犬より猫が好きな理由

砂山一座

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地獄のようなグルーミングが始まった*

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「ご主人、動かないで」
 上半身をベッドに押し付けられて、お尻だけあげさせられている。家についてから二分も経っていない。
 どうやって押さえつけているのか、全然動けない。
「なに? ネロ? なんなのよ」
 するりとスカートが下されたのを感じると、次に下着に何か触れる。

 何だこれ、指?
 あ、手は腰にあるし、じゃぁ、何?

 息をつめて静まりかえった寝室に荒い鼻息が響く。

 ぎゃー! 鼻! 鼻だよ!
 下着越しに秘所に鼻をつけられて嗅がれてる!!
「ちょっ、何やってんの!」
 私は仰天した。
 
「あー、いいにおーい」
 ネロは慌てる私には気も止めず、マイペースに侵略を始めた。
「うわぁっ、ちょっ、やめて!」
 グリグリと鼻を秘部に押し込もうとしてくる。
「ご主人、自分でわかってる?」
 猫撫で声……そうだ、これが本当の猫撫で声だ!
 いや違う。猫なで声っていうのは、猫を撫でる時の声だから、撫でられてるのは私だし、違うんだけど、そうじゃなくって!――私は混乱していた。
 ネロの甘い甘い声は我儘な子どもでも諭すように私に浸み込んでいく。
「ひゃっ、何? なんなのよぉ……」
 ゴロゴロ言いながらも追撃の鼻は緩めない。
「ご主人ね、今、発情期なんだよ。ヒトはなんていうの? 排卵期?
 ヒトってば毎月なんだもん、困っちゃうよなぁ。雄を誘ってるの分からないとか不便じゃない?」
「ふぇっ? 私?」
 スンスンとずっと嗅がれてる。私のほうも恥ずかしさで
涙が鼻にまわって、鼻がスンスンと鳴る。
「ちょっと、嗅がないでよ! 本当に恥ずかしいんだから!」
「だーめ」
 いたたまれなくて、身じろぎするが、逆に鼻にこすりつけているみたいになるので、しぶしぶ逃げる動きを止めた。
「いつも三日くらい我慢すれば、やり過ごせていたのにさー。今日に限って何? 俺のこと探しに来たっての?
 やっと俺を誘ってくれる気になった?」
「違うってば!」
 鼻を敏感な突起に当ててくるのは、きっとわざとだ。
 快感に直結している所を狙ってきている。
「俺、ちゃんと無自覚な時のフェロモンに当てられないように家出してあげてたのにさー。
 もうさ、こんなにいい匂いさせて、俺の所まで来るなんて、あー可愛い。おとなしい飼い猫でいるの無理。無理無理無理だわ~」
 嫌々と首を振りながら鼻を擦り付けるな。
「テンプレ通りに『我慢してたのに煽られて発情した獣人が、無理やりご主人を……』襲いまぁす!!」
 ガブリと尻の肉を齧られる。
「んあぁっ!痛っ、なに、なにすんのよっ」
 噛んだ所を宥めるように舐めて、また噛んで、と繰り返す。
「ご主人もテンプレ通りに、『流されたけど気持ちよくて許しちゃう処女ビッチ☆』でお願いしまーす」
 ネロは私の下着を時々捲ったり戻したりしながら、私の秘部を観察している。
「ほら、はやく、もうっ『仕方ないから入れて良いよ!』って言って腰振って誘って。猫としては、形式として誘われるの待ってるんだけど」
 ひたりと下着が湿っているのを感じる。
「やだ、ダメだってば……」
「なんだよー、いいよって言いなよ。こんなに盛ってんじゃん?」
 秘部の穴の辺りをぐっと押されてクロッチのあたりがヌルついているのがバレてしまう。
「わかった、挿れてって泣くまで虐めたほうが誘いやすければそうするー」
 

 それから、地獄のようなグルーミングが始まった。
 下着の上からザリザリと陰部を舐められる。直に舐められたら削れそうなほど何度も何度も舐めまくる。
 ――こんなの耐えられない!
「……ん、きゃぁっ……!」
 唾液で所在が知れてしまった淫芽を布地ごと甘噛みされて、甲高い悲鳴をあげてしまう。

「いい声出たねー」
 ネロはグルグルと嬉しそうだ。
「どう? 今度は指を入れてみる? やる気になるかもよ。挿れてって泣こうよ、ね!」
 布地がずらされて、ヒタヒタと指先が触れる。
 もう、抗う体力すらない。
「あっ、やぁっ……」
 ざらりとクリトリスの方から一舐めされる。もう無理、ずっと無理。
 声を抑えるのも、快感に耐えるのも、とっくに限界だ。
「やわらかーい。処女膜みえるかなー」
 左右に拡げられて、膣の入り口を弄られている。
 穴らしきところに指先が沈むのを感じて、分かりやすく喘いでしまう。
「大丈夫! 膜もこの感じならあんまり泣かさないで入れられるかもね!」
 入り口から浅い所に指先を引っ掛けて、水音を立てて処女膜とやらを拡げ始めるネロ。
 ――手慣れている。
 猫の獣人、どうなってんの?
「俺たち、熟成した雌のほうが好みだから、あんまり処女とか興味ないんだけどさ。ご主人の拗らしてる処女なら喜んで開発しちゃうよね!」
 私の見えない所で蛮行は続く。見えないのも怖いが、見せられたら泣いてしまうかもしれない。
「ちょっと我慢だよー。膜押し広げるからね」
「やだ、指が……ちょっと、まだ無理……あっ、あっ、何本入れるのよぉ!」
 内臓を触られる感覚に身じろぎする。見えない分、ネロの指先を敏感に感じてしまう。爪の鋭さは感じないから、上手に爪を仕舞っているのだろう。
「実況してあげようか?」
「やだ、要らない」
「俺の指、ベタベタにしながら二本も一気に飲み込んでるよ。処女なのに、上手上手。
 さっきから、ずっと気持ちよかったんでしょ? 待たせてごめんね。 
 ご主人のエッチなお肉が波打ってて、俺の指べろべろ舐められてるみたいだよ。それとも、しゃぶってるって言った方が興奮する?
 ヤバ、それ俺が興奮するやつだ、あ、ご主人、今キュンってなった?」
 中の刺激とネロの余りの下品な実況に、思わずギュッと身を縮める。図らずもネロの指を締め付けてしまったのが分かって慌てて力を抜く。  
「あー、もう、我慢できない! 早く挿れたいから頑張って、ご主人。ほら、がんばれー! がんばれー!」
 耳から入ってくる卑猥な情報に、意識まで犯されているみたいだ。
「あっ、やぁ、まだいれるの? もう無理……」
 力を抜いた所で無慈悲に指を増やされて、私は快感と圧迫感で息も絶え絶えなのに、ネロは絶好調だ。
「痛くしないから力抜いて。それとも痛いのが気持ちいい? ちょっと中で爪を立てちゃおうか?」
 ぐちぐちと、中を捏ねながら精神を蝕むようなおしゃべりは止まらない。
「痛いのがイイって言う物好きもいるんだけどねー」
「や、駄目……っ、きゃぁっ……あっ……あっ、んぁ、やっ、あぁーっ!」
 指で引っ掻くように膣壁をカリカリとなぞられて、訳の分からない快感で体が硬直する。
 本当は舐められている時から何回も絶頂に導かれている。
 今のは完全にビクビクと指を締め付けてしまっていたし、隠しようもなく達していたのが伝わってしまったはずだ。
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