37 / 146
仲良し
しおりを挟む
「あれー二人もいたのか!」
シュルツの執務室からの帰りにテオの部屋に寄ると、バーンとクリフトもいた。
「三人とも、今日はごめんな?俺が余計なこと言ったせいで……シュル、シュラ先生は怒ってはなかったから大丈夫だ!特に何も変わらず、明日から授業受けるからよろしくな!」
三人ともほっとした顔をする。
心配かけて悪かったな。
思ったことをすぐ言う癖を治そう……。
「お咎めなしで良かったね。三人で心配してたんだ。ルカは三つとも回るんだよね?」
テオは入り口で立ったまま謝罪した俺をソファー席に促す。
促されるまま、テオの隣に座った。
「そうみたいだ。まぁ、なんとかなるさ!」
座学は苦手なんだけど……。
「明日からしばらくは座学でみんな一緒ですから」
クリフトは一人立つと、テオの部屋なのに自分で茶器を準備し、それぞれの前に置く。
良い香りのするお茶だ。
「クリフト、ありがとう!良い香りがするな!」
クリフトに礼を言う。
「僕の部屋なんだけどね?」
「お茶くらいはいれさせて下さい。良い茶葉を持参してますので」
「さすが、セリアン商会の茶葉。良い香りだ。なぜ、先ほどは出てこなかったんだ?」
「気がつきませず、申し訳ありません」
「それは、僕が出さなかったってことを言ってる?」
三人が笑いながら楽しそうに会話してる。
仲良しだな。
「明日からの座学は何をやるんだ?」
「基礎だ。この国の歴史や魔法の成り立ちなどだな」
ふーん。
確かに、どれを選択しても必要なことか。
「バーンは授業に出なくてもいいのでは?一人で素振りでもしていた方が有益でしょう?」
クリフトは丁寧な言葉だが、声音や表情はからかっている。
「それはテオドールもそうであろう?お前も新しく得る知識などないはずだ」
「いや、僕よりもクリフトの方が勉強してるんじゃない?国政を学びたいと思ってるのに、知らないはずないし」
三人はそれぞれお互いを見ながら、褒めあってる……いつの間にこんなに仲良くなったんだ!?
え……俺のことは何も言ってくれない……。
「お、俺は座学は苦手だが、頑張るぞ!」
本当は俺もやらなくても大丈夫だけどな!
「そうですね。ルカには必要だと思います」
クリフト!
ま、まぁ、俺が知識あるって知らないしな……。
「ルカはちゃんと基本的なことを知っておいた方がいいよ。これからのこともあるしね」
テオ!
基本的なことも知らないと思われてる……まぁ、仕方ないよな……。
「そもそも、何か知っていることはあるのか?何も知らないのだろう?」
バーン!
無知……だと……。
俺、バーンには嫌われたかもと思ったけど、シュルツからは庇ってくれたから嫌われてなくて良かったって安心したのに……。
それどころか、二人にも嫌われてる?
もしかして、三人にとって邪魔だと思われてるんじゃあ……。
「国政の授業でも、ちゃんと分からないことは教えるから、心配しないで下さい」
クリフト!
「魔法の授業も僕がついてるんだから、大丈夫だよ。安心して」
テオ!
「剣術は私だけだな。皆に遅れを取るようなら、私の朝の鍛練にルカも加わるか?お前ならば構わない」
バーン!
一年間、この三人のことを面倒見てやろうなんて思ってたのに、こいつらも俺と同じことを思ってくれてたんだな。
この感覚は初めてだ。
桁違いの能力があり、みんなに羨望の眼差しで見られていた。
それと同時に、自分は異質なのだと線を引かれているようにも感じていた。
それが、知らないとはいえ、俺のことを気にかけ、引き上げてくれようとしている。
心配してくれている。
これが、仲間、か。
心の中が、ぽかぽかと温かくなる。
明日から、前の知識のことは忘れて、今のルカとして寄宿学校で学ぼう。
今のルカとして、この三人と切磋琢磨し合おう。
「なぁ!みんなで食堂にご飯食べに行こうぜ」
ご飯が一番の楽しみだ!
もっともっと、俺も三人みたいに仲良くなりたい!!
シュルツの執務室からの帰りにテオの部屋に寄ると、バーンとクリフトもいた。
「三人とも、今日はごめんな?俺が余計なこと言ったせいで……シュル、シュラ先生は怒ってはなかったから大丈夫だ!特に何も変わらず、明日から授業受けるからよろしくな!」
三人ともほっとした顔をする。
心配かけて悪かったな。
思ったことをすぐ言う癖を治そう……。
「お咎めなしで良かったね。三人で心配してたんだ。ルカは三つとも回るんだよね?」
テオは入り口で立ったまま謝罪した俺をソファー席に促す。
促されるまま、テオの隣に座った。
「そうみたいだ。まぁ、なんとかなるさ!」
座学は苦手なんだけど……。
「明日からしばらくは座学でみんな一緒ですから」
クリフトは一人立つと、テオの部屋なのに自分で茶器を準備し、それぞれの前に置く。
良い香りのするお茶だ。
「クリフト、ありがとう!良い香りがするな!」
クリフトに礼を言う。
「僕の部屋なんだけどね?」
「お茶くらいはいれさせて下さい。良い茶葉を持参してますので」
「さすが、セリアン商会の茶葉。良い香りだ。なぜ、先ほどは出てこなかったんだ?」
「気がつきませず、申し訳ありません」
「それは、僕が出さなかったってことを言ってる?」
三人が笑いながら楽しそうに会話してる。
仲良しだな。
「明日からの座学は何をやるんだ?」
「基礎だ。この国の歴史や魔法の成り立ちなどだな」
ふーん。
確かに、どれを選択しても必要なことか。
「バーンは授業に出なくてもいいのでは?一人で素振りでもしていた方が有益でしょう?」
クリフトは丁寧な言葉だが、声音や表情はからかっている。
「それはテオドールもそうであろう?お前も新しく得る知識などないはずだ」
「いや、僕よりもクリフトの方が勉強してるんじゃない?国政を学びたいと思ってるのに、知らないはずないし」
三人はそれぞれお互いを見ながら、褒めあってる……いつの間にこんなに仲良くなったんだ!?
え……俺のことは何も言ってくれない……。
「お、俺は座学は苦手だが、頑張るぞ!」
本当は俺もやらなくても大丈夫だけどな!
「そうですね。ルカには必要だと思います」
クリフト!
ま、まぁ、俺が知識あるって知らないしな……。
「ルカはちゃんと基本的なことを知っておいた方がいいよ。これからのこともあるしね」
テオ!
基本的なことも知らないと思われてる……まぁ、仕方ないよな……。
「そもそも、何か知っていることはあるのか?何も知らないのだろう?」
バーン!
無知……だと……。
俺、バーンには嫌われたかもと思ったけど、シュルツからは庇ってくれたから嫌われてなくて良かったって安心したのに……。
それどころか、二人にも嫌われてる?
もしかして、三人にとって邪魔だと思われてるんじゃあ……。
「国政の授業でも、ちゃんと分からないことは教えるから、心配しないで下さい」
クリフト!
「魔法の授業も僕がついてるんだから、大丈夫だよ。安心して」
テオ!
「剣術は私だけだな。皆に遅れを取るようなら、私の朝の鍛練にルカも加わるか?お前ならば構わない」
バーン!
一年間、この三人のことを面倒見てやろうなんて思ってたのに、こいつらも俺と同じことを思ってくれてたんだな。
この感覚は初めてだ。
桁違いの能力があり、みんなに羨望の眼差しで見られていた。
それと同時に、自分は異質なのだと線を引かれているようにも感じていた。
それが、知らないとはいえ、俺のことを気にかけ、引き上げてくれようとしている。
心配してくれている。
これが、仲間、か。
心の中が、ぽかぽかと温かくなる。
明日から、前の知識のことは忘れて、今のルカとして寄宿学校で学ぼう。
今のルカとして、この三人と切磋琢磨し合おう。
「なぁ!みんなで食堂にご飯食べに行こうぜ」
ご飯が一番の楽しみだ!
もっともっと、俺も三人みたいに仲良くなりたい!!
37
お気に入りに追加
3,812
あなたにおすすめの小説
転生したいらない子は異世界お兄さんたちに守護られ中! 薔薇と雄鹿と宝石と
夕張さばみそ
BL
旧題:薔薇と雄鹿と宝石と。~転生先で人外さんに愛され過ぎてクッキーが美味しいです~
目が覚めると森の中にいた少年・雪夜は、わけもわからないままゴロツキに絡まれているところを美貌の公爵・ローゼンに助けられる。
転生した先は 華族、樹族、鉱族の人外たちが支配する『ニンゲン』がいない世界。
たまに現れる『ニンゲン』は珍味・力を増す霊薬・美の妙薬として人外たちに食べられてしまうのだという。
折角転生したというのに大ピンチ!
でも、そんなことはつゆしらず、自分を助けてくれた華族のローゼンに懐く雪夜。
初めは冷たい態度をとっていたローゼンだが、そんな雪夜に心を開くようになり――。
優しい世界は最高なのでクッキーを食べます!
溺愛される雪夜の前には樹族、鉱族の青年たちも現れて……
……という、ニンゲンの子供が人外おにいさん達と出逢い、大人編でLOVEになりますが、幼少期はお兄さん達に育てられる健全ホノボノ異世界ライフな感じです。(※大人編は性描写を含みます)
※主人公の幼児に辛い過去があったり、モブが八つ裂きにされたりする描写がありますが、基本的にハピエン前提の異世界ハッピー溺愛ハーレムものです。
※大人編では残酷描写、鬱展開、性描写(3P)等が入ります。
※書籍化決定しました~!(涙)ありがとうございます!(涙)
アルファポリス様からタイトルが
『転生したいらない子は異世界お兄さんたちに守護られ中!(副題・薔薇と雄鹿と宝石と)』で
発売中です!
イラストレーター様は一為先生です(涙)ありがたや……(涙)
なお出版契約に基づき、子供編は来月の刊行日前に非公開となります。
大人編(2部)は盛大なネタバレを含む為、2月20日(火)に非公開となります。申し訳ありません……(シワシワ顔)
※大人編公開につきましては、現在書籍化したばかりで、大人編という最大のネタバレ部分が
公開中なのは宜しくないのではという話で、一時的に非公開にさせて頂いております(申し訳ありません)
まだ今後がどうなるか未確定で、私からは詳細を申し上げれる状態ではありませんが、
続報がわかり次第、近況ボードやX(https://twitter.com/mohikanhyatthaa)の方で
直ぐに告知させていただきたいと思っております……!
結末も! 大人の雪夜も! いっぱいたくさん! 見てもらいたいのでッッ!!(涙)
悪役令嬢のペットは殿下に囲われ溺愛される
白霧雪。
BL
旧題:悪役令嬢のポチは第一王子に囲われて溺愛されてます!?
愛される喜びを知ってしまった――
公爵令嬢ベアトリーチェの幼馴染兼従者として生まれ育ったヴィンセント。ベアトリーチェの婚約者が他の女に現を抜かすため、彼女が不幸な結婚をする前に何とか婚約を解消できないかと考えていると、彼女の婚約者の兄であり第一王子であるエドワードが現れる。「自分がベアトリーチェの婚約について、『ベアトリーチェにとって不幸な結末』にならないよう取り計らう」「その代わり、ヴィンセントが欲しい」と取引を持ち掛けられ、不審に思いつつも受け入れることに。警戒を解かないヴィンセントに対し、エドワードは甘く溺愛してきて……
❁❀花籠の泥人形編 更新中✿ 残4話予定✾
❀小話を番外編にまとめました❀
✿背後注意話✿
✾Twitter → @yuki_cat8 (作業過程や裏話など)
❀書籍化記念IFSSを番外編に追加しました!(23.1.11)❀
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
BLゲームのモブとして転生したはずが、推し王子からの溺愛が止まらない~俺、壁になりたいって言いましたよね!~
志波咲良
BL
主人公――子爵家三男ノエル・フィニアンは、不慮の事故をきっかけに生前大好きだったBLゲームの世界に転生してしまう。
舞台は、高等学園。夢だった、美男子らの恋愛模様を壁となって見つめる日々。
そんなある日、推し――エヴァン第二王子の破局シーンに立ち会う。
次々に展開される名シーンに感極まっていたノエルだったが、偶然推しの裏の顔を知ってしまい――?
「さて。知ってしまったからには、俺に協力してもらおう」
ずっと壁(モブ)でいたかったノエルは、突然ゲーム内で勃発する色恋沙汰に巻き込まれてしまう!?
□
・感想があると作者が喜びやすいです
・お気に入り登録お願いします!
異世界に落ちたら魔人に嫁認定されました。
おはぎ
BL
ひょんなことから異世界に吹っ飛ばされた、如月 優希(18)。
ダンジョンの中に落ちたらしく、モンスターに襲われこのまま死ぬのかと思った矢先、水晶の中に眠っていた美しい男をみつける。
ーーーーそして何故か、嫁認定されました。
魔人×無自覚美人
本編は3話で終わりで、気分で番外編更新するかもしれないです。
誤字脱字注意。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる