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絶対に燃やせないトリセツ
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アグニールは最初加減して燃やそうとしたが燃えなかったので、火力を徐々に上げていった。
神様はシーヴァルに鷲掴みにされているのになぜかドヤ顔をしている。
「アグニールの炎で、燃やせない?」
シーヴァルが驚き、ネメシスが神様を凝視すると…
「ふっ、神様パワーを注入してるから破壊不可なのだよ…」
うざったいくらにドヤ顔をしてイラッとする発言をしているが、鷲掴みにされていることを忘れてるんじゃないだろうか?
「ぎゃ!ちょ、くるし…締めすぎ締めすぎ!ギブだから…なんか出ちゃうから!!」
本当にこれが神様なのだろうか…
なんとかシーヴァルの手から抜け出して、ふぅ…と汗を拭い
「ちなみにさっきの話だけれど…」
まるで何事もなかったかのように振る舞いつつ…味覚をつけないなんてそんなもったいないことしないさ!意味の第二の人生、魔王生を楽しく生きてほしいんだからね?僕は。
それにもっと早く出せなかったのだろうか、今更感が…
この体が壊される前に退散するよ♪
さいなら~ドロン!
追求されるのを恐れてか、なぜだか戦隊者ヒーローの決めポーズを決めてぱっと消えた…普通にさることはできないのだろうか…。
「嵐どころかハリケーンみたいな神ですね。」
シーヴァルの言葉にネメシスは確かに…と納得する。
アグニールは燃やせなかったことが悔しいのが、しゅんと落ち込んでいたので礼もこめて喉元をくすぐると、すぐに嬉しそうに喉を鳴らした。
ヒスイは未だ殴っているようで…三人はよく飽きないなぁと思いつつ、ネメシスはトリセツを手に取りしばらく読み進む。
シーヴァルは使い魔のコウモリたちに周囲を警戒させ、アグニールは木の上に移動するとすやすやと寝息を立て始める。
殴り続けて、もう骨だけになった死体を見てやっとヒスイは殴るのをやめた。
周囲には肉のかけらや臓器がグシャグチャに散らばり、血だまりを作っていた。
ヒスイの体にも返り血と肉や臓器のかけらがこびりついている。
むせ返るほどの血の匂いにさすがに鼻を抑えて眉をしかめた。
どれだけ時間が立ったかはわからなかったが、もう殴るところもないし…と三人の方へ振り向くと…
小さいドラゴンからしたら大きめの果物をほおばっているドラゴンに…
果物を次々と一口にカットし手ずから人外の少女の口元にせっせと運んでは、もぐもぐとしてる少女を見てデレデレしている変態に…
変態にめもくれずに口に入れられた果物をもぐもぐしながら、黙々と本を読んでる少女…。
頭の足りない俺でもわかる…こいつらいろいろおかしい。
俺がずっと殴っている間、普通に時間を潰しているなんて相当におかしい。
返り血や肉の破片は向こうにも飛んでいたのに三人ともちっとも汚れた感じはしない。
声をかけようかとしたとき、少女から声をかけられた。
「んくっ…んぐ。終わったのか?」
うまく飲み込めなかったらしく少しむせつつ、俺の方に目線を向けた。
「あぁ、もう骨しか残ってねぇよ。」
そうか…と納得すると少女は俺の腕にある腕輪に軽く触れた。
すると途端にその腕輪にはヒビが入り、そこからどんどん広がっていき…
パッキン…と甲高い音ともにその腕輪は粉々に破壊された。
は?
驚いてフリーズしてる俺に構わず、少女は次に首につけられた忌々しい奴隷の首輪にそっと触れた。
さっきと同じで亀裂が走り…粉々に砕けちっていく。
そしてついでとばかりにこびりついていた血も肉もきれいに取り払われていた。
「脱力の腕輪はともかく、奴隷の首輪を破壊するなんて…お前、どんだけの魔力でっ…」
「お前ではなく魔王様と呼びなさい。駄犬め…。」
本来ならネメシス様に対するその口の聞き方も気にいらないが、ネメシス様本人がお許しになっているから見逃してるだけにすぎない…。
血のように赤く蛇のような瞳にぎろりと睨まれヒスイは生存本能からくる恐怖で震えた。
「コハクの方も後で外しておいてやる。」
ネメシスの言葉にこれ幸いとシーヴァルの目線から逃れヒスイは頷く。
もう一人の尋問はとりあえず後回しにするようでネメシスは、ヒスイにここにはしばらく来ないだろうからやり残したことがあるのなら、それを消化してこいと送り出す。
「わかった、俺とコハクの私物がまだあるから取ってくる。」
死体は弔われ、ものもいくつかなくなった。
人がいなくなった寂しい村をヒスイはコハクのぶんまで噛みしめるかのように歩く。
ヒスイは本当はこの村から離れたくない…自分たちを狙った奴らの親玉は諦めてないはずだ。
なら、この村にいれば必ずまた攫うのに人をよこすだろう。
脱力の腕輪と奴隷の首輪はもう存在しないため、全力でやれる。
けれど、ヒスイにはそれができなかった。
ヒスイは一人で生き残ったわけではないからだ…コハクという大事な弟がいるために…
彼が残るのならコハクも残るだろう…とても優しい弟だから、けれどそのせいでまた捕まるかもしれない。
そしたら今度こそは絶対に逃げられないはずだ。
弟をそんな目に合わせるくらいなら…ヒスイは煮えたぎるマグマのような怒りと底なしの沼のように存在する憎悪を押さえ込める。
ある程度歩いたところに、覚えのある裏道が見えてきた。
神様はシーヴァルに鷲掴みにされているのになぜかドヤ顔をしている。
「アグニールの炎で、燃やせない?」
シーヴァルが驚き、ネメシスが神様を凝視すると…
「ふっ、神様パワーを注入してるから破壊不可なのだよ…」
うざったいくらにドヤ顔をしてイラッとする発言をしているが、鷲掴みにされていることを忘れてるんじゃないだろうか?
「ぎゃ!ちょ、くるし…締めすぎ締めすぎ!ギブだから…なんか出ちゃうから!!」
本当にこれが神様なのだろうか…
なんとかシーヴァルの手から抜け出して、ふぅ…と汗を拭い
「ちなみにさっきの話だけれど…」
まるで何事もなかったかのように振る舞いつつ…味覚をつけないなんてそんなもったいないことしないさ!意味の第二の人生、魔王生を楽しく生きてほしいんだからね?僕は。
それにもっと早く出せなかったのだろうか、今更感が…
この体が壊される前に退散するよ♪
さいなら~ドロン!
追求されるのを恐れてか、なぜだか戦隊者ヒーローの決めポーズを決めてぱっと消えた…普通にさることはできないのだろうか…。
「嵐どころかハリケーンみたいな神ですね。」
シーヴァルの言葉にネメシスは確かに…と納得する。
アグニールは燃やせなかったことが悔しいのが、しゅんと落ち込んでいたので礼もこめて喉元をくすぐると、すぐに嬉しそうに喉を鳴らした。
ヒスイは未だ殴っているようで…三人はよく飽きないなぁと思いつつ、ネメシスはトリセツを手に取りしばらく読み進む。
シーヴァルは使い魔のコウモリたちに周囲を警戒させ、アグニールは木の上に移動するとすやすやと寝息を立て始める。
殴り続けて、もう骨だけになった死体を見てやっとヒスイは殴るのをやめた。
周囲には肉のかけらや臓器がグシャグチャに散らばり、血だまりを作っていた。
ヒスイの体にも返り血と肉や臓器のかけらがこびりついている。
むせ返るほどの血の匂いにさすがに鼻を抑えて眉をしかめた。
どれだけ時間が立ったかはわからなかったが、もう殴るところもないし…と三人の方へ振り向くと…
小さいドラゴンからしたら大きめの果物をほおばっているドラゴンに…
果物を次々と一口にカットし手ずから人外の少女の口元にせっせと運んでは、もぐもぐとしてる少女を見てデレデレしている変態に…
変態にめもくれずに口に入れられた果物をもぐもぐしながら、黙々と本を読んでる少女…。
頭の足りない俺でもわかる…こいつらいろいろおかしい。
俺がずっと殴っている間、普通に時間を潰しているなんて相当におかしい。
返り血や肉の破片は向こうにも飛んでいたのに三人ともちっとも汚れた感じはしない。
声をかけようかとしたとき、少女から声をかけられた。
「んくっ…んぐ。終わったのか?」
うまく飲み込めなかったらしく少しむせつつ、俺の方に目線を向けた。
「あぁ、もう骨しか残ってねぇよ。」
そうか…と納得すると少女は俺の腕にある腕輪に軽く触れた。
すると途端にその腕輪にはヒビが入り、そこからどんどん広がっていき…
パッキン…と甲高い音ともにその腕輪は粉々に破壊された。
は?
驚いてフリーズしてる俺に構わず、少女は次に首につけられた忌々しい奴隷の首輪にそっと触れた。
さっきと同じで亀裂が走り…粉々に砕けちっていく。
そしてついでとばかりにこびりついていた血も肉もきれいに取り払われていた。
「脱力の腕輪はともかく、奴隷の首輪を破壊するなんて…お前、どんだけの魔力でっ…」
「お前ではなく魔王様と呼びなさい。駄犬め…。」
本来ならネメシス様に対するその口の聞き方も気にいらないが、ネメシス様本人がお許しになっているから見逃してるだけにすぎない…。
血のように赤く蛇のような瞳にぎろりと睨まれヒスイは生存本能からくる恐怖で震えた。
「コハクの方も後で外しておいてやる。」
ネメシスの言葉にこれ幸いとシーヴァルの目線から逃れヒスイは頷く。
もう一人の尋問はとりあえず後回しにするようでネメシスは、ヒスイにここにはしばらく来ないだろうからやり残したことがあるのなら、それを消化してこいと送り出す。
「わかった、俺とコハクの私物がまだあるから取ってくる。」
死体は弔われ、ものもいくつかなくなった。
人がいなくなった寂しい村をヒスイはコハクのぶんまで噛みしめるかのように歩く。
ヒスイは本当はこの村から離れたくない…自分たちを狙った奴らの親玉は諦めてないはずだ。
なら、この村にいれば必ずまた攫うのに人をよこすだろう。
脱力の腕輪と奴隷の首輪はもう存在しないため、全力でやれる。
けれど、ヒスイにはそれができなかった。
ヒスイは一人で生き残ったわけではないからだ…コハクという大事な弟がいるために…
彼が残るのならコハクも残るだろう…とても優しい弟だから、けれどそのせいでまた捕まるかもしれない。
そしたら今度こそは絶対に逃げられないはずだ。
弟をそんな目に合わせるくらいなら…ヒスイは煮えたぎるマグマのような怒りと底なしの沼のように存在する憎悪を押さえ込める。
ある程度歩いたところに、覚えのある裏道が見えてきた。
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