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決心する陰キャ
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「うん……あの、驚かないで聞いて欲しいんだけど……」
「お前、まさか……」
え、元ちゃん気づいて……。
「先輩の家の高い物でも壊したのか!?」
「違う!」
「なんだ、違うのか。何やらかしたんだ?」
いやいや。
失礼すぎるよ!
僕が何かやらかすキャラだと……いや、コンビニで働いてた時は毎日やらかして怒られてたな……うん。
「あの、ね。僕、誰かは言わないけど、デートすることになって。ほら、元ちゃんも僕がデートなんかしたことないって、知ってるでしょ?ふわっとデートがどんなのかってことは知ってるけど、どうしたらいいか分かんなくて、相談しに来たんだ」
「ふぅん」
それだけ!?
「で?俺に何のアドバイスが欲しいんだ?メシの場所か?」
「いや、そもそもデートってさ、僕がするもんじゃないって言うか……断りたいんだけど、こう上手く断れないから……」
「腹くくれよ、春澄。この世の中にどんだけあの人と時間過ごしたいって思ってる奴がいるか。それをお前ごときが何断ろうとしてんだ」
あの人って!
誰かは言ってない!!
……まぁ、交遊関係が激狭の僕に他に誰がいるんだって話だけど。
「じゃ、じゃあ、相手が京平さんだと仮定して!あくまで、仮定!そんなさ……僕みたいなのがデートする相手じゃないよ……好きになっちゃいけない人だから」
「誰が決めた?」
「え?」
知らず知らず下を向いていた僕が元ちゃんの言葉に顔をあげる。
元ちゃんはタオルを首から下げたまま、真剣な顔で僕を見ていた。
「好きになっちゃいけないって、誰が決めたんだ?お前だろ。……それに、先輩がお前のこと本気で好きな訳ない。からかわれてるんだよ。お前がマジになったら、冗談だって嘲笑われるに決まって……」
「そんなことしない!京平さんは……好きって気持ちをからかったりするような人じゃない!」
「もう、なってんじゃねぇか」
「え」
元ちゃんは勝ち誇ったように笑った。
「俺の思ってた通りになったな!あの完っ璧な先輩と一緒に暮らして、好きにならない訳ないと思ってたんだよ。下ばっか向いて、全然人と関わらないように生きてた春澄が、前を向くきっかけになれたらって思ってた」
「元ちゃん……なんで、京平さん?そもそも、男同士だよ?」
「お前、古いな?俺は男女含めて、先輩みたいな完璧な人は知らない。先輩なら、好意に慣れてるし、お前を傷つけるような行動は取らない」
首にかけてたタオルをソファーに投げて、したり顔で笑う。
「でも、正直、先輩が春澄のことを好きになるのは、信じられん。あの先輩がコレを?」
おい!
「俺のプランでは、春澄が先輩に惚れて少しでも自分を気にしてもらおうと成長するって流れだったんだが」
そうね。
そのプランなら上手くいったかもね!
でも、まさかの展開なんだよ。
僕が、京平さんみたいなハイスペックな人に好きなってもらえてラッキーくらいに思える陽キャだったら良かったのに。
それはそれで、僕じゃない気はするけど。
また振り出しに戻って暗くなる僕に、元ちゃんはさっき片付けたばかりのテーブルに冷蔵庫から出してきた缶ビールを置く。
もちろん、僕にはお茶も水すらもない。
元ちゃんは風呂上がりの一杯を飲み干した後、平然と僕に言った。
「とりあえず、セックスでもしとけ」
何言ってんの!?
「減るもんじゃないんだから、このチャンスにやっとけ。先輩が男と経験あるのかどうか知らないが、ま、上手いだろ」
「いやいや、デートについて聞きに来たの!セッ……その、エッチのことじゃなくて」
「エッチって、女子高生か。いや、イマドキ女子高生でもセックスだわ」
どっちでもいいだろ!?
「とりあえず、セックスしとけば、お前も変わるかも。いつまでも、そんなウジウジしてても仕方ねぇだろ。……もう、自分を許してやれ」
「元ちゃん……」
「それに、先輩がセックスしたいと本当に思ってんのか?お前に勃つか?俺は勃たない!」
僕だって!!
……でも、そうかも。
京平さんは、僕のことを尚さんに取られたくないとか言ってたけど、お気に入りの玩具を取られたくないみたいな、そんな気持ちだってこともある。
性欲と結び付かないかも。
キスなら簡単にできるけど、男の人は性的な行為は勃起しないとできない。
「……セックス、してみる」
「お前、まさか……」
え、元ちゃん気づいて……。
「先輩の家の高い物でも壊したのか!?」
「違う!」
「なんだ、違うのか。何やらかしたんだ?」
いやいや。
失礼すぎるよ!
僕が何かやらかすキャラだと……いや、コンビニで働いてた時は毎日やらかして怒られてたな……うん。
「あの、ね。僕、誰かは言わないけど、デートすることになって。ほら、元ちゃんも僕がデートなんかしたことないって、知ってるでしょ?ふわっとデートがどんなのかってことは知ってるけど、どうしたらいいか分かんなくて、相談しに来たんだ」
「ふぅん」
それだけ!?
「で?俺に何のアドバイスが欲しいんだ?メシの場所か?」
「いや、そもそもデートってさ、僕がするもんじゃないって言うか……断りたいんだけど、こう上手く断れないから……」
「腹くくれよ、春澄。この世の中にどんだけあの人と時間過ごしたいって思ってる奴がいるか。それをお前ごときが何断ろうとしてんだ」
あの人って!
誰かは言ってない!!
……まぁ、交遊関係が激狭の僕に他に誰がいるんだって話だけど。
「じゃ、じゃあ、相手が京平さんだと仮定して!あくまで、仮定!そんなさ……僕みたいなのがデートする相手じゃないよ……好きになっちゃいけない人だから」
「誰が決めた?」
「え?」
知らず知らず下を向いていた僕が元ちゃんの言葉に顔をあげる。
元ちゃんはタオルを首から下げたまま、真剣な顔で僕を見ていた。
「好きになっちゃいけないって、誰が決めたんだ?お前だろ。……それに、先輩がお前のこと本気で好きな訳ない。からかわれてるんだよ。お前がマジになったら、冗談だって嘲笑われるに決まって……」
「そんなことしない!京平さんは……好きって気持ちをからかったりするような人じゃない!」
「もう、なってんじゃねぇか」
「え」
元ちゃんは勝ち誇ったように笑った。
「俺の思ってた通りになったな!あの完っ璧な先輩と一緒に暮らして、好きにならない訳ないと思ってたんだよ。下ばっか向いて、全然人と関わらないように生きてた春澄が、前を向くきっかけになれたらって思ってた」
「元ちゃん……なんで、京平さん?そもそも、男同士だよ?」
「お前、古いな?俺は男女含めて、先輩みたいな完璧な人は知らない。先輩なら、好意に慣れてるし、お前を傷つけるような行動は取らない」
首にかけてたタオルをソファーに投げて、したり顔で笑う。
「でも、正直、先輩が春澄のことを好きになるのは、信じられん。あの先輩がコレを?」
おい!
「俺のプランでは、春澄が先輩に惚れて少しでも自分を気にしてもらおうと成長するって流れだったんだが」
そうね。
そのプランなら上手くいったかもね!
でも、まさかの展開なんだよ。
僕が、京平さんみたいなハイスペックな人に好きなってもらえてラッキーくらいに思える陽キャだったら良かったのに。
それはそれで、僕じゃない気はするけど。
また振り出しに戻って暗くなる僕に、元ちゃんはさっき片付けたばかりのテーブルに冷蔵庫から出してきた缶ビールを置く。
もちろん、僕にはお茶も水すらもない。
元ちゃんは風呂上がりの一杯を飲み干した後、平然と僕に言った。
「とりあえず、セックスでもしとけ」
何言ってんの!?
「減るもんじゃないんだから、このチャンスにやっとけ。先輩が男と経験あるのかどうか知らないが、ま、上手いだろ」
「いやいや、デートについて聞きに来たの!セッ……その、エッチのことじゃなくて」
「エッチって、女子高生か。いや、イマドキ女子高生でもセックスだわ」
どっちでもいいだろ!?
「とりあえず、セックスしとけば、お前も変わるかも。いつまでも、そんなウジウジしてても仕方ねぇだろ。……もう、自分を許してやれ」
「元ちゃん……」
「それに、先輩がセックスしたいと本当に思ってんのか?お前に勃つか?俺は勃たない!」
僕だって!!
……でも、そうかも。
京平さんは、僕のことを尚さんに取られたくないとか言ってたけど、お気に入りの玩具を取られたくないみたいな、そんな気持ちだってこともある。
性欲と結び付かないかも。
キスなら簡単にできるけど、男の人は性的な行為は勃起しないとできない。
「……セックス、してみる」
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