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騎士様……抱いて*
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(先輩と体の相性が良すぎるのが悪いんだ――)
リリアムは焦っていた。
早急にグリアから離れなければならないのに、グリアとしか遊べない体になりつつある。
しばらく仕事に専念するつもりが、ウィリアムがグッドヘン家に縁談を持ちかけたせいで、早急に次の相手を探さなければならなくなった。
もう、この際、グリアに迷惑をかけないなら何でもいい。素行が悪くて縁談の候補からはずされるように振る舞う必要がある。そのためなら何処の馬の骨とでも、いっそ馬とでも寝るつもりだった。
(馬か……馬と寝る女なら確実かも。でも、騎士を辞めさせられたら本末転倒だし、馬も可哀想だもんな)
グリアは誰とも結婚を望んでいない。
リリアムとの関係だって、結婚が絡んでいないから続いていたのだ。
今更、グッドヘン家から結婚相手にちょうどいい令嬢とみなされるのはまずい。
体の関係が終わるのは諦めがつくが、技術振興部から追放されるとなれば失うものが多すぎる。
(口やかましくないし、楽しい仕事を与えてくれるし、おもしろい実験の手伝いもさせてくれる。剣技や体術だって先輩に指導されてからよくなってきてる。上司としての先輩を失えない――)
「――やっぱり、先輩の所じゃないとね」
遊びたい気持ちよりも、仕事に天秤が傾くと気づいたリリアムは、それまで気が向かなかった花街に足を踏み入れた。
騎士としてグリアの元にいたい。それがわかったからには、一刻もはやく、手間のかからない部下に戻らなくては。
リリアムは紹介状にあった建物の入り口をくぐる。男娼を買うためだ。
甘ったるい香が焚かれ、壁に描かれた華やかな絵が花街の饐えた雰囲気を和らげようとしているが、西日が差す今の時間は逆効果だった。
酒場の二階でみた夕焼けが恋しい。
(きっと先輩の大きさがいけないんだ……)
リリアムは受付の娘にミアから渡された手紙を見せて、必要とする大きさについて説明する。
対応に慣れているのか、眉も動かさずにリリアムの注文を書き留め、年若い下働きの娘を店の外に走らせる。
少し待っていると、隣の建物から大きな体にシフォンのドレスをまとった男が娘に先導されてやって来た。
「アタシをご指名ですって?」
背が高く、腕も胸板も分厚い。よい姿勢でしなを作り、綺麗に染め上がった桃色の髪をかきあげると、ふさふさのまつ毛を揺らす。
女装の大男は、流し目でリリアムを見ると、片目を瞑って見せる。
「鬼薔薇姐さん、こちらの騎士様からのご指名です」
「まあ、愛らしい騎士様ですこと。任せて、楽しい時間を過ごしましょうね」
鬼薔薇は持っていた羽毛の扇を閉じると、それを使ってリリアムの顎を掬う。
リリアムの鼻に、扇に焚き染めてある香りがふわりと届く。館内の香とは別の、鬼薔薇の体臭の混じった香りに、リリアムは笑みの形に目を細めた。
*
「もう帰ってしまわれるの?」
鬼薔薇はリリアムの腰に手をまわして頭をこすりつける。
裸の胸に伸び始めた髭がチクチクと刺さり、時間の経過を告げる。長い時間、娼館にとどまったのは久しぶりだ。
(だ……抱いてしまった!)
リリアムは自分の理性のなさに内心震えながら、顔には出さず鬼薔薇の巨体を撫で、ベッドから離れる。
「鬼薔薇嬢、今宵は素晴らしかったよ。大変有意義な時間を過ごせた。少し考え事をしていたのだが、貴女のおかげで答えが見つかりそうだ。本当に感謝している」
「お役に立てれば光栄です、騎士様」
散々鳴かせて、涙で流れた鬼薔薇の化粧を手巾で拭いてやる。地毛は金髪なのだろう、無垢な金のまつげを震わせ、頬をバラ色に染めた鬼薔薇は、うっとりとため息をつく。
(うん、可愛い。それに、楽しかった)
リリアムは鬼薔薇の小ぶりとは言えない頭を抱えると桃色のつむじに口付けた。鬼薔薇の香水は若い娘が好んでつけるような甘い果実の香りがした。リリアムにはそれがとても鬼薔薇に似つかわしいと感じる。
昨夜、一番の巨根という事で指名したのに、事態は思わぬ方向に傾いた。
鬼薔薇の主導でベッドに誘われ、服を脱いだまでは順調だったのだ。
鬼薔薇の愛撫は優しく、心地の良いものだった。
巨根目的でやってきたリリアムは、じれったくなって、鬼薔薇をベッドに押し倒して、挿入を試みることにした。
グリアに慣らされた体は、鬼薔薇の逸物を危なげなく呑み込み、扱き上げる。
しかし、果敢に凶器を身にをおさめていくリリアムに向けて、蝶のようにベッドに縫い留められた鬼薔薇が「騎士様……抱いて……」とため息をついたのがいけなかった。
リリアムは魔法にかかったように鬼薔薇が可憐な乙女に見えはじめた。
恥じらう乙女に求められて、リリアムのなけなしの理性は弾け飛んだ。
リリアムはベッドの上でも騎士だった。褒めて、褒めて、気前よく鬼薔薇を蕩けさせ、何度も絶頂に導いて、どろどろに染め上げる。
リリアムの体力は鬼薔薇を凌駕していた。鬼薔薇が疲れて眠るまで、リリアムは腰を振り続けた。
リリアムは玄人を抱き潰したのだ。
(楽しかったかと訊かれれば、それはもう、楽しかった。でも、肝心の体が満たされなかった。あの大きさの鬼薔薇ちゃんを受け入れたのに、イケないってことは……)
昇る太陽に目を焼かれ、リリアムは道端のベンチに倒れ込む。屋台の残飯目当てに飛んできた早朝の鳥の声が、リリアムを小馬鹿にしているように聞こえる。
「まずい……まずくないか?」
*
道端のベンチで仮眠をとって、登城したリリアムを待ち構えていたのは、機嫌の悪そうなグリアだった。
「おまえ、また遊び歩いているそうだな。朝帰りとは良い身分だ」
いつもなら家の厨房でグリアに昼食を包んでもらってくるのだが、今朝は屋台の主人に注文をつけて作ってもらった食事を持ち込んだ。紙の袋のまま、そっと部屋の隅に置く。
「先程、母君がお一人で来られてな、外泊すると連絡があったからと着替えを置いていったぞ。どこへ行っていた。家族を心配させるようなことはするな」
母が来たと聞いて、一瞬肩をすくめる。
封建的に見えて、ガーウィン家の最高権力は母のラムリーだ。ウィリアムが締め付ける規則を、上手に破らせてくれるのはいつもラムリーなので、リリアムは母に頭が上がらない。この母のおかげで、リリアムはなんだかんだとのびやかに育っている。
「いいじゃないですか。ちょっと花街で遊んできただけです」
さっそくリリアムはグッドヘン家の花嫁候補から遠ざかるような行動を発表した。騎士仲間にも話しておいて、悪い噂がグッドヘン家まで届くようにしようと思いついた。
鬼薔薇はいい男娼だった。宣伝もしておかなければと、吹聴して回る者をリストアップしていく。
グリアはそれを聞いて眉間に皺を刻む。
「男か?」
「男ですけど、それが何ですか? 男でも女でも、花街の玄人ですから、団に迷惑をかけるような相手ではないですよ。ほら、ちょっと巨根に味をしめたので類似品を買いにいっただけですって」
グリアとはあくまでも体だけの関係であったのだと強調するように告げた。
グリアが遊びの相手に興味を示すと思わなかったので、なんだか落ち着かない。
「そんなに持て余しているなら、抱いてやったのに」
グリアからそんな提案をされて、心の中のリリアムの尻尾が反応しないわけがなかった。
惜しい。本当ならすぐにでもグリアに跳び付きたい。
満足できなかった分をグリアに埋められたかった。
「……いや、いいです。先輩とはもうしませんから。私も潮時だと思っていましたし」
明るく告げ、はははと笑う。
一瞬グリアから殺気が走ったような気がして、気付かれないように一歩下がったが、グリアは書類に目を落として忙しくしている。気のせいだったかもしれない。
「何の潮時だ。距離を置くのではなくて、乗り換えるつもりなら、その間くらいは面倒をみてやるつもりだったが? 外仕事ばかりして、俺を避けてなんになる?」
リリアムだって、おかしな行動をとるつもりはなかった。しかし、グリアがいれば目で追ってしまうし、無視したくてもできない。いれば抱きつきたいし、名を呼ばれたら嬉しい。
外に出るくらいしかその欲求に抗う術がなかったのだ。
「ちゃんと仕事はしてますってば。今までが変だったんです。一人だけと遊ぶのは本来、私の信条に反するので。いつまでも先輩だけに頼るの、良くないなって思っていたところだったんですよね。ほんと、シモの世話させちゃってすみませんでした。早急に次を見つけますから! 何だったら馬とかでもいいかなって、ははは」
「……獣姦は感心しないな」
「ははは、そりゃそうですよね! 先輩、面白い!」
何だかグリアの様子がおかしい。
変な話になる前にと、リリアムはヘコヘコと頭を下げながら、グリアとは顔を合わせないでいられる仕事に出かけていった。
*
その後もグリアを避け続け、あまり話もしないうちに、王子たちの外遊についていくことになった。
騎士の格好で警護するのは物々しいので、女官の格好をさせられている。
道中でもリリアムは女官を口説いたり、騎士の尻を触ったりする気になれずにいた。
それがリリアムを寡黙で落ち着いた令嬢にみせている。
今日もまったく食欲がないようで、二回しかおかわりをしなかった。
さすがにおかしいと、周りが心配して、ニコラが宿屋の食堂に様子を見に来ると、やけに可憐な佇まいでリリアムが座っている。
特産の果実酒も飲まず、疲労回復用の薬湯を飲んでいる。
「ガーウィンどうした? グリアに見限られて心を入れ替えたのか?」
「先輩の話はしないでください」
あんな啖呵を切ったのに、リリアムは道中も、ずっとグリアのことを考え続けていた。
出かける前、グリアのいない時間を狙って荷物をとりに部室に行ったら、旅先でリリアムに役に立ちそうなものが既にまとめられていて感激した。
もうグリアと寝ないと決めた決心は簡単に揺らぎそうだ。しかし、これ以上リリアムがグリアに付きまとえばグッドヘン家も乗り気で動くだろう。
そうなったら快適に働いている今の環境も諦めなければならない。遊び相手は変えられても、上司としてのグリアの替えはない。
「グリアとうまくいっていたのではないのか? ガーウィン教官が、お前の縁談が決まるかもしれないと喜んでいたようだったが、まさか相手はグリアか?」
「そんなんじゃありません。そんな大嘘を吹聴したら怒りますよ。それに、隊長には関係ない悩みです。隊長みたいな執着野郎は黙っていてください」
令嬢姿のリリアムは、いつもの人懐っこさを引っ込めて、二コラに辛辣に返す。
「まぁ、私としてはガーウィンが団内でもめ事を起こさないことは喜ばしいことだ。くれぐれもグリアに迷惑をかけるなよ」
リリアムは頭を抱えた。
どうにも引っかかることがあった。
気がつけばずっとグリアのことばかり考えている。
「――隊長、私、グリア先輩無しで生きられなくなったらどうしよう……。蔑んでいた隊長の二の舞です。きっと私、先輩に自白剤とか飲ませて監禁とかしちゃうんだ。やだ、そんなのやだ……執着野郎の仲間入りはやだ……」
リリアムは本気で悩んでいた。
執着したりされたりする関係は怖い。怖いけれども、グリアから離れがたいという思いはどんどん強くなる。
母に指摘されたように、体の関係をやめてでも部に残りたいと思うくらいにグリアといるのが好きだった。
それがグリアを雁字搦めにするような執着だったらと思うと、震えるほど怖い。
「失礼な。私は監禁まではしていない――ミアの合意なく無体を働いたことは……」
ニコラは何か思い出したのか途中で咳払いをした。
「何かありそうな口ぶりですね。軽蔑します。まぁ、私だって正直なところ、無理矢理感のあるプレイは興奮しますけどね。でも、相手の未来を支配するようなことは好みません。遊びと違って、恋愛って相手を束縛するものでしょう?」
リリアムの確信を持った言い方にニコラは首を傾げる。
ニコラにとって恋愛とは相手を尊重し、慈しむ感情を指す。
「私はそうは思わないが」
「そう思わなくても、そうしてるじゃないですか。ミアから仕事を取り上げて、隊長の都合で自分のそばに置いた。ひどい自分勝手な行動です」
「ミアの仕事は尊重している。それに、互いの気持ちは確認してある」
「どうだか」
薬湯を啜ると苦い味がする。
グリアとのことはリリアムにとって人生を左右することになりつつある。リリアムは人生の岐路に立っていた。
「私、グリア先輩のこと、上司として尊敬してますし、好きですけど、依存したいわけじゃないんです」
「私とミアの関係は、依存でも執着でもない」
ニコラは夫婦の関係を執着や依存と称されるのが納得いかないようで、自分たちの関係が良好であると主張する。
「はいはい、愛ですよね? アイアイうるさいんですよ。愛って何ですか? 性的に満たされているって聞いた方が納得できます」
ニコラは法的にギリギリの方法でミアを娶った。愛が完全に執着でないとはいい切れない。ミアの存在に依存している部分だって多分にある。それでも二人の間には愛だと言い切れる別の温かいものがあるのを実感している。
「私とミアの事を例にすれば、合点がいかない所があるのは理解できる。しかし、ガーウィン教官と母君を考えてみろ、そこにあるのは執着や依存などではないだろう? お二人の仲睦まじさは団内でも有名だ」
ウィリアムとラムリーの関係は絶妙だ。暴走するウィリアムをラムリーが上手くコントロールしている。
メイドとして騎士団で働く事になって腐っていた娘に、隊長以上の結婚相手をみつけてリリアムを騎士に推薦させればいいという策を与えたのもラムリーだ。
しかし、今はウィリアムの綺麗に弧を描く口髭を思い出すだけで腑が煮え繰り返る。
「今は、うちの糞爺の話は控えていただけますかね!」
どんと薬湯を食卓に置けば、リリアムの顔に熱い飛沫がとんだ。
「熱っ! 熱いぃ……う……ううう……せんぱぁーい」
なんだか感情がぐちゃぐちゃで、リリアムは泣き出した。
この薬湯だって、リリアムが王子たちについていくというのでグリアがわざわざ用意してくれていたのだ。
リリアムがおかしな距離の取り方をしているのに、グリアは態度を変えない。いつものように技術振興部員としての仕事を用意しておいてくれる。
離れなければならないというのに、グリアはリリアムに優しい。
「もう、帰りたい……先輩のところに帰りたいよぅ……うえぇ……」
端から見ると令嬢を泣かせているように見えるにちがいない。
さすがにニコラも慌てて、手巾を取り出した。手渡されて涙を拭いた手巾からは、以前ミアから借りた時と同じ香りがした。
「うっ……これ、ミアの匂い……? 私だってミアに優しくされたいのに……愛らしいミアに慰められたいのに……ニコラ隊長ばっかり、ずるい! ミア……ミアー……」
今度は妻の名前を呼んで泣くリリアムに、ニコラは頭を抱えたくなる。ニコラは自衛の為に取るべき立場を変える事にした。
「ガーウィン、とにかくグリアと話をしてよりを戻せ。そんな事でミアにちょっかいを出されてはたまらん」
「何言ってるんですか、戻すよりなんてありません」
「お前がそんなふうだからグリアがおかしくなるのだ。つまらない意地を張らずにグリアと話をしてこい」
「先輩とそういう関係にはなりたくないんです!」
管を巻くリリアムにあきれて、ニコラは立ち上がった。
「ではどうしろというのだ! もう寝ろ。時間の無駄だ」
酒瓶を一本リリアムの前にドンと置くと、ニコラは食堂を後にした。
リリアムは焦っていた。
早急にグリアから離れなければならないのに、グリアとしか遊べない体になりつつある。
しばらく仕事に専念するつもりが、ウィリアムがグッドヘン家に縁談を持ちかけたせいで、早急に次の相手を探さなければならなくなった。
もう、この際、グリアに迷惑をかけないなら何でもいい。素行が悪くて縁談の候補からはずされるように振る舞う必要がある。そのためなら何処の馬の骨とでも、いっそ馬とでも寝るつもりだった。
(馬か……馬と寝る女なら確実かも。でも、騎士を辞めさせられたら本末転倒だし、馬も可哀想だもんな)
グリアは誰とも結婚を望んでいない。
リリアムとの関係だって、結婚が絡んでいないから続いていたのだ。
今更、グッドヘン家から結婚相手にちょうどいい令嬢とみなされるのはまずい。
体の関係が終わるのは諦めがつくが、技術振興部から追放されるとなれば失うものが多すぎる。
(口やかましくないし、楽しい仕事を与えてくれるし、おもしろい実験の手伝いもさせてくれる。剣技や体術だって先輩に指導されてからよくなってきてる。上司としての先輩を失えない――)
「――やっぱり、先輩の所じゃないとね」
遊びたい気持ちよりも、仕事に天秤が傾くと気づいたリリアムは、それまで気が向かなかった花街に足を踏み入れた。
騎士としてグリアの元にいたい。それがわかったからには、一刻もはやく、手間のかからない部下に戻らなくては。
リリアムは紹介状にあった建物の入り口をくぐる。男娼を買うためだ。
甘ったるい香が焚かれ、壁に描かれた華やかな絵が花街の饐えた雰囲気を和らげようとしているが、西日が差す今の時間は逆効果だった。
酒場の二階でみた夕焼けが恋しい。
(きっと先輩の大きさがいけないんだ……)
リリアムは受付の娘にミアから渡された手紙を見せて、必要とする大きさについて説明する。
対応に慣れているのか、眉も動かさずにリリアムの注文を書き留め、年若い下働きの娘を店の外に走らせる。
少し待っていると、隣の建物から大きな体にシフォンのドレスをまとった男が娘に先導されてやって来た。
「アタシをご指名ですって?」
背が高く、腕も胸板も分厚い。よい姿勢でしなを作り、綺麗に染め上がった桃色の髪をかきあげると、ふさふさのまつ毛を揺らす。
女装の大男は、流し目でリリアムを見ると、片目を瞑って見せる。
「鬼薔薇姐さん、こちらの騎士様からのご指名です」
「まあ、愛らしい騎士様ですこと。任せて、楽しい時間を過ごしましょうね」
鬼薔薇は持っていた羽毛の扇を閉じると、それを使ってリリアムの顎を掬う。
リリアムの鼻に、扇に焚き染めてある香りがふわりと届く。館内の香とは別の、鬼薔薇の体臭の混じった香りに、リリアムは笑みの形に目を細めた。
*
「もう帰ってしまわれるの?」
鬼薔薇はリリアムの腰に手をまわして頭をこすりつける。
裸の胸に伸び始めた髭がチクチクと刺さり、時間の経過を告げる。長い時間、娼館にとどまったのは久しぶりだ。
(だ……抱いてしまった!)
リリアムは自分の理性のなさに内心震えながら、顔には出さず鬼薔薇の巨体を撫で、ベッドから離れる。
「鬼薔薇嬢、今宵は素晴らしかったよ。大変有意義な時間を過ごせた。少し考え事をしていたのだが、貴女のおかげで答えが見つかりそうだ。本当に感謝している」
「お役に立てれば光栄です、騎士様」
散々鳴かせて、涙で流れた鬼薔薇の化粧を手巾で拭いてやる。地毛は金髪なのだろう、無垢な金のまつげを震わせ、頬をバラ色に染めた鬼薔薇は、うっとりとため息をつく。
(うん、可愛い。それに、楽しかった)
リリアムは鬼薔薇の小ぶりとは言えない頭を抱えると桃色のつむじに口付けた。鬼薔薇の香水は若い娘が好んでつけるような甘い果実の香りがした。リリアムにはそれがとても鬼薔薇に似つかわしいと感じる。
昨夜、一番の巨根という事で指名したのに、事態は思わぬ方向に傾いた。
鬼薔薇の主導でベッドに誘われ、服を脱いだまでは順調だったのだ。
鬼薔薇の愛撫は優しく、心地の良いものだった。
巨根目的でやってきたリリアムは、じれったくなって、鬼薔薇をベッドに押し倒して、挿入を試みることにした。
グリアに慣らされた体は、鬼薔薇の逸物を危なげなく呑み込み、扱き上げる。
しかし、果敢に凶器を身にをおさめていくリリアムに向けて、蝶のようにベッドに縫い留められた鬼薔薇が「騎士様……抱いて……」とため息をついたのがいけなかった。
リリアムは魔法にかかったように鬼薔薇が可憐な乙女に見えはじめた。
恥じらう乙女に求められて、リリアムのなけなしの理性は弾け飛んだ。
リリアムはベッドの上でも騎士だった。褒めて、褒めて、気前よく鬼薔薇を蕩けさせ、何度も絶頂に導いて、どろどろに染め上げる。
リリアムの体力は鬼薔薇を凌駕していた。鬼薔薇が疲れて眠るまで、リリアムは腰を振り続けた。
リリアムは玄人を抱き潰したのだ。
(楽しかったかと訊かれれば、それはもう、楽しかった。でも、肝心の体が満たされなかった。あの大きさの鬼薔薇ちゃんを受け入れたのに、イケないってことは……)
昇る太陽に目を焼かれ、リリアムは道端のベンチに倒れ込む。屋台の残飯目当てに飛んできた早朝の鳥の声が、リリアムを小馬鹿にしているように聞こえる。
「まずい……まずくないか?」
*
道端のベンチで仮眠をとって、登城したリリアムを待ち構えていたのは、機嫌の悪そうなグリアだった。
「おまえ、また遊び歩いているそうだな。朝帰りとは良い身分だ」
いつもなら家の厨房でグリアに昼食を包んでもらってくるのだが、今朝は屋台の主人に注文をつけて作ってもらった食事を持ち込んだ。紙の袋のまま、そっと部屋の隅に置く。
「先程、母君がお一人で来られてな、外泊すると連絡があったからと着替えを置いていったぞ。どこへ行っていた。家族を心配させるようなことはするな」
母が来たと聞いて、一瞬肩をすくめる。
封建的に見えて、ガーウィン家の最高権力は母のラムリーだ。ウィリアムが締め付ける規則を、上手に破らせてくれるのはいつもラムリーなので、リリアムは母に頭が上がらない。この母のおかげで、リリアムはなんだかんだとのびやかに育っている。
「いいじゃないですか。ちょっと花街で遊んできただけです」
さっそくリリアムはグッドヘン家の花嫁候補から遠ざかるような行動を発表した。騎士仲間にも話しておいて、悪い噂がグッドヘン家まで届くようにしようと思いついた。
鬼薔薇はいい男娼だった。宣伝もしておかなければと、吹聴して回る者をリストアップしていく。
グリアはそれを聞いて眉間に皺を刻む。
「男か?」
「男ですけど、それが何ですか? 男でも女でも、花街の玄人ですから、団に迷惑をかけるような相手ではないですよ。ほら、ちょっと巨根に味をしめたので類似品を買いにいっただけですって」
グリアとはあくまでも体だけの関係であったのだと強調するように告げた。
グリアが遊びの相手に興味を示すと思わなかったので、なんだか落ち着かない。
「そんなに持て余しているなら、抱いてやったのに」
グリアからそんな提案をされて、心の中のリリアムの尻尾が反応しないわけがなかった。
惜しい。本当ならすぐにでもグリアに跳び付きたい。
満足できなかった分をグリアに埋められたかった。
「……いや、いいです。先輩とはもうしませんから。私も潮時だと思っていましたし」
明るく告げ、はははと笑う。
一瞬グリアから殺気が走ったような気がして、気付かれないように一歩下がったが、グリアは書類に目を落として忙しくしている。気のせいだったかもしれない。
「何の潮時だ。距離を置くのではなくて、乗り換えるつもりなら、その間くらいは面倒をみてやるつもりだったが? 外仕事ばかりして、俺を避けてなんになる?」
リリアムだって、おかしな行動をとるつもりはなかった。しかし、グリアがいれば目で追ってしまうし、無視したくてもできない。いれば抱きつきたいし、名を呼ばれたら嬉しい。
外に出るくらいしかその欲求に抗う術がなかったのだ。
「ちゃんと仕事はしてますってば。今までが変だったんです。一人だけと遊ぶのは本来、私の信条に反するので。いつまでも先輩だけに頼るの、良くないなって思っていたところだったんですよね。ほんと、シモの世話させちゃってすみませんでした。早急に次を見つけますから! 何だったら馬とかでもいいかなって、ははは」
「……獣姦は感心しないな」
「ははは、そりゃそうですよね! 先輩、面白い!」
何だかグリアの様子がおかしい。
変な話になる前にと、リリアムはヘコヘコと頭を下げながら、グリアとは顔を合わせないでいられる仕事に出かけていった。
*
その後もグリアを避け続け、あまり話もしないうちに、王子たちの外遊についていくことになった。
騎士の格好で警護するのは物々しいので、女官の格好をさせられている。
道中でもリリアムは女官を口説いたり、騎士の尻を触ったりする気になれずにいた。
それがリリアムを寡黙で落ち着いた令嬢にみせている。
今日もまったく食欲がないようで、二回しかおかわりをしなかった。
さすがにおかしいと、周りが心配して、ニコラが宿屋の食堂に様子を見に来ると、やけに可憐な佇まいでリリアムが座っている。
特産の果実酒も飲まず、疲労回復用の薬湯を飲んでいる。
「ガーウィンどうした? グリアに見限られて心を入れ替えたのか?」
「先輩の話はしないでください」
あんな啖呵を切ったのに、リリアムは道中も、ずっとグリアのことを考え続けていた。
出かける前、グリアのいない時間を狙って荷物をとりに部室に行ったら、旅先でリリアムに役に立ちそうなものが既にまとめられていて感激した。
もうグリアと寝ないと決めた決心は簡単に揺らぎそうだ。しかし、これ以上リリアムがグリアに付きまとえばグッドヘン家も乗り気で動くだろう。
そうなったら快適に働いている今の環境も諦めなければならない。遊び相手は変えられても、上司としてのグリアの替えはない。
「グリアとうまくいっていたのではないのか? ガーウィン教官が、お前の縁談が決まるかもしれないと喜んでいたようだったが、まさか相手はグリアか?」
「そんなんじゃありません。そんな大嘘を吹聴したら怒りますよ。それに、隊長には関係ない悩みです。隊長みたいな執着野郎は黙っていてください」
令嬢姿のリリアムは、いつもの人懐っこさを引っ込めて、二コラに辛辣に返す。
「まぁ、私としてはガーウィンが団内でもめ事を起こさないことは喜ばしいことだ。くれぐれもグリアに迷惑をかけるなよ」
リリアムは頭を抱えた。
どうにも引っかかることがあった。
気がつけばずっとグリアのことばかり考えている。
「――隊長、私、グリア先輩無しで生きられなくなったらどうしよう……。蔑んでいた隊長の二の舞です。きっと私、先輩に自白剤とか飲ませて監禁とかしちゃうんだ。やだ、そんなのやだ……執着野郎の仲間入りはやだ……」
リリアムは本気で悩んでいた。
執着したりされたりする関係は怖い。怖いけれども、グリアから離れがたいという思いはどんどん強くなる。
母に指摘されたように、体の関係をやめてでも部に残りたいと思うくらいにグリアといるのが好きだった。
それがグリアを雁字搦めにするような執着だったらと思うと、震えるほど怖い。
「失礼な。私は監禁まではしていない――ミアの合意なく無体を働いたことは……」
ニコラは何か思い出したのか途中で咳払いをした。
「何かありそうな口ぶりですね。軽蔑します。まぁ、私だって正直なところ、無理矢理感のあるプレイは興奮しますけどね。でも、相手の未来を支配するようなことは好みません。遊びと違って、恋愛って相手を束縛するものでしょう?」
リリアムの確信を持った言い方にニコラは首を傾げる。
ニコラにとって恋愛とは相手を尊重し、慈しむ感情を指す。
「私はそうは思わないが」
「そう思わなくても、そうしてるじゃないですか。ミアから仕事を取り上げて、隊長の都合で自分のそばに置いた。ひどい自分勝手な行動です」
「ミアの仕事は尊重している。それに、互いの気持ちは確認してある」
「どうだか」
薬湯を啜ると苦い味がする。
グリアとのことはリリアムにとって人生を左右することになりつつある。リリアムは人生の岐路に立っていた。
「私、グリア先輩のこと、上司として尊敬してますし、好きですけど、依存したいわけじゃないんです」
「私とミアの関係は、依存でも執着でもない」
ニコラは夫婦の関係を執着や依存と称されるのが納得いかないようで、自分たちの関係が良好であると主張する。
「はいはい、愛ですよね? アイアイうるさいんですよ。愛って何ですか? 性的に満たされているって聞いた方が納得できます」
ニコラは法的にギリギリの方法でミアを娶った。愛が完全に執着でないとはいい切れない。ミアの存在に依存している部分だって多分にある。それでも二人の間には愛だと言い切れる別の温かいものがあるのを実感している。
「私とミアの事を例にすれば、合点がいかない所があるのは理解できる。しかし、ガーウィン教官と母君を考えてみろ、そこにあるのは執着や依存などではないだろう? お二人の仲睦まじさは団内でも有名だ」
ウィリアムとラムリーの関係は絶妙だ。暴走するウィリアムをラムリーが上手くコントロールしている。
メイドとして騎士団で働く事になって腐っていた娘に、隊長以上の結婚相手をみつけてリリアムを騎士に推薦させればいいという策を与えたのもラムリーだ。
しかし、今はウィリアムの綺麗に弧を描く口髭を思い出すだけで腑が煮え繰り返る。
「今は、うちの糞爺の話は控えていただけますかね!」
どんと薬湯を食卓に置けば、リリアムの顔に熱い飛沫がとんだ。
「熱っ! 熱いぃ……う……ううう……せんぱぁーい」
なんだか感情がぐちゃぐちゃで、リリアムは泣き出した。
この薬湯だって、リリアムが王子たちについていくというのでグリアがわざわざ用意してくれていたのだ。
リリアムがおかしな距離の取り方をしているのに、グリアは態度を変えない。いつものように技術振興部員としての仕事を用意しておいてくれる。
離れなければならないというのに、グリアはリリアムに優しい。
「もう、帰りたい……先輩のところに帰りたいよぅ……うえぇ……」
端から見ると令嬢を泣かせているように見えるにちがいない。
さすがにニコラも慌てて、手巾を取り出した。手渡されて涙を拭いた手巾からは、以前ミアから借りた時と同じ香りがした。
「うっ……これ、ミアの匂い……? 私だってミアに優しくされたいのに……愛らしいミアに慰められたいのに……ニコラ隊長ばっかり、ずるい! ミア……ミアー……」
今度は妻の名前を呼んで泣くリリアムに、ニコラは頭を抱えたくなる。ニコラは自衛の為に取るべき立場を変える事にした。
「ガーウィン、とにかくグリアと話をしてよりを戻せ。そんな事でミアにちょっかいを出されてはたまらん」
「何言ってるんですか、戻すよりなんてありません」
「お前がそんなふうだからグリアがおかしくなるのだ。つまらない意地を張らずにグリアと話をしてこい」
「先輩とそういう関係にはなりたくないんです!」
管を巻くリリアムにあきれて、ニコラは立ち上がった。
「ではどうしろというのだ! もう寝ろ。時間の無駄だ」
酒瓶を一本リリアムの前にドンと置くと、ニコラは食堂を後にした。
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王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
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