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入学してから一か月が経った。
寮と学園を往復する生活にも慣れてきた。週に一度の休日には洗濯屋に行きそのあとは街を散策するという生活を送っている。屋敷のみんなにあてた手紙も何回か出した。
昼休みにはミコトと一緒にお弁当を食べているし行動も一緒にしている。もう立派な友達だ。ミコトとは友達になれたと思っているけどミコトとレオンの仲はどうすることもできていない。
昼休みに観察があまりできていないけどその代わり放課後図書館でいい場所を見つけた。
その場所からの観察が楽しい。勉強しているというカモフラージュもできるしね。
手を繋いでいたりとか明らかに付き合っていますというような人を見るのも楽しいけど、ちょっと距離が近い2人とか見かけてどんな関係か妄想するのも凄く楽しい。
「今日は洗濯屋に行ってそのあと街に買い物に行こうっと」
洗濯物のカゴを持っていつもの洗濯屋まで行く。
「そんなに沢山の洗濯物運ばないでも俺らが可愛がってあげるよ」
「これでなんとかなってるので遠慮します」
「はぁあぁ、可愛くもないし平民のくせに俺らに逆らってるんじゃねーよ。気持ち良いことしてお金も貰えるんだから来いよ」
「やめて下さい」
洗濯屋に行くと1人の生徒が2人に絡まれていた。
朝早くていつもは行列ができているのにその場所にいたのはその3人だけだった。
絡まれている生徒はなんとアイルだった。
アイルが可愛くないだと、アイルは眼鏡かけてて地味だけど眼鏡外すと誰よりも可愛いんだぞ。分かってないな。
いや分かられても困るけど、僕の可愛い子が貶されるのは親として許せない。
「その子嫌がってますよ」
ミコトからお世話の意味を聞いているし嫌がっている我が子アイルを放っておけない。
「君も新入生?可愛い顔してるね。お小遣いあげるから一緒に気持ち良いことしよっか」
2人のうち1人が僕に近付いてきて手を掴もうとする。
「痛っ、何するんだ、離せ。先輩に逆らうのか」
僕を掴もうとしたその手を逆に掴んでひねる。習っていた体術が役にたった。
「先輩だからって嫌がっている子に何してもいいんですか」
僕は我が子の為に頑張るよ。
「アバーテ様」
「新入生でアバーテって。おいやめろその子今年の首席でしかも侯爵家の子だ」
アイルの呟きを聞いたもう1人が僕が掴んでいた相手に言う。それを聞いて慌てて僕の手を振り払い舌打ちしながら去って行った。
「大丈夫?」
2人が去った後僕はアイルに近寄り沢山持っていた洗濯カゴを少し持ちながら声をかける。
「ありがとうございます。あの人たちしつこくて」
僕が持っていたカゴを取り返しながら答える。
「クラス違うのに僕の名前知ってるんだね」
「アバーテ様は有名ですから」
会話をしながらも沢山のカゴを持って受付へと歩いていく。
「そんなに沢山大変でしょ。手伝うよ」
「いいですよ。僕の仕事ですから」
「行き先は一緒なんだから少しくらい持つよ」
僕は遠慮しているアイルから奪い取るようにいくつかのカゴを受け取った。
僕が譲らないことを理解したのかもうそれ以上何も言わず僕の好きなようにさせてくれた。
「アバーテ様は僕と同じくらい小柄なのに強いんですね」
洗濯物を預けて流れで2人で歩いていた時アイルはポツリとそう呟いた。
「ユーマって名前で呼んでよ。家にいるときに訓練してたからね。アイルも強くなりたいの?」
「ユーマ様僕の名前知ってるんですか?」
「ぼ、僕のお世話してくれる人探してるときにちょっとね。あっ、でも、さっきの人達みたいな変な意味は全くないからね。ごめんね、あんなことがあったばかりなのに」
アイルは初対面のはずの僕が自分の名前を知っている事を不思議に思っている。本当のことは言えないからとっさにこの間考えていたことが口から出てきてしまっていた。
「ユーマ様は僕を助けてくれたし、有名だから色んな噂聞いてるからそんな人じゃないの知ってますし、なんでも自分でできるっていうのも知ってるんですよ。だから僕のお世話なんていらないでしょ」
僕の焦った返答にアイルは少し笑っている。
「そんなことないよ。このあと買い物を沢山しようと思ってるから荷物持つの手伝ってくれると嬉しいし、そのあとケーキ食べに行きたいんだけど1人だと寂しいから一緒に来て欲しいな。駄目?」
「駄目じゃないですよ。ユーマ様がそこまで言うなら付き合います」
「よろしくね」
この学園に入学できるくらい頭のいい子だから僕が引かないことに気付いたんだろう僕のお世話を引き受けてくれた。
それから2人で買い物に行きケーキを食べた。
そして洗濯物を受け取りに洗濯屋へ戻って来た。
「これからは僕のお世話だけして他のお世話は断ってね。僕の名前出していいから」
「分かりました。今日は僕の服まで買っていただきありがとうございました。ところでユーマ様なんであんなに沢山の下着買ったんですか?」
洗濯が終わった沢山のカゴを持ったアイルが聞いてくる。これからアイルはこれを持ち主の所に渡しに行くけどそこでこれからは僕専属になったと言って次を断るようにお願いした。
「毎回洗濯屋でどこかに紛れ込むのか僕の下着が2,3枚返って来ないんだよね。あっ、今日も2枚無いや」
「えっ!そうなんですか。沢山の洗濯物扱ってるからどこかに紛れ込むんですかね。けど毎回無いのは不思議ですね」
僕がカゴの中身を確認しながらそう言うとアイルも不思議な顔をしていた。
洗濯屋でアイルと別れて僕は寮に戻った。
寮と学園を往復する生活にも慣れてきた。週に一度の休日には洗濯屋に行きそのあとは街を散策するという生活を送っている。屋敷のみんなにあてた手紙も何回か出した。
昼休みにはミコトと一緒にお弁当を食べているし行動も一緒にしている。もう立派な友達だ。ミコトとは友達になれたと思っているけどミコトとレオンの仲はどうすることもできていない。
昼休みに観察があまりできていないけどその代わり放課後図書館でいい場所を見つけた。
その場所からの観察が楽しい。勉強しているというカモフラージュもできるしね。
手を繋いでいたりとか明らかに付き合っていますというような人を見るのも楽しいけど、ちょっと距離が近い2人とか見かけてどんな関係か妄想するのも凄く楽しい。
「今日は洗濯屋に行ってそのあと街に買い物に行こうっと」
洗濯物のカゴを持っていつもの洗濯屋まで行く。
「そんなに沢山の洗濯物運ばないでも俺らが可愛がってあげるよ」
「これでなんとかなってるので遠慮します」
「はぁあぁ、可愛くもないし平民のくせに俺らに逆らってるんじゃねーよ。気持ち良いことしてお金も貰えるんだから来いよ」
「やめて下さい」
洗濯屋に行くと1人の生徒が2人に絡まれていた。
朝早くていつもは行列ができているのにその場所にいたのはその3人だけだった。
絡まれている生徒はなんとアイルだった。
アイルが可愛くないだと、アイルは眼鏡かけてて地味だけど眼鏡外すと誰よりも可愛いんだぞ。分かってないな。
いや分かられても困るけど、僕の可愛い子が貶されるのは親として許せない。
「その子嫌がってますよ」
ミコトからお世話の意味を聞いているし嫌がっている我が子アイルを放っておけない。
「君も新入生?可愛い顔してるね。お小遣いあげるから一緒に気持ち良いことしよっか」
2人のうち1人が僕に近付いてきて手を掴もうとする。
「痛っ、何するんだ、離せ。先輩に逆らうのか」
僕を掴もうとしたその手を逆に掴んでひねる。習っていた体術が役にたった。
「先輩だからって嫌がっている子に何してもいいんですか」
僕は我が子の為に頑張るよ。
「アバーテ様」
「新入生でアバーテって。おいやめろその子今年の首席でしかも侯爵家の子だ」
アイルの呟きを聞いたもう1人が僕が掴んでいた相手に言う。それを聞いて慌てて僕の手を振り払い舌打ちしながら去って行った。
「大丈夫?」
2人が去った後僕はアイルに近寄り沢山持っていた洗濯カゴを少し持ちながら声をかける。
「ありがとうございます。あの人たちしつこくて」
僕が持っていたカゴを取り返しながら答える。
「クラス違うのに僕の名前知ってるんだね」
「アバーテ様は有名ですから」
会話をしながらも沢山のカゴを持って受付へと歩いていく。
「そんなに沢山大変でしょ。手伝うよ」
「いいですよ。僕の仕事ですから」
「行き先は一緒なんだから少しくらい持つよ」
僕は遠慮しているアイルから奪い取るようにいくつかのカゴを受け取った。
僕が譲らないことを理解したのかもうそれ以上何も言わず僕の好きなようにさせてくれた。
「アバーテ様は僕と同じくらい小柄なのに強いんですね」
洗濯物を預けて流れで2人で歩いていた時アイルはポツリとそう呟いた。
「ユーマって名前で呼んでよ。家にいるときに訓練してたからね。アイルも強くなりたいの?」
「ユーマ様僕の名前知ってるんですか?」
「ぼ、僕のお世話してくれる人探してるときにちょっとね。あっ、でも、さっきの人達みたいな変な意味は全くないからね。ごめんね、あんなことがあったばかりなのに」
アイルは初対面のはずの僕が自分の名前を知っている事を不思議に思っている。本当のことは言えないからとっさにこの間考えていたことが口から出てきてしまっていた。
「ユーマ様は僕を助けてくれたし、有名だから色んな噂聞いてるからそんな人じゃないの知ってますし、なんでも自分でできるっていうのも知ってるんですよ。だから僕のお世話なんていらないでしょ」
僕の焦った返答にアイルは少し笑っている。
「そんなことないよ。このあと買い物を沢山しようと思ってるから荷物持つの手伝ってくれると嬉しいし、そのあとケーキ食べに行きたいんだけど1人だと寂しいから一緒に来て欲しいな。駄目?」
「駄目じゃないですよ。ユーマ様がそこまで言うなら付き合います」
「よろしくね」
この学園に入学できるくらい頭のいい子だから僕が引かないことに気付いたんだろう僕のお世話を引き受けてくれた。
それから2人で買い物に行きケーキを食べた。
そして洗濯物を受け取りに洗濯屋へ戻って来た。
「これからは僕のお世話だけして他のお世話は断ってね。僕の名前出していいから」
「分かりました。今日は僕の服まで買っていただきありがとうございました。ところでユーマ様なんであんなに沢山の下着買ったんですか?」
洗濯が終わった沢山のカゴを持ったアイルが聞いてくる。これからアイルはこれを持ち主の所に渡しに行くけどそこでこれからは僕専属になったと言って次を断るようにお願いした。
「毎回洗濯屋でどこかに紛れ込むのか僕の下着が2,3枚返って来ないんだよね。あっ、今日も2枚無いや」
「えっ!そうなんですか。沢山の洗濯物扱ってるからどこかに紛れ込むんですかね。けど毎回無いのは不思議ですね」
僕がカゴの中身を確認しながらそう言うとアイルも不思議な顔をしていた。
洗濯屋でアイルと別れて僕は寮に戻った。
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