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紅茶に砂糖を足した
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ニコラの家は城からすぐの距離にある。
以前は城と隣接する騎士寮に住んでいたが、公私の区別なく働かされるのが嫌で数年前にタウンハウスに移り住んだ。
王子付きの騎士は特に自分の時間を捧げることを強要されがちだ。
寮に住んでいる時は夜中に叩き起こされたりすることも度々だったが、引っ越しをしてニコラの生活はだいぶ楽になった。
もともと姫に仕えるつもりで騎士道をひたすらに進んでいたニコラには仕事から離れ、趣味に費やす時間が必要だった。
久しぶりに自分の寝台で目覚たニコラは昨夜のことを万感の思いで反芻する。
母に仕組まれたようで本意ではなかったが、姫に仕えるためにと密かに磨いてきた技術を惜しみなく発揮する機会を得た。
行き場を失っていた自作のティアラもこれで報われただろうと深く頷く。
ミアの演じる愛らしい姫を存分に世話した事は、働きづめだったニコラの心を癒した。
今なら城でこき使われる生活も少しは寛大な心で受け止められることだろう。
(やけに家の中が静かだ……)
いつもなら台所を行き来するミアの気配がするのに、今朝は物音もしない。
そういえば昨日の夜、うっかり襲ってしまわないようにミアの部屋に鍵をかけてきたのだった。思い出して慌ててミアの部屋へ急ぐ。
開錠してみると、すっかり身支度を整えたミアと目が合う。
今朝のミアはどこもかしこも磨かれて、肌艶が良い。
ニコラは昨日のミアの手触りを思い出して、ミアの恨めしそうな顔にさえ目尻を下げた。
昨夜、間違いなくミアは完璧な姫だった。
姫だと思うからどれだけ体の隅々まで世話を焼いても疚しい気持ちに流されることはなかった。
しかし、ミアを寝台に横たえ倒錯的な遊びが終わる時、ニコラには物理的な隔たりが必要となったのだ。
娼婦とそれを買った男に戻ってしまった時に、美しく愛らしいミアを前に理性が働く保証はどこにもなかった。それどころか噴き出すような情欲にあの後しばらく浴室にこもらなければならないほどだった。
「ニコラ様、ひどいです」
「遅くなって悪かった。 よく眠れたか?」
「……おかげさまで」
(血色も良いし、その言葉に偽りはなさそうだな)
そう判断してニコラは満足そうに頷いた。
ミアは地味なワンピースに糊のきいたエプロンを身につけ、先に立って台所へ急ぐ。
良く知った軽い足音が少し機嫌悪く階段を下りるのを、ニコラは好ましく聞いた。
目を覚ました時の静寂に違和感と感じるほど、ミアがいる生活が当たり前になっていることに、なんともいえないむず痒い気持ちになる。
「朝食にしよう。 閉じ込めてすまなかった。 詫びにもならぬが、私が朝食を用意するから機嫌を直してくれ」
その背に呼びかければ、ミアは階段下からニコラを見上げる。
「いいえ、ニコラ様。わたし、機嫌など損ねておりませんから。 朝食の準備はわたしにさせてください。 ニコラ様ほど美味しくお茶はいれられませんけど、ニコラ様の好みは覚えました」
微笑みともいえぬほどの笑みが添えられたミアの返事に、ニコラは国王に命じられた仕事の話をしなければならないことを思い出した。それはニコラにとってちっとも面白い話ではなかった。
*
ミアは昨日の事を言及すべきか考えて、聞けないままに朝食の支度を済ませた。
お茶は、色も香りも申し分ない出来だ。
ミアだけの生活なら、出涸らしを炒って食事の足しにするくらいのことはする。ニコラの手前、床の艶出しにしたり、土に混ぜて肥やしにしたりでとどめている。
香草や穀物のお茶よりも、紅茶は値段も張るし抽出も一度きりだ。高い茶葉で失敗は絶対にできない。ミアのお茶はそういった理由で、より洗練されてきていた。
「ミア、先日話した昼間の仕事のことだが、新しく騎士団にメイドを雇い入れることになった。そこにミアを配することを願い出たところ陛下からお許しが出た」
ニコラは少し厳しい表情をしている。 話に国王が登場してミアは身が縮む。
「わ、わたしがお城で働くのですか?」
「そうだ。団内での仕事であれば、私の目の届く範囲にいることができるだろう?」
花街での仕事で技術面を磨きたかったが、ニコラが決めてきた事なら仕方がない。
「ニコラ様がそうおっしゃるなら、わたしに否やはございません。ですが、わたし如きが城に上がってよいものなのでしょうか?」
半年ほど前まで、雨をしのぐのがやっとのあばら家で、孤児たちと身を寄せて暮らしていた。
ドルカトル側で配給があればドルカトル王国の民だと名乗り、隣のハーティア国でこまごまとした仕事があればハーティアの者だと名乗り働いた。
ミアには国王などという雲の上の人が自分に仕事を与えることが信じられなかった。
「陛下にもお声を頂いているから心配することはない。実は、陛下の頼みでな。どうしても騎士団のメイドに取り立てると厄介なことになるご婦人がいるらしい。私の縁者がその職にいるのなら、断りやすいだろうとのことだ。望まれての仕事だ、畏まることなどない」
それはつまり、ミアが城のメイドとして働くことがニコラの仕事の一端を担うことだ。普通に働きに出ることよりも責任の重いことだとミアは理解した。
「承知いたしました」
ミアが堅い顔をしているのを心配して、ニコラは眉間の皴をゆるめ、安心させようとする。
「心配は要らない。騎士棟の騎士は貴族の中でも家を継ぐことのない気楽な立場の者が多い。仕事の内容も難しいことはない。掃除や書類の片づけなどを頼むことになるだろう。城で働いた分は正式に給金が出るとのことだ」
「それはありがたいことです……」
娼婦の仕事を満足にしていない分、何らかの収入があればニコラの返済の足しになるかもしれない。いっそうこの機会を逃さぬよう、頑張らねばと思った。
「だから、ここにいる時は……」
ニコラはもごもごと次の言葉を繋げようとしたが、娼婦の仕事は諦めろと続くのを知ってミアはニコラの言葉を遮る。
「それはそれ、これはこれでございます。 わたしはあくまで花街から派遣された者です。 本職を離れるつもりはありませんから」
ミアの決心は固い。
ミアは昨夜のようにニコラに主導されて翻弄されることを良しとは思えなかった。
(技術面で同期と足並みが揃わなくなると困るのに……)
ミアは常にニコラとの契約期間を終えた後のことを考えている。もう一度花街で働く時に、技術が無くて他の若い娼婦に客を取られれば食いあげだ。
「……まぁ、ミアの好きなようにすれば良い」
紅茶が苦くなったようでニコラは何さじも紅茶に砂糖を足した。ニコラのカップは砂糖で重みを増していく。
「それで、働き始めはいつからになりますか?」
「そうだな、今は騎士団の遠征訓練の最中だ。 来週には皆戻るはずだから、それに合わせて参城するといい」
「あの、わたし、その前に立居振る舞いや喋り方などの練習をしておいた方がよいのでは?」
城と聞いて、心配事ばかりが浮かぶ。
ニコラもアディアール騎士もミアの振る舞いに何も言わないが、ニコラの母であるケイトリンと家庭教師のハンナに様々なことを指導される。ミアはそれを自分がそういった教養がまるで無いからだと解釈していた。
「そのままで構わない。ミアの振る舞いに特に見苦しい点はない」
「ですが……」
「心配しなくていい。何か不備があったとしたら、すべて私の責任だ。ミアは良い生徒だ。長年お側にいる王子達よりもずっと出来がいいくらいだ」
「畏れ多いことでございます」
ニコラの責任だと言い切られて、ミアはまた身の引き締まるような思いをした。 つまり自分が何かしでかせばニコラが責を負わねばならないのだ。
「そうと決まればメイド用の制服が必要だな。 一から仕立てるわけではないが、ミアは華奢だから少し調節が必要かもしれないな」
ミアは身に相応しくない大きさの覚悟を心の内に秘め、城で働くことを受け入れた。
以前は城と隣接する騎士寮に住んでいたが、公私の区別なく働かされるのが嫌で数年前にタウンハウスに移り住んだ。
王子付きの騎士は特に自分の時間を捧げることを強要されがちだ。
寮に住んでいる時は夜中に叩き起こされたりすることも度々だったが、引っ越しをしてニコラの生活はだいぶ楽になった。
もともと姫に仕えるつもりで騎士道をひたすらに進んでいたニコラには仕事から離れ、趣味に費やす時間が必要だった。
久しぶりに自分の寝台で目覚たニコラは昨夜のことを万感の思いで反芻する。
母に仕組まれたようで本意ではなかったが、姫に仕えるためにと密かに磨いてきた技術を惜しみなく発揮する機会を得た。
行き場を失っていた自作のティアラもこれで報われただろうと深く頷く。
ミアの演じる愛らしい姫を存分に世話した事は、働きづめだったニコラの心を癒した。
今なら城でこき使われる生活も少しは寛大な心で受け止められることだろう。
(やけに家の中が静かだ……)
いつもなら台所を行き来するミアの気配がするのに、今朝は物音もしない。
そういえば昨日の夜、うっかり襲ってしまわないようにミアの部屋に鍵をかけてきたのだった。思い出して慌ててミアの部屋へ急ぐ。
開錠してみると、すっかり身支度を整えたミアと目が合う。
今朝のミアはどこもかしこも磨かれて、肌艶が良い。
ニコラは昨日のミアの手触りを思い出して、ミアの恨めしそうな顔にさえ目尻を下げた。
昨夜、間違いなくミアは完璧な姫だった。
姫だと思うからどれだけ体の隅々まで世話を焼いても疚しい気持ちに流されることはなかった。
しかし、ミアを寝台に横たえ倒錯的な遊びが終わる時、ニコラには物理的な隔たりが必要となったのだ。
娼婦とそれを買った男に戻ってしまった時に、美しく愛らしいミアを前に理性が働く保証はどこにもなかった。それどころか噴き出すような情欲にあの後しばらく浴室にこもらなければならないほどだった。
「ニコラ様、ひどいです」
「遅くなって悪かった。 よく眠れたか?」
「……おかげさまで」
(血色も良いし、その言葉に偽りはなさそうだな)
そう判断してニコラは満足そうに頷いた。
ミアは地味なワンピースに糊のきいたエプロンを身につけ、先に立って台所へ急ぐ。
良く知った軽い足音が少し機嫌悪く階段を下りるのを、ニコラは好ましく聞いた。
目を覚ました時の静寂に違和感と感じるほど、ミアがいる生活が当たり前になっていることに、なんともいえないむず痒い気持ちになる。
「朝食にしよう。 閉じ込めてすまなかった。 詫びにもならぬが、私が朝食を用意するから機嫌を直してくれ」
その背に呼びかければ、ミアは階段下からニコラを見上げる。
「いいえ、ニコラ様。わたし、機嫌など損ねておりませんから。 朝食の準備はわたしにさせてください。 ニコラ様ほど美味しくお茶はいれられませんけど、ニコラ様の好みは覚えました」
微笑みともいえぬほどの笑みが添えられたミアの返事に、ニコラは国王に命じられた仕事の話をしなければならないことを思い出した。それはニコラにとってちっとも面白い話ではなかった。
*
ミアは昨日の事を言及すべきか考えて、聞けないままに朝食の支度を済ませた。
お茶は、色も香りも申し分ない出来だ。
ミアだけの生活なら、出涸らしを炒って食事の足しにするくらいのことはする。ニコラの手前、床の艶出しにしたり、土に混ぜて肥やしにしたりでとどめている。
香草や穀物のお茶よりも、紅茶は値段も張るし抽出も一度きりだ。高い茶葉で失敗は絶対にできない。ミアのお茶はそういった理由で、より洗練されてきていた。
「ミア、先日話した昼間の仕事のことだが、新しく騎士団にメイドを雇い入れることになった。そこにミアを配することを願い出たところ陛下からお許しが出た」
ニコラは少し厳しい表情をしている。 話に国王が登場してミアは身が縮む。
「わ、わたしがお城で働くのですか?」
「そうだ。団内での仕事であれば、私の目の届く範囲にいることができるだろう?」
花街での仕事で技術面を磨きたかったが、ニコラが決めてきた事なら仕方がない。
「ニコラ様がそうおっしゃるなら、わたしに否やはございません。ですが、わたし如きが城に上がってよいものなのでしょうか?」
半年ほど前まで、雨をしのぐのがやっとのあばら家で、孤児たちと身を寄せて暮らしていた。
ドルカトル側で配給があればドルカトル王国の民だと名乗り、隣のハーティア国でこまごまとした仕事があればハーティアの者だと名乗り働いた。
ミアには国王などという雲の上の人が自分に仕事を与えることが信じられなかった。
「陛下にもお声を頂いているから心配することはない。実は、陛下の頼みでな。どうしても騎士団のメイドに取り立てると厄介なことになるご婦人がいるらしい。私の縁者がその職にいるのなら、断りやすいだろうとのことだ。望まれての仕事だ、畏まることなどない」
それはつまり、ミアが城のメイドとして働くことがニコラの仕事の一端を担うことだ。普通に働きに出ることよりも責任の重いことだとミアは理解した。
「承知いたしました」
ミアが堅い顔をしているのを心配して、ニコラは眉間の皴をゆるめ、安心させようとする。
「心配は要らない。騎士棟の騎士は貴族の中でも家を継ぐことのない気楽な立場の者が多い。仕事の内容も難しいことはない。掃除や書類の片づけなどを頼むことになるだろう。城で働いた分は正式に給金が出るとのことだ」
「それはありがたいことです……」
娼婦の仕事を満足にしていない分、何らかの収入があればニコラの返済の足しになるかもしれない。いっそうこの機会を逃さぬよう、頑張らねばと思った。
「だから、ここにいる時は……」
ニコラはもごもごと次の言葉を繋げようとしたが、娼婦の仕事は諦めろと続くのを知ってミアはニコラの言葉を遮る。
「それはそれ、これはこれでございます。 わたしはあくまで花街から派遣された者です。 本職を離れるつもりはありませんから」
ミアの決心は固い。
ミアは昨夜のようにニコラに主導されて翻弄されることを良しとは思えなかった。
(技術面で同期と足並みが揃わなくなると困るのに……)
ミアは常にニコラとの契約期間を終えた後のことを考えている。もう一度花街で働く時に、技術が無くて他の若い娼婦に客を取られれば食いあげだ。
「……まぁ、ミアの好きなようにすれば良い」
紅茶が苦くなったようでニコラは何さじも紅茶に砂糖を足した。ニコラのカップは砂糖で重みを増していく。
「それで、働き始めはいつからになりますか?」
「そうだな、今は騎士団の遠征訓練の最中だ。 来週には皆戻るはずだから、それに合わせて参城するといい」
「あの、わたし、その前に立居振る舞いや喋り方などの練習をしておいた方がよいのでは?」
城と聞いて、心配事ばかりが浮かぶ。
ニコラもアディアール騎士もミアの振る舞いに何も言わないが、ニコラの母であるケイトリンと家庭教師のハンナに様々なことを指導される。ミアはそれを自分がそういった教養がまるで無いからだと解釈していた。
「そのままで構わない。ミアの振る舞いに特に見苦しい点はない」
「ですが……」
「心配しなくていい。何か不備があったとしたら、すべて私の責任だ。ミアは良い生徒だ。長年お側にいる王子達よりもずっと出来がいいくらいだ」
「畏れ多いことでございます」
ニコラの責任だと言い切られて、ミアはまた身の引き締まるような思いをした。 つまり自分が何かしでかせばニコラが責を負わねばならないのだ。
「そうと決まればメイド用の制服が必要だな。 一から仕立てるわけではないが、ミアは華奢だから少し調節が必要かもしれないな」
ミアは身に相応しくない大きさの覚悟を心の内に秘め、城で働くことを受け入れた。
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