4 / 28
笑顔の陽キャ
しおりを挟む
「お帰り」
「たっ、だいま?」
ノコノコ舞い戻った僕を、京平さんは笑顔で迎い入れてくれた。
さすが、陽キャ王子!
またあのソファーに促され座る。
次はペットボトルのお茶が出てきた。
「あ、あの、とりあえずお試しってことで、やって、みます」
「もちろん、いいよ。お試しでもちゃんと給料は払う。あぁ、その辺の話もしてなかったね。衣食住全て込みにする。ここで家事をしていたら服が汚れるかもしれないし、何か掃除用具が欲しいとかもあるだろう?全て好きに購入して。カードを渡しておこう」
こわっ。
色が金色ですけど?
そんなに僕を簡単に信用していいの?
あ、そうか。
元ちゃんがいる。
僕がカード持って逃げても、カードを停めればいいし、元ちゃんに損害を請求すればいい。
元ちゃんもそこそこお金あるし。
僕じゃなくて、元ちゃんを信用してるんだな。
カードを素直に受けとる。
「私がいない時は自由にして。家にいる必要もない。スケジュールは共有しよう。連絡用のスマホも明日には準備する。給料として、とりあえず三十万でどう?」
「えぇっ!?」
ちょっと、待って!
衣食住込みで三十万って、貰いすぎ!
そんなスキルない、ない!
「あのっ、プロの家政婦さんのお値段とか知らないんですけど、僕は普通のことしかできないので、お金はそんなに頂けないですっ。半分でも貰いすぎですっ」
京平さんが驚いた顔をする。
優しい顔で笑うと、僕の頭を撫でる。
「春澄はイイコだね」
はぁーー?
普通のことしか言ってませんけど?
イケボでイイコって……何、僕を女の子と勘違いしてる?
「雇う私が払うと言うんだから貰っておけばいいのに、半額に値切るんだ?面白いね」
クスクス笑っている。
何が面白いのか分からない。
「まぁ、私も値切られる訳にはいかないからね?あとで口座も教えて。あと、大切なことだけど、春澄の家でもあるけど、女の子は連れて帰らないでね?そのカード使ってホテルに行ってね?」
うっわっ、セクハラ。
完全にアウト。
あと、目はついてる?見えてない?
この僕が女の子を連れ帰るような陽キャに見えるとでも!?
元ちゃんに引きこもってたって聞いてるだろ!
ガツンと言ってやらないと。
「あのっ、僕は童貞なので!」
ぶはっ。
京平さんが飲んでるミネラルウォーター吹き出した。
げほげほ咳き込んでる。
……うん、今のは僕が間違えた。
そんなカミングアウトいらなかった。
「そ、そうなんだ。ごめん、余計なこと言っちゃったね。もちろん、私も女性を連れ帰ったりしないよ。童貞では……ない……ふっふふ、けどね」
そうか。
それは安心した。
最中の声とか聞こえてきたら……想像しただけで暴れだしそうだ。
「あとは、何かある?気になったらお互いその都度言っていこう。私が雇い主ではあるけど、同居するんだから遠慮しないで不満は言って欲しい。改善するように努めるよ」
たった一つ、大切なことがある。
たとえ、数日の間柄でも。
「あの、元ちゃんから聞いてるかもしれないんですけど、夜は帰ってきて欲しいんです。深夜でもいいので。もし、帰れない日は事前に言って下さい。僕も別の所にいます」
「あぁ、軽く聞いたけど、夜に一人で眠れないんだよね?」
僕は頷く。
「分かった。出張とかもあると思うけど、その辺は事前に言えばいいんだよね?」
何度か頷く。
「よし、じゃあとりあえずはやってみようか。部屋に案内するね」
京平さんの後ろについて歩き、簡単な部屋の説明を聞く。
さすが一階に一部屋、無駄に広い。
リビングがとんでもなく広いだけかと思ったら、寝室も仕事部屋も広かった。
最後に僕の部屋に案内される。
小さい部屋かと思っていたら、十畳くらいありそうだ。
備え付けのクローゼットもあり、十分すぎる。
「前にいた、私が実家にいた時から世話になってた家政婦さんが使ってた部屋なんだけど、ベッドがなくて。一応、布団は来客用の物があったから出したんだけど、好きなの買ってね」
「いえ、これで十分です」
わざわざ数日のために買う必要ない。
次の人が好きなのを買えばいい。
説明も終わったことだし、もういいかな?と思っていると、京平さんが近づいてくる。
どうしたんだろう?
背が高いな……と見上げると、少し背を屈め僕の耳元でイケボを炸裂させる。
「一緒に、私のベッドに寝る?」
「ね、寝ないっ!!」
イケメンのイケボは殺傷能力が高すぎる!
僕は耳元を押さえ、涙目で京平さんを睨んだ。
京平さんは、またぶはっと吹き出し、ツボにはまったのか笑い続けている。
「ほんっと、春澄は可愛いなぁ。元に感謝だな」
おもちゃだ……陽キャはすぐ陰キャをおもちゃにしたがる!
くそぅ、いいようにされてたまるか!
「たっ、だいま?」
ノコノコ舞い戻った僕を、京平さんは笑顔で迎い入れてくれた。
さすが、陽キャ王子!
またあのソファーに促され座る。
次はペットボトルのお茶が出てきた。
「あ、あの、とりあえずお試しってことで、やって、みます」
「もちろん、いいよ。お試しでもちゃんと給料は払う。あぁ、その辺の話もしてなかったね。衣食住全て込みにする。ここで家事をしていたら服が汚れるかもしれないし、何か掃除用具が欲しいとかもあるだろう?全て好きに購入して。カードを渡しておこう」
こわっ。
色が金色ですけど?
そんなに僕を簡単に信用していいの?
あ、そうか。
元ちゃんがいる。
僕がカード持って逃げても、カードを停めればいいし、元ちゃんに損害を請求すればいい。
元ちゃんもそこそこお金あるし。
僕じゃなくて、元ちゃんを信用してるんだな。
カードを素直に受けとる。
「私がいない時は自由にして。家にいる必要もない。スケジュールは共有しよう。連絡用のスマホも明日には準備する。給料として、とりあえず三十万でどう?」
「えぇっ!?」
ちょっと、待って!
衣食住込みで三十万って、貰いすぎ!
そんなスキルない、ない!
「あのっ、プロの家政婦さんのお値段とか知らないんですけど、僕は普通のことしかできないので、お金はそんなに頂けないですっ。半分でも貰いすぎですっ」
京平さんが驚いた顔をする。
優しい顔で笑うと、僕の頭を撫でる。
「春澄はイイコだね」
はぁーー?
普通のことしか言ってませんけど?
イケボでイイコって……何、僕を女の子と勘違いしてる?
「雇う私が払うと言うんだから貰っておけばいいのに、半額に値切るんだ?面白いね」
クスクス笑っている。
何が面白いのか分からない。
「まぁ、私も値切られる訳にはいかないからね?あとで口座も教えて。あと、大切なことだけど、春澄の家でもあるけど、女の子は連れて帰らないでね?そのカード使ってホテルに行ってね?」
うっわっ、セクハラ。
完全にアウト。
あと、目はついてる?見えてない?
この僕が女の子を連れ帰るような陽キャに見えるとでも!?
元ちゃんに引きこもってたって聞いてるだろ!
ガツンと言ってやらないと。
「あのっ、僕は童貞なので!」
ぶはっ。
京平さんが飲んでるミネラルウォーター吹き出した。
げほげほ咳き込んでる。
……うん、今のは僕が間違えた。
そんなカミングアウトいらなかった。
「そ、そうなんだ。ごめん、余計なこと言っちゃったね。もちろん、私も女性を連れ帰ったりしないよ。童貞では……ない……ふっふふ、けどね」
そうか。
それは安心した。
最中の声とか聞こえてきたら……想像しただけで暴れだしそうだ。
「あとは、何かある?気になったらお互いその都度言っていこう。私が雇い主ではあるけど、同居するんだから遠慮しないで不満は言って欲しい。改善するように努めるよ」
たった一つ、大切なことがある。
たとえ、数日の間柄でも。
「あの、元ちゃんから聞いてるかもしれないんですけど、夜は帰ってきて欲しいんです。深夜でもいいので。もし、帰れない日は事前に言って下さい。僕も別の所にいます」
「あぁ、軽く聞いたけど、夜に一人で眠れないんだよね?」
僕は頷く。
「分かった。出張とかもあると思うけど、その辺は事前に言えばいいんだよね?」
何度か頷く。
「よし、じゃあとりあえずはやってみようか。部屋に案内するね」
京平さんの後ろについて歩き、簡単な部屋の説明を聞く。
さすが一階に一部屋、無駄に広い。
リビングがとんでもなく広いだけかと思ったら、寝室も仕事部屋も広かった。
最後に僕の部屋に案内される。
小さい部屋かと思っていたら、十畳くらいありそうだ。
備え付けのクローゼットもあり、十分すぎる。
「前にいた、私が実家にいた時から世話になってた家政婦さんが使ってた部屋なんだけど、ベッドがなくて。一応、布団は来客用の物があったから出したんだけど、好きなの買ってね」
「いえ、これで十分です」
わざわざ数日のために買う必要ない。
次の人が好きなのを買えばいい。
説明も終わったことだし、もういいかな?と思っていると、京平さんが近づいてくる。
どうしたんだろう?
背が高いな……と見上げると、少し背を屈め僕の耳元でイケボを炸裂させる。
「一緒に、私のベッドに寝る?」
「ね、寝ないっ!!」
イケメンのイケボは殺傷能力が高すぎる!
僕は耳元を押さえ、涙目で京平さんを睨んだ。
京平さんは、またぶはっと吹き出し、ツボにはまったのか笑い続けている。
「ほんっと、春澄は可愛いなぁ。元に感謝だな」
おもちゃだ……陽キャはすぐ陰キャをおもちゃにしたがる!
くそぅ、いいようにされてたまるか!
2
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

例え何度戻ろうとも僕は悪役だ…
東間
BL
ゲームの世界に転生した留木原 夜は悪役の役目を全うした…愛した者の手によって殺害される事で……
だが、次目が覚めて鏡を見るとそこには悪役の幼い姿が…?!
ゲームの世界で再び悪役を演じる夜は最後に何を手に?
攻略者したいNO1の悪魔系王子と無自覚天使系悪役公爵のすれ違い小説!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる