素直じゃない男

com

文字の大きさ
上 下
2 / 7

素直じゃない男2

しおりを挟む
最近良く行くコンビニのバイト君になつかれてしまった。

仕事帰りにビールを買うと必ずと言って良いほど何かを「オマケだ」と言って袋に忍ばせてくる。

更には休憩と称して公園でビールを飲む私の隣に座って無表情でパンをかじっていたりもする。

こんなおばさん捕まえて何がしたいのだろう。


ナンパなのかとも思ったけれどそれは本人が否定しているので違うとは思う。ならばこの状況は何なのだろう。流石に大学生の気まぐれを自惚れに変換出来るほど夢の世界には生きていない私。


暇を持て余した大型犬?がなついたって感じかな。

まあ、見た目だけは悪くないし若い子と過ごすのも悪くないかな。

そうして1年ほど毎日二言三言話して帰る日々が続いた頃、

いつもの様に現れた直樹君が何故か小さな小箱を持って何かを呟いてきた。


「結婚を前提に付き合って」


「は?無理」


とっさに条件反射で求婚もどき(?)を断った。

いやいやいや、君大学生でしょ?経済力の無い学生君が計画性もなく求婚したらあかんだろ!第一、若い子に行きなさいよ!君が働き盛りの社会人になる頃には私更におばさんになんのよ?!

ばあちゃんになっても愛せる自信がないなら軽々しく結婚を前提になんて言うなこら!


思わずまくし立てるとそれを聞いた直樹君は無言で眉間に皺をよせて立っていたが、次の瞬間踵を返し去って行った。


ふい~!あぶねぃ!若者の戯れに巻き込まれるところだったぜぃ!


しおりを挟む

処理中です...