…。

 やっと来たお約束展開にネメシスと何故か神様も喜んでいた。

 男たちは彼女を囲み力ずくで捉えようとしてくる。











 が、冒険者達は気づいていなかった。ネメシスのことを崇拝している変態がこの場にいることに…

 そしてヒスイとコハクも彼女に忠誠を誓っている身、主に手を出されようとして面白いわけがない。

 ネメシスはこの事態を楽しんでいるようで自ら手を出すことはしないようだ。

 怖がっているように見えない彼女に疑問をいだきつつも、目の前のご馳走にニヤニヤしながら触れようとした男は、自分の手が届かないことに驚いたが…すぐに悲鳴をあげる。

「てぇーーー!おでのてがぁーーー!!ぎゃぁぁぁぁっ」















 男の手は手首から上がなくなっていた。

 ネメシスを包むように抱き込んだシーヴァルの手によって一瞬のうちに切断されたのだ。

 その場にいる冒険者の中でそれに気がつけたのはたったの数名…それにその数名は正くネメシス達の実力を理解し、できるだけ遠くに避難していた。

 それでもこの場に残っているあたり、根性はあるだろう。

 手を切断したにもかかわらずどこにも血しぶきが飛んでいないことを皆が疑問に思ったが、それはすぐに解決する。

 ネメシスが風魔法で中に浮かせたまま火魔法で血液を燃やしていたのだ…。

 二つの魔法の同時発動、系統の異なるものを使用しそれを無詠唱で行った、ネメシスにギルド内にいた魔法使いは驚愕した。

 実際は彼女が使っているのは具現化魔法のみ、同系統といっても魔法の同時発動は高位の魔法使いであってもかなりの集中力が求められる。

 それをただ、掃除するのがめんどくさいからという理由で使っているとは誰も思わないだろう。
 切断された腕もその炎によって骨すら残さず燃やし尽くされていた。

 その容赦のなさに周囲は恐れおののき更に距離を取る。

 口元は笑顔だが目は道端の石ころを見ているかのようなコハクによって、切り口にはまとわせた氷で止血がされている。

 男の仲間である二人の足にも氷がまとわりついており、彼らは逃げるタイミングを完全に見逃したのだ。

「くそっ!なんだよこの氷!砕けねーじゃねーか。」

「ひぃぃぃぃーーー!化けもんだ、化けもんだぁーーーー」

 男の仲間の達がハンマーや武器で砕こうとしてもその氷は消して砕けない…仲間をそっちのけで必死でその場から逃げようとしている。

「お、おれのうで…もえ…ない、腕ぇぇ~!」

「冒険者なら人は見た目じゃないってわかってるだろ…」

 ヒスイは手を失った男の顔面を殴って気絶させ…逃げようとしていた二人もやると、三人を両手で引きずってギルドの外に投げ出す。

 ボディーを殴らなかったのはヒスイも男たちの汚物を掃除したくはなかったからだ。

 体格のいい男たちを、三人まとめて雑に運び適当に放り投げたヒスイはゴミ出しをした主婦のように、手をパンパンとはたいている。

 獣人であっても三人まとめて運ぶのはそこそこつかれるが、それをやった本人はケロッとしている。

 四人の強さを目のあたりにして絡んでくるものはもうない。いたとしたら先程の男たちの二の舞いになるだろう。

 ネメシスはお約束展開を体験できてご機嫌の様子でそんな様子に、腕の中に閉じ込めているシーヴァルは主人の満足そうな姿に…彼もご機嫌になる。

周囲の冒険者は

絡まなくてよかった

静観して正解

触らぬ神に祟りなし

 など、手を出さなかった自分たちを褒めていた。

 襲われた側のネメシスが何故か上機嫌なのに彼らが気づいたのは彼らが、冒険者として死地をくぐり抜けた者たちだからだろうか…

 未だにネメシスを離そうとしないシーヴァルにコハクが先程から氷らせようとちょっかいをかけているが、そのたびに溶ける暇もないほどに粉々に足で砕かれるのだ。

「ヴァルにーさん、大人げなくない?」

 ハクは口元は笑顔だが目は笑っていなかった。
 その目はまさしく氷…観察していた周囲の冒険者も思わず寒さを感じるくらいなのだから…相当だろう。

「心外ですね?妹が絡まれないように守っているだけですよ?貴方こそ怪我はいいのですか?」

「やだな、僕は若いので回復が早いのでピンピンしてますよ?」

 ヴァルも口元に弧を描いているが、目が笑っていなかった。
 その目は絶対零度のごとくなんの温度も感じない…。


 二人のぞわりと背筋が氷る程の緊張感に冒険者は息を呑み、声を殺して嵐がすぎるのを待つ。
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