転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

文字の大きさ
上 下
60 / 72

60

しおりを挟む

 1日だけの休日が終わった。
 
 「昨日の話はびっくりしたな。でもお金に余裕がない生徒のためなら僕も身の回りのこと何か頼んだ方がいいのかな。うーん、頼むならアイルがいいんだけど、あの子大丈夫かな。でもアイルに頼むにしてもミコトに相談しないと怒られそうだな」

 一晩経って冷静に考えてみたら性的なお世話は別として身の回りのお世話で金銭的に少しでも楽になれる人がいるなら良い事なんじゃないかな、と考えだした。
 でも昨日の人達は怖かった。僕を見る目がギラギラしていた。
 アイルには楽しい学園生活送って欲しいから苦労なんてしてほしくない。平民のアイルの助けになりたい。
 なんて考えながら学園までの道を歩いていた。

 「あそこなんであんなに人がいるんだろ。確かあそこには掲示板があったよね」

 人垣ができている所があった。そこは入学式の日に試験の順位が掲示されていた掲示板だった。

 「この間のテストの順位かな。人多すぎて嫌だな。見るのは帰りでいいか」

 僕は掲示板に近寄ることは諦めて教室に向かうことにした。そこから教室に向かうまでなんだかチラチラ見られている気がする。
 なんだろ、どこかに酷い寝ぐせでもあるのかな。

 「ユーマ!」

 教室に入ると僕の姿を見つけたミコトが慌てた様子でやって来た。

 「おはようミコト。そんなに慌ててどうしたの?」
 「ユーマはなんでそんなに呑気にしてられるんだよ。ここじゃ話しにくいから向こうに行こう」

 教室中の視線を感じてミコトは僕の手を取って教室から出て行こうとする。でも丁度やって来た担任によってそれは叶わなかった。

 「この間のテストの結果を返却します。皆さん席に着いて下さい」

 ミコトは僕の手を離し自分の席に座る。僕もミコトの様子が気になったけど自分の席に座った。
 席に座ってからも周りから見られている。
 僕の寝ぐせそんなに酷いのかな。ミコトに聞いてみればよかった。

 「名前を呼ぶから取りに来てください」

 担任から名前を呼ばれた生徒が前に行き答案用紙を受け取る。
 みんな結果を見て色々な表情をしていた。
 最後に僕の名前が呼ばれたから取りに行く。

 「アバーテ君。名前を書き忘れてた教科がありその教科は0点になっていましたよ。それが無ければ500点で満点だったのに残念です。次からは気を付けて下さいね」
 「えっ、はい。次からは気を付けます」

 担任が自分のことのように残念そうな顔をして言ってくる。
 答案用紙を見ると確かに一教科だけ丸だらけなのに名前が無いことで0と書かれてあった。こんな初歩的なミス悲しすぎる。
 泣きたくなった。というか少し泣いた。

 「皆さんも掲示板を見て知っていると思うけど今回のテストの1位はビアシーニ君の485点。2位がバルバロ君の478点でした。次からのテストは在学に関わってくるので心して挑むように。以上が朝のホームルームで私からの話です。1限目の教師が来るまでに授業の用意をして待っているように」

 担任はそれだけ言うと教室を出て行った。

 「ユーマ......」

 前からミコトがやってくる。

 「ミコト」

 僕は涙目で椅子に座ったままミコトのことを見上げた。

 「元気出して」

 ミコトが優しく抱きしめてくれる。
 その優しさにもっと涙が溢れそうになる。
 トントンと優しく背中を叩いて落ち着かせてくれた。

 「ありがと。先生来ちゃうからもう席に戻って」
 「分かった」

 ミコトはまだ心配そうにチラチラと僕の方を見ながら自分の席に帰って行った。
 ミコトにあんなに心配かけちゃったよ。もっとちゃんとしないと。
 1限目は僕が名前を書き忘れ0点になってしまった教師の授業だった。教師は教室に入ってくると僕を見る。だけど何も言わず授業を始めた。

 「アバーテ、次回に期待しているからな」

 授業終わりに教師はそれだけ言うと教室から出て行った。
 昼休みにはミコトと一緒に教室でお弁当を食べる。僕がお弁当を忘れた日から一緒にお弁当を食べるようになった。

 「朝の話だけどテストの結果見てみんなユーマが入試で不正したんじゃないかって噂してたよ。担任の話聞いて誤解だって分かったけど。それにしても名前を書き忘れて0点って初めて聞いたよ。しかもテスト自体は満点だったなんて」
 「もうそれ言わない。間抜けすぎて嫌になるよ。次からはほんとに気を付けないと。はぁ」

 僕はため息をついて机に伏せる。その僕の頭をミコトが撫でてくれた。

 「ほんとユーマは予想を裏切ってくるね」

 僕の頭を撫でながらミコトが何か言っているが僕は落ち込んでいてよく聞いていなかった。

 「ほら、お弁当食べよ。午後からは剣術の授業だよ」

 放課後はいつものように図書館に行く。
 そこでもそこに行くまでもまた人に見られている気がした。落ち着かなくて本を借りてすぐ部屋に帰った。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

異世界では総受けになりました。

西胡瓜
BL
尾瀬佐太郎はある日、駅のホームから突き飛ばされ目が覚めるとそこは異世界だった。 しかも転移先は魔力がないと生きていけない世界。   魔力なしで転移してしまったサタローは、魔力を他人から貰うことでしか生きられない体となってしまう。 魔力を貰う方法……それは他人の体液を自身の体に注ぎ込んでもらうことだった。 クロノス王国魔法軍に保護され、サタローは様々な人物から魔力を貰うことでなんとか異世界を生き抜いていく。 ※アホ設定なので広い心でお読みください ※コメディ要素多め ※総受けだけど最終的には固定カプになる予定

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

淫愛家族

箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。 事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。 二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。 だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...