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想像以上の……
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人目のある食堂であれば咎められることはないと分かってから、リリアムは頻繁にミアを昼食に誘う。
あれから、ミアとリリアムの関係は正常化した。リリアムに妙なちょっかいをかけられることはもう無い。ただし、リリアムはミアに会うたびに気の毒そうな顔をするし、ニコラには毛虫を見るような視線を向ける。
リリアムは、食堂の真ん中の席で、油を吸いすぎた揚げ芋とヤンデレが心から苦手で、明るく軽快な性交こそ最上だから、交際は単純明快であるべきだ、とテーブルを叩いて大声で主張している。
食堂は昼時だ。周りに座っていた騎士たちが咽せたり、咳払いをしたりした。
ミアはリリアムの赤裸々な主張を聞き流して、猥談に頬を染めもしない。そういう所が、色々あってもリリアムがミアに寄って来る理由だ。
「疲れていますね。まだギルドに通っているのですか?」
ミアがギルドの話題に触れると、リリアムは食卓に身を乗り出して愚痴を言い始める。
「ミアぁ、ギルドはひどいところだ。なんだあれは? 父上の訓練と比べ物にならないほどキツい。父上のは所詮根性論だった。体力はつくがそればかりだ」
リリアムが父ウィリアムの事を話題にして、近くに座っていた騎士が数人席を立った。ウィリアムもまた騎士たちにトラウマを与えた者の一人だ。
「あのね、ミア、ロイ・アデルアという教官がいてね、最悪なんだ。肉体的にも精神的にも追い込まれて、吐くものがなくて胃液すら出ない。一緒に訓練に参加していたギルドの新人がアデルア教官を『悪魔のトロン』と陰で呼んでいるのを聞いたよ。その呼び名、完全に同意する」
トロンは嘔吐剤の材料になる植物だ。毒はないがうっかり食べると胃にものを入れる度に吐くことになる。ひどいあだ名をつけられたものだ。
ミアには吐くほどの特訓の想像はつかないが、うっかり野草に混じっていたトロンを食べて、吐くものが無くても嘔吐く辛さは経験済みだった。あれは辛い、なるほどと、頷いて見せた。
「へえ、ロイさんて、そんなお強いんですね」
「知っているのか?」
「まぁ……ニコラ様のお知り合いですので」
ロイがニコラの義理の兄で、愛しい姫を奪われた恋敵だとは死んでも明かすことはできない。
ニコラはロイ・アデルアのことになると途端に元気をなくす。ロイに完勝するような点が見当たらないのが原因だ。借金のことも気にしているに違いない。
(変態性だったらニコラ様の勝ちだけど、あまり喜ばないだろうな)
と、少し気の毒に思った。
「じゃぁ、隊長もあの訓練を受けたの? だから隊長はあんな技を――納得だな。はぁ、それにしても嫌だなぁ。明日、行きたく無いんだ。サボりたい」
リリアムが、イヤイヤと頭を振る。よくしゃべる割に食事を口に運ぶ手は休まない。
騎士棟で働く者は誰でも自由に棟の食堂を利用できる事になっている。
今日の昼食は鶏肉の半身揚げで、色よく揚がった肉にスパイスの効いたスープが添えられている。体を動かすことの多い騎士たちに人気のメニューだ。リリアムは既にお代わりをして一羽分を食べ尽くす勢いだ。
ミアは、家政婦が用意しておいてくれる食事を無駄にできなくて、いつも残りを昼食として持参している。
食堂の料理番はそれを知っていて、騎士たちに比べれば、ままごとほどの量で取り分けてミアの前に置く。
チラチラと騎士たちから視線が集まるのは、真面目であまり笑わないミアが、ものを食べる時は満面の笑みを浮かべるという噂が広まったからだ。
「ロイさんもニコラ様と同じように、サボったり手を抜いたりすると、許してくれそうにありませんよ」
ミアは酷薄そうな表情の割に面倒見の良いギルド職員を思い浮かべた。いつも怠そうにしている相棒のタリムの世話をする手つきは一日二日で培ったものではないだろう。
アディアール家にまつわる男たちには、何か似通った偏執性を感じる。
「やだっ、執着の酷い人間は嫌なんだっ! あんな訓練を人にやらせるなんて、絶対性癖が曲がってるに違いない! 私は昨日の訓練だけで三回死んだよ。複雑な開錠の訓練で、一手順違えただけで弓矢が飛んでくるんだ。殺されかけて、あんなの短時間で解けるわけないよ。そりゃ、アデルア教官はやって見せてくれたけど、極限状況であんなに動くの異常だろ?! 誰もかれも、顔ばっかりの変態じゃないかっ」
リリアムだってその変態の一味であることは棚にあげて、ニコラとロイをこき下ろす。
ついには、リリアムは鼻水を啜り上げ、袖で涙を拭った。貴族の娘らしい迫力のある美人が、喧嘩に負けた悪童のようなしぐさをするので、ミアの中の貴族像はぐちゃぐちゃになりつつある。
(ロイさんに変態性でも勝てないかもしれないとニコラ様が知ったら、がっかりするかしら……)
「ほんと……どうなってるんですかね」
*
ニコラの娼婦熱はまだ続いているようだった。
宿直が続いて、夜遅くに帰宅したニコラを先に帰ったミアが出迎える。
一度室内に足を踏み入れたくせに、ニコラは神妙な顔をして「もう一度、出迎えてみてくれないか?」とドアを閉めて表へ出た。
――今日も様子がおかしい。
「ニコラ様、おかえりなさいませ」
ミアが言われたように出迎えると、ニコラが真面目な顔で訂正する。
「いや、その……旦那様と」
ミアは極力頭を使わないようにして、再び開けられた玄関扉に向かい、ニコラの要求に応える。
「旦那様、おかえりなさいませ」
ただいまという言葉が聞こえないと思って視線をあげると、ニコラは口を押えて悶えている。
赤面しながら「ふぁ」とか、「んぐっ」とか「想像以上の破壊力だ」とか言ってるのは聞こえないふりをした。きっと娼婦熱の一端なのだなと、なかなか改善しないニコラの病を心配した。
「いや、やっぱりこれはやめておこう。少し調子に乗り過ぎたようだ」
「なんだかよくわかりませんが、おかえりなさいませ。……その、帰宅の挨拶をなさらないのですか?」
いつものように手を広げて待つと、ニコラが思った以上の勢いで飛びついてくる。
「はあ、やっと我が家だ……ただいま、ミア、会いたかった……ミア……ミア……」
そう言って顔中にキスを降らせる。
(城で働いている人が今のニコラ様を見たら、さすがにリリアム様と同じ顔をするわよね……)
ミアの心配をよそに、ニコラはミアの手にも口付ける。
「け、結婚してくれないか?」
顔を合わせればそういうのが習慣になっているのだろうか。あれからニコラは気軽にミアに求婚を繰り返している。
「お断りしました。着替えていらっしゃる間に夕食を温めておきますね」
「ありがとう。ならば、今日は私が片付けだな」
求婚を断られたことに萎れることもなく、颯爽と自室へ向かっていくニコラを不思議な気持ちで見送る。
ニコラが家にいると暖かく感じる。
今日のようにニコラが帰ってくるときには部屋を暖めておくのだが、その暖かさとは違うような気がする。
路上で子供同士身を寄せ合っていた時だって人の体温を感じることはあったが、それもまた違うなと首をひねる。
ニコラと囲む晩餐は楽しいものだ。
昼間リリアムがギルドの訓練をいかに嫌がっていたか話して聞かせれば、ニコラは柄にもなく腹を抱えて笑った。
食堂で食べた新しいメニューや、別の部署を訪れた時に目にした見慣れない薬草畑のこと、リシルが通りかかって菓子をくれたことなどをミアが報告すれば、ニコラも王子たちの困った素行を皮肉たっぷりに打ち明ける。
暖炉の薪が弾けて炭になるまで、腹を満たして、話をして、眠る時はふかふかのベッドが待っているのだ。
夜中に酔っぱらいに見つかって追いかけられたり、人攫いが小さな子を端から連れ去るかもしれないと怯えなくてもいい。
ミアにはこの瞬間、何も望むものが無い。
「――おやすみなさいませ」
「部屋まで送ろう」
部屋までついてきたニコラは、機嫌良くミアに幾重にも柔らかな布団を掛け、額におやすみのキスをする。
なかなか出て行こうとしないので、夜伽を申し出たが、断られた。この辺のニコラの匙加減がミアにはよくわからない。
好きだと言うなら好きに貪れば良さそうなものだが、理性が負けてこないとニコラはミアに仕事をさせてくれない。
「ミアが眠るまで見ていてもいいだろうか?」
「ご自由に。でもニコラ様も早くお休みくださいよ」
正直、落ち着かないなとは思ったが、ニコラがそうしたいのなら断る理由がない。
「わかっている。せっかく明日は休みだし、好きな事をしたい」
ミアが寝入るのを見守ることがニコラの「好きな事」なのは何か妙ちくりんな気はしたが、ニコラが椅子を持ち出してきて、部屋に居座るようだとわかって、それならばと目を閉じる。
ニコラの手が髪を撫でたり、こめかみあたりに温かな唇が押し当てられるのを感じながら、ミアはゆるゆると眠りに落ちる。
あれから、ミアとリリアムの関係は正常化した。リリアムに妙なちょっかいをかけられることはもう無い。ただし、リリアムはミアに会うたびに気の毒そうな顔をするし、ニコラには毛虫を見るような視線を向ける。
リリアムは、食堂の真ん中の席で、油を吸いすぎた揚げ芋とヤンデレが心から苦手で、明るく軽快な性交こそ最上だから、交際は単純明快であるべきだ、とテーブルを叩いて大声で主張している。
食堂は昼時だ。周りに座っていた騎士たちが咽せたり、咳払いをしたりした。
ミアはリリアムの赤裸々な主張を聞き流して、猥談に頬を染めもしない。そういう所が、色々あってもリリアムがミアに寄って来る理由だ。
「疲れていますね。まだギルドに通っているのですか?」
ミアがギルドの話題に触れると、リリアムは食卓に身を乗り出して愚痴を言い始める。
「ミアぁ、ギルドはひどいところだ。なんだあれは? 父上の訓練と比べ物にならないほどキツい。父上のは所詮根性論だった。体力はつくがそればかりだ」
リリアムが父ウィリアムの事を話題にして、近くに座っていた騎士が数人席を立った。ウィリアムもまた騎士たちにトラウマを与えた者の一人だ。
「あのね、ミア、ロイ・アデルアという教官がいてね、最悪なんだ。肉体的にも精神的にも追い込まれて、吐くものがなくて胃液すら出ない。一緒に訓練に参加していたギルドの新人がアデルア教官を『悪魔のトロン』と陰で呼んでいるのを聞いたよ。その呼び名、完全に同意する」
トロンは嘔吐剤の材料になる植物だ。毒はないがうっかり食べると胃にものを入れる度に吐くことになる。ひどいあだ名をつけられたものだ。
ミアには吐くほどの特訓の想像はつかないが、うっかり野草に混じっていたトロンを食べて、吐くものが無くても嘔吐く辛さは経験済みだった。あれは辛い、なるほどと、頷いて見せた。
「へえ、ロイさんて、そんなお強いんですね」
「知っているのか?」
「まぁ……ニコラ様のお知り合いですので」
ロイがニコラの義理の兄で、愛しい姫を奪われた恋敵だとは死んでも明かすことはできない。
ニコラはロイ・アデルアのことになると途端に元気をなくす。ロイに完勝するような点が見当たらないのが原因だ。借金のことも気にしているに違いない。
(変態性だったらニコラ様の勝ちだけど、あまり喜ばないだろうな)
と、少し気の毒に思った。
「じゃぁ、隊長もあの訓練を受けたの? だから隊長はあんな技を――納得だな。はぁ、それにしても嫌だなぁ。明日、行きたく無いんだ。サボりたい」
リリアムが、イヤイヤと頭を振る。よくしゃべる割に食事を口に運ぶ手は休まない。
騎士棟で働く者は誰でも自由に棟の食堂を利用できる事になっている。
今日の昼食は鶏肉の半身揚げで、色よく揚がった肉にスパイスの効いたスープが添えられている。体を動かすことの多い騎士たちに人気のメニューだ。リリアムは既にお代わりをして一羽分を食べ尽くす勢いだ。
ミアは、家政婦が用意しておいてくれる食事を無駄にできなくて、いつも残りを昼食として持参している。
食堂の料理番はそれを知っていて、騎士たちに比べれば、ままごとほどの量で取り分けてミアの前に置く。
チラチラと騎士たちから視線が集まるのは、真面目であまり笑わないミアが、ものを食べる時は満面の笑みを浮かべるという噂が広まったからだ。
「ロイさんもニコラ様と同じように、サボったり手を抜いたりすると、許してくれそうにありませんよ」
ミアは酷薄そうな表情の割に面倒見の良いギルド職員を思い浮かべた。いつも怠そうにしている相棒のタリムの世話をする手つきは一日二日で培ったものではないだろう。
アディアール家にまつわる男たちには、何か似通った偏執性を感じる。
「やだっ、執着の酷い人間は嫌なんだっ! あんな訓練を人にやらせるなんて、絶対性癖が曲がってるに違いない! 私は昨日の訓練だけで三回死んだよ。複雑な開錠の訓練で、一手順違えただけで弓矢が飛んでくるんだ。殺されかけて、あんなの短時間で解けるわけないよ。そりゃ、アデルア教官はやって見せてくれたけど、極限状況であんなに動くの異常だろ?! 誰もかれも、顔ばっかりの変態じゃないかっ」
リリアムだってその変態の一味であることは棚にあげて、ニコラとロイをこき下ろす。
ついには、リリアムは鼻水を啜り上げ、袖で涙を拭った。貴族の娘らしい迫力のある美人が、喧嘩に負けた悪童のようなしぐさをするので、ミアの中の貴族像はぐちゃぐちゃになりつつある。
(ロイさんに変態性でも勝てないかもしれないとニコラ様が知ったら、がっかりするかしら……)
「ほんと……どうなってるんですかね」
*
ニコラの娼婦熱はまだ続いているようだった。
宿直が続いて、夜遅くに帰宅したニコラを先に帰ったミアが出迎える。
一度室内に足を踏み入れたくせに、ニコラは神妙な顔をして「もう一度、出迎えてみてくれないか?」とドアを閉めて表へ出た。
――今日も様子がおかしい。
「ニコラ様、おかえりなさいませ」
ミアが言われたように出迎えると、ニコラが真面目な顔で訂正する。
「いや、その……旦那様と」
ミアは極力頭を使わないようにして、再び開けられた玄関扉に向かい、ニコラの要求に応える。
「旦那様、おかえりなさいませ」
ただいまという言葉が聞こえないと思って視線をあげると、ニコラは口を押えて悶えている。
赤面しながら「ふぁ」とか、「んぐっ」とか「想像以上の破壊力だ」とか言ってるのは聞こえないふりをした。きっと娼婦熱の一端なのだなと、なかなか改善しないニコラの病を心配した。
「いや、やっぱりこれはやめておこう。少し調子に乗り過ぎたようだ」
「なんだかよくわかりませんが、おかえりなさいませ。……その、帰宅の挨拶をなさらないのですか?」
いつものように手を広げて待つと、ニコラが思った以上の勢いで飛びついてくる。
「はあ、やっと我が家だ……ただいま、ミア、会いたかった……ミア……ミア……」
そう言って顔中にキスを降らせる。
(城で働いている人が今のニコラ様を見たら、さすがにリリアム様と同じ顔をするわよね……)
ミアの心配をよそに、ニコラはミアの手にも口付ける。
「け、結婚してくれないか?」
顔を合わせればそういうのが習慣になっているのだろうか。あれからニコラは気軽にミアに求婚を繰り返している。
「お断りしました。着替えていらっしゃる間に夕食を温めておきますね」
「ありがとう。ならば、今日は私が片付けだな」
求婚を断られたことに萎れることもなく、颯爽と自室へ向かっていくニコラを不思議な気持ちで見送る。
ニコラが家にいると暖かく感じる。
今日のようにニコラが帰ってくるときには部屋を暖めておくのだが、その暖かさとは違うような気がする。
路上で子供同士身を寄せ合っていた時だって人の体温を感じることはあったが、それもまた違うなと首をひねる。
ニコラと囲む晩餐は楽しいものだ。
昼間リリアムがギルドの訓練をいかに嫌がっていたか話して聞かせれば、ニコラは柄にもなく腹を抱えて笑った。
食堂で食べた新しいメニューや、別の部署を訪れた時に目にした見慣れない薬草畑のこと、リシルが通りかかって菓子をくれたことなどをミアが報告すれば、ニコラも王子たちの困った素行を皮肉たっぷりに打ち明ける。
暖炉の薪が弾けて炭になるまで、腹を満たして、話をして、眠る時はふかふかのベッドが待っているのだ。
夜中に酔っぱらいに見つかって追いかけられたり、人攫いが小さな子を端から連れ去るかもしれないと怯えなくてもいい。
ミアにはこの瞬間、何も望むものが無い。
「――おやすみなさいませ」
「部屋まで送ろう」
部屋までついてきたニコラは、機嫌良くミアに幾重にも柔らかな布団を掛け、額におやすみのキスをする。
なかなか出て行こうとしないので、夜伽を申し出たが、断られた。この辺のニコラの匙加減がミアにはよくわからない。
好きだと言うなら好きに貪れば良さそうなものだが、理性が負けてこないとニコラはミアに仕事をさせてくれない。
「ミアが眠るまで見ていてもいいだろうか?」
「ご自由に。でもニコラ様も早くお休みくださいよ」
正直、落ち着かないなとは思ったが、ニコラがそうしたいのなら断る理由がない。
「わかっている。せっかく明日は休みだし、好きな事をしたい」
ミアが寝入るのを見守ることがニコラの「好きな事」なのは何か妙ちくりんな気はしたが、ニコラが椅子を持ち出してきて、部屋に居座るようだとわかって、それならばと目を閉じる。
ニコラの手が髪を撫でたり、こめかみあたりに温かな唇が押し当てられるのを感じながら、ミアはゆるゆると眠りに落ちる。
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