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枕がご入用ですか?
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すぐにミアの存在は騎士団になくてはならないものになった。ミアがいることで、騎士団の士気が明らかに上がったからだ。
ニコラが後ろで睨みをきかせていても、若い娘が視界に入るだけで騎士たちは色めき立った。
なにせ、後継者教育で、王子ばかりが城内に集められている時期だ。不祥事を避ける為に王子の身の回りの世話を若い娘が任される事はない。
その代わり、貴族の娘は、図書室や女性の王族の住む場所に配属される。どこも、あまり騎士には用がない場所ばかりだった。ミアがいるだけで騎士たちは何となく楽しい。
ミアがニコラの秘書のような仕事を任されているのだと理解した団員たちは、ニコラの仕事を進んで手伝うようになった。しかし、中には行き過ぎたアピールをする者もいる。
「オーウェン嬢、今日もお美しい。こちらに洗濯済みの物を持ってきたので、団員に配布してもらってかまわないだろうか。私に何かできることがあれば代わろうか?」
年若い黒髪の騎士にキラキラの笑顔で話しかけられて、ミアは恐縮した。
ニコラにはあまり騎士と話すなと言いつけられているが、自分で断りを入れるのも憚られて、騎士に願い出て、ニコラが忙しくしている詰め所まで同行を頼んだ。
「ニコラ様、何か仕事がありましたら、代わりにやるとおっしゃっている騎士様がいらっしゃっるのですが……私は手が足りているので、こちらにお連れしました」
ミアは黒髪の騎士がミアにちょっかいをかけるために持ち場を離れていたことを知らない。騎士は騎士で、ニコラのところに連れていかれるとは思っていなかった。
ニコラは表情を一変させる。
「なるほど、暇なのだな? それでは、私の仕事を代わってくれるか?」
「いえ、あの、モーウェル騎士、私は……」
ミアの仕事を何か手伝って自分を印象付けるつもりだった黒髪の騎士は、うっかりニコラの逆鱗に触れてしまったことを知った。
その後、騎士は、そんなに望むならと、一週間はかかるような地方での仕事を命じられ、肩を落として持ち場へ戻っていった。
ミア伝いでニコラへ何かを手渡すという仕事が頻繁に増えたこともあった。
中には、十冊ある資料を一冊ずつ分けてミアに頼んだ騎士までいる。
几帳面なニコラは、不要な仕事をミアにさせた騎士が書類を分割した回数を数えていて、それに応じて地味で面倒で時間のかかる仕事を割り振った。
ニコラは冷静に王子たちを諫めることはあっても、声を荒げるような姿を団員に見せることはなかった。騎士たちはニコラの常とは違う様子を大げさに騎士棟に広めた。
そうしているうちに、ミアの仕事を邪魔するとニコラに左遷されるという噂がたち、めったなことでミアの仕事の邪魔をする騎士はいなくなった。
ミアに下心を持って話しかける輩にニコラは厳しい。
それにしては二人の関係に甘さが一切みあたらないのは何故か、というのがここ最近の騎士たちの酒の肴だった。
ミアは必要がなければニコラに話しかけないし、ニコラは、いつもの彼が女性にそうするように、仕事に甘やかな手出しをすることもなく、ミアに適量の仕事を割り振っている。見ようによっては、他の貴族の娘よりも仕事が多いようにすら見受けられる。
最終的に騎士たちは、ニコラとミアの関係を庇護者と被庇護者と位置付け、納得することにした。
*
ミアが城の仕事に慣れると、ニコラはいつもの忙しい生活に戻って行った。
通常業務に戻ったとたんに徹夜仕事になって、ミアを一人で家に帰さねばならい。
今夜は王子の一人が外遊に出かけるので、同行しなければならないのだ。王子たちがハメを外しすぎるのを防ぐのもニコラの仕事だ。
徹夜明けの朝、始業時間より早くミアがニコラの執務室に行くと、机に突っ伏している主人の姿があった。夜通しの仕事で、ニコラの寝顔は草臥れている。
「ニコラ様、着替えを持ってまいりました」
「……ん、ああ」
ニコラはミアに揺り起こされて、睡魔と闘いながら机から頭をあげる。体は動くがまだ眠い。
朝の集会の時刻まで少しあるのを懐中時計で確認して、二度寝を決め込むことにする。
「そこでお休みになると疲れが取れませんよ。ソファに横になったらどうです?」
「ああ、そうする。書き物をしながら寝てしまったようだ。ミアもまだ始業時間ではないだろう。ここで少し休んでいるといい。私はあと半刻で起きなければならないのだが、寝過ごしそうだ。すまないが、時間になったら、声をかけてくれるか?」
ミアが指差す先には長細いソファがあった。この部屋に来るのは騎士ばかりの為、ソファにクッションは置かれていない。
「ニコラ様、枕がご入用ですか?」
ミアがソファの端に座って、頭をここに乗せろと膝を揃える。
お仕着せの長めのスカートの中の、太股の張りのある盛り上がりがニコラを誘う。
「い……要る」
ニコラは難しいことを考えられない頭で、本能のまま吸い寄せられるようにミアの膝に顔を埋めた。
ミアの甘い香りがたまらず、頭の位置を直すふりをしてその脚に頬ずりする。
ミアのあまり体温を感じない白い指が頭を撫でるのが心地よくて、ニコラは思わず弱音を吐いた。
「もう、ミアと家に帰りたい……」
そんなことを口走りながらニコラは開けていられなくなった瞼を閉じた。
「お休みください。ニコラ様……」
*
「ニコラ様、時間です」
揺り起こすが、ニコラはなかなか起きない。
ニコラの少し寝乱れた髪を整えながら、主人をもう一度揺さぶる。
「ニコラ様、半刻とおっしゃったではないですか」
「ん……もう少し」
抵抗するようにニコラはミアの細い胴に手をまわして、抱き寄せたかと思えば、ぐりぐりと鼻を股に擦り付ける。
「起きていただかないと、わたしまで仕事に遅れてしまいます」
「……ミアは、休めばいい」
ニコラは自分では働き詰めでちっとも休まないのに、ミアにはやたらと堕落させるようなことを言う。
「仕事を始めたばかりでそんなことできません」
「そうか……ミアは勤勉で健気だな。ああ、うちの匂いだ。今日は夕方にならないと帰れないのか……」
ミアの膝の上で腹の方に顔を向けて寝ていたニコラは、本能の赴くままにミアの太ももと尻とを抱え、深くミアの股座に鼻を押し付ける。ミアが羞恥を感じる所ばかりを狙って鼻を突き入れるのが凶悪だ。
ミアは小さく悲鳴を上げた。
「ニ、ニコラ様……お許しください……。仕事の前に制服を汚してしまいます」
「……!」
ニコラはミアの声で急速に覚醒した。
添い寝を頼んだ朝に、シーツを汚してしまいますと泣き声をあげたミアを、ありありと思い出したのだ。
顔をあげればミアが赤い顔をしている。
「どうしていつもいつも、家の外なのですか! 私はいくらでもお相手する準備ができていますのに! お戯れが過ぎます」
「す、すまなかった。それより、ずっとそこにいてくれたのか? 足が痺れただろう」
ニコラは体重をかけて押し潰していた所を労わって撫でようとするが、ミアはニコラの手を掴んで押しとどめた。
「ニコラ様、今は、本当に、触らないでください! わたし、ニコラ様に触られると、ひどく濡れてしまうようなので。着替えも持ってきていないし、そうなったらお城での勤めが果たせません」
ミアは困った様子で、きゅっと膝を閉じてニコラから少し遠ざかる。
ニコラはミアの初々しさに猛烈に欲が刺激された。こくりと自分の喉が何かを飲み込み音を立てるのが聞こえる。
「心配ない。着替えなら私が用意してある」
ニコラはありとあらゆることを想定して、ミアの城での仕事を支援しようとしていた。急に雨に降られた時のことを考えて、着替え一式も執務室に用意してある。もちろん下着もだ。
「……ですが」
「私のせいで足が痺れてしまったのだろう。労わらせてくれないだろうか」
疚しい気持ちで触るのではないと自分の理性を説き伏せてしまうのがニコラの歪んでいる所だが、ニコラは矛盾には気が付かない。
神聖な気持ちで、脹脛の方からスカートの中に手を差し入れて、頭が載っていた膝上あたりまで撫で上げる。
「……あの、ほんとうに……」
ニコラの手が痺れていた所をほぐすように肉の薄い太股を揉みしだくと、ミアは小さく鳴く。
ずっと触っていられる触り心地だと、何往復も揉み上げると、温かい脚の付け根にたどり着く。
「……本当だ、少し濡れてしまっている。着替えが必要だな」
ニコラはこうなってしまったのが自分のせいだという事実に、少なからず興奮した。
その赤く爛れた感情をちらりとも見せずに、ミアの下着をあっという間に剥ぎ、柔らかな布で秘部を拭き清める。
「んっ……」
事務的な手つきに迷いはない。途中ミアがこらえきれなかった小さな喘ぎを洩らす。
その声を聞きたいがために、うっかりを装ってミアの陰核を擦ったことは、墓場まで持って行く秘密にしようとニコラは心に誓った。
「ほら、これで大丈夫だ。また一日、健やかに過ごすのだよ」
何事もなかったかのように、ニコラは立ち上がり、集会所に向かう。
ミアも慌ててその後を追った。
徹夜明けであるというのに、近衛騎士ニコラ・モーウェルは口元を綻ばせ、その日を精力的に過ごす。
ニコラの壮健な姿を見て、城の者は、あれこそニコラ・モーウェル騎士だと褒め称えた。
城の中深くで働く女たちも、ニコラを見かけるとその高潔な姿にため息をつく。
しかし、その一日を支えるものが、騎士の矜持だとか小難しいことではなく、ニコラが懐に忍ばせた一枚の女性用下着によるものだとは誰も知らない。
ニコラが後ろで睨みをきかせていても、若い娘が視界に入るだけで騎士たちは色めき立った。
なにせ、後継者教育で、王子ばかりが城内に集められている時期だ。不祥事を避ける為に王子の身の回りの世話を若い娘が任される事はない。
その代わり、貴族の娘は、図書室や女性の王族の住む場所に配属される。どこも、あまり騎士には用がない場所ばかりだった。ミアがいるだけで騎士たちは何となく楽しい。
ミアがニコラの秘書のような仕事を任されているのだと理解した団員たちは、ニコラの仕事を進んで手伝うようになった。しかし、中には行き過ぎたアピールをする者もいる。
「オーウェン嬢、今日もお美しい。こちらに洗濯済みの物を持ってきたので、団員に配布してもらってかまわないだろうか。私に何かできることがあれば代わろうか?」
年若い黒髪の騎士にキラキラの笑顔で話しかけられて、ミアは恐縮した。
ニコラにはあまり騎士と話すなと言いつけられているが、自分で断りを入れるのも憚られて、騎士に願い出て、ニコラが忙しくしている詰め所まで同行を頼んだ。
「ニコラ様、何か仕事がありましたら、代わりにやるとおっしゃっている騎士様がいらっしゃっるのですが……私は手が足りているので、こちらにお連れしました」
ミアは黒髪の騎士がミアにちょっかいをかけるために持ち場を離れていたことを知らない。騎士は騎士で、ニコラのところに連れていかれるとは思っていなかった。
ニコラは表情を一変させる。
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「いえ、あの、モーウェル騎士、私は……」
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その後、騎士は、そんなに望むならと、一週間はかかるような地方での仕事を命じられ、肩を落として持ち場へ戻っていった。
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中には、十冊ある資料を一冊ずつ分けてミアに頼んだ騎士までいる。
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ニコラは冷静に王子たちを諫めることはあっても、声を荒げるような姿を団員に見せることはなかった。騎士たちはニコラの常とは違う様子を大げさに騎士棟に広めた。
そうしているうちに、ミアの仕事を邪魔するとニコラに左遷されるという噂がたち、めったなことでミアの仕事の邪魔をする騎士はいなくなった。
ミアに下心を持って話しかける輩にニコラは厳しい。
それにしては二人の関係に甘さが一切みあたらないのは何故か、というのがここ最近の騎士たちの酒の肴だった。
ミアは必要がなければニコラに話しかけないし、ニコラは、いつもの彼が女性にそうするように、仕事に甘やかな手出しをすることもなく、ミアに適量の仕事を割り振っている。見ようによっては、他の貴族の娘よりも仕事が多いようにすら見受けられる。
最終的に騎士たちは、ニコラとミアの関係を庇護者と被庇護者と位置付け、納得することにした。
*
ミアが城の仕事に慣れると、ニコラはいつもの忙しい生活に戻って行った。
通常業務に戻ったとたんに徹夜仕事になって、ミアを一人で家に帰さねばならい。
今夜は王子の一人が外遊に出かけるので、同行しなければならないのだ。王子たちがハメを外しすぎるのを防ぐのもニコラの仕事だ。
徹夜明けの朝、始業時間より早くミアがニコラの執務室に行くと、机に突っ伏している主人の姿があった。夜通しの仕事で、ニコラの寝顔は草臥れている。
「ニコラ様、着替えを持ってまいりました」
「……ん、ああ」
ニコラはミアに揺り起こされて、睡魔と闘いながら机から頭をあげる。体は動くがまだ眠い。
朝の集会の時刻まで少しあるのを懐中時計で確認して、二度寝を決め込むことにする。
「そこでお休みになると疲れが取れませんよ。ソファに横になったらどうです?」
「ああ、そうする。書き物をしながら寝てしまったようだ。ミアもまだ始業時間ではないだろう。ここで少し休んでいるといい。私はあと半刻で起きなければならないのだが、寝過ごしそうだ。すまないが、時間になったら、声をかけてくれるか?」
ミアが指差す先には長細いソファがあった。この部屋に来るのは騎士ばかりの為、ソファにクッションは置かれていない。
「ニコラ様、枕がご入用ですか?」
ミアがソファの端に座って、頭をここに乗せろと膝を揃える。
お仕着せの長めのスカートの中の、太股の張りのある盛り上がりがニコラを誘う。
「い……要る」
ニコラは難しいことを考えられない頭で、本能のまま吸い寄せられるようにミアの膝に顔を埋めた。
ミアの甘い香りがたまらず、頭の位置を直すふりをしてその脚に頬ずりする。
ミアのあまり体温を感じない白い指が頭を撫でるのが心地よくて、ニコラは思わず弱音を吐いた。
「もう、ミアと家に帰りたい……」
そんなことを口走りながらニコラは開けていられなくなった瞼を閉じた。
「お休みください。ニコラ様……」
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「ニコラ様、時間です」
揺り起こすが、ニコラはなかなか起きない。
ニコラの少し寝乱れた髪を整えながら、主人をもう一度揺さぶる。
「ニコラ様、半刻とおっしゃったではないですか」
「ん……もう少し」
抵抗するようにニコラはミアの細い胴に手をまわして、抱き寄せたかと思えば、ぐりぐりと鼻を股に擦り付ける。
「起きていただかないと、わたしまで仕事に遅れてしまいます」
「……ミアは、休めばいい」
ニコラは自分では働き詰めでちっとも休まないのに、ミアにはやたらと堕落させるようなことを言う。
「仕事を始めたばかりでそんなことできません」
「そうか……ミアは勤勉で健気だな。ああ、うちの匂いだ。今日は夕方にならないと帰れないのか……」
ミアの膝の上で腹の方に顔を向けて寝ていたニコラは、本能の赴くままにミアの太ももと尻とを抱え、深くミアの股座に鼻を押し付ける。ミアが羞恥を感じる所ばかりを狙って鼻を突き入れるのが凶悪だ。
ミアは小さく悲鳴を上げた。
「ニ、ニコラ様……お許しください……。仕事の前に制服を汚してしまいます」
「……!」
ニコラはミアの声で急速に覚醒した。
添い寝を頼んだ朝に、シーツを汚してしまいますと泣き声をあげたミアを、ありありと思い出したのだ。
顔をあげればミアが赤い顔をしている。
「どうしていつもいつも、家の外なのですか! 私はいくらでもお相手する準備ができていますのに! お戯れが過ぎます」
「す、すまなかった。それより、ずっとそこにいてくれたのか? 足が痺れただろう」
ニコラは体重をかけて押し潰していた所を労わって撫でようとするが、ミアはニコラの手を掴んで押しとどめた。
「ニコラ様、今は、本当に、触らないでください! わたし、ニコラ様に触られると、ひどく濡れてしまうようなので。着替えも持ってきていないし、そうなったらお城での勤めが果たせません」
ミアは困った様子で、きゅっと膝を閉じてニコラから少し遠ざかる。
ニコラはミアの初々しさに猛烈に欲が刺激された。こくりと自分の喉が何かを飲み込み音を立てるのが聞こえる。
「心配ない。着替えなら私が用意してある」
ニコラはありとあらゆることを想定して、ミアの城での仕事を支援しようとしていた。急に雨に降られた時のことを考えて、着替え一式も執務室に用意してある。もちろん下着もだ。
「……ですが」
「私のせいで足が痺れてしまったのだろう。労わらせてくれないだろうか」
疚しい気持ちで触るのではないと自分の理性を説き伏せてしまうのがニコラの歪んでいる所だが、ニコラは矛盾には気が付かない。
神聖な気持ちで、脹脛の方からスカートの中に手を差し入れて、頭が載っていた膝上あたりまで撫で上げる。
「……あの、ほんとうに……」
ニコラの手が痺れていた所をほぐすように肉の薄い太股を揉みしだくと、ミアは小さく鳴く。
ずっと触っていられる触り心地だと、何往復も揉み上げると、温かい脚の付け根にたどり着く。
「……本当だ、少し濡れてしまっている。着替えが必要だな」
ニコラはこうなってしまったのが自分のせいだという事実に、少なからず興奮した。
その赤く爛れた感情をちらりとも見せずに、ミアの下着をあっという間に剥ぎ、柔らかな布で秘部を拭き清める。
「んっ……」
事務的な手つきに迷いはない。途中ミアがこらえきれなかった小さな喘ぎを洩らす。
その声を聞きたいがために、うっかりを装ってミアの陰核を擦ったことは、墓場まで持って行く秘密にしようとニコラは心に誓った。
「ほら、これで大丈夫だ。また一日、健やかに過ごすのだよ」
何事もなかったかのように、ニコラは立ち上がり、集会所に向かう。
ミアも慌ててその後を追った。
徹夜明けであるというのに、近衛騎士ニコラ・モーウェルは口元を綻ばせ、その日を精力的に過ごす。
ニコラの壮健な姿を見て、城の者は、あれこそニコラ・モーウェル騎士だと褒め称えた。
城の中深くで働く女たちも、ニコラを見かけるとその高潔な姿にため息をつく。
しかし、その一日を支えるものが、騎士の矜持だとか小難しいことではなく、ニコラが懐に忍ばせた一枚の女性用下着によるものだとは誰も知らない。
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