転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

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 街には休日ということで沢山の人の姿があった。
 僕は初めて見る街の様子にキョロキョロとしながらミコトの後に着いて歩く。僕達はミコトが選んだお店の中に入った。
 まだ昼食には早い時間だったから待つことなく席に案内された。
 僕はメニューを見て魚料理を選ぶ。ミコトは肉料理を頼んでいた。

 「裏事情って何?」
 「先にご飯食べようよ。食べ終わってからゆっくり話すから」

 料理を頼んでミコトに聞くけどミコトがそう言うから裏事情ってやつが気になっていたけどまずは昼食を食べることにした。
 やって来た料理はとても美味しかった。

 「それで裏事情って何?」
 「裏事情っていうか、生徒が独自に作り上げ代々続いてるルールみたいなものかな。教師は知らないことになってるけど知ってて知らない振りしてるみたいなやつ」

 食後のお茶が届いてそれを一口飲んだミコトはやっと裏事情について話してくれた。

 「ユーマはこの学園には色んな身分の子供がいるのは知ってるよね。学園自体は平民でもお金がない下級貴族でも少し頑張れば通えるぐらいの学費だけど、こうして休みの日に好きな物を食べたり好きな物を買う余裕まではなかったりするんだよ。逆に高位の貴族は今まで使用人に全てお世話してもらっていたから掃除ができなかったり洗濯物を洗濯屋さんまで持っていくことを嫌がる人もいるんだ。たまにお風呂に1人で入れなかったりする人もいるぐらいなんだよ。そんな人達のお世話をすることでお小遣いをもらい平民や下級貴族は生活しているんだ」
 「それは分かったけど僕は全部自分でできるよ。なのになんであんなにみんな僕のお世話したがるの?」

 僕は自分でできるよう練習してからこの学園にやって来た。だからお世話なんて頼んでないのにみんな僕のお世話をしたがっていた。

 「あぁ、あれはみんなユーマが可愛いからユーマのお世話をしたいと思ってるんだよ。純粋に身の回りのお世話だけの場合もあるけけど性的なお世話な場合も沢山あるから。さっきの人達はユーマとそんな関係になりたかったんじゃないかな。お金に困ってないはずの高位の貴族もあの中にはいたし」

 ミコトは小声だけどとんでもない事を言う。

 「えっ、性的なお世話って」
 「その内容まで言わせないでよ」
 「ご、ごめん」

 ミコトは顔を赤くしている。

 「みんなやりたくてやってるのかな」
 「どうだろうね。この学園で生活していくために身の回りのお世話ぐらいなら気楽にやるだろうけど性的なものになるとやらされてる場合も多いんじゃない。中には楽しんでる人もいるだろうけど」

 無理矢理な行為は創作物の中だけならいいけど現実では断固反対です。
 僕はそこに愛があってこそ萌えるタイプなんです。

 「ミコトはその、お世話されたりしたりしてるの?」
 「僕はお金に困ってないけど誰かにお世話を頼むほどお金に余裕もないから何でも自分でしてるよ」

 そうだよね、ゲームでもそんな描写なかったもんね。
 でも僕が覚えてないだけでゲームの中でもみんなお世話をしたりされたりしてたんだろうな。
 僕は他の高位の攻略対象者2人の存在が気になった。レオンが雑用なんて自分でしなさそうだけどどうしているんだろ。誰かに頼んでるのかな。そしてその相手を無理矢理ベッドに押し倒して......
 駄目~、あなたにはミコトがいるんです。他の相手とそんなことしては駄目です。
 レオンと他の人の睦まじい姿なんか見たくない。レオンの隣にはミコトに居てもらわないと。早く2人には付き合ってもらわなきゃ。

 「ほんとユーマはみんなが当然のように知ってる情報を知らなすぎて心配だよ。これから誰かがお世話させて下さいって言ってきても頷いちゃ駄目だよ。日常生活でなにか困ったことがあればまず僕に相談して」

 ミコトは僕の心配をしてくれていたけど僕は自分の考えに夢中でよく聞いていなかった。
 それから2人で街をブラブラして一緒に洗濯屋までいき朝渡した洗濯物を受け取りそれぞれ寮まで帰った。
 ミコトは街では何も買わなかったから手には洗濯物が入ったカゴだけだけど僕は本を5冊も買ってしまったから両手が荷物で一杯だ。重い。
 寮の扉が開けられなくて四苦八苦していると声をかけられた。
 
 「小さい体なのにそんなに一杯の荷物重いだろ。貸して」
 「ショーン先輩」

 先輩は僕の荷物を軽々と持って扉を開けて先に立って歩き出した。

 「お前の部屋はどこだ?」
 「こっちです」

 僕は慌ててショーンの前に立って部屋まで案内する。

 「侯爵家なのにこんなこと自分でしてるのか?」
 「はい。あっ、ここが僕の部屋です。運んでもらいありがとうございました」
 「ここまででいいのか?なんなら部屋の中まで運ぶけど」

 ショーンはびっくりしたような顔をしている。やっぱり僕自分では何もできないと思われてるのかな。
 
 「ここまでで大丈夫です。助かりました。ありがとうございます。重くなかったですか?」
 「鍛えてるからこれくらい余裕だ。困ったことがあればいつでも頼るんだぞ」

 ショーンはそう言うと僕に荷物を渡し頭を撫でて去って行った。
 優しく男らしい先輩だ。

 「あっ、お礼にお茶でもご馳走すればよかった」

 ショーンの背中を見送った後僕は後悔した。

 「下着が1枚足りない」

 寝る前に洗濯物を片付けていたら下着が1枚足りないことに気付いたけど沢山の生徒が利用していたからどこかに紛れ込んだだけだろうと深く気にせず眠りについた。
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