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レッツ尾行
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街道らしき道を馬車と馬で進む一団を発見し、気配を消しつつ後を追う。
観察してみると多くのものが怪我をしており、五体満足なのは派手な鎧を着た騎士と見た目が盗賊っぽいのに腕が立ちそうなおっさんだけだった。
おそらくあの盗賊ぽいのが狼獣人の仇だろうとあたりをつけつつ観察していると、そろそろ野営に入るのか道から外れた川沿いに拠点を作り始めた。
「しっかし、なんであんな獣を二匹生け捕りにしてつれて来いなんて王様は命じたんだ?」
「たかが兵士である俺達が知るわけ無いだろう?まぁ、いいじゃねーか…その分日頃の鬱憤を他の獣共で発散できたんだからよ。」
はいクズ確定!こいつらは簡単には殺さない。今決めた…。
「ネメシス様、私とアグニールで殲滅してきましょうか?アグニールにもいい経験になるかと…。」
シーヴァルの助言に首を横に振る…今回は私にとっても初の戦闘だ。
それに、あの狼獣人に誓いを立てたのは私だから、今回の戦闘を譲る気はなかった。
幸い、狼獣人が言った救ってほしい存在はだいぶ暴れているようでどこの天幕に囚われているのかは外からでも確認できた。
「シーヴァル、アグニール、取りこぼしたら生け捕りにして待ってろ。」
それは慈悲ではなく簡単に死なせないという意味での言葉だったがシーヴァルもアグニールもその言葉を正しく理解して頷く。
神様お手製ホムンクルスだからだろう、五感も鋭く気づかれない距離に潜んでいてもはっきりとゲスな会話が聞こえてくるが、動くのは多くが寝静まった深夜だ。
聞くに耐えない言葉を聞きつつ深夜を待った。
…………………………………………
深夜、多くのものが寝静まり静かになった拠点で…一人堂々と歩く少女の姿があった。
あまりに自然と歩くため見張りの騎士は最初特に違和感を覚えなかったが、特殊な見た目故にすぐに異変に気づいて少女を凝視する。
松明に照らされて徐々にはっきりと姿を認識できるようになる。
身長は130cmほどだろうか…姿は人のかたちをしているが、人と呼ぶには容姿があまりに異なっていた。
肌は病的なまでに文字通り真っ白色で、耳はエルフより短く尖っている。
アレキサンドライトの宝石が埋め込まれたかのよう瞳…髪は長くストレートに流されている黒いダイヤモンドのごとく美しい黒が月明かりを浴びて輝いていた。
衣服は黒い羽と白い羽が覆ったようなシックなワンピースを着ていて…こんな状況でなければ誰もが見惚れる容姿をしていた。
実際見張りの兵士もあまりの人外的美しさに息を呑み、ゴクリと喉の音を鳴らす。
少女がニコリと口元に笑みを浮かべたとき見張りは本来の役割を思い出し知らせようと…
したところで、見張りの意識は暗転した。
見張りの意識を刈り取り、誰もいない森の方へと力任せに投げるが、人がドサリと落ちた音はしない。
当然だ、そこにはシーヴァルがおりナイスキャッチをしていた。
シーヴァル達も担当した見張りを排除できたのだろう…この場にはもう起きているのは二人と一匹のみだ。
普通ならセオリー通り、捉えられている者を救ってから殲滅だがさてどうしたものか…うん。
「救出と殺戮、両方同時でやろう。」
たぶん取りこぼしは出ないと思うけど出たら頼むと伝えると行動を開始した。
「さすがに国王命令だからかテントの前にも見張りが二人か…まぁもういいか。」
堂々と近づき声を上げられる前に手刀でほぼ同時に気絶させた。
天幕を開けるとそこそこ広い空間に、小さな牢屋がありそこには二人の獣人が傷だらけで捕らえられていた。
一人は未だに唸って威嚇しているが、もう一人はぐったりとしている。その一人を守るように唸っているようだ…
そしてそんな二人をなぶっていたのは盗賊ぽいおっさんだった。
先ほどとは違い気配を完全に消しているため盗賊ぽいおっさんは気づかず、唸ってるほうはおっさんに集中しているため気づかない…。
丁度いいと思い、おっさんには強めの手刀で気絶させた。
そこそこ腕はいいはずだが、さすがは神様お手製といったところか?
唸っていた子供の獣人は、一瞬驚いたがすぐさま唸りを再開するあたり警戒心が強いようだ。
「警戒心が強いのはいいことだが、誰彼構わずやるなら死ぬぞ?」
「うるさいっ!早く出せ。皆を…村のみんなのもとへ返せっ!!」
何だ結構元気じゃないか…。
もう一人の方はだいぶいたぶられているようで痛々しい…。おそらく集中的にやられたのだろう。
色々やるべきことはあるがとりあえず、あまり長居しても見張りの交代になるだろうし…と元気な獣人を軽い手刀で眠らせ、檻を壊し二人を担いで運んで天幕をでる。
外で待機していたシーヴァルを呼び、二人を預け離れてもらうと、今度は初めて魔法を発動させた。
観察してみると多くのものが怪我をしており、五体満足なのは派手な鎧を着た騎士と見た目が盗賊っぽいのに腕が立ちそうなおっさんだけだった。
おそらくあの盗賊ぽいのが狼獣人の仇だろうとあたりをつけつつ観察していると、そろそろ野営に入るのか道から外れた川沿いに拠点を作り始めた。
「しっかし、なんであんな獣を二匹生け捕りにしてつれて来いなんて王様は命じたんだ?」
「たかが兵士である俺達が知るわけ無いだろう?まぁ、いいじゃねーか…その分日頃の鬱憤を他の獣共で発散できたんだからよ。」
はいクズ確定!こいつらは簡単には殺さない。今決めた…。
「ネメシス様、私とアグニールで殲滅してきましょうか?アグニールにもいい経験になるかと…。」
シーヴァルの助言に首を横に振る…今回は私にとっても初の戦闘だ。
それに、あの狼獣人に誓いを立てたのは私だから、今回の戦闘を譲る気はなかった。
幸い、狼獣人が言った救ってほしい存在はだいぶ暴れているようでどこの天幕に囚われているのかは外からでも確認できた。
「シーヴァル、アグニール、取りこぼしたら生け捕りにして待ってろ。」
それは慈悲ではなく簡単に死なせないという意味での言葉だったがシーヴァルもアグニールもその言葉を正しく理解して頷く。
神様お手製ホムンクルスだからだろう、五感も鋭く気づかれない距離に潜んでいてもはっきりとゲスな会話が聞こえてくるが、動くのは多くが寝静まった深夜だ。
聞くに耐えない言葉を聞きつつ深夜を待った。
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深夜、多くのものが寝静まり静かになった拠点で…一人堂々と歩く少女の姿があった。
あまりに自然と歩くため見張りの騎士は最初特に違和感を覚えなかったが、特殊な見た目故にすぐに異変に気づいて少女を凝視する。
松明に照らされて徐々にはっきりと姿を認識できるようになる。
身長は130cmほどだろうか…姿は人のかたちをしているが、人と呼ぶには容姿があまりに異なっていた。
肌は病的なまでに文字通り真っ白色で、耳はエルフより短く尖っている。
アレキサンドライトの宝石が埋め込まれたかのよう瞳…髪は長くストレートに流されている黒いダイヤモンドのごとく美しい黒が月明かりを浴びて輝いていた。
衣服は黒い羽と白い羽が覆ったようなシックなワンピースを着ていて…こんな状況でなければ誰もが見惚れる容姿をしていた。
実際見張りの兵士もあまりの人外的美しさに息を呑み、ゴクリと喉の音を鳴らす。
少女がニコリと口元に笑みを浮かべたとき見張りは本来の役割を思い出し知らせようと…
したところで、見張りの意識は暗転した。
見張りの意識を刈り取り、誰もいない森の方へと力任せに投げるが、人がドサリと落ちた音はしない。
当然だ、そこにはシーヴァルがおりナイスキャッチをしていた。
シーヴァル達も担当した見張りを排除できたのだろう…この場にはもう起きているのは二人と一匹のみだ。
普通ならセオリー通り、捉えられている者を救ってから殲滅だがさてどうしたものか…うん。
「救出と殺戮、両方同時でやろう。」
たぶん取りこぼしは出ないと思うけど出たら頼むと伝えると行動を開始した。
「さすがに国王命令だからかテントの前にも見張りが二人か…まぁもういいか。」
堂々と近づき声を上げられる前に手刀でほぼ同時に気絶させた。
天幕を開けるとそこそこ広い空間に、小さな牢屋がありそこには二人の獣人が傷だらけで捕らえられていた。
一人は未だに唸って威嚇しているが、もう一人はぐったりとしている。その一人を守るように唸っているようだ…
そしてそんな二人をなぶっていたのは盗賊ぽいおっさんだった。
先ほどとは違い気配を完全に消しているため盗賊ぽいおっさんは気づかず、唸ってるほうはおっさんに集中しているため気づかない…。
丁度いいと思い、おっさんには強めの手刀で気絶させた。
そこそこ腕はいいはずだが、さすがは神様お手製といったところか?
唸っていた子供の獣人は、一瞬驚いたがすぐさま唸りを再開するあたり警戒心が強いようだ。
「警戒心が強いのはいいことだが、誰彼構わずやるなら死ぬぞ?」
「うるさいっ!早く出せ。皆を…村のみんなのもとへ返せっ!!」
何だ結構元気じゃないか…。
もう一人の方はだいぶいたぶられているようで痛々しい…。おそらく集中的にやられたのだろう。
色々やるべきことはあるがとりあえず、あまり長居しても見張りの交代になるだろうし…と元気な獣人を軽い手刀で眠らせ、檻を壊し二人を担いで運んで天幕をでる。
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