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私はローズ学園に通う侯爵、伯爵家の皆様が住まう寮に勤める執事です。
この度私が勤める寮の新入生が首席でご入学されました。しかも過去最高得点でのご入学です。今まで首席といえば王家、公爵の方が多くいらっしゃいました。
過去最高得点でご入学されたのはユーマ・アバーテ様です。私の寮ではアバーテ様の話題で持ちきりです。
寮にやって来たアバーテ様は同級生の間では小柄な方で肩に届くかどうかのサラサラなプラチナブロンドの髪の持ち主で光の当たり方によってはうっすら青く見えることもあります。とても可愛らしい容姿の方でした。
一見冷たそうな容姿ですが笑顔を見せれば誰もが見惚れるほどの方です。
見た目は大変可愛らしい方ですが内面は最初は分かりませんでした。
「ユーマ様をよろしくお願いいたします」
付き添いのメイドの方がお帰りになる時大変丁寧な挨拶と寮の皆さんでお食べ下さいと大変豪華な菓子折りを沢山いただきました。
こんなに丁寧な方が仕えていた方だからと期待もありましたが高位の方はこう言っては失礼ですが我儘な方も多いので不安は消えません。
「執事長こちらが今日の生徒の皆様のディナーになります」
「ありがとう、いつも通り皆様の好き嫌いも考えられているし大丈夫でしょう。料理長にこれで大丈夫と伝えて下さい」
「承知しました」
私の所に来た部下は仕事の報告が終わったのに帰る気配をみせません。
「今日からですね」
「なにがですか?」
「なにがって執事長分かっているでしょ。アバーテ様のことですよ」
私は部下が何を言いたいのか分かっていましたがあえて分からない振りをしていました。
「アバーテ様がどうしたのですか?」
「どんな方でしょうって話ですよ。大変優秀な成績で入学されて容姿も非常に可愛らしい方でおまけに侯爵家の方ですよ。それだけ優れていたらものすごい我儘なんじゃないかってみんなで話しているんですよ」
「アバーテ様がどんな方でも私たちはどの生徒皆様とも同じようにお食事のお世話をさせていただくだけです。噂話ばかりして仕事を疎かにしてはいけませんよ。その箱に入っているのはそのアバーテ様のメイドからいただいたお菓子です。みんなで分けて下さいとのことです」
まだ話し足りなそうにしている部下にいただいたお菓子を渡して下がらせる。
そんな私たちの不安はその日の夕方にいい意味で裏切られました。
「ユーマ・アバーテ様ですね。こちらへどうぞ」
アバーテ様は仮眠でもしていたのかまだ眠そうな顔をして食堂に来られました。
私はアバーテ様をお席まで案内いたします。
アバーテ様はこの寮の中で最高位の方です。いくら学園が実力主義といっても爵位は疎かにはできません。お食事をしていただく場所も奥の外の景色が見える一番良い場所になります。
流石侯爵家のご子息だけあってエスコートされ慣れていらっしゃいました。私が引いた椅子に自然と合わせて着席なさいます。
それから順番に料理を運びましたがどれも美味しそうに食べられていました。好き嫌いを把握しようと見ていた私でしたが特別な違いは分かりませんでした。ですが少しずつ残されていたのが気がかりでしたがその理由は食後のコーヒーを持って行ったときに判明しました。
「すみません、食べきれなかったので明日からは少し量を減らしてもらえませんか?」
申し訳なさそうに謝ってきたので私は内心びっくりしました。
今までお世話してきた皆様は嫌いなものや食べきれないものは残して当たり前といった感じでしたのでアバーテ様のような方は初めてでした。
「承知しました。料理長に伝えておきますね」
「ありがとうございます」
アバーテ様は私の言葉に笑顔でお礼の言葉まで述べてくれました。その時の笑顔にその場にいたもの私を含め全員が見惚れ一瞬どよめきが生まれましたがすぐ治まりました。
それからアバーテ様はコーヒーと共に出されたケーキを今までの中で一番いい笑顔で召し上がられていらっしゃいました。その姿にも全員が注目していました。
私が分かったことはアバーテ様が甘いものがお好きなことと見た目や成績だけでなく私達使用人にも素直に感謝が言える中身も大変すばらしい方ということです。
この寮で最高位にあたるアバーテ様がそのような方なのでこれから他の寮生も横暴な振る舞いはできないだろうと思いました。
これから先のアバーテ様の成長が大変楽しみです。
影ながらお支えしようと思います。
この度私が勤める寮の新入生が首席でご入学されました。しかも過去最高得点でのご入学です。今まで首席といえば王家、公爵の方が多くいらっしゃいました。
過去最高得点でご入学されたのはユーマ・アバーテ様です。私の寮ではアバーテ様の話題で持ちきりです。
寮にやって来たアバーテ様は同級生の間では小柄な方で肩に届くかどうかのサラサラなプラチナブロンドの髪の持ち主で光の当たり方によってはうっすら青く見えることもあります。とても可愛らしい容姿の方でした。
一見冷たそうな容姿ですが笑顔を見せれば誰もが見惚れるほどの方です。
見た目は大変可愛らしい方ですが内面は最初は分かりませんでした。
「ユーマ様をよろしくお願いいたします」
付き添いのメイドの方がお帰りになる時大変丁寧な挨拶と寮の皆さんでお食べ下さいと大変豪華な菓子折りを沢山いただきました。
こんなに丁寧な方が仕えていた方だからと期待もありましたが高位の方はこう言っては失礼ですが我儘な方も多いので不安は消えません。
「執事長こちらが今日の生徒の皆様のディナーになります」
「ありがとう、いつも通り皆様の好き嫌いも考えられているし大丈夫でしょう。料理長にこれで大丈夫と伝えて下さい」
「承知しました」
私の所に来た部下は仕事の報告が終わったのに帰る気配をみせません。
「今日からですね」
「なにがですか?」
「なにがって執事長分かっているでしょ。アバーテ様のことですよ」
私は部下が何を言いたいのか分かっていましたがあえて分からない振りをしていました。
「アバーテ様がどうしたのですか?」
「どんな方でしょうって話ですよ。大変優秀な成績で入学されて容姿も非常に可愛らしい方でおまけに侯爵家の方ですよ。それだけ優れていたらものすごい我儘なんじゃないかってみんなで話しているんですよ」
「アバーテ様がどんな方でも私たちはどの生徒皆様とも同じようにお食事のお世話をさせていただくだけです。噂話ばかりして仕事を疎かにしてはいけませんよ。その箱に入っているのはそのアバーテ様のメイドからいただいたお菓子です。みんなで分けて下さいとのことです」
まだ話し足りなそうにしている部下にいただいたお菓子を渡して下がらせる。
そんな私たちの不安はその日の夕方にいい意味で裏切られました。
「ユーマ・アバーテ様ですね。こちらへどうぞ」
アバーテ様は仮眠でもしていたのかまだ眠そうな顔をして食堂に来られました。
私はアバーテ様をお席まで案内いたします。
アバーテ様はこの寮の中で最高位の方です。いくら学園が実力主義といっても爵位は疎かにはできません。お食事をしていただく場所も奥の外の景色が見える一番良い場所になります。
流石侯爵家のご子息だけあってエスコートされ慣れていらっしゃいました。私が引いた椅子に自然と合わせて着席なさいます。
それから順番に料理を運びましたがどれも美味しそうに食べられていました。好き嫌いを把握しようと見ていた私でしたが特別な違いは分かりませんでした。ですが少しずつ残されていたのが気がかりでしたがその理由は食後のコーヒーを持って行ったときに判明しました。
「すみません、食べきれなかったので明日からは少し量を減らしてもらえませんか?」
申し訳なさそうに謝ってきたので私は内心びっくりしました。
今までお世話してきた皆様は嫌いなものや食べきれないものは残して当たり前といった感じでしたのでアバーテ様のような方は初めてでした。
「承知しました。料理長に伝えておきますね」
「ありがとうございます」
アバーテ様は私の言葉に笑顔でお礼の言葉まで述べてくれました。その時の笑顔にその場にいたもの私を含め全員が見惚れ一瞬どよめきが生まれましたがすぐ治まりました。
それからアバーテ様はコーヒーと共に出されたケーキを今までの中で一番いい笑顔で召し上がられていらっしゃいました。その姿にも全員が注目していました。
私が分かったことはアバーテ様が甘いものがお好きなことと見た目や成績だけでなく私達使用人にも素直に感謝が言える中身も大変すばらしい方ということです。
この寮で最高位にあたるアバーテ様がそのような方なのでこれから他の寮生も横暴な振る舞いはできないだろうと思いました。
これから先のアバーテ様の成長が大変楽しみです。
影ながらお支えしようと思います。
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