運命なんていらない

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海里編2

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僕はΩとして、機能しない。
どんなに強いヒートがきても、誰かに抱かれたいと思うことがなかった。
抑制剤を飲み、一人やり過ごす。

また、αのフェロモンが僕にはあまり効かないことも分かった。

僕は見た目からしてΩなので、多くのαから番を迫られた。
中には力ずくで、という輩もいたが、すべて撃退した。

そんなある日、Ωの下級生が抱いてほしいと告白してきた。
僕とは違ったΩらしい可愛さを持った男の子だった。
僕のことはΩだと分かっているが、美しい僕に抱かれてみたいと言う。

不思議な気持ちだった。
今後、誰とも性交渉することはないと思っていたが、抱く側か……。 
特に道徳観念なども持ち合わせてなかったので、その日のうちにその名前も知らないΩの下級生を抱いた。

その時に、ピースがはまった感じがした。
あぁ、僕は抱く側こっちだ。

それからは、手当たり次第抱いた。
男も女も、βもΩも。

中には、αもいた。
僕がいろんな人を抱いていると聞いて
「Ωは抱かれる運命なんだから受け入れろ」と、突然襲いかかってきた。
運命?
そんなものぶっ潰してやると、そのままそのαを抱いた。
二度とΩを襲えないように、メスにしてやった。

僕がそんな風に遊び回ってる中、母が死んだ。
通っていたΩの家政婦さんとの心中だった。
死した母の顔は変わらず少女のようだったが、微笑みを浮かべ、人形では決してなかった。

母は見つけたんだ。
運命に定められたちちではなく、自分の愛するかのじょを。

父は母の死を知ると、同じく自死した。
母を追いかけるように。
僕としては父ではなく、名も知らない家政婦さんと母を同じお墓に入れてあげたかったが許される訳もなく、父と母は同じお墓に埋葬された。
死した後も側から離さない。
父の執念を感じた。

僕は、父に似ている。
そんな自分が怖かった。

あの時は人形のように抱かれる母と自分を重ねたが、僕は自分の愛する人を人形にしてしまう方なんじゃないのか?

父のようにはならない。
誰も愛さない。
そう、母の死に誓った。

それなのに僕は君に出会った。
君を、どうしようもなく愛してしまった。
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