49 / 51
その仕事と俺と、どちらが大事なんだ?
8/10――趣味で
しおりを挟む
爆弾魔の事件はいつも後手後手に回って、いまだに犯人が捕まっていない。
偶然にも、こんなところで事件の突破口が手に入った。
リリアムの次の行動は迅速だった。尋問する時は相手に考える時間を与えてはいけない。リリアムは恐ろしい笑みを浮かべて、畳み掛けるように庭師に圧をかける。
「私がどれほど超人的であるかは、よ~く理解しましたね。ああ、手がすべったぁ!」
「ひっ……」
わざとらしく言って、薄く白いひっかき傷だけを残して庭師の服を切り裂いた。恐ろしい精度で服だけが破れ散ると、肌に残ったひっかき傷はだんだんと赤みを増す。
懐刀がなまくらではないことはわかっている。庭師はリリアムの緩急自在の技量に恐怖した。
リリアムは庭師がどんなに哀れに悲鳴を上げても、容赦するつもりがない。
爆弾犯は罪のない民家を吹き飛ばした。怪我人も多く出ている。避難してまだ家に帰れずにいる者もいる。騎士もギルドの者も皆、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。
「私、爆弾魔にすごく腹を立てていまして、冷静に団に引き渡せる気がしません。この身柄、死体で引き渡しても、怒られないと思いませんか? 庭師さんはどう思います?」
今度は、鎖骨あたりから真皮に到達しないように薄皮一枚だけを傷つけていく。
綺麗に真っ直ぐ臍下まで線が引かれて、じんわりと血が滲むのが庭師にも見えた。
恐怖で体が震える。次々と浮かぶ血の玉を見た庭師は、よくわからない悲鳴を上げた。
「違う、俺はただ、奴ら相手に商売していただけなんだ」
「そんなのどうだっていいんですよ。どんな役目でも、あなたも加害者です」
「俺じゃない、おれは爆弾を仕掛けに行った奴らじゃないんだ」
「そいつが目の前にいないので、どうでもいいです。あなたで鬱憤晴らしをさせてくださいよぉ」
リリアムは狂人的に叫んで、素肌がむき出しになった下半身に懐刀を添わせる。
庭師の股間は哀れなほどに縮んだ。
「止血するつもりはありませんから、生き残れるかどうかは運ですね。刃が小さいので、切れ味だけはあげてきたんです。これでウサギを解体できるか挑戦したんですよ。うふふ、私、すごくないですか?」
リリアムが懐刀で優しく撫でると、庭師の腹辺りから毛深くなっていく栗色の縮毛がじょりりと落ちた。
皆を廊下に退避させたグリアが、入り口で腕を組んでリリアムの蛮行を静観している。リリアムには話が通じないとわかると、庭師は縋るようにグリアを見る。
「こいつを止めてくれ! あんた、こいつの上司なんだろ?」
「残念だが、ガーウィンは、もとより理性を持ち合わせていない」
グリアの冗談は真顔なので冗談には聞こえない。
「頼むから、やめさせてくれ!」
「この間も潜入捜査のはずが、犯人を取り押さえてみたら、犯人の大事なブツを刈り取ったあとでな……書類仕事で上司が頭を抱えていたな」
嘘は言っていないが、庭師の脳裏には血だらけの惨状が浮かんだ。
「うふふふ♪」
リリアムは弄ぶように体に血の筋を何本もつけていく。どんな悪党でも、等しく真紅の血が流れていることに、リリアムは少し気落ちする。その溜息は、庭師の恐怖を煽った。
「ひっ、た、助けてくれ……」
「まぁ、別の標的でもあれば、そちらに興味が行くのだがな。ビクターのも半分刈り損ねたし、うちの猛獣は目の前のソレのことで頭がいっぱいだ」
「さぁて! 一気にやってしまいましょうかぁ!」
グリアは気の毒そうに庭師から顔を逸らす。
丸く膨れ上がった血の球が皮膚を伝って流れ出すのを見て、庭師はここまでだと観念した。
「まて! 奴らの潜伏しているところを教える、それでどうだ?」
「ええ、本当ですか?」
「いずれにしても俺が捕まれば、あいつらだって道連れだ」
狡猾にも、仲間を売って取引するつもりだ。リリアムは目を細める。リリアムが庭師に要求しているのは無条件降伏だ。
「それで逃れるつもりですか? さっさと吐かないと、こうですよ」
リリアムは一度立ち上がると踊るように刀を大きく振りかぶる。刺し貫くような大きな動きで、皮膚の上に刃先を滑らせる。
「ひゃぁああああ」
懐刀は下腹部に青々と毛刈り跡を残して、陰茎を掠めてまた空に戻る。
庭師は、悲鳴を上げて失禁した。
*
「先輩、急いでニコラ隊長の所に馬を出してください……いや、私に行かせてください。あの子たち乗ってみたかったんですよね」
「わかった行ってこい。ここの栗毛の牝馬は足が速い」
「私もそうだと思っていたんです」
リリアムは調子よくグリアに跳びつくと、頬に一つキスをした。
「……リリアムさん」
入口の影から銀髪が見えかくれしている。セルリアンはどうやら一部始終を見ていたようだ。
「あ、そうだ、おばさん……来てたんだ」
「母上……これは……」
セルリアンは床に落ちた二種類のちぢれた毛を視点も定まらずに見つめている。色々なことがもう手遅れだ。
「毛が……」
「えっと、その、悪党を刈り取るのは――趣味で」
リリアムは頭をバリバリと掻いて、照れたように言う。別に照れる所ではない。
「趣味……」
「趣味っていうか、けしからんやつをやっつけるのが楽しいので……」
「たの、しい……?」
セルリアンは考えをまとめられなくなって、幼子のように首をかしげた。
「リリアム、もう黙れ。母上、お気を確かに。今さっき見たガーウィンは、幻です」
「先輩、さすがにそれは無理がないですか?」
セルリアンは常の冷静さが吹き飛んで、迷子の顔をしている。
「私のリリアムさんが……」
「母上のではありません」
過敏になっているのか、グリアは小さな言葉尻までとらえてムッとする。
「だって、だって、剣がビュンって飛んで! ドーンって蹴って! あれをリリアムさんがやったのよ! お話の騎士様みたいだったわ!」
語彙力もどこかに吹き飛んだようだ。興奮したように今見たことを伝えようとしている。
「母上、気を確かに。私のリリアムはコレで正しいのです。人を蹴り倒して、壁に剣を突き立て、犯罪者の陰毛をそり落として、ニコラの手間を増やそうとしている――コレで間違いありません」
「わあ、おばさん、ごめんなさい。もうばっちいのは触りませんからね。手も洗いますよ!」
リリアムは無駄と知りつつもグリアの服に手をこすりつける。
セルリアンは口に手を当てて、リリアムをまじまじと見る。
「そ、そ、そ、そうですか……これが本当のリリアムさんなのね――ええ、大丈夫よ。理解できるわ……あのリリアムさんが……うそぉ」
どうにか理解しようとしてはみるが、今までのリリアム像と、今見た荒々しいリリアムとの折り合いがつかない。グリアは母をなだめる言葉が尽きて、目だけで万策尽きた、と言っている。
代わりにリリアムがセルリアンに寄り添う。
「このリリアムはお嫌いですか? 私は、おばさんのこと大好きですよ」
リリアムは混乱しているセルリアンの頭を撫でる。そのまま抱き寄せて肩を抱く。
セルリアンはリリアムに強い力で抱き寄せられて、ぽっと頬を染めた。
「そうですね。リリアムさんは、騎士様だったのですものね……だから、あんな荒々しい剣を……賊を脅したり……」
「はい。私は騎士ですからね、少しはおかしなことも致しますよ」
セルリアンが落ち着くまで、リリアムは優しく穏やかに背をさする。ついでにセルリアンの香りを嗅いでいる。セルリアンはだんだん赤面してきた。
「リリアム、もう母上を撫でるな。おかしなことになる」
「あは、おばさん、可愛い……わたしグリア様のことも大好きですけど、おばさんも可愛くて大好きなんですよ。あー、いいにおい」
「やめろといっている!」
*
リリアムが颯爽と馬にまたがると、膝辺りまでメイド服のスカートがめくれあがる。
「リリアムさん、あなたその恰好で馬に乗るの? 膝が……」
「おばさん、ごめんなさい。でも、私、こうなんです。やっぱり、グッドヘン家に相応しくはないですか?」
「え、そ、そんなことありません。だって、グリアは、このリリアムさんが好きなんでしょう?」
セルリアンは出来る限り好意的に状況を飲み込もうとしている。リリアムはそれが嬉しい。
「そうなんです。仕事で十日帰ってこないだけで、不機嫌ったらないんですよ」
「二十日だ」
「ごめんなさいね。こう見えて、グリアは気に入ると、しつこい子なのよ」
「ええ、ええ、そうなんです。私も、グリア様のそういう所、好きなんです!」
そこでリリアムは顔を引き締めてセルリアンを見る。
常には無い真剣さだ。
「おばさん、社交の場に出る時は頑張りますから、この私がグリア先輩の隣にいてはダメですか? おばさんの息子を私にください。誓って不幸には致しません」
セルリアンが答えようとする前に、グリアが割って入る。これ以上リリアムが行動すると、グリアの矜持に関わる。
「まて、リリアム、勝手に何を言ってるんだ。どうしてお前が許しを請う側なんだ。そういうのは、俺がガーウィン教官に申し出るものだろうが」
「あ~、それはもう少し待ってくれません? あの糞親父、最近調子に乗っていて。もう少し弱らせてから叩こうかと。もう行かなきゃ! それじゃ、隊長に知らせてきます!」
颯爽と駆け足で馬を走らせるリリアムは、あっという間に門の外に消えていった。
母と子は残されて、中庭から花の香りのする風が吹く。
「グリア……私たちを謀りましたね」
「――はい」
グリアは何をどう説明すべきかと頭を抱えたくなった。
偶然にも、こんなところで事件の突破口が手に入った。
リリアムの次の行動は迅速だった。尋問する時は相手に考える時間を与えてはいけない。リリアムは恐ろしい笑みを浮かべて、畳み掛けるように庭師に圧をかける。
「私がどれほど超人的であるかは、よ~く理解しましたね。ああ、手がすべったぁ!」
「ひっ……」
わざとらしく言って、薄く白いひっかき傷だけを残して庭師の服を切り裂いた。恐ろしい精度で服だけが破れ散ると、肌に残ったひっかき傷はだんだんと赤みを増す。
懐刀がなまくらではないことはわかっている。庭師はリリアムの緩急自在の技量に恐怖した。
リリアムは庭師がどんなに哀れに悲鳴を上げても、容赦するつもりがない。
爆弾犯は罪のない民家を吹き飛ばした。怪我人も多く出ている。避難してまだ家に帰れずにいる者もいる。騎士もギルドの者も皆、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。
「私、爆弾魔にすごく腹を立てていまして、冷静に団に引き渡せる気がしません。この身柄、死体で引き渡しても、怒られないと思いませんか? 庭師さんはどう思います?」
今度は、鎖骨あたりから真皮に到達しないように薄皮一枚だけを傷つけていく。
綺麗に真っ直ぐ臍下まで線が引かれて、じんわりと血が滲むのが庭師にも見えた。
恐怖で体が震える。次々と浮かぶ血の玉を見た庭師は、よくわからない悲鳴を上げた。
「違う、俺はただ、奴ら相手に商売していただけなんだ」
「そんなのどうだっていいんですよ。どんな役目でも、あなたも加害者です」
「俺じゃない、おれは爆弾を仕掛けに行った奴らじゃないんだ」
「そいつが目の前にいないので、どうでもいいです。あなたで鬱憤晴らしをさせてくださいよぉ」
リリアムは狂人的に叫んで、素肌がむき出しになった下半身に懐刀を添わせる。
庭師の股間は哀れなほどに縮んだ。
「止血するつもりはありませんから、生き残れるかどうかは運ですね。刃が小さいので、切れ味だけはあげてきたんです。これでウサギを解体できるか挑戦したんですよ。うふふ、私、すごくないですか?」
リリアムが懐刀で優しく撫でると、庭師の腹辺りから毛深くなっていく栗色の縮毛がじょりりと落ちた。
皆を廊下に退避させたグリアが、入り口で腕を組んでリリアムの蛮行を静観している。リリアムには話が通じないとわかると、庭師は縋るようにグリアを見る。
「こいつを止めてくれ! あんた、こいつの上司なんだろ?」
「残念だが、ガーウィンは、もとより理性を持ち合わせていない」
グリアの冗談は真顔なので冗談には聞こえない。
「頼むから、やめさせてくれ!」
「この間も潜入捜査のはずが、犯人を取り押さえてみたら、犯人の大事なブツを刈り取ったあとでな……書類仕事で上司が頭を抱えていたな」
嘘は言っていないが、庭師の脳裏には血だらけの惨状が浮かんだ。
「うふふふ♪」
リリアムは弄ぶように体に血の筋を何本もつけていく。どんな悪党でも、等しく真紅の血が流れていることに、リリアムは少し気落ちする。その溜息は、庭師の恐怖を煽った。
「ひっ、た、助けてくれ……」
「まぁ、別の標的でもあれば、そちらに興味が行くのだがな。ビクターのも半分刈り損ねたし、うちの猛獣は目の前のソレのことで頭がいっぱいだ」
「さぁて! 一気にやってしまいましょうかぁ!」
グリアは気の毒そうに庭師から顔を逸らす。
丸く膨れ上がった血の球が皮膚を伝って流れ出すのを見て、庭師はここまでだと観念した。
「まて! 奴らの潜伏しているところを教える、それでどうだ?」
「ええ、本当ですか?」
「いずれにしても俺が捕まれば、あいつらだって道連れだ」
狡猾にも、仲間を売って取引するつもりだ。リリアムは目を細める。リリアムが庭師に要求しているのは無条件降伏だ。
「それで逃れるつもりですか? さっさと吐かないと、こうですよ」
リリアムは一度立ち上がると踊るように刀を大きく振りかぶる。刺し貫くような大きな動きで、皮膚の上に刃先を滑らせる。
「ひゃぁああああ」
懐刀は下腹部に青々と毛刈り跡を残して、陰茎を掠めてまた空に戻る。
庭師は、悲鳴を上げて失禁した。
*
「先輩、急いでニコラ隊長の所に馬を出してください……いや、私に行かせてください。あの子たち乗ってみたかったんですよね」
「わかった行ってこい。ここの栗毛の牝馬は足が速い」
「私もそうだと思っていたんです」
リリアムは調子よくグリアに跳びつくと、頬に一つキスをした。
「……リリアムさん」
入口の影から銀髪が見えかくれしている。セルリアンはどうやら一部始終を見ていたようだ。
「あ、そうだ、おばさん……来てたんだ」
「母上……これは……」
セルリアンは床に落ちた二種類のちぢれた毛を視点も定まらずに見つめている。色々なことがもう手遅れだ。
「毛が……」
「えっと、その、悪党を刈り取るのは――趣味で」
リリアムは頭をバリバリと掻いて、照れたように言う。別に照れる所ではない。
「趣味……」
「趣味っていうか、けしからんやつをやっつけるのが楽しいので……」
「たの、しい……?」
セルリアンは考えをまとめられなくなって、幼子のように首をかしげた。
「リリアム、もう黙れ。母上、お気を確かに。今さっき見たガーウィンは、幻です」
「先輩、さすがにそれは無理がないですか?」
セルリアンは常の冷静さが吹き飛んで、迷子の顔をしている。
「私のリリアムさんが……」
「母上のではありません」
過敏になっているのか、グリアは小さな言葉尻までとらえてムッとする。
「だって、だって、剣がビュンって飛んで! ドーンって蹴って! あれをリリアムさんがやったのよ! お話の騎士様みたいだったわ!」
語彙力もどこかに吹き飛んだようだ。興奮したように今見たことを伝えようとしている。
「母上、気を確かに。私のリリアムはコレで正しいのです。人を蹴り倒して、壁に剣を突き立て、犯罪者の陰毛をそり落として、ニコラの手間を増やそうとしている――コレで間違いありません」
「わあ、おばさん、ごめんなさい。もうばっちいのは触りませんからね。手も洗いますよ!」
リリアムは無駄と知りつつもグリアの服に手をこすりつける。
セルリアンは口に手を当てて、リリアムをまじまじと見る。
「そ、そ、そ、そうですか……これが本当のリリアムさんなのね――ええ、大丈夫よ。理解できるわ……あのリリアムさんが……うそぉ」
どうにか理解しようとしてはみるが、今までのリリアム像と、今見た荒々しいリリアムとの折り合いがつかない。グリアは母をなだめる言葉が尽きて、目だけで万策尽きた、と言っている。
代わりにリリアムがセルリアンに寄り添う。
「このリリアムはお嫌いですか? 私は、おばさんのこと大好きですよ」
リリアムは混乱しているセルリアンの頭を撫でる。そのまま抱き寄せて肩を抱く。
セルリアンはリリアムに強い力で抱き寄せられて、ぽっと頬を染めた。
「そうですね。リリアムさんは、騎士様だったのですものね……だから、あんな荒々しい剣を……賊を脅したり……」
「はい。私は騎士ですからね、少しはおかしなことも致しますよ」
セルリアンが落ち着くまで、リリアムは優しく穏やかに背をさする。ついでにセルリアンの香りを嗅いでいる。セルリアンはだんだん赤面してきた。
「リリアム、もう母上を撫でるな。おかしなことになる」
「あは、おばさん、可愛い……わたしグリア様のことも大好きですけど、おばさんも可愛くて大好きなんですよ。あー、いいにおい」
「やめろといっている!」
*
リリアムが颯爽と馬にまたがると、膝辺りまでメイド服のスカートがめくれあがる。
「リリアムさん、あなたその恰好で馬に乗るの? 膝が……」
「おばさん、ごめんなさい。でも、私、こうなんです。やっぱり、グッドヘン家に相応しくはないですか?」
「え、そ、そんなことありません。だって、グリアは、このリリアムさんが好きなんでしょう?」
セルリアンは出来る限り好意的に状況を飲み込もうとしている。リリアムはそれが嬉しい。
「そうなんです。仕事で十日帰ってこないだけで、不機嫌ったらないんですよ」
「二十日だ」
「ごめんなさいね。こう見えて、グリアは気に入ると、しつこい子なのよ」
「ええ、ええ、そうなんです。私も、グリア様のそういう所、好きなんです!」
そこでリリアムは顔を引き締めてセルリアンを見る。
常には無い真剣さだ。
「おばさん、社交の場に出る時は頑張りますから、この私がグリア先輩の隣にいてはダメですか? おばさんの息子を私にください。誓って不幸には致しません」
セルリアンが答えようとする前に、グリアが割って入る。これ以上リリアムが行動すると、グリアの矜持に関わる。
「まて、リリアム、勝手に何を言ってるんだ。どうしてお前が許しを請う側なんだ。そういうのは、俺がガーウィン教官に申し出るものだろうが」
「あ~、それはもう少し待ってくれません? あの糞親父、最近調子に乗っていて。もう少し弱らせてから叩こうかと。もう行かなきゃ! それじゃ、隊長に知らせてきます!」
颯爽と駆け足で馬を走らせるリリアムは、あっという間に門の外に消えていった。
母と子は残されて、中庭から花の香りのする風が吹く。
「グリア……私たちを謀りましたね」
「――はい」
グリアは何をどう説明すべきかと頭を抱えたくなった。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました
utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。
がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。
【R18】桃源郷で聖獣と霊獣に溺愛されています
蒼琉璃
恋愛
――――ここは人界より上、四神が統治する聖獣と霊獣たちの楽園『武陵桃源』。
黒龍一族の鳴麗は新生活に胸を踊らせていた。
いつか、敬愛する憧れの玄天上帝のお側で務める事を夢見ながら、立派な黒龍になることを目標としていた。
理想郷でうごめく魔物たちの影、そして成獣になりきれない無邪気な幼馴染や、血の繋がりの無い冷静沈着で妖艶な兄、そして俺様で強引な帝に迫られることになって……!?
※2500〜3000文字の間で更新します。
※Illustrator suico
※逆ハーレムっぽくなっていますが、ヒロインが三人の中の誰かとくっつきます(番外編で別ルートも書く予定)
※強引な表現もあり。
※戦闘などで流血表現あり。
※ストーリー上差別的な表現が肯定はしていません。
※あくまで中華風なので現実のしきたりとは乖離があります。
※他サイトでも転載してます。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
[R18] 18禁ゲームの世界に御招待! 王子とヤらなきゃゲームが進まない。そんなのお断りします。
ピエール
恋愛
R18 がっつりエロです。ご注意下さい
えーー!!
転生したら、いきなり推しと リアルセッ○スの真っ最中!!!
ここって、もしかしたら???
18禁PCゲーム ラブキャッスル[愛と欲望の宮廷]の世界
私って悪役令嬢のカトリーヌに転生しちゃってるの???
カトリーヌって•••、あの、淫乱の•••
マズイ、非常にマズイ、貞操の危機だ!!!
私、確か、彼氏とドライブ中に事故に遭い••••
異世界転生って事は、絶対彼氏も転生しているはず!
だって[ラノベ]ではそれがお約束!
彼を探して、一緒に こんな世界から逃げ出してやる!
カトリーヌの身体に、男達のイヤラシイ魔の手が伸びる。
果たして、主人公は、数々のエロイベントを乗り切る事が出来るのか?
ゲームはエンディングを迎える事が出来るのか?
そして、彼氏の行方は•••
攻略対象別 オムニバスエロです。
完結しておりますので最後までお楽しみいただけます。
(攻略対象に変態もいます。ご注意下さい)
麗しのシークさまに執愛されてます
こいなだ陽日
恋愛
小さな村で調薬師として働くティシア。ある日、母が病気になり、高額な薬草を手に入れるため、王都の娼館で働くことにした。けれど、処女であることを理由に雇ってもらえず、ティシアは困ってしまう。そのとき思い出したのは、『抱かれた女性に幸運が訪れる』という噂がある男のこと。初体験をいい思い出にしたいと考えたティシアは彼のもとを訪れ、事情を話して抱いてもらった。優しく抱いてくれた彼に惹かれるものの、目的は果たしたのだからと別れるティシア。しかし、翌日、男は彼女に会いに娼館までやってきた。そのうえ、ティシアを専属娼婦に指名し、独占してきて……
皇帝陛下は皇妃を可愛がる~俺の可愛いお嫁さん、今日もいっぱい乱れてね?~
一ノ瀬 彩音
恋愛
ある国の皇帝である主人公は、とある理由から妻となったヒロインに毎日のように夜伽を命じる。
だが、彼女は恥ずかしいのか、いつも顔を真っ赤にして拒むのだ。
そんなある日、彼女はついに自分から求めるようになるのだが……。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【R-18】嫁ぎ相手は氷の鬼畜王子と聞いていたのですが……?【完結】
千紘コウ
恋愛
公爵令嬢のブランシュはその性格の悪さから“冷血令嬢”と呼ばれている。そんなブランシュに縁談が届く。相手は“氷の鬼畜王子”との二つ名がある隣国の王太子フェリクス。
──S気の強い公爵令嬢が隣国のMっぽい鬼畜王子(疑惑)に嫁いでアレコレするけど勝てる気がしない話。
【注】女性主導でヒーローに乳○責めや自○強制、手○キする描写が2〜3話に集中しているので苦手な方はご自衛ください。挿入シーンは一瞬。
※4話以降ギャグコメディ調強め
※他サイトにも掲載(こちらに掲載の分は少しだけ加筆修正等しています)、全8話(後日談含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる