転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

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 「んっ、ふぁぁ」

 まだ明るいうちに寮に帰って来て仮眠したはずなのに起きると辺りは薄暗くなってきていた。
 ぐうっ
 
 「お腹すいたな」

 時計を見ると2時間位寝ていた。空腹を感じた僕は食堂に行くことにした。

 「ユーマ・アバーテ様ですね。こちらへどうぞ」

 食堂に着くと入口にいた執事服を着た人に案内され席に着く。その人に椅子を引かれ座る。
 案内された席は一番奥で前世でいうところの上座といった感じの席だった。僕がこの席に案内されたのはこの寮の中では爵位が上だからだと思う。
 料理が順番に運ばれてくる。どの料理も美味しかったけど僕には量が少し多くて残してしまった。

 「すみません、食べきれなかったので明日から少し量を減らしてもらえませんか?」

 食後のコーヒーを持ってきてくれた人に明日から量を減らして欲しいと頼んだ。
 食堂では何人かの執事服を着た人が給仕に働いているけど僕のテーブルは最初に案内してくれた人が給仕を担当してくれていた。

 「承知しました。料理長に伝えておきますね」
 「ありがとうございます」

 僕が笑顔でお礼を言うと食堂内が一瞬ざわついた。すぐに納まったから特に気にすることなくコーヒーとケーキを楽しんだ。
 食事も終わり食堂を出て行こうとしたとき攻略対象の1人ショーン・カッサーとすれ違った。ショーンは伯爵家だから同じ寮だ。だからこれからも寮の中で見かけることが多くなるだろう。
 ショーンは将来王家に仕える騎士になる。今でもこの学園で一番の剣の腕だと言われている。それにふさわしい筋肉質な体つきをしている。

 「一回整理してみようか」
 
 部屋に帰った僕はこのゲームの世界を思い出せる範囲で紙に書いて整理してみることにした。

 「まずはこの学園、ローズ学園」

 最初にゲームの舞台であるこの学園について思い出してみる。
 この学園は身分に関係なく試験に合格すれば入学することができる。この学園を卒業することは一種のステータスとして考えられている。爵位が上の者より権力を持つこともある。平民だと考えられないような貴族の元で働くことができたりする。
 学費は設備や教師陣が豪華な割に安い、それは卒業して成功した先輩たちの寄付のおかげだったりする。それでも平民や下級貴族にとっては無理しなければいけない金額ではある。それでもこの学園を卒業したという名前の魅力は大きい。
 2カ月に一度あるテストで基準点に満たないものは即退学になるという厳しい所もある。

 「学園について覚えてるのはこれくらいかな。ゲームの僕はいつも退学にならないぎりぎりの点だったんだよね。あんなに遊び歩いてたのによく退学にならない点数取れてたな」

 記憶の中のゲームの僕は誰かと遊んでばかりで勉強なんかしていなかった。

 「次は主人公のミコト・バルバロ。栗色の癖のある髪でくりっとした大きな目が印象的なんだよね。確か爵位は子爵で」
 
 ミコトはゲームの主人公らしく明るく誰にでも優しい努力家。印象的には子犬系で影では僕とセットで『学園の2大天使ちゃん』と呼ばれていた。
 努力家なだけあって成績もゲームではレオンに次ぐ2番だったけど今はどうだか分からない。

 「僕の推し様レオン・ビアシーニ様。かっこよかったな」

 教室で見たレオンを思い出しニヤニヤしてしまう。
 レオンは学園長の息子で公爵家。プライドが高く俺様で我儘な所がある。腰の辺りまである少しくせのある金髪が印象的。
 お気に入りにはどろどろに甘くなる。
 
 「アイルは平民の頑張り屋さんなんだよね。どのクラスにいるんだろ」

 攻略対象の中で唯一平民のアイル。
 眼鏡をかけていて地味な見た目。ミコトより小柄な僕より小柄。
 テストでは退学ぎりぎりの点数だから焦っている。
 僕が前世で手掛けたストーリーはアイルのストーリーだ。だからアイルに対して親心みたいなものがある。

 「最後はさっきすれ違ったショーン・カッサー先輩」

 唯一の年上で三年生。代々王家に仕える騎士の家系でそれにふさわしい筋肉質な体つきで自身も大人を負かすほどの剣の腕を持っている。
 黒髪短髪の長身。

 「僕が今思い出せるのはこれくらいかな。ミコトにはレオン様と付き合ってほしいな。どうやったらあの2人仲良くなるかな。ゲームのストーリー詳しく覚えてたらよかったんだけどこれ以上思い出せないのが辛い」

 紙を見ながら僕はため息をつく。
 その紙を机の引き出しの奥にしまい部屋にある浴室でシャワーを浴び就寝する。
 狭いけど二部屋以外に浴室まであるなんて豪華。
 寮の中には広いお風呂もあるみたいだからお風呂好きの僕としては寮生活に慣れたら利用したいな。
 ベッドの中に入った僕は仮眠したとはいえ初めてのことばかりで緊張から疲れたのかすぐ眠ってしまった。
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