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パニクる陰キャ
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「あ、あのっ、しゃ、社長の京平さん……いや、あの、岳下さんをよ、呼んで下さい」
「……失礼ですが、アポイントメントはお取りですか?」
「え?アポ、アポインメメント?すみません、ちょっと意味が分からなくて……」
いやだーー!!
もう、ここで突っ伏して泣き叫びたいっ!
さっきから、この美人のお姉さん達に不審者を見る目で見られているには訳があって……。
この少し前。
一通りの仕事が終わっていつも通り空いた時間に中学生向けの参考書を解いていた。
徐々に分かってきて、ちょっと楽しくなってきてる。
中学生当時は、勉強なんて嫌だなって思ってたのに、自分のやる気次第でこんなに受ける感覚が変わるんだな。
……ん?
僕のスマホの着信音だ。
スマホの番号は京平さんと元ちゃんしか知らない。
スマホの画面には京平さんの文字。
「もしもし」
「あ、春澄!今、家にいる?」
「いる」
「良かった!リビングのテーブルの上に水色の小さな封筒あるの分かる?」
僕は勉強をなんとなく落ち着くからといつもリビングのテーブルでしていたので、すぐ横を見ると確かにいつも京平さんが読んでいる難しそうな雑誌の上に小さな封筒があった。
「ある」
「よし!春澄、ごめん。実はその封筒の中身が必要なんだけど、会社まで持ってきて貰えないかな?取りに帰れれば良かったんだけど、時間がないんだ。受付で名前を出してもらったら大丈夫にしておくから。コンシェルジュにタクシーを頼んでおくから、そのまま来て」
「わ、分かった」
「ありがとう。よろしくね」
京平さんの声音からもこれが大切な物で、どうしても必要なことが分かった。
急いで準備をして、封筒もしっかり持って、マンションの下まで急いだ。
で、京平さんの会社の受付の前で、美人のお姉さん二人に睨まれてるのが現在。
急ぎすぎて、自分のスマホを忘れてしまい京平さんと連絡が取れない。
場所も会社の名前も間違いないけど、確かにこんな怪しい奴が社長と会いたいって言っても会わせてもらえないよな……。
でも、時間がないかもしれない。
なんとか、繋いでもらわないと!
「あ、あのっ、届け物でっ、必要な物で、あの、急ぐんです!せめて、電話だけでも繋いでもらえないですか?」
「……申し訳ありませんが、アポイントメントのない方とはお繋ぎできません」
ですよね……。
美人のお姉さんの目がますます冷たくなってる……。
ど、どうしよう。
スマホを取りに帰る時間はきっとない。
連絡先……あ、元ちゃんのスマホなら番号覚えてる!
公衆電話で……って、どこにあるか分からない!
電話……貸してもらえるかな?聞いてみようかな?
「あ、あのっ、知り合いに電話するのでっ、電話を貸してはもらえないでしょうか?」
「致しかねます」
うぅ。
そうだよね……会社の電話だし、無料じゃないし。
「じゃあ、お姉さんのスマホ貸してもらえませんか?電話代は払うので!」
「は?警備員呼びますよ!!」
あぁー!
怒らせてしまったー!
そうだよね、言い方が怪しかったよね……。
お姉さんのスマホ目当てみたいに思ったよね……。
どうしよう。
京平さんが困っているのに助けられない。
せっかく、僕なんかを頼ってくれたのに……。
子供でも出来るおつかいすらできないのかって、呆れるだろうな。
もう僕は、京平さんに呆れられて、元ちゃんの所に帰れって言われてもいいから、この封筒だけ届けたい。
京平さんの、役に立ちたい!
「あのっ」
「春澄くん?」
僕は諦めきれなくて、もう一度お姉さん達に説明しようと声をあげようとした瞬間に、僕の名前を背後から呼ばれた。
その声の方を見ると、明るめで光沢のある紺色のスーツに臙脂のネクタイ、長身で清潔感のある明るめの茶色の髪、今時の塩顔イケメンがいた。
誰?
とりあえず、名前を呼ばれたので軽く頷く。
「やっぱり春澄くんだよね?いやー、良かった~」
突然、笑いながら、肩を組まれる。
よ、陽キャだーー!
「……失礼ですが、アポイントメントはお取りですか?」
「え?アポ、アポインメメント?すみません、ちょっと意味が分からなくて……」
いやだーー!!
もう、ここで突っ伏して泣き叫びたいっ!
さっきから、この美人のお姉さん達に不審者を見る目で見られているには訳があって……。
この少し前。
一通りの仕事が終わっていつも通り空いた時間に中学生向けの参考書を解いていた。
徐々に分かってきて、ちょっと楽しくなってきてる。
中学生当時は、勉強なんて嫌だなって思ってたのに、自分のやる気次第でこんなに受ける感覚が変わるんだな。
……ん?
僕のスマホの着信音だ。
スマホの番号は京平さんと元ちゃんしか知らない。
スマホの画面には京平さんの文字。
「もしもし」
「あ、春澄!今、家にいる?」
「いる」
「良かった!リビングのテーブルの上に水色の小さな封筒あるの分かる?」
僕は勉強をなんとなく落ち着くからといつもリビングのテーブルでしていたので、すぐ横を見ると確かにいつも京平さんが読んでいる難しそうな雑誌の上に小さな封筒があった。
「ある」
「よし!春澄、ごめん。実はその封筒の中身が必要なんだけど、会社まで持ってきて貰えないかな?取りに帰れれば良かったんだけど、時間がないんだ。受付で名前を出してもらったら大丈夫にしておくから。コンシェルジュにタクシーを頼んでおくから、そのまま来て」
「わ、分かった」
「ありがとう。よろしくね」
京平さんの声音からもこれが大切な物で、どうしても必要なことが分かった。
急いで準備をして、封筒もしっかり持って、マンションの下まで急いだ。
で、京平さんの会社の受付の前で、美人のお姉さん二人に睨まれてるのが現在。
急ぎすぎて、自分のスマホを忘れてしまい京平さんと連絡が取れない。
場所も会社の名前も間違いないけど、確かにこんな怪しい奴が社長と会いたいって言っても会わせてもらえないよな……。
でも、時間がないかもしれない。
なんとか、繋いでもらわないと!
「あ、あのっ、届け物でっ、必要な物で、あの、急ぐんです!せめて、電話だけでも繋いでもらえないですか?」
「……申し訳ありませんが、アポイントメントのない方とはお繋ぎできません」
ですよね……。
美人のお姉さんの目がますます冷たくなってる……。
ど、どうしよう。
スマホを取りに帰る時間はきっとない。
連絡先……あ、元ちゃんのスマホなら番号覚えてる!
公衆電話で……って、どこにあるか分からない!
電話……貸してもらえるかな?聞いてみようかな?
「あ、あのっ、知り合いに電話するのでっ、電話を貸してはもらえないでしょうか?」
「致しかねます」
うぅ。
そうだよね……会社の電話だし、無料じゃないし。
「じゃあ、お姉さんのスマホ貸してもらえませんか?電話代は払うので!」
「は?警備員呼びますよ!!」
あぁー!
怒らせてしまったー!
そうだよね、言い方が怪しかったよね……。
お姉さんのスマホ目当てみたいに思ったよね……。
どうしよう。
京平さんが困っているのに助けられない。
せっかく、僕なんかを頼ってくれたのに……。
子供でも出来るおつかいすらできないのかって、呆れるだろうな。
もう僕は、京平さんに呆れられて、元ちゃんの所に帰れって言われてもいいから、この封筒だけ届けたい。
京平さんの、役に立ちたい!
「あのっ」
「春澄くん?」
僕は諦めきれなくて、もう一度お姉さん達に説明しようと声をあげようとした瞬間に、僕の名前を背後から呼ばれた。
その声の方を見ると、明るめで光沢のある紺色のスーツに臙脂のネクタイ、長身で清潔感のある明るめの茶色の髪、今時の塩顔イケメンがいた。
誰?
とりあえず、名前を呼ばれたので軽く頷く。
「やっぱり春澄くんだよね?いやー、良かった~」
突然、笑いながら、肩を組まれる。
よ、陽キャだーー!
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