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始まりの章

8.初めての出会いと怪我

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羽根を持ち上げられた感覚。
そして、すぐに激痛が走った。


「 あぅっ!つぅぅっ!!!」

我慢できず声が漏れた。羽根を持ち上げられて、一緒に矢が動いた為に傷を抉った。血がつぅーっと流れる。


『えっ!?うそだろ…人…なのか…?』

もう1人の男の声が聞こえるが、激痛で何も聞こえなくなっていく。

「…すまん、しっかりしろ!おいっ!!」



「#△※?××?」

男たちの声が遠くなっていく。

あぁ、私はまた死ぬの?


…………………………



熱い。

あぁ、あの時と一緒だ。
身体が焼けるように熱くなっていく。

そして、寒くなる…

身体の感覚がおかしくなっていく…





ん?
あれ?何だか、だんだん楽になってる?


「んっ?」


パキッ。カサっ

誰かが近寄ってくる。
『…目が覚めたか?』


目の前には知らない……男の人?がいた。頭から何かの獣の耳が生えてた。

………?



「大丈夫か?今回のことは悪かった。鳥だと思ったみたいでな。痛みはどうだ?取り敢えずポーションを使ったんだが…」



なんか、耳がピクピクしてる。


「ポーションが、中級までしかなくてな…。傷が完全に塞がってないんだ。
ちゃんと街まで連れて行って治療する。あと少し辛抱してくれ。」

あ、耳が垂れた。ショボーン、だ。
ショボーン。
可愛い。

衝動的に触ろうとして手を上げ…

っつぅ。
激痛が走った。

「おいっ!まだ動かすな!」
獣耳男性の焦った声と中腰に起き上がる動作
……

ぼーっとしていた頭が段々と覚醒していく。
そうだった。矢を射られたんだった…


「…!!!」


ここどこ?!
獣耳に、癒されてる場合じゃなかった!!


起き上がろうとしたが、上手く力が入らない。


あ、でも矢が抜かれてるし、あの激痛が良くなってる…?

肩はまだズーンとしているし、足首も脈打つようにドクドクと痛みと熱を訴えてくる。そして、所々切っていたのかピリピリと痛みが走る。それでも意識を失う程じゃない。


あぁそうだ、さっきポーションを使ったと言っていた。

じゃあ、悪い人じゃない??

「………」

ズーン、ズキズキ。

…痛い。
ふつーに痛い。

取り敢えずこの痛みを取らないと上手く考えられない。

魔法で治そう。
左手をかざし、まずは肩。そして、足をキュアで治して。

矢がささったから、身体の中の菌をアンチバイオで取り除いて。


よしっ。

最後にクリーンをかける。
泥や血で汚れた身体を清潔に。

一応女だしね。



男の人?が、目を大きくし、耳をピンッと立てて見ている。


「…?」



痛みから解放されて、やっと周りを見ることができた。


どこか、暗い場所?
洞窟みたいなところみたい。

身体の下には布が敷かれてあって、起きようとするとちょっとズレて起きづらい。

ハッとして、男の人?が腰をささえてくれた。

「…あっ…あり…ありがとう、ござい、ます。」

声が出にくい。

『いや…。その、大丈夫…なのか?痛みは?』


なんか歯切れ悪い?


「…はい。もう、大、丈夫…です。」


矢が刺さった時は痛みと恐怖のパニックで、すっかり魔法で癒すことを忘れて。


魔法って便利なものだけど、咄嗟に思いつかないと対応なんて出来ないなぁ。


精霊さんたちと過ごしたときには、怪我なんてしなかったし。
安穏と暮らしてた。

はぁ。

スっと、目の前にコップが出された。
お水…かな?

声がでにくかったから、助かった。


軽くお辞儀をしてお水をもらって、飲む。

こくこくこく。


はぁ、生きかえる。
熱が出て、乾燥してたんだろうなぁ。



「助かりました。…えっと、ここは、どこですか?」

『いや、こちらこそ済まなかった。ここは、ウェズの森の洞窟だ。』


また、耳がショボーンだ。

可愛い。

大きな男の人?っぽいのに。
暗くて顔がよく見えないけど、整ってそう。


ん?でも、1人?
確か、2人いたような…

考えていると、ハッとした様子で男の人?が、目線を逸らした。



☆△□×?!

ってか、服が破かれて、胸元にペロって。
ペロってなってるよ!!


幸い胸が見える程じゃなかったけど…


あたふたと、肩に布をあげて押さえた。

押さえた時になんか湿った感触と…草の匂い?


よく見ると、布の様なもので押さえられていた。おそらく薬草か何かなのだろう。

「治療してくれたんですね。ありがとうございます。」

『いや、そこは怒るところだろう。…服もすまない。替えはあるか?ないなら、俺ので悪いがシャツを貸そう。』

目を逸らしたまま、話しかけてくる。

ふふっ。
あぁ、替えはあるけどシャツを借りるのも悪くないかもしれない。
だって、こんなに気遣いや人の温もりを感じたのは久しぶりだ。
もっと浸ってみたい気もする。

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