59 / 72
59
しおりを挟む
街には休日ということで沢山の人の姿があった。
僕は初めて見る街の様子にキョロキョロとしながらミコトの後に着いて歩く。僕達はミコトが選んだお店の中に入った。
まだ昼食には早い時間だったから待つことなく席に案内された。
僕はメニューを見て魚料理を選ぶ。ミコトは肉料理を頼んでいた。
「裏事情って何?」
「先にご飯食べようよ。食べ終わってからゆっくり話すから」
料理を頼んでミコトに聞くけどミコトがそう言うから裏事情ってやつが気になっていたけどまずは昼食を食べることにした。
やって来た料理はとても美味しかった。
「それで裏事情って何?」
「裏事情っていうか、生徒が独自に作り上げ代々続いてるルールみたいなものかな。教師は知らないことになってるけど知ってて知らない振りしてるみたいなやつ」
食後のお茶が届いてそれを一口飲んだミコトはやっと裏事情について話してくれた。
「ユーマはこの学園には色んな身分の子供がいるのは知ってるよね。学園自体は平民でもお金がない下級貴族でも少し頑張れば通えるぐらいの学費だけど、こうして休みの日に好きな物を食べたり好きな物を買う余裕まではなかったりするんだよ。逆に高位の貴族は今まで使用人に全てお世話してもらっていたから掃除ができなかったり洗濯物を洗濯屋さんまで持っていくことを嫌がる人もいるんだ。たまにお風呂に1人で入れなかったりする人もいるぐらいなんだよ。そんな人達のお世話をすることでお小遣いをもらい平民や下級貴族は生活しているんだ」
「それは分かったけど僕は全部自分でできるよ。なのになんであんなにみんな僕のお世話したがるの?」
僕は自分でできるよう練習してからこの学園にやって来た。だからお世話なんて頼んでないのにみんな僕のお世話をしたがっていた。
「あぁ、あれはみんなユーマが可愛いからユーマのお世話をしたいと思ってるんだよ。純粋に身の回りのお世話だけの場合もあるけけど性的なお世話な場合も沢山あるから。さっきの人達はユーマとそんな関係になりたかったんじゃないかな。お金に困ってないはずの高位の貴族もあの中にはいたし」
ミコトは小声だけどとんでもない事を言う。
「えっ、性的なお世話って」
「その内容まで言わせないでよ」
「ご、ごめん」
ミコトは顔を赤くしている。
「みんなやりたくてやってるのかな」
「どうだろうね。この学園で生活していくために身の回りのお世話ぐらいなら気楽にやるだろうけど性的なものになるとやらされてる場合も多いんじゃない。中には楽しんでる人もいるだろうけど」
無理矢理な行為は創作物の中だけならいいけど現実では断固反対です。
僕はそこに愛があってこそ萌えるタイプなんです。
「ミコトはその、お世話されたりしたりしてるの?」
「僕はお金に困ってないけど誰かにお世話を頼むほどお金に余裕もないから何でも自分でしてるよ」
そうだよね、ゲームでもそんな描写なかったもんね。
でも僕が覚えてないだけでゲームの中でもみんなお世話をしたりされたりしてたんだろうな。
僕は他の高位の攻略対象者2人の存在が気になった。レオンが雑用なんて自分でしなさそうだけどどうしているんだろ。誰かに頼んでるのかな。そしてその相手を無理矢理ベッドに押し倒して......
駄目~、あなたにはミコトがいるんです。他の相手とそんなことしては駄目です。
レオンと他の人の睦まじい姿なんか見たくない。レオンの隣にはミコトに居てもらわないと。早く2人には付き合ってもらわなきゃ。
「ほんとユーマはみんなが当然のように知ってる情報を知らなすぎて心配だよ。これから誰かがお世話させて下さいって言ってきても頷いちゃ駄目だよ。日常生活でなにか困ったことがあればまず僕に相談して」
ミコトは僕の心配をしてくれていたけど僕は自分の考えに夢中でよく聞いていなかった。
それから2人で街をブラブラして一緒に洗濯屋までいき朝渡した洗濯物を受け取りそれぞれ寮まで帰った。
ミコトは街では何も買わなかったから手には洗濯物が入ったカゴだけだけど僕は本を5冊も買ってしまったから両手が荷物で一杯だ。重い。
寮の扉が開けられなくて四苦八苦していると声をかけられた。
「小さい体なのにそんなに一杯の荷物重いだろ。貸して」
「ショーン先輩」
先輩は僕の荷物を軽々と持って扉を開けて先に立って歩き出した。
「お前の部屋はどこだ?」
「こっちです」
僕は慌ててショーンの前に立って部屋まで案内する。
「侯爵家なのにこんなこと自分でしてるのか?」
「はい。あっ、ここが僕の部屋です。運んでもらいありがとうございました」
「ここまででいいのか?なんなら部屋の中まで運ぶけど」
ショーンはびっくりしたような顔をしている。やっぱり僕自分では何もできないと思われてるのかな。
「ここまでで大丈夫です。助かりました。ありがとうございます。重くなかったですか?」
「鍛えてるからこれくらい余裕だ。困ったことがあればいつでも頼るんだぞ」
ショーンはそう言うと僕に荷物を渡し頭を撫でて去って行った。
優しく男らしい先輩だ。
「あっ、お礼にお茶でもご馳走すればよかった」
ショーンの背中を見送った後僕は後悔した。
「下着が1枚足りない」
寝る前に洗濯物を片付けていたら下着が1枚足りないことに気付いたけど沢山の生徒が利用していたからどこかに紛れ込んだだけだろうと深く気にせず眠りについた。
僕は初めて見る街の様子にキョロキョロとしながらミコトの後に着いて歩く。僕達はミコトが選んだお店の中に入った。
まだ昼食には早い時間だったから待つことなく席に案内された。
僕はメニューを見て魚料理を選ぶ。ミコトは肉料理を頼んでいた。
「裏事情って何?」
「先にご飯食べようよ。食べ終わってからゆっくり話すから」
料理を頼んでミコトに聞くけどミコトがそう言うから裏事情ってやつが気になっていたけどまずは昼食を食べることにした。
やって来た料理はとても美味しかった。
「それで裏事情って何?」
「裏事情っていうか、生徒が独自に作り上げ代々続いてるルールみたいなものかな。教師は知らないことになってるけど知ってて知らない振りしてるみたいなやつ」
食後のお茶が届いてそれを一口飲んだミコトはやっと裏事情について話してくれた。
「ユーマはこの学園には色んな身分の子供がいるのは知ってるよね。学園自体は平民でもお金がない下級貴族でも少し頑張れば通えるぐらいの学費だけど、こうして休みの日に好きな物を食べたり好きな物を買う余裕まではなかったりするんだよ。逆に高位の貴族は今まで使用人に全てお世話してもらっていたから掃除ができなかったり洗濯物を洗濯屋さんまで持っていくことを嫌がる人もいるんだ。たまにお風呂に1人で入れなかったりする人もいるぐらいなんだよ。そんな人達のお世話をすることでお小遣いをもらい平民や下級貴族は生活しているんだ」
「それは分かったけど僕は全部自分でできるよ。なのになんであんなにみんな僕のお世話したがるの?」
僕は自分でできるよう練習してからこの学園にやって来た。だからお世話なんて頼んでないのにみんな僕のお世話をしたがっていた。
「あぁ、あれはみんなユーマが可愛いからユーマのお世話をしたいと思ってるんだよ。純粋に身の回りのお世話だけの場合もあるけけど性的なお世話な場合も沢山あるから。さっきの人達はユーマとそんな関係になりたかったんじゃないかな。お金に困ってないはずの高位の貴族もあの中にはいたし」
ミコトは小声だけどとんでもない事を言う。
「えっ、性的なお世話って」
「その内容まで言わせないでよ」
「ご、ごめん」
ミコトは顔を赤くしている。
「みんなやりたくてやってるのかな」
「どうだろうね。この学園で生活していくために身の回りのお世話ぐらいなら気楽にやるだろうけど性的なものになるとやらされてる場合も多いんじゃない。中には楽しんでる人もいるだろうけど」
無理矢理な行為は創作物の中だけならいいけど現実では断固反対です。
僕はそこに愛があってこそ萌えるタイプなんです。
「ミコトはその、お世話されたりしたりしてるの?」
「僕はお金に困ってないけど誰かにお世話を頼むほどお金に余裕もないから何でも自分でしてるよ」
そうだよね、ゲームでもそんな描写なかったもんね。
でも僕が覚えてないだけでゲームの中でもみんなお世話をしたりされたりしてたんだろうな。
僕は他の高位の攻略対象者2人の存在が気になった。レオンが雑用なんて自分でしなさそうだけどどうしているんだろ。誰かに頼んでるのかな。そしてその相手を無理矢理ベッドに押し倒して......
駄目~、あなたにはミコトがいるんです。他の相手とそんなことしては駄目です。
レオンと他の人の睦まじい姿なんか見たくない。レオンの隣にはミコトに居てもらわないと。早く2人には付き合ってもらわなきゃ。
「ほんとユーマはみんなが当然のように知ってる情報を知らなすぎて心配だよ。これから誰かがお世話させて下さいって言ってきても頷いちゃ駄目だよ。日常生活でなにか困ったことがあればまず僕に相談して」
ミコトは僕の心配をしてくれていたけど僕は自分の考えに夢中でよく聞いていなかった。
それから2人で街をブラブラして一緒に洗濯屋までいき朝渡した洗濯物を受け取りそれぞれ寮まで帰った。
ミコトは街では何も買わなかったから手には洗濯物が入ったカゴだけだけど僕は本を5冊も買ってしまったから両手が荷物で一杯だ。重い。
寮の扉が開けられなくて四苦八苦していると声をかけられた。
「小さい体なのにそんなに一杯の荷物重いだろ。貸して」
「ショーン先輩」
先輩は僕の荷物を軽々と持って扉を開けて先に立って歩き出した。
「お前の部屋はどこだ?」
「こっちです」
僕は慌ててショーンの前に立って部屋まで案内する。
「侯爵家なのにこんなこと自分でしてるのか?」
「はい。あっ、ここが僕の部屋です。運んでもらいありがとうございました」
「ここまででいいのか?なんなら部屋の中まで運ぶけど」
ショーンはびっくりしたような顔をしている。やっぱり僕自分では何もできないと思われてるのかな。
「ここまでで大丈夫です。助かりました。ありがとうございます。重くなかったですか?」
「鍛えてるからこれくらい余裕だ。困ったことがあればいつでも頼るんだぞ」
ショーンはそう言うと僕に荷物を渡し頭を撫でて去って行った。
優しく男らしい先輩だ。
「あっ、お礼にお茶でもご馳走すればよかった」
ショーンの背中を見送った後僕は後悔した。
「下着が1枚足りない」
寝る前に洗濯物を片付けていたら下着が1枚足りないことに気付いたけど沢山の生徒が利用していたからどこかに紛れ込んだだけだろうと深く気にせず眠りについた。
3
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載


【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

異世界では総受けになりました。
西胡瓜
BL
尾瀬佐太郎はある日、駅のホームから突き飛ばされ目が覚めるとそこは異世界だった。
しかも転移先は魔力がないと生きていけない世界。
魔力なしで転移してしまったサタローは、魔力を他人から貰うことでしか生きられない体となってしまう。
魔力を貰う方法……それは他人の体液を自身の体に注ぎ込んでもらうことだった。
クロノス王国魔法軍に保護され、サタローは様々な人物から魔力を貰うことでなんとか異世界を生き抜いていく。
※アホ設定なので広い心でお読みください
※コメディ要素多め
※総受けだけど最終的には固定カプになる予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる