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「ミコト今日は教室じゃなくて外でお弁当食べよう」
昼休みに僕はミコトを連れて中庭に向かう。
「どこも空いてないけどどうするの?」
中庭にあるテーブルは全て人で埋まっていた。その様子を見てミコトが心配そうにしていた。
「大丈夫だよ。あっ、いた。アイル」
僕はアイルの姿を見つけてミコトを連れてアイルの所に行く。
「ユーマ様お待ちしてました。そしてこちらが頼まれていたものです」
「ありがとう。席も取っておいてくれたんだね」
「僕のクラス今日4時間目は少し早めに授業が終わるんです」
「ユーマこの子誰?」
アイルを見ながらミコトが僕にこっそり聞いてくる。
「この子はアイルだよ。昨日知り合って僕のお世話を頼んだんだ」
「アイルと言います。よろしくお願いします。ユーマ様には昨日危ない所を助けていただきました」
アイルはミコトに向かって挨拶をする。
「ユーマ昨日何があったのかな?」
ミコトはちょっと怖い顔で僕に聞いてくる。
「と、とりあえずお弁当食べよう。話はそれから」
やっぱり相談せずにアイルにお世話を頼んだから怒っている。
僕は怒っているミコトをなんとか宥めて3人でお弁当を食べ始めた。
「アイルのお弁当それだけなんだね。僕のこれあげるよ。もっと食べなよ」
「お金節約したくて一番安いやつ頼んでるんです。ありがとうございますミコト様」
「僕に様なんてつけなくていいよ。ほらこれも食べなよ」
アイルのお弁当を見たミコトが自分の中身をアイルに渡している。
「今日はデザートもあるんだよ。じゃーん」
「ユーマは甘いもの好きだからいつもデザートあるでしょ。って、それあの高級プリン。しかも3個。もうそれは特別な日だけって言ったじゃないか」
「いいでしょ、今日は3人が知り合った特別な日だよ。ミコトがいらないなら僕とアイルで半分こするよ」
「いらないとはいってないだろ」
「ほらアイルも食べよ」
ミコトがこのプリンが大好きなのを知っているから食べないはずがない。それに今日は3人が知り合った特別な日になったんだミコトが許してくれないわけがない。
中々アイルがプリンに手を出さないから僕はアイルにスプーンですくったプリンを口元に持っていき食べさせた。
「わっ、どうしたのアイル。美味しくなかった?」
「ユーマが無理矢理すぎて嫌だった?」
プリンを食べたアイルがいきなり泣き出した。
「いえすごく美味しいです。こんなに美味しいもの初めて食べました。でもそれ以上にお2人が優しくて。この学園に入ってから僕不安だらけで。家族が無理して入学させてくれたけど必死に誰かのお手伝いしないと生活できなくて。でもそうすると勉強する時間が無くなって授業についていけなくなって。退学なんてことになったら今でも必死に働いてくれている家族に悪いしでもお金の為に性的なお世話までしたくなくて。でも、でも勉強が......う、う、うわぁーん」
最後にテーブルに伏せて大泣きしだした。
そんなアイルを僕とミコトの2人で優しく背中を撫でる。
「今まで頑張ったね、でももう大丈夫だよ。アイルは家族の為に頑張ってたんだね、偉いね。これからは僕が少しでも助けるから自由に生きていいんだよ」
「でも僕、ユーマ様に助けてもらえるほどユーマ様のお役に立ってません。昨日だって荷物持っただけなのにあんなに美味しいケーキ頂いたし、服だって買ってもらって。全然釣り合ってません」
僕の言葉にアイルは顔をあげて訴えてくる。
「いいんだよ。昨日はアイルと一緒にいて楽しかったし。それに今役に立ってないって思うなら将来僕が困ったら助けてよ」
「将来?」
「そう、学園を卒業して僕が困ってたら助けてくれると嬉しいな」
「ぐすっ、分かりました。将来絶対ユーマ様のお役に立ちます。将来だけじゃなくてこの学園にいる間も僕頑張ります」
僕の言葉になんとか納得してくれたアイルは眼鏡を外して涙を拭った。僕はそのアイルの可愛らしい素顔を他の人に見られないようそっと場所をずれて盾になった。
テーブル同士の間隔は空いているから会話の内容までは聞こえてないと思うがアイルが泣いていることに気付いた他の人からの視線は感じていた。ちょっと魔法で他の人の意識をそらす。
それからすぐお昼休みは終わりそれぞれ教室に戻る。その時ミコトに昨日のことを簡単に説明した。ミコトもアイルが僕のお世話をすることには賛成してくれた。
久しぶりに魔法を使って疲れたから放課後は図書館によらず真っ直ぐ寮に帰った。
その日はぐっすりだった。
昼休みに僕はミコトを連れて中庭に向かう。
「どこも空いてないけどどうするの?」
中庭にあるテーブルは全て人で埋まっていた。その様子を見てミコトが心配そうにしていた。
「大丈夫だよ。あっ、いた。アイル」
僕はアイルの姿を見つけてミコトを連れてアイルの所に行く。
「ユーマ様お待ちしてました。そしてこちらが頼まれていたものです」
「ありがとう。席も取っておいてくれたんだね」
「僕のクラス今日4時間目は少し早めに授業が終わるんです」
「ユーマこの子誰?」
アイルを見ながらミコトが僕にこっそり聞いてくる。
「この子はアイルだよ。昨日知り合って僕のお世話を頼んだんだ」
「アイルと言います。よろしくお願いします。ユーマ様には昨日危ない所を助けていただきました」
アイルはミコトに向かって挨拶をする。
「ユーマ昨日何があったのかな?」
ミコトはちょっと怖い顔で僕に聞いてくる。
「と、とりあえずお弁当食べよう。話はそれから」
やっぱり相談せずにアイルにお世話を頼んだから怒っている。
僕は怒っているミコトをなんとか宥めて3人でお弁当を食べ始めた。
「アイルのお弁当それだけなんだね。僕のこれあげるよ。もっと食べなよ」
「お金節約したくて一番安いやつ頼んでるんです。ありがとうございますミコト様」
「僕に様なんてつけなくていいよ。ほらこれも食べなよ」
アイルのお弁当を見たミコトが自分の中身をアイルに渡している。
「今日はデザートもあるんだよ。じゃーん」
「ユーマは甘いもの好きだからいつもデザートあるでしょ。って、それあの高級プリン。しかも3個。もうそれは特別な日だけって言ったじゃないか」
「いいでしょ、今日は3人が知り合った特別な日だよ。ミコトがいらないなら僕とアイルで半分こするよ」
「いらないとはいってないだろ」
「ほらアイルも食べよ」
ミコトがこのプリンが大好きなのを知っているから食べないはずがない。それに今日は3人が知り合った特別な日になったんだミコトが許してくれないわけがない。
中々アイルがプリンに手を出さないから僕はアイルにスプーンですくったプリンを口元に持っていき食べさせた。
「わっ、どうしたのアイル。美味しくなかった?」
「ユーマが無理矢理すぎて嫌だった?」
プリンを食べたアイルがいきなり泣き出した。
「いえすごく美味しいです。こんなに美味しいもの初めて食べました。でもそれ以上にお2人が優しくて。この学園に入ってから僕不安だらけで。家族が無理して入学させてくれたけど必死に誰かのお手伝いしないと生活できなくて。でもそうすると勉強する時間が無くなって授業についていけなくなって。退学なんてことになったら今でも必死に働いてくれている家族に悪いしでもお金の為に性的なお世話までしたくなくて。でも、でも勉強が......う、う、うわぁーん」
最後にテーブルに伏せて大泣きしだした。
そんなアイルを僕とミコトの2人で優しく背中を撫でる。
「今まで頑張ったね、でももう大丈夫だよ。アイルは家族の為に頑張ってたんだね、偉いね。これからは僕が少しでも助けるから自由に生きていいんだよ」
「でも僕、ユーマ様に助けてもらえるほどユーマ様のお役に立ってません。昨日だって荷物持っただけなのにあんなに美味しいケーキ頂いたし、服だって買ってもらって。全然釣り合ってません」
僕の言葉にアイルは顔をあげて訴えてくる。
「いいんだよ。昨日はアイルと一緒にいて楽しかったし。それに今役に立ってないって思うなら将来僕が困ったら助けてよ」
「将来?」
「そう、学園を卒業して僕が困ってたら助けてくれると嬉しいな」
「ぐすっ、分かりました。将来絶対ユーマ様のお役に立ちます。将来だけじゃなくてこの学園にいる間も僕頑張ります」
僕の言葉になんとか納得してくれたアイルは眼鏡を外して涙を拭った。僕はそのアイルの可愛らしい素顔を他の人に見られないようそっと場所をずれて盾になった。
テーブル同士の間隔は空いているから会話の内容までは聞こえてないと思うがアイルが泣いていることに気付いた他の人からの視線は感じていた。ちょっと魔法で他の人の意識をそらす。
それからすぐお昼休みは終わりそれぞれ教室に戻る。その時ミコトに昨日のことを簡単に説明した。ミコトもアイルが僕のお世話をすることには賛成してくれた。
久しぶりに魔法を使って疲れたから放課後は図書館によらず真っ直ぐ寮に帰った。
その日はぐっすりだった。
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