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お風呂と陰キャ
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京平さんより先にお風呂に入る。
京平さんがまだ仕事があるから先にお入りと言ってくれたが、僕の後に!?
む、むりぃ!
陰キャはめちゃめちゃそんなの気にする。
余計疲れる。
そう思ったんだけど、京平さんは湯船に浸からないタイプらしくて、さっとシャワーだけだから、その辺は気にしなくて良かった。
「疲れただろう?ゆっくりしておいで」なんてイケボで言われたから、そこは素直に従った。
僕は湯船に浸かりたい!
一日の終わりは絶対。
深夜のコンビニバイト終わりに泥のように疲れてご飯は抜いても、お風呂だけは楽しみだったくらいなんだから。
お風呂場はさすがにライオンの口からお湯は出てなかった。
ちょっとソレ期待してた。
でも、とにかく広くて。
浴槽は京平さんでも身体をゆっくり伸ばせる。
使い方分かる?と言われて大丈夫!と言ったけど、シャワーが思ってたのと違ってて……。
手で持つタイプではなく、突然上から降ってくるやつ。
ちょっとビビった。
シャワーの水が細かいのかあたりが柔らかい。
置いてある高そうなシャンプーやボディソープも使わせて貰った。
めちゃめちゃ香りが良い!
欲しいな……僕でも買えるレベルじゃないよな……。
お湯に浸かる。
僕の身長だと、身体を伸ばしても端に届かない。
普通に浮かべる。
なのに、いつもの癖でちょっと身体を曲げた状態で入り、今日のことをぼーっと考える。
元ちゃんが言った通り、京平さんは聖人君子だった。
僕のオドオドした態度や声の小ささも何も指摘しない。
嫌な顔もしない。
それどころか、買い物にも付き合ってくれたし、ご飯の味も気に入っててくれて。
雇い主のはずなのに、威張るどころかずっと僕に気を遣ってくれていた。
それに、僕のことも可愛いとか良い子とか、褒める。
ここの所、コンビニのお客さんに怒られたり、嫌な顔をされてばかりで、褒められたことなんて久しぶりだった僕には、想像以上に効いてる。
はぁ……困るよ……。
そんなことをぐるぐる考えていたら、
長湯してしまった。
快適すぎて、お昼とかもムダに入りたい。
ふわふわのバスタオルも使わせて貰った。
鏡に写るのは安物のパジャマに身を包んだ、貧相な僕。
顔も不細工……ではないけれど、元ちゃんと血が繋がっているはずなのに、そのイケメン要素は皆無だ。
確かに、最上級の褒め言葉は格好いいではなく、可愛いかもしれない。
美容室なんて、もう行った記憶すらない。
いつも自分で長くなってきたら適当に切っているせいか左右のバランス悪いどころかガタガタだ。
前髪もいつも元ちゃんに切れと言われていたが、視線が遮られた方が安心するので長め。
印象は薄暗い。
こんなの……よく採用してくれたなぁ。
少しずつ、京平さんへの感謝の気持ちが芽生えてきていた。
お風呂から出て、自分の部屋に寝に行く流れで、一応挨拶をしようと京平さんの仕事部屋に行く。
軽くノックして扉を開けると、京平さんは電話中だった。
どうしよう、タイミング悪いし……とオロオロしていたら、笑顔で手のジェスチャーが待って、と示す。
「Je... je vous tiens au courant」
ひーっ、英語ですらないし!
すごいなぁ……。
素直に感心しつつ、格好いいと思ってしまう。
日本人の外国語できない奴って、こんな風に自然に話してる人への憧れが強いよね。
僕はそう。
一気にぽーっとなった。
「ごめんね、お待たせ」
「こっちこそ!お仕事中にごめ、ん。お風呂、快適すぎた。あり、がとう。寝る前に挨拶をって思ったんだけど……」
「あぁ、そうだね。これからも、おやすみの挨拶くらいしようか。仕事でどんなに遅くても待ってるの?」
「待ってるけど、気にしないで。コンビニバイトで一晩中起きてるの慣れてる」
「分かった。じゃあ、私はまだ少し仕事するから、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋を出ようとすると、「春澄」と声をかけられる。
振り返ると、
「パジャマ、似合ってる。可愛いね」
と爽やかな笑顔の京平さん。
僕はぎこちなく薄く笑うと、ぺこりと頭を下げて、そそくさと部屋を出た。
こんな陰キャの安物パジャマ姿ですら褒めてくるなんて!
さすが、外国語が話せるだけある!
そんな意味不明なことを思いながら、自室に帰った。
京平さんがまだ仕事があるから先にお入りと言ってくれたが、僕の後に!?
む、むりぃ!
陰キャはめちゃめちゃそんなの気にする。
余計疲れる。
そう思ったんだけど、京平さんは湯船に浸からないタイプらしくて、さっとシャワーだけだから、その辺は気にしなくて良かった。
「疲れただろう?ゆっくりしておいで」なんてイケボで言われたから、そこは素直に従った。
僕は湯船に浸かりたい!
一日の終わりは絶対。
深夜のコンビニバイト終わりに泥のように疲れてご飯は抜いても、お風呂だけは楽しみだったくらいなんだから。
お風呂場はさすがにライオンの口からお湯は出てなかった。
ちょっとソレ期待してた。
でも、とにかく広くて。
浴槽は京平さんでも身体をゆっくり伸ばせる。
使い方分かる?と言われて大丈夫!と言ったけど、シャワーが思ってたのと違ってて……。
手で持つタイプではなく、突然上から降ってくるやつ。
ちょっとビビった。
シャワーの水が細かいのかあたりが柔らかい。
置いてある高そうなシャンプーやボディソープも使わせて貰った。
めちゃめちゃ香りが良い!
欲しいな……僕でも買えるレベルじゃないよな……。
お湯に浸かる。
僕の身長だと、身体を伸ばしても端に届かない。
普通に浮かべる。
なのに、いつもの癖でちょっと身体を曲げた状態で入り、今日のことをぼーっと考える。
元ちゃんが言った通り、京平さんは聖人君子だった。
僕のオドオドした態度や声の小ささも何も指摘しない。
嫌な顔もしない。
それどころか、買い物にも付き合ってくれたし、ご飯の味も気に入っててくれて。
雇い主のはずなのに、威張るどころかずっと僕に気を遣ってくれていた。
それに、僕のことも可愛いとか良い子とか、褒める。
ここの所、コンビニのお客さんに怒られたり、嫌な顔をされてばかりで、褒められたことなんて久しぶりだった僕には、想像以上に効いてる。
はぁ……困るよ……。
そんなことをぐるぐる考えていたら、
長湯してしまった。
快適すぎて、お昼とかもムダに入りたい。
ふわふわのバスタオルも使わせて貰った。
鏡に写るのは安物のパジャマに身を包んだ、貧相な僕。
顔も不細工……ではないけれど、元ちゃんと血が繋がっているはずなのに、そのイケメン要素は皆無だ。
確かに、最上級の褒め言葉は格好いいではなく、可愛いかもしれない。
美容室なんて、もう行った記憶すらない。
いつも自分で長くなってきたら適当に切っているせいか左右のバランス悪いどころかガタガタだ。
前髪もいつも元ちゃんに切れと言われていたが、視線が遮られた方が安心するので長め。
印象は薄暗い。
こんなの……よく採用してくれたなぁ。
少しずつ、京平さんへの感謝の気持ちが芽生えてきていた。
お風呂から出て、自分の部屋に寝に行く流れで、一応挨拶をしようと京平さんの仕事部屋に行く。
軽くノックして扉を開けると、京平さんは電話中だった。
どうしよう、タイミング悪いし……とオロオロしていたら、笑顔で手のジェスチャーが待って、と示す。
「Je... je vous tiens au courant」
ひーっ、英語ですらないし!
すごいなぁ……。
素直に感心しつつ、格好いいと思ってしまう。
日本人の外国語できない奴って、こんな風に自然に話してる人への憧れが強いよね。
僕はそう。
一気にぽーっとなった。
「ごめんね、お待たせ」
「こっちこそ!お仕事中にごめ、ん。お風呂、快適すぎた。あり、がとう。寝る前に挨拶をって思ったんだけど……」
「あぁ、そうだね。これからも、おやすみの挨拶くらいしようか。仕事でどんなに遅くても待ってるの?」
「待ってるけど、気にしないで。コンビニバイトで一晩中起きてるの慣れてる」
「分かった。じゃあ、私はまだ少し仕事するから、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋を出ようとすると、「春澄」と声をかけられる。
振り返ると、
「パジャマ、似合ってる。可愛いね」
と爽やかな笑顔の京平さん。
僕はぎこちなく薄く笑うと、ぺこりと頭を下げて、そそくさと部屋を出た。
こんな陰キャの安物パジャマ姿ですら褒めてくるなんて!
さすが、外国語が話せるだけある!
そんな意味不明なことを思いながら、自室に帰った。
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