変態騎士ニコラ・モーウェルと愛され娼婦(仕事はさせてもらえない)

砂山一座

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口付けをなさいますか?

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「口付け……ですか?」

 ニコラが願い出た「仕事」にミアは困惑の表情を浮かべた。

「そうだ。しかし、ミアが嫌でなければの話だ。特に花街の仕事では客に口付けを許さない者も多いと聞く。断ってくれて構わない」

 ニコラは真剣な顔をして答えを待っているが、ミアは夕食の片付けをしながら熱量の違う反応でニコラのを承諾する。

「もちろんお受けしますよ。わたし、禁止行為はありませんし」

 ニコラは驚いて思わず立ち上がった。ミアは何でもない顔でメイドが用意しておいてくれた夕食の残りを手際よく包んだり鍋に移したりしている。
 ニコラが驚くのも無理はない。この国の娼婦にとって禁止行為がないというのは稀なことだ。
 花街で遊ぶ時は必ず、行為の前に厳つい支配人から禁止行為の説明を聞き、違反には重い罰則が科せられるのを知らされる。花街で働く者たちは、そのようにして無体を働く客から守られているのだ。

「働き始めから禁止行為も設けずに、ミアはどうやって自分を守るつもりだったのだ? まさか、そんな小さな体で挿入まで許可していたわけではないのだろう?」

 食器を運びながら、ちらりとニコラの方を振り向き、ミアは少し悲しそうな顔をする。

「……わたし、ここに来た時からそのつもりでいましたけど。契約書にそう書いてありませんでしたか?」

 洗い場のたらいに食器を沈めながら、小さな声で言うミアにニコラは言葉を詰まらせた。
 ミアを娼婦として扱うつもりが無かったニコラは、ミアの娼婦としての契約書類に全く目を通していなかった。

(ミアは最初からそのつもりで……)

 ミアの体は薄く小柄だ。一瞬、そこに己の欲望を捻じ込むのを想像してぎくりとするが、同時にミアの泣き顔が浮かんで頭を振って煩悩を振り払う。

「無、無理だ。ミアが壊れてしまう。だいたい、そういう大切なことは娼館で最初に決めるものだろう。そんな無茶を誰も止めなかったのか?」
「先輩の姐さん達には、おめよ、って言われました。でも、禁止行為が無い方が稼げますから。私のような貧相な体では、いつまで仕事ができるかわかりませんし、稼げる時に稼いでおかないと」
「なんてことだ……」
「でも、だからこそニコラ様がお支払いになった私の年季代は割高だったのですよ。もしかして、ご存じなかったのですか?」

 ニコラは全くミアに仕事をさせるつもりがなかった。だから、値段の内訳など考えたこともなかった。
 行為の注意事項など大切な事も読み飛ばして、ミアの意向すら見ないようにしていた自分のふがいなさを今更悔やんだ。

「ミア、頼むから禁止行為の申請をしてくれ。万が一、私の目の届かないところで何かあった時に花街からの守護が無いのは不安だ」

 ミアに娼婦の仕事をさせたくはないが、仕事を阻んできたニコラこそがミアを苦しめてきたことを、知ってしまった。
 花街には花街の法がある。違反行為をした時の厳しい制裁が花街で働く娼婦たちを守っている。
 それはきっとニコラからミアを守るものでもあったはずだ。ニコラは庇護者として、共に生活する者として、ミアをどんな小さな憂いからも遠ざけたかった。

「そうですか。 ではニコラ様に買っていただいた年季が明けたらそうしましょうか」
「ちょっとまて……ミアは、任期が明けてもまだ花街で働くつもりなのか?」
「はい。そうですけど?」
「そ……そうなのか……」

 目の前には先を見据えて生き伸びようとしている一人の娼婦がいる。
 これまでニコラは極力、娼婦であるミアを見ないようにしてきたが、無駄だった。
 ミアはニコラが思うよりも自立していて、事あるごとにニコラの手を振り払う。
 それどころか、城で仕事をし始めてからは、多忙なニコラの仕事の支えにすらなっている。 
 身近になったミアが、その実、とても遠いところにいるような気持ちになり、思わず縋るように台所に立つミアに歩み寄ると、その背に触れた。
 華奢な肩に触れ、なだらかな凹凸を感じる背骨に触れ、いずれここからいなくなってしまうのだと思うと、たまらない気持ちになり、そっと身を寄せる。

「私はミアに無体なことを要求するつもりはない。ほんの少し、私のために時間を割いて欲しいのだ。まぁ……ミアの負担でないのなら」

 小さな肩が揺れ、あきれたようにミアはため息をつく。

「さっきから何を遠慮なさっているのですか? わたし、仕事をいただけてうれしいのです。それで、今夜は寝室におうかがいしてもよろしいのですか?」

 ミアに欲望をぶつけそうになったことが続いて、ニコラはミアを寝室から締め出していた。
 口ぶりからミアが頼んだ以上のことをするつもりなのが知れて、ニコラは物欲しそうに引っ付いていたミアの背から一歩距離を取った。

「いや、そういうことではないのだ」
「じゃあ、どういうのなんですか?」

 己の汚れた欲望を見透かされた気がして、急に気恥ずかしくなったニコラは、明日話すと言ったきり、それ以上説明することができなくなった。


 *


 ニコラの注文の内容がミアにはよくわからなかった。

 「明日、外に行くから付いてきてほしい」と言われたまま、寝室には招かれずに別々の部屋で休んだ。
 てっきり寝室での戯れになるのだと思っていたのに、肩透かしがひどい。
 いつもと変わらない朝がやってきてしまった。相変わらずニコラはミアの世話を焼きたがり、甲斐甲斐しく朝食の世話をしている。

「それで、外に行って私は何をすればいいのですか? 口付け……ですよね?」
「では、まず、これを着てくれないか?」

 ミアの質問には答えず、どこから持ち出してきたのか、上等な外出着を持ち出してきた。どこかのお嬢様が着るような袖も裾もふわりと膨らんだ愛らしいものだ。
 口数も少なく、ニコラはあっという間にミアに服を着付けて髪を結い、化粧までほどこす。ニコラが暇なときに櫛を通すようになってから、ミアの髪はますます艶が出たように見える。

「ミア、出かけよう。歩きやすい靴を用意したからこれを履くといい」

 ニコラの準備は昨日の今日で思いついたものとは思えない周到さだ。編み上げの靴の大きさも間違いがない。
 いつも足に合う靴が手に入らず、ニコラの家に来るまで靴擦れをしない靴を履いたことがなかったミアにとって、足に吸い付くようなぴったりの靴は、この上ない贅沢に思える。

(こんな贅沢を覚えてしまって、元の質素な生活に戻れるかな……)

 不安に思うからこそ、仕事をさせてもらえないことが辛かった。

「履けました。どちらにまいりましょう?」

 ニコラは少し考えて、小さく咳払いをする。

「私にお任せください、姫」

(ああ、そうか。わたし、今日はお姫様をするのね)

 すぐにニコラの求めるものを理解したミアは、背を伸ばして、ニコラの手にレースの手袋に包まれた手を差し出す。
 
 そこからニコラの完璧なエスコートが始まった。
 ニコラは騎士らしい装いだ。いつもの明るい色の騎士服とは違うが、どう見ても騎士服だ。装飾の少ない冬のネズの木のような色の上着が、ニコラの目の色に馴染み、引き立つ。
 人目を避けるようにしてニコラ自ら馬車を操って街に出る。
 街中を散歩したり、露店を眺めたり、飲み物を与えたりとニコラが好き勝手にミアを連れまわす。それなのに、まるで令嬢が従者を連れまわしているように見える。
 ミアがよく知る、割と分かりやすい表情のニコラではなくて、城で騎士として勤めているときの完璧なニコラだ。

「昼食を予約してあるのですが」とニコラが深い重い声ミアに耳打ちすれば、
「ニコラ、そろそろ足が疲れたわ。どこかで食事にしましょう」とミアはニコラの主人としてふるまう。
 満足そうにニコラは頷き、いつの間に手配したのか高級料理店の一室へミアを案内する。

 昼間なのに室内は薄暗く、贅沢に並ぶランプ石が柔らかい光でテーブルを照らしている。
 柔らかな椅子に座り、なすすべもなくニコラに世話されているうちに、黒服の給仕が音もなく食事の準備をして去っていく。
 ニコラは表情の分からない薄い笑みを浮かべたまま、ミアが食べ始めるのを待っている。微動だにせず待つニコラが英雄の彫刻か何かのように見え、ニコラが息をしているか少し心配になる。
 
 この空間のすべてが作り物のようだ。
 ミアは今までニコラに贅沢をさせられてきた自覚があったが、それとは比べ物にならないほどの料理に怯んだ。
 目の前の料理は、何からできていて、どこが可食部なのか、さっぱり分からない。
 美術品のような皿に絵画のように飾られた料理に、すっかり途方に暮れた。

「ニコラ様、わたし、これをどうやって食べたらいいか分かりません」

 ある程度のテーブルマナーは学んでいたが、こんな立体をどう切り崩して食べたらいいのかは知らない。姫の演技も忘れて、おろおろとニコラに助けを請う。

「人払いをしているから、好きなように食べてかまわないんだよ」

 そう言われても、ミアはどうしていいかわからず困った顔をした。
 心配ないと微笑み、ニコラは椅子をミアの近くに移動させてきて、ダンスを踊る時のように滑らかに背から手をまわし、フォークとナイフを握るミアの手をとる。
 翡翠色のソースのかかったバラ色の前菜はきらきらと金糸のような何かに彩られている。

「ここにこう乗せて――ミアには一口では無理だな、半分に切ろう――上手だ。ミア、口を開けて……」

 幼子のように手を持たれたまま、恐る恐る食事を口に運ぶのをニコラはじっと見守っている。

(こんな時に味を聞かれても、答えようがないわね)

 ひやひやしながらニコラに促されるままに口の中のものを飲み込むと、ニコラが薄く笑って息が耳元にかかり、身を震わせそうになる。 
 前菜が終わっても、ニコラは傍から離れない。
 ナプキンでミアの口元を拭うと、次の料理をミアの口に運ぶ。雛にでもなったような気持ちでニコラの給餌を受け入れると、ニコラは目を細めて頷いた。 

「口直しのシロップ漬けだ」

 ニコラはミアがものを咀嚼して飲み込む様子が気に入ったのか、次から次へと口に料理を運んでは粘質な視線でミアの口元を見ている。
 操り人形のように食事を終えて、水に香りをつける贅沢が世の中にはあるのだなと乖離した感想を持ちながら、グラスの水を嚥下する。

(騎士のニコラ様は、何を考えていらっしゃるのかさっぱりわからなくて少し怖い……)

 ニコラが国の誉れ高い騎士であるのを思い出したミアは、これまでニコラに投げつけた無礼な行いのせいで、このまま首を掻き切られることが無いとも限らないなと悲観的になった。

(でも、ニコラ様は善良な方だし)

 一息ついて、見上げたニコラの視線は、まだミアの口元に注がれている。 

「あの、ニコラ様、口付けをなさいますか?」

 思い切って言ってみれば、ニコラはいつものように慌てて赤面した。
 壊れ物に触れるようにミアの顎を掬い上げ、唇を親指でなぞり始めたニコラの指を、研修で習ったテクニック通りにぺろりと舐めてみる。
 ニコラはミアにもはっきりわかるほど欲にまみれた顔をしている。

「いや、ここではないのだ。この後、少し郊外まで出ようと思う。まだ疲れていないか?」

 確かにそんな雰囲気であったはずなのに、ニコラは自分の席に戻って食事を再開する。口付けってこんな勿体ぶるものだっただろうかと、ミアは不思議がった。


 郊外まで出るとそれほど古くない遺跡がある。
 この国では廃れてしまった宗教の神殿の跡地だが、観光には向かず、時折考古学の研究者が訪れるだけだ。
 草深く茂る神殿のドアは腐り落ちて、石造りの建物にぽっかりと穴が開いているように見える。

「ミア、ここからが仕事だ」
「はい、どのようにでも」

 ニコラのエスコートはまるでかせのない鎖で繋がれているようだ。ニコラの思うようにしか自分の体が動かないのをここまでの道のりで知った。
 石の神殿の入り口をくぐると梁が朽ちて屋根が無い。
 ぽっかりと空いた天井から光が差して、舞台の照明のようだ。
 ミアは祭壇があったであろう所に引き上げられ、じっと目を覗き込まれる。

(ここでキスかしら?)

 目を閉じたほうがいいだろうか、と考えていると、ニコラは一歩下がる。恭しくミアの手を取り、紅潮した頬で熱い視線を送ってくる。

「ミア、私に許すと言ってくれ」
「え、ですか?」
「そうだ」

 なんだかよくわからないが、ニコラの望むようにするしかない。
 ミアはなるべく偉そうに背を正してつんと顎をあげて言う。

「ニコラ……ゆ、許します」

 そういうと、ニコラは目を潤ませながら、ミアのレースに包まれた手を恭しく握り、そのまま跪いた。
 ニコラの奇行にぎょっとしていると、指先を握り大事そうに手の甲に口付けを落とす。
 祈るような長さで唇が押し付けられ、ニコラはそのまま暫しうずくまった。
 ニコラの肩が震えている。感涙にむせび泣くのを押し殺しているのだ。
 
 どうしていいかわからず体を硬直させて待っていると、ニコラは満足げなため息をつきながら立ち上がる。ミアが知る限り最高にすっきりした顔をしている。

「さあ、帰ろうか! 今日は良い働きをしてくれた。夕食は気楽に屋台で手掴みで食べられるものでも買って帰ろうか」
「あ……はい」

 ミアは頭を抱えたいのを必死で耐えた。

(どうしよう。ニコラ様の遊びが上級すぎてついていけない……。娼館の研修でへんな性癖については聞いたけど、ニコラ様は、またちょっと違う……)

 ニコラもミアの見方が少し変わったが、ミアもミアでニコラの評価が少しずつ変わってきていた。

(間違いない。ニコラ様は、変態だ……)
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