魔王なんだから人を殺しても合法だよね!!〜クズな神様に無茶振りされた人間嫌いの魔王がおりなすダークな物語〜

残念な隣人さん。

文字の大きさ
上 下
10 / 27

再びのつかの間☆

しおりを挟む
 未だに殴っている音がする…もうそれを人間とは判別できなくなるくらいに殴っている。

 よくそんなに飽きずに殴れるなぁとネメシスは感心していた。

 ネメシスならすぐに飽きて別の方法でいたぶるだろう。

 そんなネメシスの目線に気がついたシーヴァルが

「あの駄犬には脱力の腕輪と奴隷の首輪がつけられているので仕方がないかと…むしろその状態でのくあれだけ殴れるなぁと感心すらしますね。」

 シーヴァルいわく、脱力の腕輪は装着した者は力が一切入らなくなるはずなのだとか…奴隷首輪はおそらく騎士の方なので、今現在発狂して気絶している騎士に止めることは不可能だ。
 どちらも外せないようになっているようで、そんな中であれだけ力を込めて殴れるというのが異常なのだ。

「いくら獣人でもおかしいとおもうのですが…そのへんはあの騎士が知ってそうな気はしますねぇ」

「そんなものを付けられていたのか。」

 ネメシスはなんせこの世界に来て数日しか立ってないために知識がない。シーヴァルとアグニールも同じはずだが…二人はある程度の知識はあるようだ。

 さすがに今ヒスイは取り込み中なので、それが終わったら壊すか…コハクにもつけられているだろうから戻ったら破壊しよう。

 なんとなくアグニールをかまいたくなったネメシスはアグニールを呼び、膝にのせて可愛がろうとして…

「ん?なんだか、アグニールの奴少し大きくなってないか?」

その疑問にシーヴァルは答えた。

 アグニールは龍種のため世界にただよっている魔力を取り込んで栄養とすることができるため、それで成長したのだと…。

「うん?そういえば私もお前も何も食べていないが平気だな。」

 シーヴァルは吸血鬼なので食べるというより飲むだが、シーヴァルも種族は違えど吸血鬼の始祖のため…彼も魔力を栄養とすることが可能なのだ。
 吸血鬼の種族特徴から、血の味は細かく理解できるが…それ以外の食べ物は泥を食べてるかのように感じるそうだ。

 アグニールの場合は味覚があるので食事をすることが可能だ。


「ネメシス様は神お手製ホムンクルスですから…おそらく私どもと同じようになっているかと。」

「なるほど…。食事いらずはラクでいいが異世界グルメを楽しめないのは悲しいな。」

「ネメシス様、少々忘れ物をしてしまったようで…クソ神がいるところまで取りに行ってもよろしいでしょうか?」

「キュル!キュルルール!」

 シーヴァルはそれはもう爽やかないい笑顔で笑っている。

 アグニールもシーヴァルに同調し自分も行くのだと張り切っている。

 言葉は通じずとも一人と一匹の意見は一致していた。

「「あのクソ神を〆る!!」」

 まだ出会って短い間だがシーヴァルとアグニールはネメシスのことが大好きだ。ネメシスにガチャで引かれた運命に感謝しているが、それはあの神にではない…。

 一人と一匹にとっての唯一無二はネメシスのみ…そのネメシスから楽しみを奪った野郎をぶちのめすのに理屈なんていらないのだ!
 一人と一匹には神=敬うの式が、なにそれ知らん。
威厳を見せても攻撃するだろう。

 そんなネメシス思いの二人に嬉しさと少しのテレを感じたネメシスは、改めてガチャで出てきたのがシーヴァルとアグニールで良かったと…嬉しくなった。

 何故か脳裏に必死で一人と一匹を止めてくれと懇願する神様ぽい人物が浮かんだが、嬉しさを噛み締めたくてはじき出した。












 ネメシスがほっこりしていた時にふと三人は近くに空間の歪みが発生したことですぐに戦闘態勢をとった。

「ちょっと!ネメシス君!そこの一人と一匹を止めておくれよ。でないと本気でありとあらゆる手段を用いて僕のところに来そうで怖いんだけどぉ~!!」

 覚えのある声にげんなりしつつも目線を向けると、人差し指サイズで羽を生やした小さい神様がふよふよと、飛んできた。

「職務怠慢…ボソリ」

「そもそも神は仕事しなくていいの!」

 まったくやれやれ仕方ないなぁと態度で示されイラッとする…。それはシーヴァルとアグニールも同じだったようで…

「あ、ちょっ、まって!この仮の体は脆いから…ちょ…ネメシス君この二人を止めておくれ!!」

「それはともかく、何しに来たんですか?」

 二人の軽い攻撃をなんとかかわしつつ、神様はのたまった。

「こんな事態にならないように、急いで神お手製ホムンクルスのトリセツをね…あいた!!」

 シーヴァルに鷲掴みにされ、アグニールに火を吐かれ若干やけどしているが、二人が本気なら本当に死んでいるので放置した。

 シーヴァルに鷲掴みにされた神様は抜け出すのを諦めたのか、おとなしく捕まっている。

「ということで、はいこれ♪」

 いきなり目の前に一冊の本が現れういているが、魔法がある世界だし相手は神様なので特に驚きはしない。

その本を手に取りタイトルを…













『神お手製ホムンクルスのトリセツ♡』

 そのタイトルとともに、表紙はデフォルメされた神様がブイサインしている。












 ネメシスはその本をそっと地面におき…アグニールに…

「燃やせ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移したけど補填で与えられたスキルがピーキー過ぎる!〜スキル魔法属性強制変更は相手によっては万能です〜

syami1000
ファンタジー
昼休みも終わりに近づき教室に生徒は戻る。  家久 高志は1番遅れて教室へ入りドアを跨ぐとその瞬間視界が光に包まれ、気付くと雲の上に佇んでいた。  そこに居た女神を名乗る女性から「補填です」と言われスキル魔法属性強制変更を授けられ、その後アゼー王国に召喚される。  王国で家久の基礎能力値を測ると、平均値すらも下回る水準だという事が判明し追放されてしまう。  その後王国からの刺客に命を狙われるが神国のスパイだと名乗る者に助けられ、家久のスキルが規格外のチート能力だという事が判明して……  ピーキーなスキルを駆使して、基礎能力値が低いのをカバーしながら別方面から勇者パーティー(クラスメイト達)より先に魔王討伐を目指すストーリーです。 この作品はなろうで連載しているものを、ストーリーをある程度改めて投稿しています

転生しても山あり谷あり!

tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」 兎にも角にも今世は “おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!” を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?

このやってられない世界で

みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。 悪役令嬢・キーラになったらしいけど、 そのフラグは初っ端に折れてしまった。 主人公のヒロインをそっちのけの、 よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、 王子様に捕まってしまったキーラは 楽しく生き残ることができるのか。

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた

こばやん2号
ファンタジー
 とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。  気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。  しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。  そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。  ※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

お願いだから俺に構わないで下さい

大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。 17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。 高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。 本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。 折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。 それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。 これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。 有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako
ファンタジー
中学生のオタクな娘とアラフィフオタク母が異世界転生しちゃいました。 二人合わせて読んだ異世界転生小説は一体何冊なのか!転生しちゃった世界は一体どの話なのか! ごく普通の一般日本人が転生したら、どうなる?どうする?

処理中です...