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Until Death Do Us Part *
しおりを挟む人に譲り渡した犬や猫のことを思い出していた。
時々、飼い主から挨拶の手紙が来る。
街中や店でばったり会う事もある。
俺が選んだ飼い主たちだから、もちろん幸せに飼ってもらっている。
家族を見つけた子たちは幸せそうで、自分も幸せになれた気になっていた。
今、ロンがここにいて、それは似ているけれど、全く違うものだったのだとわかる。
俺の緊張が解けて、ロンを抱き寄せたいと思った頃、異変に気がついた。
ロンはより一層俺に密着して、俺のびしょ濡れの陰茎にまだ指を這わせている。
あれ? さっきより中が苦しい?
ロン、今、確かに出したよな?
明らかに俺に這入りこんだロンの陰部の質量が増している。
「……ロン? なんかさ……」
ロンを振り返ると、目を細めて意地悪く笑っている。
「フラン、まだだよ。これからが本番なんだからさ」
ぐりぐりと腰を押し付けられ、その途中にもどんどん膨らむロンの猛りが、中を緩く擦り上げる。
「ぐっ……なんだ? どうなってるんだ?」
全然終わりじゃなかった。
「フランは若い犬しか世話したことがないから知らないのか。犬はね、細いうちに入れて、だんだん大きくするんだよ。だって、いきなり膨らんだのを挿れたら痛そうだろ? ヒトは骨が入ってないから、大きくしてからしか挿れられないのか……不便だな。僕、大丈夫かなぁ」
ロンの陰茎を口に含んだ時に、肉の奥に感じた硬さを思い出す。
「そ、その為の骨か……」
「フラン、今からもっと太いので慣らすから。いいこだから、力を抜いてて」
機嫌を取るように背中も項も舌で何度もなぞられて、ついにはロンの手が俺の胸にまわされ、胸の尖りをひっかくまでになった。
胸で感じたりはしたくはないのに、抗いきれないでいる。
それにしても……もっと太くなるのか……。
「ロン、俺、獣人の体に対して不勉強だったよ。こんなので内臓えぐられて、俺、大丈夫なのか?」
「こんなのって、具体的に、太くて長くて凄い! って褒めてくれてもいいんだぜ」
ロンの尻尾が猛烈に振られて、風圧が届く。
「ロンの体格に相応しい大きさではないとは思う」
そう言うと、ロンは機嫌よく俺の首を甘噛みする。
ますます大きく育ってきたものを、小刻みに突き入れられ、息が乱れる。
「ひっ……」
今度は何だ?
今までと異質な質量を入り口に感じた。
「ちょ、ちょっと待て! 今、なんか……」
慌てて止めるが、ロンは聞き入れるつもりがないようだ。
「フラン、一番太いとこ入るよ」
ぐりっと一回り大きなものが入り口を限界まで広げて這入りこもうとしている。
ロンの息も荒い。
「う、嘘だろ……」
ゴリっとした何かが入り口を通過する。
それと同時に、奥深く入り込んだ先端がどこかに当たってチカチカするほどの快感をもたらす。
「ひゃっ……あっ、ロン……まて……だめだ……」
「今までマテしてあげたのは、フランが僕の飼い主だと思ってたからじゃないよ。フランがそういうの好きかなって思ってたからだし。まぁ、そういうわけで、僕ももうギリギリなんだよね。馬鹿猫の家でも待たされたし……」
何だか、ダメだ。
いろいろ取り繕ってきたけれど、俺はロンに蹂躙されることを期待している。
「……もう、待たない」
ロンの宣言と同時に、脳を揺らすほどの重い衝撃が入り口と奥にきて、抗うことも出来ずに、押し出されるように射精してしまう。
一瞬目の前が真っ白になり、耳鳴りがする。
「……あ……え? 俺……で、出たのか……?」
しばし放心していた俺は、遅れて自分の身に起きたことを実感する。
一段飛ばしで、ものすごい体験をしてしまった。
俺が放った精液をロンが指で掬い取って舐めている音がするが、快感の余韻で呆けている俺は、それを確かめる余裕もない。
「亀頭球まで入ったよ。頑張ったね」
「な……亀頭球?」
聞き慣れない単語を聞いて、何を意味するのかもわからず混乱する。
「瘤が膨らんで、蓋をして、中にドバドバだすんだ」
凶悪な形状を内壁で感じて、反射的に括約筋が収縮するが、ものすごい反発力を感じて阻まれる。
「はぁ……なんだよ、そのエロい機能」
「出ちゃうほど気持ちよかったんだ? 僕も出ちゃったけどさ。フラン、僕の体、気に入った?」
「……こんなの聞いてない」
でも、訳が分からなくなるくらいに自分の体をロンに苛まれるのは嫌じゃない。
「これからもっと膨らむよ」
後ろから回ってきた手が、俺の体を這いまわる。
「……無理」
「無理じゃないだろ、中がうねってる」
いろいろなものが壊れて、また積みあがっているような……まるで生まれ直しているみたいな激しい時間を過ごしいる。
「ロン、体がついていかない……キスして欲しい」
俺はロンのキスが、こういう時の緩衝材になることを学習し始めている。
「フラン、可愛いじゃん。いい匂いしてる」
ロンが言った通り、入り込んだ球状のものが膨らんできていて苦しい。
「ちゃんとキスしようか……ちょっと我慢だよ」
ロンは、そういうと、あれだけの質量が俺の中に入っているというのに、体の向きを変えはじめた。
内臓がねじれるほどの勢いでロンの陰茎も向きを変えて、入り口を塞ぐ亀頭球がぎちぎちとそれを妨害しようとする。
「ばっ、あっ、ロン……ダメ、だ……って……」
こちらを向いたロンに縋り付いて助けを求める。
「どう? 違う所に当たってる?」
声も出せなくて、何度も頷く。
向かい合って、腹の上に乗ったロンを抱きしめて、がくがくと震える。
「もう挿れたままで、引っ張っても抜けない。ほら、僕たち一つになっちゃった」
内臓を全部引きずり出されそうな刺激を感じて、ロンの首をぎゅっと抱く。
「わっ、引っ張るな……やっ、やめ……っ」
ロンが悪ふざけをする度に、奥のたまらない所にも先が当たって思考が蕩ける。
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ぐずぐずになった理性でロンを求める。
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「ロンの匂い、好きだよ。甘くて、綺麗な匂いがする」
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うちのロンだ。
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「そ、そうなんだ?! 僕、ヒトの……フランの鼻、もっとクソ鈍いのかと思ってた。……うれしい、うれしいよ!」
うっすら涙まで浮かべている。
お願いだから悪口交じりで尻尾を振るのはやめてもらいたい。
俺の中に入って限界まで膨らんでいたはずのものが、また膨らんで尻尾の振動とともに俺を苦しめる。
ロンのツボはよくわからない。
「フランがそんなこと言うから、また出るよ! まぁ、さっきからずーっと出てるけどさ」
ごちゅりとまた奥まで擦り付けられて、もう何も出ないはずの俺のものが反応する。
「フランも出す?」
「俺は、もう出ないよ」
「僕に任せとけばいいんだよ。後で肉を喰わせてやるからさ」
男前なことを言うので、もう今日は全てロンに任せよう。
口を開けば舌が入り込む。
気持ちいい。
上も下も繋がって、一つになったみたいだ。
キスの合間にロンの赤く染まった薄い耳を舐めてみる。
過剰な反応が後孔に伝わる。
愛しい。
「ロン、全部欲しい。ロンが全部欲しいんだよ……」
舐めながら、ロンの耳に熱い吐息と共に願う。
こんなに何かを欲しがったのは、生まれて初めてだ。
「フラン、それが番うってことだよ。わかってきたね」
中に出されながら、揺すられて、扱かれて、俺は精液なのか何なのかわからないような液体を撒き散らした。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
ベッドがぐちゃぐちゃだ。
あれからしばらく結合が続いて、やっと解放されたと思ったら、やたらと濃いのを中に貰った。
……本当にこれ、慣れるのか?
がくがくする足で濡れたシーツを洗濯の魔術壺に放り込んで、風呂でロンも洗ってやる。
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ロンを?
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ロンが朝食の準備をしてくれる。
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「だからさ、行き先なんか、僕が匂いだけで決める方がずっと安全なんだよ。あんたが考えてくれなくたって、僕はちゃんとやってたんだ。あんたが番だって分かってからは地獄だったけど」
目の前にいるのに気が付かない番だなんて、歯がゆかっただろう。
「俺はロンの事、全然知らないね」
今朝の朝食は肉が多い。
失った蛋白質を補えっていうのだろうか。
「知りたいなら何でも教えるよ」
ロンが身を乗り出して俺を覗き込む。
「俺、獣人の事も何も知らないな」
「獣人の体については、よーく教えただろ?」
肘をついてぺろりと口の周りを舐めまわして見せる。
ほどほどに扇情的なロンのしぐさで、自分の痴態を思い出して、赤面して食卓に伏せる。
ロンは肉ばかり先に食べてしまって、仕方なしに野菜をつついている。
「それじゃ、今度さ、僕んち来る? 」
パンはバターがたっぷり塗ってあればぺろりと食べる。
「え? いいのか?」
獣人の里に招かれた話なんて、おとぎ話で聞いたくらいだ。
獣人に招かれる話は縁起のいいこととして伝わっている。
里のことは謎が多く、よくわかっていないことが多いのだ。
「僕、妹が五人いるんだ。僕なんかよりうんと可愛いよ。フランなら、少し撫でるくらいは許すけど?」
フサフサの仔犬が五匹か……。
「いや、俺にはロンが一人いれば充分だよ」
ロンの尻尾がピンと上がる。
「フラン、けっこう執着する方だろ?」
「別に、そんな事ないだろ?」
俺は上手に色々なものから手を離してきたつもりでいたけれど、違うのか?
「今まで、犬も猫も手元に置かなかったのは、そいつらに執着しちゃうからだろ?」
そうだろうか?
どれか一匹でも手元に残したら、そんなことになっていたのだろうか?
「そうかもしれないな。俺は、大事なものを作るのが嫌だったんだ。ほら、大事な物って無くなるだろ?」
「はっ、僕を他所へやろうとしたくせに、よく言うよ」
ロンが口を尖らす。
「突き放してもずるい方法で戻ってきたくせに、ロンこそよく言うよ」
そうだ、何でもじゃない。ロンは手放せなかった。
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ロンがいなくなるのは寂しい。
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「俺がペットを飼いたくないのは、きっと別れが辛いからだよ」
「フラン、獣人を分かってないなぁ。そんなの、死ぬまで別れないならいいだけだろ? 」
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あっけらかんと言うロンには何の含みもない。
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「二週間か……それなら耐えられそうだよ 」
俺は思わず笑いだす。
「二週間分の暇つぶしに、早く死ねそうな手紙でも書いといてやるからさ」
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「死が二人を分つまで? 」
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「そう、死が二人を分つまで……」
そうか、誓いを立てなくても、もうお互いの魂が知っている。
俺はもう、一生寂しくはないんだな。
外に行く気にもなれない。
やっと整えなおした寝台で惰眠を貪ろうと思う。
「まぁ、そういう心配ってさ、フランより、番を持つ獣人の方が大変な話でさ。掘った墓穴に二頭で埋まるなんて、獣人にはよくあることだし。相手が病気したら、自分の墓穴も掘っとけよ、とか冗談でよく聞くよ」
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「俺たち、一連托生なんだな」
腹ばいになってフワフワと尻尾を揺らしていたロンは、悪だくみをしている顔で、むくっと起き上がる。
「そうだよ。だからさ、僕が盛ったら、フランも盛るんだよ」
「……え?」
くるりと背中を向けて立てた尻尾を横に倒す。
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「今度は僕のこと鳴かすんだろ?」
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この犬、俺のことが大好きなんだ。
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