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その先も
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「口付けしても、いいんでしょう?その先も」
その先!?
その先って、何だ!
混乱している間にも、何度も何度も触れあわせる唇。
「ちょっ、シュルツ」
「なぁに?」
なぁにって、お前。
「こんなにっ、何回も」
「もっと。もっとするわ。何度でも。ルカ、口、開けて?」
「待てっ、んむっ」
止めようとしたその言葉ごと飲み込まれた。
易々と侵入した舌に上顎を撫でられ、身体が震えた。
そのまま寝台に覆い被さるように押し倒される。
シュルツの身体を何度も押し退けようとするも、力が入らない。
その間も、舌は自由に口腔内を蹂躙する。
舌を絡めとられ、逃れようと動かした舌を甘噛みされる。
息も苦しく、何度も顔を反らそうとするのに許してくれない。
コクコクと口腔内に溢れるどちらのものか分からない唾液を飲み込む。
ゆっくりと顔を上げるシュルツは幸せそうに微笑んだ。
俺は息も絶え絶えだ。
「今、ルカの中に私の一部が流れ込んでる……」
「!?」
妖艶に微笑みながら俺の胸から腹にかけてなぞるシュルツに、俺は大混乱だ。
俺の後ろをちょこちょこついてきていたシュルツが!
上手く魔法が使えなくて半泣きになっていたシュルツが!
「ルカ……」
妖艶に微笑んでいたシュルツが一転、たまらないように吹き出す。
「そのっ、顔っ……もう、萎えるくらい可愛いわね」
押し倒していた俺の身体を起こすと頬に軽く口付けする。
「驚きすぎよ」
「だっ、て、突然、何……」
「もう何もしないから、落ち着いて」
そう言いながら、俺の頭を撫でる。
子供扱い!!
いや、まぁ、今の俺はシュルツよりも子供だけど。
精神年齢というか、今までの弟子と師匠という関係性というか。
シュルツに子供扱いされるのは堪える。
シュルツは少し悲し気な瞳で俺と目を合わせる。
「ルカ、今回の件、もしかしたら死んでいたかもしれないのよ?貴方を気絶させた手刀が短剣だったら……回復は間に合わなかったかもしれない。貴方が成熟するのを待つつもりでいたけど……相変わらずいろんなことに巻き込まれる。気が気じゃないの。それに、貴方は突然って言ったけど、ずっとよ。前から、ずっと」
前から、ずっと?
「好きよ、ルカ。愛してる。貴方を失ってもこの気持ちは消えなかった。前の貴方も今の貴方も」
「え!?」
鼓動が早まる。
どういうことだ?
シュルツが、俺を、愛してる?
前の俺は確かにシュルツと一番近い存在ではあっただろう。
見目も、美しいとも言われていた。
でも、今の俺は?
「あの、前の俺と今の俺じゃ全然姿が……」
「バカね。貴方の容姿を好きになった訳じゃないのよ。むしろ、今の平凡な顔の貴方の方が人を惹き付けなくて助かる」
「わーるかったな、平凡で」
シュルツはクスクス笑いながら、そっと俺の顔に手を当てる。
「こうやって、触れられる。それだけでいいの。生きていてくれるだけでいい。愛してくれなくてもいい。でも、側にいるからには求めるわよ?これからも。覚悟して?」
何の覚悟!!
「ふふ。顔色、良くなった。少しは気が紛れた?貴方が思い詰めて喜ぶ人は誰もいない」
あぁ、それでか!
シュルツに俺がやったように、俺を驚かせて正気に戻すためか。
本当に驚いた。
でも、やりすぎじゃないか?
あ、あんな口付け……。
思い出すな!思い出すな!!
「ルカ、転移してくるわよ」
そう、シュルツが言うとほぼ同時に空気が揺らぎ、二人の姿が現れる。
「クリフト!バーン!」
「「ルカ!」」
二人の姿を見て、ほっとする。
シュルツがすっと前へ出た。
「クリフト、首尾は?」
そうだ。
テオドールの声を戻すための禁書はどうなった!?
「上々です。シュラ先生、禁書はあります。ただ、古代語を読める方を兄に紹介しなければならない。その方は……」
「俺だ」
「え?」
「俺が古代語読める」
クリフトの兄さんに紹介?
……って、何で二人が驚愕の表情で俺を見てるんだ??
その先!?
その先って、何だ!
混乱している間にも、何度も何度も触れあわせる唇。
「ちょっ、シュルツ」
「なぁに?」
なぁにって、お前。
「こんなにっ、何回も」
「もっと。もっとするわ。何度でも。ルカ、口、開けて?」
「待てっ、んむっ」
止めようとしたその言葉ごと飲み込まれた。
易々と侵入した舌に上顎を撫でられ、身体が震えた。
そのまま寝台に覆い被さるように押し倒される。
シュルツの身体を何度も押し退けようとするも、力が入らない。
その間も、舌は自由に口腔内を蹂躙する。
舌を絡めとられ、逃れようと動かした舌を甘噛みされる。
息も苦しく、何度も顔を反らそうとするのに許してくれない。
コクコクと口腔内に溢れるどちらのものか分からない唾液を飲み込む。
ゆっくりと顔を上げるシュルツは幸せそうに微笑んだ。
俺は息も絶え絶えだ。
「今、ルカの中に私の一部が流れ込んでる……」
「!?」
妖艶に微笑みながら俺の胸から腹にかけてなぞるシュルツに、俺は大混乱だ。
俺の後ろをちょこちょこついてきていたシュルツが!
上手く魔法が使えなくて半泣きになっていたシュルツが!
「ルカ……」
妖艶に微笑んでいたシュルツが一転、たまらないように吹き出す。
「そのっ、顔っ……もう、萎えるくらい可愛いわね」
押し倒していた俺の身体を起こすと頬に軽く口付けする。
「驚きすぎよ」
「だっ、て、突然、何……」
「もう何もしないから、落ち着いて」
そう言いながら、俺の頭を撫でる。
子供扱い!!
いや、まぁ、今の俺はシュルツよりも子供だけど。
精神年齢というか、今までの弟子と師匠という関係性というか。
シュルツに子供扱いされるのは堪える。
シュルツは少し悲し気な瞳で俺と目を合わせる。
「ルカ、今回の件、もしかしたら死んでいたかもしれないのよ?貴方を気絶させた手刀が短剣だったら……回復は間に合わなかったかもしれない。貴方が成熟するのを待つつもりでいたけど……相変わらずいろんなことに巻き込まれる。気が気じゃないの。それに、貴方は突然って言ったけど、ずっとよ。前から、ずっと」
前から、ずっと?
「好きよ、ルカ。愛してる。貴方を失ってもこの気持ちは消えなかった。前の貴方も今の貴方も」
「え!?」
鼓動が早まる。
どういうことだ?
シュルツが、俺を、愛してる?
前の俺は確かにシュルツと一番近い存在ではあっただろう。
見目も、美しいとも言われていた。
でも、今の俺は?
「あの、前の俺と今の俺じゃ全然姿が……」
「バカね。貴方の容姿を好きになった訳じゃないのよ。むしろ、今の平凡な顔の貴方の方が人を惹き付けなくて助かる」
「わーるかったな、平凡で」
シュルツはクスクス笑いながら、そっと俺の顔に手を当てる。
「こうやって、触れられる。それだけでいいの。生きていてくれるだけでいい。愛してくれなくてもいい。でも、側にいるからには求めるわよ?これからも。覚悟して?」
何の覚悟!!
「ふふ。顔色、良くなった。少しは気が紛れた?貴方が思い詰めて喜ぶ人は誰もいない」
あぁ、それでか!
シュルツに俺がやったように、俺を驚かせて正気に戻すためか。
本当に驚いた。
でも、やりすぎじゃないか?
あ、あんな口付け……。
思い出すな!思い出すな!!
「ルカ、転移してくるわよ」
そう、シュルツが言うとほぼ同時に空気が揺らぎ、二人の姿が現れる。
「クリフト!バーン!」
「「ルカ!」」
二人の姿を見て、ほっとする。
シュルツがすっと前へ出た。
「クリフト、首尾は?」
そうだ。
テオドールの声を戻すための禁書はどうなった!?
「上々です。シュラ先生、禁書はあります。ただ、古代語を読める方を兄に紹介しなければならない。その方は……」
「俺だ」
「え?」
「俺が古代語読める」
クリフトの兄さんに紹介?
……って、何で二人が驚愕の表情で俺を見てるんだ??
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