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返事は?*
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条件付けとは恐ろしい。何度も繰り返すうちに、ミアは口の中に刺激を受けると、期待であっという間に下着を湿らせてしまうまでになった。
何度も絶頂に導かれて、くたくただ。
ニコラは昂りを硬くしたまま、自らを解放することなく口付けを繰り返す。
今度こそ翻弄される前に、娼婦としての仕事をしようと、力の入らない体に鞭打ってニコラの下半身に手を伸ばす。
「ミア、いけない」
「どうしてですか? わたしがして差し上げるのは嫌なのですか?」
「ミアから奉仕されたら、悪いことをしている気持ちになりそうなのだ」
こんな変態的な口付けを繰り返して、悪いことをしている気持ちにならないのだとしたら、ニコラはやはり少し変わっているとしか言いようがない。ミアは溜息を吐く。
「リリアム様には口付けを許しておいでだったではありませんか」
ニコラに何度も繰り返しぐずぐずにされ、ミアは少しやさぐれていた。
形にならなかったモヤモヤが、今はわかりやすい感情となって勝手に口から飛び出す。
「いや、そんなことなかっただろう?」
「いいえ、ありました。他の方にお許しになるなら、わたしがしてもいいじゃないですか」
「別にガーウィンにさせたわけじゃない。あいつが勝手に」
その呼び方もそうだ。
騎士になってからのリリアムは、やけにニコラに手をかけてもらっているように見える。
「拒んだようには見えませんでした」
「なら、ミアだって、ガーウィンに好きなようにさせて――あそこまで弄ばれる前に叫んだり、拒んだりすることも出来ただろうに。いったい何を遠慮していたのだ? 私以外からも、求められれば与えるのか?!」
ニコラは正論を述べているようで、拗ねているようにも見える。
「わたし、あんなことで騒ぎになったらニコラ様が困ると思って――だいたい、ちゃんと傷つけられる前に拒みました! なんですか、処女を好む変態ではないとおっしゃったくせに、リリアム様に先に手をつけられた事、根に持っていらっしゃったのですね」
「もちろんそんな悪癖はない、ただ、私は……」
「ただ、なんです? 何かずっと言い淀んでらっしゃることがおありでしょう?」
ニコラは明らかに怯んだ。
しっかり服を整えてあるが、ついさっきまでミアの腹あたりまで口付けを繰り返し、無数の執着の跡をつけていたのだ。今更、騎士ぶって高尚なことなど言えはしない。
「私は、ただ、ミアを他の誰かに触らせたくなかったのだ。独占したかった……ミアに触れるのは全て私で、どこもかしこも私だけのものであって欲しかったのだ――何が騎士だ、ガーウィンなどに何もかも先を越されて。何者からも守り切るつもりだったのに……」
「今更何をおっしゃっているのですか? わたしに娼婦の仕事をさせてくれなかったのはニコラ様じゃないですか」
ミアもニコラも心の中の澱を吐き出すようにして互いにぶつける。ずっと舌を交わらせていたせいか、この瞬間は言いたかったことがするすると言葉になる。
「ミアに娼婦の仕事はさせたくなかったのは、本当なのだ……」
ニコラの言い訳を聞きながら、ミアは、リリアムが嬉しそうにニコラの頬に口付けた様を思い出して面白くない気持ちになった。
ニコラこそ、あれだけの身のこなしならば、キスの一つや二つ、避けたり拒んだり出来ただろうに。
「リリアム様は騎士としてニコラ様と働けて、実にうれしそうですね。ニコラ様に命じられると、ボールを投げられた犬のように従います。リリアム様には仕事を与えて、わたしには『動くな、じっとしていろ』と言うのですか」
「いや、その――待て、それは同じ話か?」
ニコラはしきりに首を傾げて、話の脈略を探ろうとする。
ミアはニコラの昂った男性の象徴をピッと指差して、ニコラに問う。
「そうなってしまったのを、どうなさるおつもりですか? また私を置き去りにしてご自分でされるのですか?」
「だから、そんなこと、ミアには……」
「なら、こう致しましょう」
ミアはニコラの膝に跨ると、精一杯背を伸ばして、ニコラの目を見る。
「ニコラ、動くことは許しません。私の言うことがわかるわね」
ツンと顎を上げて半眼で見下げるようにしてニコラを睨め付ける。その途端に、ニコラは動きを止めてこくりと喉を鳴らす。ニコラは既にこの遊びを知っている。
「返事は?」
急速に頬を赤らめ、触れた所からでもわかるほど鼓動が早くなる。息が浅くて荒い。
迷いに迷って唇に触れるか触れないかの場所まで顔を近づけて、結局触れずに騎士がするように背筋を伸ばし、規則正しく返事をする。
「……はい、姫様」
ニコラは出来る限りミアに触れないようにしながら、ミアを支えることに専念している。跨った股間で服を隔てて互いの秘部が擦れ合って、ニコラの陰茎が跳ねたのを感じた。
「私に口付けをしながら、こんなことになってしまったのね」
「はい、申し訳ございません。あまりに姫様が愛らしくて……」
「それで、この後はどうするの? 私の傍に侍るのを放棄して、自室に籠って鍵をかけて、それから?」
ニコラはぎゅっと目を瞑る。
「姫様、浅ましい私をお許しください」
ミアは勉強熱心だ。艶本で騎士が許せと言って、許した姫がいないのを学習済みだ。
「いいえ、許さないわ。ニコラ、教えてちょうだい。私を置いて、自室に戻って、何を想ってこの熱を解放するつもりだったの? ニコラの本当の姫様のことかしら、それとも亡き姫様の面影を追うの? ニコラはお姫様が好きだものねぇ……」
ミアはうっかりそんな事を訊いてしまって、やりすぎたかと冷や汗かく。
ニコラは呼吸を速くしたま小さく首を振る。
「姫様、私は……お仕えする貴女だけを想って……」
ミアはニコラの自慰の告白に、内心悲鳴をあげながら平静を装う。
「まぁ、驚いた。私を想像して慰めるのね」
「お許しください。私は姫様で何度も、何度も――」
許しを乞うように両手でミアの手を握るニコラは今にも泣き出しそうだ。
「いいのよ、ニコラ。私を想像で汚したこと、許しましょう。他にもお姫様がいるのに、私を選んだ褒美を与えなければならないわね。いい、じっとしていてね……」
ニコラは叱られた子供のように身を縮ませて、ミアの叱責を受け入れている。
ミアはニコラの頬を撫で、両手で頭を引き寄せると、リリアムが口付けた場所を狙って唇をつける。
「うあぁぁぁっ!!」
「ひゃっ!」
唇が押し当てられると、ニコラは目をつぶってぶるぶると震え、ミアに縋り付いてぎゅうぎゅうに抱きしめた。
何事か不手際があったかとミアは悲鳴を上げて動きを止めたが、ニコラは短く喘ぎながらびくりびくりと腹筋を波打たせている。
「え……ニコラ様?」
「……」
「大丈夫ですか?」
ニコラはミアの肩に顔を埋めたまま頭をあげられないでいる。擦りあった股間は湿っていてニコラの現状を知らせる。
ニコラは精を服の中に放ってしまって、ひどいことになっているはずだ。
何だかむず痒い雰囲気になってしまって、ミアは宥めるようにニコラの頭を撫でてみる。
思ったよりも柔らかい手触りだ。
「……言い訳をしてもいいだろうか」
しばらくして少し落ち着いたのか、肩から顔は上げずにそのままくぐもった声でニコラが言う。
「その……私は、常にはこんな……早漏だということはないのだ」
「わ、わかっておりますよ。ニコラ様はなんというか、その、そういうこと、大変お上手ですもの」
「ミアが……あまりにも私の望み通りにふるまってくれるから……すごく、悦くて、悦くて……あんな……」
「そ、それはお気に召していただけたならよかったです」
「……まさか、頬に口付けされただけで果ててしまうとは……あんなふうにされたら、もう、私は……」
照れ隠しなのか、ぐりぐりと肩に頭を擦り付けてきて、何だか愛らしい。
「い、いいじゃありませんか! 花街では早ければ早いほどいいお客様だと言われますよ!」
言ってみてから、気まずい空気が流れたが、ミアもいっぱいいっぱいで、もうそれをどうにかできるだけの機転はきかなかった。
ミアは一つ分かったことがあった。
ニコラは奉仕する遊びが殊の外お気に入りなのだと。ニコラがしたいなら好きなだけ奉仕を受け入れればいいのだ。
きっと城の仕事のこともそうだ。ミアに好きな仕事をさせてやるという善行こそがニコラの楽しみで、頼られている、守っているというおかしな独占欲こそがニコラの欲の源なのだ。
(性技は実践できないけれど、ニコラ様に奉仕できる方法はあるのかも?)
ミアは色々なことを割り切って、やりたい事をニコラに強請ることにした。
「ニコラ様、わたし、もう少し城で働いてもいいでしょうか?」
何度も絶頂に導かれて、くたくただ。
ニコラは昂りを硬くしたまま、自らを解放することなく口付けを繰り返す。
今度こそ翻弄される前に、娼婦としての仕事をしようと、力の入らない体に鞭打ってニコラの下半身に手を伸ばす。
「ミア、いけない」
「どうしてですか? わたしがして差し上げるのは嫌なのですか?」
「ミアから奉仕されたら、悪いことをしている気持ちになりそうなのだ」
こんな変態的な口付けを繰り返して、悪いことをしている気持ちにならないのだとしたら、ニコラはやはり少し変わっているとしか言いようがない。ミアは溜息を吐く。
「リリアム様には口付けを許しておいでだったではありませんか」
ニコラに何度も繰り返しぐずぐずにされ、ミアは少しやさぐれていた。
形にならなかったモヤモヤが、今はわかりやすい感情となって勝手に口から飛び出す。
「いや、そんなことなかっただろう?」
「いいえ、ありました。他の方にお許しになるなら、わたしがしてもいいじゃないですか」
「別にガーウィンにさせたわけじゃない。あいつが勝手に」
その呼び方もそうだ。
騎士になってからのリリアムは、やけにニコラに手をかけてもらっているように見える。
「拒んだようには見えませんでした」
「なら、ミアだって、ガーウィンに好きなようにさせて――あそこまで弄ばれる前に叫んだり、拒んだりすることも出来ただろうに。いったい何を遠慮していたのだ? 私以外からも、求められれば与えるのか?!」
ニコラは正論を述べているようで、拗ねているようにも見える。
「わたし、あんなことで騒ぎになったらニコラ様が困ると思って――だいたい、ちゃんと傷つけられる前に拒みました! なんですか、処女を好む変態ではないとおっしゃったくせに、リリアム様に先に手をつけられた事、根に持っていらっしゃったのですね」
「もちろんそんな悪癖はない、ただ、私は……」
「ただ、なんです? 何かずっと言い淀んでらっしゃることがおありでしょう?」
ニコラは明らかに怯んだ。
しっかり服を整えてあるが、ついさっきまでミアの腹あたりまで口付けを繰り返し、無数の執着の跡をつけていたのだ。今更、騎士ぶって高尚なことなど言えはしない。
「私は、ただ、ミアを他の誰かに触らせたくなかったのだ。独占したかった……ミアに触れるのは全て私で、どこもかしこも私だけのものであって欲しかったのだ――何が騎士だ、ガーウィンなどに何もかも先を越されて。何者からも守り切るつもりだったのに……」
「今更何をおっしゃっているのですか? わたしに娼婦の仕事をさせてくれなかったのはニコラ様じゃないですか」
ミアもニコラも心の中の澱を吐き出すようにして互いにぶつける。ずっと舌を交わらせていたせいか、この瞬間は言いたかったことがするすると言葉になる。
「ミアに娼婦の仕事はさせたくなかったのは、本当なのだ……」
ニコラの言い訳を聞きながら、ミアは、リリアムが嬉しそうにニコラの頬に口付けた様を思い出して面白くない気持ちになった。
ニコラこそ、あれだけの身のこなしならば、キスの一つや二つ、避けたり拒んだり出来ただろうに。
「リリアム様は騎士としてニコラ様と働けて、実にうれしそうですね。ニコラ様に命じられると、ボールを投げられた犬のように従います。リリアム様には仕事を与えて、わたしには『動くな、じっとしていろ』と言うのですか」
「いや、その――待て、それは同じ話か?」
ニコラはしきりに首を傾げて、話の脈略を探ろうとする。
ミアはニコラの昂った男性の象徴をピッと指差して、ニコラに問う。
「そうなってしまったのを、どうなさるおつもりですか? また私を置き去りにしてご自分でされるのですか?」
「だから、そんなこと、ミアには……」
「なら、こう致しましょう」
ミアはニコラの膝に跨ると、精一杯背を伸ばして、ニコラの目を見る。
「ニコラ、動くことは許しません。私の言うことがわかるわね」
ツンと顎を上げて半眼で見下げるようにしてニコラを睨め付ける。その途端に、ニコラは動きを止めてこくりと喉を鳴らす。ニコラは既にこの遊びを知っている。
「返事は?」
急速に頬を赤らめ、触れた所からでもわかるほど鼓動が早くなる。息が浅くて荒い。
迷いに迷って唇に触れるか触れないかの場所まで顔を近づけて、結局触れずに騎士がするように背筋を伸ばし、規則正しく返事をする。
「……はい、姫様」
ニコラは出来る限りミアに触れないようにしながら、ミアを支えることに専念している。跨った股間で服を隔てて互いの秘部が擦れ合って、ニコラの陰茎が跳ねたのを感じた。
「私に口付けをしながら、こんなことになってしまったのね」
「はい、申し訳ございません。あまりに姫様が愛らしくて……」
「それで、この後はどうするの? 私の傍に侍るのを放棄して、自室に籠って鍵をかけて、それから?」
ニコラはぎゅっと目を瞑る。
「姫様、浅ましい私をお許しください」
ミアは勉強熱心だ。艶本で騎士が許せと言って、許した姫がいないのを学習済みだ。
「いいえ、許さないわ。ニコラ、教えてちょうだい。私を置いて、自室に戻って、何を想ってこの熱を解放するつもりだったの? ニコラの本当の姫様のことかしら、それとも亡き姫様の面影を追うの? ニコラはお姫様が好きだものねぇ……」
ミアはうっかりそんな事を訊いてしまって、やりすぎたかと冷や汗かく。
ニコラは呼吸を速くしたま小さく首を振る。
「姫様、私は……お仕えする貴女だけを想って……」
ミアはニコラの自慰の告白に、内心悲鳴をあげながら平静を装う。
「まぁ、驚いた。私を想像して慰めるのね」
「お許しください。私は姫様で何度も、何度も――」
許しを乞うように両手でミアの手を握るニコラは今にも泣き出しそうだ。
「いいのよ、ニコラ。私を想像で汚したこと、許しましょう。他にもお姫様がいるのに、私を選んだ褒美を与えなければならないわね。いい、じっとしていてね……」
ニコラは叱られた子供のように身を縮ませて、ミアの叱責を受け入れている。
ミアはニコラの頬を撫で、両手で頭を引き寄せると、リリアムが口付けた場所を狙って唇をつける。
「うあぁぁぁっ!!」
「ひゃっ!」
唇が押し当てられると、ニコラは目をつぶってぶるぶると震え、ミアに縋り付いてぎゅうぎゅうに抱きしめた。
何事か不手際があったかとミアは悲鳴を上げて動きを止めたが、ニコラは短く喘ぎながらびくりびくりと腹筋を波打たせている。
「え……ニコラ様?」
「……」
「大丈夫ですか?」
ニコラはミアの肩に顔を埋めたまま頭をあげられないでいる。擦りあった股間は湿っていてニコラの現状を知らせる。
ニコラは精を服の中に放ってしまって、ひどいことになっているはずだ。
何だかむず痒い雰囲気になってしまって、ミアは宥めるようにニコラの頭を撫でてみる。
思ったよりも柔らかい手触りだ。
「……言い訳をしてもいいだろうか」
しばらくして少し落ち着いたのか、肩から顔は上げずにそのままくぐもった声でニコラが言う。
「その……私は、常にはこんな……早漏だということはないのだ」
「わ、わかっておりますよ。ニコラ様はなんというか、その、そういうこと、大変お上手ですもの」
「ミアが……あまりにも私の望み通りにふるまってくれるから……すごく、悦くて、悦くて……あんな……」
「そ、それはお気に召していただけたならよかったです」
「……まさか、頬に口付けされただけで果ててしまうとは……あんなふうにされたら、もう、私は……」
照れ隠しなのか、ぐりぐりと肩に頭を擦り付けてきて、何だか愛らしい。
「い、いいじゃありませんか! 花街では早ければ早いほどいいお客様だと言われますよ!」
言ってみてから、気まずい空気が流れたが、ミアもいっぱいいっぱいで、もうそれをどうにかできるだけの機転はきかなかった。
ミアは一つ分かったことがあった。
ニコラは奉仕する遊びが殊の外お気に入りなのだと。ニコラがしたいなら好きなだけ奉仕を受け入れればいいのだ。
きっと城の仕事のこともそうだ。ミアに好きな仕事をさせてやるという善行こそがニコラの楽しみで、頼られている、守っているというおかしな独占欲こそがニコラの欲の源なのだ。
(性技は実践できないけれど、ニコラ様に奉仕できる方法はあるのかも?)
ミアは色々なことを割り切って、やりたい事をニコラに強請ることにした。
「ニコラ様、わたし、もう少し城で働いてもいいでしょうか?」
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