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狼の暖かな追憶
しおりを挟む「おう!ヒスイ!今日もいい肉入ってるぞ~」
村の肉屋の馬獣人に声をかけられ、コハクと共に俺はうまそうな肉を選び…
「ヒスイちゃん、コハクちゃんお野菜も食べないとだめよ~」
野菜は苦手なんだよ、ウサギのおばさん、勘弁してくれと思いつつお使いメモには野菜も書かれているので渋々買う。
「コハク!残りは駄賃にしていいって書いてあるぜ。」
コハクと共に喜びつつ帰りの途中で裏道にある小さな木の下を掘り出すと、中から箱が出てくる。
その中には二人でためたお金がはいっている。
いつか、自分たちの故郷を親を探す旅の資金にするために。
二人で食材を抱え家に帰ると…
「おー!お使いありがとさん。お前らが手伝ってくれるからいつも助かってるぜ…。」
俺達の育て親、狼獣人のゼファーは獣人で組織された傭兵団の団長をしているだけあって筋肉ムキムキで強くてかっこいい!
俺は憧れていたが、コハクは肉肉しい筋肉が嫌なそうでムキムキになるならお前だけなれとつれないんだ…クーン。
俺達は故郷も産みの親もわからない…ゼファーが言うには…
人間たちに拉致られて来た俺達をたまたま見た団員がゼファーに頼んで救い出した時は俺達だけで他には手がかりになることは何もなかった。
生け捕りにした人間たちに聞こうとしたが、その時には秘密保護の魔法が発動して死んでしまい…手がかりはその時ゼロになった。
俺達は別に寂しくはない…だってゼファーが俺達を引き取って育ててくれてるし、村のみんなもいつもたくさん声を掛けてくれるんだ。
寂しがる暇なんてねーよ♪
寂しくはないけれど、やっぱり気にはなるんだ…俺達の故郷がどんなところで父親や母親はどんなやつかってさ…。
コハクはそういうことに興味はないが、唯一兄弟の俺が気になってるから一緒に行ってくれると約束してくれた。
怒らせるとやばいけど、普段はおとなしくて優しいいいやつなんだぜ♪
怒らせたら怖いけど…
兄の俺より弟のコハクのほうがしっかりしてるとよく言われる、悔しいが正直そのとおりなんだよなぁ。
故郷や親にあったらそこにずっといるわけじゃねぇよ?俺達にとって今の村が第二の故郷で、ゼファーが俺達の大事な父親なことに変わりはないんだ。
コハクも筋肉は嫌っているが、ゼファー本人は父親として慕っている。
ゼファーは特別だけど、他の村のみんなも俺達にとって家族みたいなものなんだ。
小さな祝い事でもみんなでよく馬鹿騒ぎした
村で産気づいた猫獣人を男どもはあたふたしながら…
「ちょ、おい!産気づいたぞ!!」
「バカお前!大声出すな。ストレスは妊婦に悪いって…」
「今急いで医者よんで…「えぇいおだまりあんたたち。全く揃いも揃って…」
女たちにカツをいれられ全員の耳と尻尾がしゅんとたれる様は…同情したさ。
女性は強し…
言い方を変えたのはあれだ…特に意味は…
女性たちにかつをいれられ、一人の男が刺激しないように優しく抱き上げ診療所までなるべく急いで丁寧に運んでいった。
無事に生まれた猫獣人の娘、サーシャは俺達の可愛い妹ぶんになった。
三人で一緒に街を探検したり遊んだり…
それを村のみんながニコニコ笑顔で見守ってくれたり声をかけてくれたり。
俺は今の暮らしに満足してる
ゼファーも
街のみんなも
サーシャも
コハクも
俺にとって大切でかけがえのない存在。
こんな幸せな毎日がずっと繰り返されると、俺は信じて疑わなかったんだ…。
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