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厄介な男~フォルクス視点~
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「そうか……では、また情報があればこちらにも」
なかなか、聖教に切り込む情報がないな。
「いいだろう。……聖教についての話は終わりでいいな?」
応接室の椅子に対面で座り、聖教についての情報を互いに話し合った。
もう、エルンストに用はない。
「他に何か?」
「ルカのことだ。中央に連れていくのか?」
やはり、エルンストも気にする所だろうな。
ルカが中央に戻れば……大きく情勢は変動する。
「そのつもりはない。ルカは木こりになるつもりだからな」
「はっ!木こりに?本気か?そんなことを宰相のお前が許すのか?」
「許すも許さないもない。そう、ルカ自身が望んでいる」
嬉しそうな顔で木こりになると言っていた……あの顔を曇らせたくはない。
「……お前はルカの前でだけ、そんな顔をするな」
「……お前もだろう?」
「は?」
気づいていないのか。
人のことは言えないが。
お前も私もルカの前でだけ素に戻る。
いや、戻らせてもらえる。
「ふっ、気づいてないのは本人とルカだけ、と言うことか」
エルンストは苦笑し、脱力気味に椅子にもたれかかる。
「エレノアとのことも、ルカに反応を求めてあんなことを言ったのか?」
「いや。エレノアとのことは、ルカの言う通り、話す前に助けてやろうと思ってはいた。下らない男が散らすには惜しい才能だと思ったからな。どうせ後継のために女を抱くなら、面白い女の方がいい。ルカに話したのは、単純に後押しして欲しかった。いや……少しは良い奴だと、思われたかったのかもな」
あの、エルンストが。
意外すぎて、驚きの声も出ない。
「……しかし、まさかバーンが、ルカと、ね」
「シュルツが言うには、ルカは相変わらず人たらしらしいぞ。お前の息子だけじゃない」
エルンストはふっと鼻で笑った。
「なるほどな。中身はあのルカなんだ。ガキ共にはさぞ魅力的なんだろう。しかし、お前とシュルツはどうだ?あのガキの姿でも良いのか?前の想いの残滓だけで、アレを求めるのか?」
エルンストがからかうような声音で問い詰めてくる。
「ルカはルカだ。姿が変わろうと、魂は同じ。結局、惹き付けられる。お前なら、分かるはずだが?」
お前も同じはずだ、エルンスト。
ルカが自らを犠牲にしたとお前に告げた時、初めて取り乱すお前を見た。
「ルカはルカ、ね。まぁ、お前の言いたいことも分かるが、俺は降りるぞ」
「降りる?」
「自分の息子と男を取り合うのはごめんだ」
「ほぅ」
意外だ。
エルンストならば、強行手段に出るかもしれないと思っていた。
ルカをさらい、力ずくでも、と言いかねない男だからこそ、シュルツに正体をあかすと言えば許しはしないだろうと思っていた。
「お前でも息子にならば、と思うのだな」
エルンストの意外な一面を垣間見て、少し見方が変わった。
子煩悩なのか?
「はぁ?」
そんな思いを吹き飛ばす、人を馬鹿にしたいつものエルンストの態度。
「誰がバーンに?冗談か?邪魔するに決まっているだろう。もちろん、お前も生意気なシュルツも他のガキ共もそうだ。徹底的に邪魔してやるよ。俺はルカを手に入れようとはしないが、誰にも手に入れさせない。……そうだな。純朴そうな田舎娘でもあてがってやろう。ルカとお似合いだろう?」
……やはり、エルンストはエルンストだな。
「相変わらず、お前は嫌な男だな」
「宰相閣下にそう言って頂けるとは、光栄の極みです」
ため息しか出ない。
ルカは本当に、いろんな人間を惹き付ける。
「バーン様がお戻りです」
扉の外から家令の声がする。
「通せ」
「御意」
「エルンスト、バーンにはルカが救国の騎士本人だとは言うな。ルカは基本的に誰にも告げないつもりだ」
「言わないさ……今はな」
扉を叩く音がする。
「入れ」
厄介な男に、知られてしまったようだ。
なかなか、聖教に切り込む情報がないな。
「いいだろう。……聖教についての話は終わりでいいな?」
応接室の椅子に対面で座り、聖教についての情報を互いに話し合った。
もう、エルンストに用はない。
「他に何か?」
「ルカのことだ。中央に連れていくのか?」
やはり、エルンストも気にする所だろうな。
ルカが中央に戻れば……大きく情勢は変動する。
「そのつもりはない。ルカは木こりになるつもりだからな」
「はっ!木こりに?本気か?そんなことを宰相のお前が許すのか?」
「許すも許さないもない。そう、ルカ自身が望んでいる」
嬉しそうな顔で木こりになると言っていた……あの顔を曇らせたくはない。
「……お前はルカの前でだけ、そんな顔をするな」
「……お前もだろう?」
「は?」
気づいていないのか。
人のことは言えないが。
お前も私もルカの前でだけ素に戻る。
いや、戻らせてもらえる。
「ふっ、気づいてないのは本人とルカだけ、と言うことか」
エルンストは苦笑し、脱力気味に椅子にもたれかかる。
「エレノアとのことも、ルカに反応を求めてあんなことを言ったのか?」
「いや。エレノアとのことは、ルカの言う通り、話す前に助けてやろうと思ってはいた。下らない男が散らすには惜しい才能だと思ったからな。どうせ後継のために女を抱くなら、面白い女の方がいい。ルカに話したのは、単純に後押しして欲しかった。いや……少しは良い奴だと、思われたかったのかもな」
あの、エルンストが。
意外すぎて、驚きの声も出ない。
「……しかし、まさかバーンが、ルカと、ね」
「シュルツが言うには、ルカは相変わらず人たらしらしいぞ。お前の息子だけじゃない」
エルンストはふっと鼻で笑った。
「なるほどな。中身はあのルカなんだ。ガキ共にはさぞ魅力的なんだろう。しかし、お前とシュルツはどうだ?あのガキの姿でも良いのか?前の想いの残滓だけで、アレを求めるのか?」
エルンストがからかうような声音で問い詰めてくる。
「ルカはルカだ。姿が変わろうと、魂は同じ。結局、惹き付けられる。お前なら、分かるはずだが?」
お前も同じはずだ、エルンスト。
ルカが自らを犠牲にしたとお前に告げた時、初めて取り乱すお前を見た。
「ルカはルカ、ね。まぁ、お前の言いたいことも分かるが、俺は降りるぞ」
「降りる?」
「自分の息子と男を取り合うのはごめんだ」
「ほぅ」
意外だ。
エルンストならば、強行手段に出るかもしれないと思っていた。
ルカをさらい、力ずくでも、と言いかねない男だからこそ、シュルツに正体をあかすと言えば許しはしないだろうと思っていた。
「お前でも息子にならば、と思うのだな」
エルンストの意外な一面を垣間見て、少し見方が変わった。
子煩悩なのか?
「はぁ?」
そんな思いを吹き飛ばす、人を馬鹿にしたいつものエルンストの態度。
「誰がバーンに?冗談か?邪魔するに決まっているだろう。もちろん、お前も生意気なシュルツも他のガキ共もそうだ。徹底的に邪魔してやるよ。俺はルカを手に入れようとはしないが、誰にも手に入れさせない。……そうだな。純朴そうな田舎娘でもあてがってやろう。ルカとお似合いだろう?」
……やはり、エルンストはエルンストだな。
「相変わらず、お前は嫌な男だな」
「宰相閣下にそう言って頂けるとは、光栄の極みです」
ため息しか出ない。
ルカは本当に、いろんな人間を惹き付ける。
「バーン様がお戻りです」
扉の外から家令の声がする。
「通せ」
「御意」
「エルンスト、バーンにはルカが救国の騎士本人だとは言うな。ルカは基本的に誰にも告げないつもりだ」
「言わないさ……今はな」
扉を叩く音がする。
「入れ」
厄介な男に、知られてしまったようだ。
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