魔王なんだから人を殺しても合法だよね!!〜クズな神様に無茶振りされた人間嫌いの魔王がおりなすダークな物語〜

残念な隣人さん。

文字の大きさ
上 下
6 / 27

狼の暖かな追憶

しおりを挟む

「おう!ヒスイ!今日もいい肉入ってるぞ~」

 村の肉屋の馬獣人に声をかけられ、コハクと共に俺はうまそうな肉を選び…

「ヒスイちゃん、コハクちゃんお野菜も食べないとだめよ~」

 野菜は苦手なんだよ、ウサギのおばさん、勘弁してくれと思いつつお使いメモには野菜も書かれているので渋々買う。

「コハク!残りは駄賃にしていいって書いてあるぜ。」

 コハクと共に喜びつつ帰りの途中で裏道にある小さな木の下を掘り出すと、中から箱が出てくる。

 その中には二人でためたお金がはいっている。

 いつか、自分たちの故郷を親を探す旅の資金にするために。

二人で食材を抱え家に帰ると…

「おー!お使いありがとさん。お前らが手伝ってくれるからいつも助かってるぜ…。」

 俺達の育て親、狼獣人のゼファーは獣人で組織された傭兵団の団長をしているだけあって筋肉ムキムキで強くてかっこいい!

 俺は憧れていたが、コハクは肉肉しい筋肉が嫌なそうでムキムキになるならお前だけなれとつれないんだ…クーン。

 俺達は故郷も産みの親もわからない…ゼファーが言うには…
 人間たちに拉致られて来た俺達をたまたま見た団員がゼファーに頼んで救い出した時は俺達だけで他には手がかりになることは何もなかった。

 生け捕りにした人間たちに聞こうとしたが、その時には秘密保護の魔法が発動して死んでしまい…手がかりはその時ゼロになった。

 俺達は別に寂しくはない…だってゼファーが俺達を引き取って育ててくれてるし、村のみんなもいつもたくさん声を掛けてくれるんだ。

寂しがる暇なんてねーよ♪

 寂しくはないけれど、やっぱり気にはなるんだ…俺達の故郷がどんなところで父親や母親はどんなやつかってさ…。

 コハクはそういうことに興味はないが、唯一兄弟の俺が気になってるから一緒に行ってくれると約束してくれた。

 怒らせるとやばいけど、普段はおとなしくて優しいいいやつなんだぜ♪

怒らせたら怖いけど…

 兄の俺より弟のコハクのほうがしっかりしてるとよく言われる、悔しいが正直そのとおりなんだよなぁ。

 故郷や親にあったらそこにずっといるわけじゃねぇよ?俺達にとって今の村が第二の故郷で、ゼファーが俺達の大事な父親なことに変わりはないんだ。

 コハクも筋肉は嫌っているが、ゼファー本人は父親として慕っている。

 ゼファーは特別だけど、他の村のみんなも俺達にとって家族みたいなものなんだ。


小さな祝い事でもみんなでよく馬鹿騒ぎした


村で産気づいた猫獣人を男どもはあたふたしながら…

「ちょ、おい!産気づいたぞ!!」

「バカお前!大声出すな。ストレスは妊婦に悪いって…」

「今急いで医者よんで…「えぇいおだまりあんたたち。全く揃いも揃って…」

 女たちにカツをいれられ全員の耳と尻尾がしゅんとたれる様は…同情したさ。

女性は強し…

 言い方を変えたのはあれだ…特に意味は…

 女性たちにかつをいれられ、一人の男が刺激しないように優しく抱き上げ診療所までなるべく急いで丁寧に運んでいった。

 無事に生まれた猫獣人の娘、サーシャは俺達の可愛い妹ぶんになった。

 三人で一緒に街を探検したり遊んだり…

 それを村のみんながニコニコ笑顔で見守ってくれたり声をかけてくれたり。

俺は今の暮らしに満足してる

ゼファーも

街のみんなも

サーシャも

コハクも

俺にとって大切でかけがえのない存在。















こんな幸せな毎日がずっと繰り返されると、俺は信じて疑わなかったんだ…。













……………………………………………………………………………………………
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルカナセイド【ARCANUM;SEDO】

臂りき
ファンタジー
現代日本から転生した人々の手により捻じ曲げられた異世界『アルカナ』。 転生者たちはアルカナの世界にて前世での鬱憤を晴らすかのように他種族の排除、支配を繰り返し続けた。 果ては世界そのものを意のままにするため、彼らは浮遊島を生み出し大地はおろか空の安寧をも脅かした。 幾千年もの後、前世で不遇の死を遂げた若者たちの中から強大な力を持つ者<権能者>が現れ始めた。 権能者たちは各々に前世での時代背景は違えど、人が人を支配する世界の在り方に強い不安や怒りを抱いていた。 やがて権能者の内の一人、後に「大賢者」と呼ばれることとなる少女と仲間たちの手によって浮遊島は崩落した。 大賢者は再び世界に悲しみが訪れぬよう崩落の難を免れた地上の人々に教えを説いた。 彼女の教えは数百年もの時を重ね『魔術信奉書』として編纂されるに至った。 しかし人と人との争いが尽きることはなかった。 故に権能者たちは、かつて世界に存在しなかった<魔物>を生み出し、人々の統制を図った。 大賢者と最も親交の深かった権能者の少女は自らを<魔王>と名乗り、魔の軍勢を率いて人々に対抗した。 権能者やその意志を継ぐ者たちはアルカナの世界に留まらず、やがて異世界にまで影響を与える存在<ネクロシグネチャー>として世界の安寧を求め続けた。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

まさか転生? 

花菱
ファンタジー
気付いたら異世界?  しかも身体が? 一体どうなってるの… あれ?でも…… 滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。 初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

処理中です...