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甘味ともう一つの新事実

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バーンと少し気まずいまま別れ、自室に戻ると、まだクリフトは寝ていた。

そろそろ食堂も開くし、起こそうかなーと様子を伺っていると、クリフトがゆっくり目を開ける。

「おはよ」
クリフトのベッドに近づき、さっきの気まずい雰囲気を感じさせないように笑う。

クリフトは朝に弱いタイプなのか、少しぼーっとしている。
俺はもっと近づき、もう一度声をかける。
「クリフトー、おはよ!」

クリフトはようやくはっと目を開けると照れ臭そうにした。
寝ぼけてる所は恥ずかしいよな!

「ルカ、おはようございます。早いんですね」
「おー!もう散歩も行ってきて腹がペコペコなんだよ!食堂いこーぜ!」

もう、本当にペコペコだった。
今までの暮らしなら、とっくに終わらせてる時間だからだ。

「すみません、俺は朝は食べないんです。テオでも誘って行かれたらどうですか?」
「そうなのかー」

朝こそ食べないといけないんだが、同室だからと生活まで口だされたら嫌だよな……と我慢する。

「ここで待ってますから、寄宿学校へは一緒に行きましょう」
「分かった!」

とりあえずテオを誘いに行くも、部屋から応答がない。
まだ、寝てる?もう、食堂に行ったのかも?

もう、お腹が空きすぎてどうしようもなくなり、食堂へ向かう。
もし、食堂にいなかったら帰りに寄って起こそう。

食堂に近づくと、焼き立てパンの良い匂いがする。
口から涎が出そうだ。
見たことない形のパンがたくさん並んでいる。
すごい!
全種類制覇という目標ができた!!
とりあえず、今日は何も入ってない丸いパンと玉子を挟んでいるパンとジャムを塗っている四角いパンを選ぶ。
一緒に野菜スープと黄色い果物のジュースも取り、毎朝こんなに食べられるのか!と感激していた。

キョロキョロと空いている席を探しながらテオを探すと、誰か知らない奴らと談笑していた。

邪魔しちゃ悪いしな。
とりあえず、あの窓際が空いているのでそこに座ろうと向かう。

「ルカ!」
テオが俺に気付き、今まで座っていた席からトレーを持ち移動してきた。

「おはよう。一緒に食べよう!クリフトは?」
「おはよう。クリフトは朝食べないんだって。俺はいいけど、さっきの奴らと食べてたんじゃないのか?」

窓際の席なので光が射し込み、テオの金髪に反射してキラキラと輝いている。
同じように笑顔も眩しい。

「あぁ、別にいいんだ。好きで一緒にいた訳じゃないしね」

キラキラ笑顔が曇る。
何か嫌なことでも言われたのか?
テオは顔が可愛いし、優しいから、寄宿学校でも良いように使われたりするかもしれない。
俺が気をつけておかないとな!

「ルカ、朝からよく食べるね?パン、けっこう大きいのに三つも……」
「テオは少ないな」

テオのトレーには野菜スープしか乗っていない。

「今日は説明だけで授業ないけど、それで昼までもつのか?」
「いや、ルカみたいに食べたらむしろ苦しくて動けないよ」

えー?と不満そうな顔をすると、ルカがたまらずに笑いだす。
良かった、元のニコニコテオに戻った。

俺は締めに食べようと残しておいたジャムのパンを一口分ちぎり口に入れると、目を見開いた。

あまりにも甘い!

「テオ!このジャム、甘い!こんなに甘いの初めて食べた!」

甘味は贅沢品だ。
ジャムは森で取った果実を煮詰めて作ったことはあるが、こんな甘さではない。
もちろん、お菓子など食べたことはない。
以前の知識としてあるものの、このルカの身体で初めて味わった甘味は衝撃だった。

「こんなに甘いのか……うますぎる……」

もう一つ、取っておけば良かった……明日はまたこれを食べようと心に誓った。

「女の子は甘味が好きだって聞くけど、このパンいっぱい余ってたぞ?」
「?」

他のパンに比べて、このパンはたくさん並んでいた。
みんなスープに合うパンを選ぶからかと思ったが、こんなに甘くてうまいならみんな食後に食べればいいのに。
男が甘味を好むのは軟弱だとか思ってるのか?
古いなー。

この中で一番古い思考を持っているだろう俺は心の中で鼻で笑った。

「ルカ、あの、女の子ってなに?」
「え?あ、この寄宿舎には女の子いないのか?そういえば、いないな?女の子用の寄宿舎が別にあるのか?」

周囲を見回しても、女の子の姿はない。

「この寄宿舎っていうか、ルーツ寄宿学校には女の子、いないよ?先生にはいらっしゃるけど……」

……甘味以上の衝撃。
俺、そんなの聞いてない!!
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