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加護の恩恵
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「では、我の世界へと降ろそう」
早速!?
「え、ちょっ……まだっ」
自分で一歩踏み出そうと思いはしたが、こんなに急展開だとは思っていなかった!
この世界について、もっと詳しく知りたいし……と声を出そうとした瞬間、意識が混濁する。疲れきって眠気に抗えないような感覚に近い。
「お前の望むように」
上から神様の声が降り注いでくる。
自分が落ちていっているのか神様が上がっていっているのか感覚的には分からないが、すごいスピードで離れていっていることは分かる。
その感覚に意識がついていけず、混濁に合わせるように気を失った。
目を開けると、木の天井が見えた。
何度か瞬きをし、そっと自分の手を上げてみる。
動く。
寝た状態で両手を目の前まで上げ、手のひらを閉じたり開いたりと動作確認するも両手とも問題はない。
足も指を曲げてたり、ぐっと両足を上げたり曲げたりするも、痛みもなく問題ない。
ゆっくりと身体を起こす。
目眩もなく、問題なく立てた。
両手でぺたぺたと顔を触ってみるも痛みも以前との違和感などもなく、事故前と変わらない状態だと思う。
「その、ままだ」
思わず声が出た。少しかすれてはいたけれど、声も同じだ。
「げんじ、つ、だ、な」
神様と会話したことも覚えているし、あの時も意識はあったけれど、あまりに展開が急で現実味がなさすぎて呆然としてしまう。
目を閉じ、何度も意識的に呼吸をする。高鳴る心臓に手を当て、呼吸を繰り返した。
「とりあえず、確認しよう」
……少し、落ち着いた。
誰もいない中、独り言になることは分かっていても声に出す。
自分が目を覚ましたのはベッドの上だった。
シンプルな木のベッドに白い一式の寝具で新品のような清潔さがある。
ここは寝室のようだ。
すべて同一の木の家具で揃えられていて、ベッドの他に箪笥のような衣服を仕舞う家具が置かれている。
窓などはない。
箪笥の引き出しを引くと、衣服や下着が入っている。
たぶん、僕の、だよな?
神様が用意してくれたのだと思うが、やはり手厚い。
「他の部屋も行ってみよう」
寝室の扉を開けると、広い部屋にキッチンのような水場と用具、少し離れた所に四人掛けの椅子とテーブルが置かれていた。
「一人しかいないのに」
四人掛けの椅子とテーブルを見て思わず口にした。
神様は僕がここで僕以外の誰かと食卓を囲む予想で用意したんだろう。
……僕には想像もできないが。
部屋の中央には寛ぐスペースなのか背の低いテーブルとラグが敷かれてあり、その前には暖炉のようなものがある。暖炉に火は入れられていない。
今、事故の前と同じ薄手の長袖シャツを着ているが、寒くは感じない。しかし、暖炉があるということは、必要になるような寒い季節があるってことなんだろうか?
全体的に木と暖炉は煉瓦のような物で造られていて、ログハウスのような様相だ。神様が言っていたように、テレビや冷蔵庫のような機械的な物は無い。
僕の背よりも高い位置に明り取りの窓があり、そこから光が差し込んでいて、電気はなくても部屋は明るい。夜には真っ暗になるんだろうか?
狭いアパート暮らしだった僕にはこの家は十分すぎるほど広い。
まだ、この部屋で自分が生活するイメージは湧かないが、とても落ち着く雰囲気だなと思った。
後は……外だな。
外に出るための扉をちらりと見る。
やはり、知らない世界の外は怖い。
獣人の話を聞きはしたが、それ以外の環境や生物についても何も分からない。
でも、ここにずっと閉じこもる訳にはいかない。
意を決して、外に続いているであろう扉を少し開ける。
キィという音と共にふわっと木の香りが鼻を掠めた。
恐る恐る扉から外を覗くと、そこは森の中だった。
どちらかと言えば都会と呼ばれる地域に住んでいたし、旅行も行ったことがないため、こんなに自然が溢れる場所に訪れたこともなく、森と形容していいかも正直分からない。目の前には公園にあったような背の高い木が見渡す限り生えている。
人影などはなく、ホッと息を吐く。
あらためて外へと踏み出す。
やはり、木しか見えない。
外から見た家は、やはりログハウスのような外観だった。どこからが水の音がするので、近くに川などがありそうだ。
少し周辺を歩いてみようとして気がついたが、目の前にどこかに続いている歩道のようなものがあった。
これも神様が整備してくれたんだろう。近くの村と交易を、と言っていたから村に繋がっているのかもしれない。
「なんか、落ち着くなぁ」
自然と声が出た。
水のせせらぎと木の香りに癒される。
不安でいっぱいだったはずが、どうやって生活していこうかなと思いを巡らせるようになっていた。
まずは川を探そう。
水は必要だし。
なんとなく家の後ろから聞こえているような気がして、歩みを進めた。
そこで、運命の出会いをすることになる。
早速!?
「え、ちょっ……まだっ」
自分で一歩踏み出そうと思いはしたが、こんなに急展開だとは思っていなかった!
この世界について、もっと詳しく知りたいし……と声を出そうとした瞬間、意識が混濁する。疲れきって眠気に抗えないような感覚に近い。
「お前の望むように」
上から神様の声が降り注いでくる。
自分が落ちていっているのか神様が上がっていっているのか感覚的には分からないが、すごいスピードで離れていっていることは分かる。
その感覚に意識がついていけず、混濁に合わせるように気を失った。
目を開けると、木の天井が見えた。
何度か瞬きをし、そっと自分の手を上げてみる。
動く。
寝た状態で両手を目の前まで上げ、手のひらを閉じたり開いたりと動作確認するも両手とも問題はない。
足も指を曲げてたり、ぐっと両足を上げたり曲げたりするも、痛みもなく問題ない。
ゆっくりと身体を起こす。
目眩もなく、問題なく立てた。
両手でぺたぺたと顔を触ってみるも痛みも以前との違和感などもなく、事故前と変わらない状態だと思う。
「その、ままだ」
思わず声が出た。少しかすれてはいたけれど、声も同じだ。
「げんじ、つ、だ、な」
神様と会話したことも覚えているし、あの時も意識はあったけれど、あまりに展開が急で現実味がなさすぎて呆然としてしまう。
目を閉じ、何度も意識的に呼吸をする。高鳴る心臓に手を当て、呼吸を繰り返した。
「とりあえず、確認しよう」
……少し、落ち着いた。
誰もいない中、独り言になることは分かっていても声に出す。
自分が目を覚ましたのはベッドの上だった。
シンプルな木のベッドに白い一式の寝具で新品のような清潔さがある。
ここは寝室のようだ。
すべて同一の木の家具で揃えられていて、ベッドの他に箪笥のような衣服を仕舞う家具が置かれている。
窓などはない。
箪笥の引き出しを引くと、衣服や下着が入っている。
たぶん、僕の、だよな?
神様が用意してくれたのだと思うが、やはり手厚い。
「他の部屋も行ってみよう」
寝室の扉を開けると、広い部屋にキッチンのような水場と用具、少し離れた所に四人掛けの椅子とテーブルが置かれていた。
「一人しかいないのに」
四人掛けの椅子とテーブルを見て思わず口にした。
神様は僕がここで僕以外の誰かと食卓を囲む予想で用意したんだろう。
……僕には想像もできないが。
部屋の中央には寛ぐスペースなのか背の低いテーブルとラグが敷かれてあり、その前には暖炉のようなものがある。暖炉に火は入れられていない。
今、事故の前と同じ薄手の長袖シャツを着ているが、寒くは感じない。しかし、暖炉があるということは、必要になるような寒い季節があるってことなんだろうか?
全体的に木と暖炉は煉瓦のような物で造られていて、ログハウスのような様相だ。神様が言っていたように、テレビや冷蔵庫のような機械的な物は無い。
僕の背よりも高い位置に明り取りの窓があり、そこから光が差し込んでいて、電気はなくても部屋は明るい。夜には真っ暗になるんだろうか?
狭いアパート暮らしだった僕にはこの家は十分すぎるほど広い。
まだ、この部屋で自分が生活するイメージは湧かないが、とても落ち着く雰囲気だなと思った。
後は……外だな。
外に出るための扉をちらりと見る。
やはり、知らない世界の外は怖い。
獣人の話を聞きはしたが、それ以外の環境や生物についても何も分からない。
でも、ここにずっと閉じこもる訳にはいかない。
意を決して、外に続いているであろう扉を少し開ける。
キィという音と共にふわっと木の香りが鼻を掠めた。
恐る恐る扉から外を覗くと、そこは森の中だった。
どちらかと言えば都会と呼ばれる地域に住んでいたし、旅行も行ったことがないため、こんなに自然が溢れる場所に訪れたこともなく、森と形容していいかも正直分からない。目の前には公園にあったような背の高い木が見渡す限り生えている。
人影などはなく、ホッと息を吐く。
あらためて外へと踏み出す。
やはり、木しか見えない。
外から見た家は、やはりログハウスのような外観だった。どこからが水の音がするので、近くに川などがありそうだ。
少し周辺を歩いてみようとして気がついたが、目の前にどこかに続いている歩道のようなものがあった。
これも神様が整備してくれたんだろう。近くの村と交易を、と言っていたから村に繋がっているのかもしれない。
「なんか、落ち着くなぁ」
自然と声が出た。
水のせせらぎと木の香りに癒される。
不安でいっぱいだったはずが、どうやって生活していこうかなと思いを巡らせるようになっていた。
まずは川を探そう。
水は必要だし。
なんとなく家の後ろから聞こえているような気がして、歩みを進めた。
そこで、運命の出会いをすることになる。
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