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人生に抗う
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「ルカといろいろ話していると、自分の想いが芽吹くんだ。心の奥底に隠してた、僕の想い」
テオは晴々しく笑った。
「最初にルカと会った時はね、自分で木こりになるんだって笑ってて……僕とは正反対で……正直、好きじゃなかったんだ。僕はもう、父上の言う通りにただ生きていることくらいしか自由がなくて。うらやましかった、のかもね?でも、それからルカと一緒にいると、人生って自由で希望に溢れてるんだって教えられる。ただ息をするだけだった毎日が楽しくて仕方なくなって……夢をみたいと思ったんだ。父上じゃなくて、自分の夢を」
テオは昔の思い出を話していた時とは違って、目が輝いている。
いつもの、テオだ。
「僕はね、ルカとロレーヌのことを話していた時に、ロレーヌのことが好きだったんだって、気づいたんだ。民も土地も……守りたいって言葉が心から湧いた。これは、父上から言わされた訳じゃない、僕の本心。ルカはきっと何気なく話してくれたことなんだけどね……僕は根底が覆った気さえした」
確かに、テオとロレーヌについては話した。
でも、それがテオにとってとても意味があることだとは思っていなかった。
「それから、僕は人生に抗おうって決めた。自分のために魔法を学ぶんだ。父上のためじゃなく、自分の望んだ人生を手に入れるために。今は、魔法を学ぶことがとても楽しい。自分の未来が暗く淀んだものから、光輝くものに変わった気がしたんだ!……でも、父上から僕がココで悪影響を受けたって言われて……せっかく前に進んでたのに、後ろから闇が追いかけてきて僕の足を掴むんだ。前へ進んでいけない。一緒に進んでいたみんなにも迷惑がかかるかもしれない。……そんなことなら、家を出て、ロレーヌなんて捨てて、どこかでひっそり暮らそうかなって。ルカと一緒にキキの村で暮らそうかな?」
テオが悲しげに笑う。
そんな未来、望んでないだろ!
「テオ、抗うって決めたんだろ。抗うことと逃げることは違う」
「ルカ……」
俺は明るく笑って言った。
「テオの父さんから、ロレーヌ、奪おうぜ!」
「え?」
テオは、ただでさえ大きな瞳をこぼれそうになるほど見開く。
「テオはこのまま、テオの父さんが望むように中央で昇りつめるんだ。そして、その地位を捨てて、ロレーヌを貰っちゃえばいい。びっくりするぞ~自分が望んでた地位を捨ててまでロレーヌ獲りにきたら!その時こそ、テオとロレーヌの価値を父さんに突き付けてやれるんじゃないのか?」
テオは驚きすぎて、瞳だけじゃなく、口も開いてる。
その口元が徐々に弧を描くと、一気に破顔した。
「そんなの……最高すぎるっ!父上はどんな顔をするんだろう……想像しただけで、ワクワクするよ!そうか……今まで与えられてきたすべてを利用してやればいいのか……思いつきもしなかった……ルカ!君は天才だね!大好きだ!」
テオが泣き笑いの顔をしながら、俺に飛びついてきた。
俺はテオを抱き止める。
「見ていてくれ、ルカ。僕はやるよ。自分のために、中央で昇りつめる。そして、ロレーヌをもっと発展させるためにその力を使う!」
「あぁ!それでこそ、テオだ!」
二人して、顔を突き合わせ、笑い合う。
「……ルカ、ありがとう。君と出会えたことが、僕の一番の幸運だよ。いつか、僕にも話してね……ルカが抱えてることを。……話せるようになってからでいいから」
テオ……。
俺のこと、何か勘づいてたのか……。
いつか、俺も話すんだろうか。
俺は救国の騎士、ルカなんだって。
その日は、そんなに遠くない気がした。
「さっ、二人の元へ戻ろう?視察がもうすぐ来るだろうから」
「そうだな!テオの父さんに俺たちがすごいってこと、見せつけてやろーぜ」
この後、盛大にやらかすことになるのをまだ知らない二人は、小走りで二人の元へ戻った。
テオは晴々しく笑った。
「最初にルカと会った時はね、自分で木こりになるんだって笑ってて……僕とは正反対で……正直、好きじゃなかったんだ。僕はもう、父上の言う通りにただ生きていることくらいしか自由がなくて。うらやましかった、のかもね?でも、それからルカと一緒にいると、人生って自由で希望に溢れてるんだって教えられる。ただ息をするだけだった毎日が楽しくて仕方なくなって……夢をみたいと思ったんだ。父上じゃなくて、自分の夢を」
テオは昔の思い出を話していた時とは違って、目が輝いている。
いつもの、テオだ。
「僕はね、ルカとロレーヌのことを話していた時に、ロレーヌのことが好きだったんだって、気づいたんだ。民も土地も……守りたいって言葉が心から湧いた。これは、父上から言わされた訳じゃない、僕の本心。ルカはきっと何気なく話してくれたことなんだけどね……僕は根底が覆った気さえした」
確かに、テオとロレーヌについては話した。
でも、それがテオにとってとても意味があることだとは思っていなかった。
「それから、僕は人生に抗おうって決めた。自分のために魔法を学ぶんだ。父上のためじゃなく、自分の望んだ人生を手に入れるために。今は、魔法を学ぶことがとても楽しい。自分の未来が暗く淀んだものから、光輝くものに変わった気がしたんだ!……でも、父上から僕がココで悪影響を受けたって言われて……せっかく前に進んでたのに、後ろから闇が追いかけてきて僕の足を掴むんだ。前へ進んでいけない。一緒に進んでいたみんなにも迷惑がかかるかもしれない。……そんなことなら、家を出て、ロレーヌなんて捨てて、どこかでひっそり暮らそうかなって。ルカと一緒にキキの村で暮らそうかな?」
テオが悲しげに笑う。
そんな未来、望んでないだろ!
「テオ、抗うって決めたんだろ。抗うことと逃げることは違う」
「ルカ……」
俺は明るく笑って言った。
「テオの父さんから、ロレーヌ、奪おうぜ!」
「え?」
テオは、ただでさえ大きな瞳をこぼれそうになるほど見開く。
「テオはこのまま、テオの父さんが望むように中央で昇りつめるんだ。そして、その地位を捨てて、ロレーヌを貰っちゃえばいい。びっくりするぞ~自分が望んでた地位を捨ててまでロレーヌ獲りにきたら!その時こそ、テオとロレーヌの価値を父さんに突き付けてやれるんじゃないのか?」
テオは驚きすぎて、瞳だけじゃなく、口も開いてる。
その口元が徐々に弧を描くと、一気に破顔した。
「そんなの……最高すぎるっ!父上はどんな顔をするんだろう……想像しただけで、ワクワクするよ!そうか……今まで与えられてきたすべてを利用してやればいいのか……思いつきもしなかった……ルカ!君は天才だね!大好きだ!」
テオが泣き笑いの顔をしながら、俺に飛びついてきた。
俺はテオを抱き止める。
「見ていてくれ、ルカ。僕はやるよ。自分のために、中央で昇りつめる。そして、ロレーヌをもっと発展させるためにその力を使う!」
「あぁ!それでこそ、テオだ!」
二人して、顔を突き合わせ、笑い合う。
「……ルカ、ありがとう。君と出会えたことが、僕の一番の幸運だよ。いつか、僕にも話してね……ルカが抱えてることを。……話せるようになってからでいいから」
テオ……。
俺のこと、何か勘づいてたのか……。
いつか、俺も話すんだろうか。
俺は救国の騎士、ルカなんだって。
その日は、そんなに遠くない気がした。
「さっ、二人の元へ戻ろう?視察がもうすぐ来るだろうから」
「そうだな!テオの父さんに俺たちがすごいってこと、見せつけてやろーぜ」
この後、盛大にやらかすことになるのをまだ知らない二人は、小走りで二人の元へ戻った。
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