転生腐男子BLゲームの世界でビッチにならずに夢を叶えたい

めぐもふ

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 ホールには一番前にステージがありそれに向かうように沢山の椅子が並べられていた。
 僕の席は一番前の席だった。半数ぐらいの生徒が席に着いていた。
 それからすぐに席は埋まり入学式は始まった。
 まずは色々な偉い人の話から始まった。前世でもそうだったけど偉い人の話ってなんでこんなに長いんだろう。しかもつまらない。たまに面白く興味のある話をしてくれる人もいるけどそんな人滅多にいない気がする。
 旅の疲れもあって僕はうつらうつらしていた。

 「次は新入生挨拶。新入生代表ユーマ・アバーテ」
 「ふぁい」

 名前を呼ばれて覚醒した。慌てて返事をしたから変に声が裏返ってしまった。バレなきゃいいんだけど。
 僕は恥ずかしかったけど何もなかった振りで堂々とステージの上に立つ。その方が皆自分の勘違いかと思うかもしれないから。
 ステージに立つとものすごく沢山の人の姿が見えて緊張で眠気も吹き飛んだ。
 僕はお父様と一緒に考えた挨拶を言う。挨拶文を書いてある紙を広げてはいるが僕は何も見ずに話した。

 「新入生代表ユーマ・アバーテ」

 最後に自分の名前を言い、一礼する。
 挨拶が終わったことにホッとしてまた自分の席に戻る。
 この学園には色々な国の人が集まっている。そしてこの学園はどの国にも属していない中立の立場にある。だからそれぞれの国同士の揉め事もこの学園の中には持ち込まないのがルールとなっている。
 入学式も終わりそれぞれのクラスに向かう。

 「僕のクラスはAクラスか」

 ホールの壁にクラス割が貼られていた。それを見てホールの一角にクラス毎に集まっている場所に移動する。
 今年の新入生は80人だった。成績順に20人毎に4クラスに分かれていた。
 新入生の人数はその年毎に合格点が設けられていてその点数を超えた人が全員合格できるから毎年人数は違ってくる。今年は例年より少ない人数らしい。
 教師に着いてクラスに向かう。
 クラスに着くと各々好きな席に座るよう言われた。みんな様子見をして中々席に座らない。その中僕は窓際一番後ろの席に真っ先に座った。ここなら中と外両方の様子がよく見える。次に中央一番前の席に座る生徒がいた。その後ぽつぽつとみんな座り出した。
 そんなみんなの様子を僕は観察していた。
 このクラスにはゲームの主人公のミコトと攻略対象者のレオン、そして僕がいる。僕はゲームではDクラスだったけど前世の記憶を取り戻し勉強を頑張ったからこのクラスにいる。
 中央一番前に座った生徒がレオンで学園長の息子でゲームでは常に成績は一番だった。少しくせのある金髪で長さは腰の辺りまである。
 多少我儘で俺様な所がある。
 主人公のミコトは僕の座っている列の一番前、窓際の最前列に座っている。
 あとの攻略対象者はどのクラスにいるのか分からないが同学年に平民出身のアイル、二学年上の三年生にショーンがいる。

 「はぁ~やっぱりかっこいい」

 僕は前を向きながら小声で呟いた。僕は席に座ってからずっとある人物を見ていた。その人物は中央一番前に座っているレオンだ。
 前世での僕の推し様はレオンだった。俺様なレオンが主人公のミコトだけに向ける優しい笑顔が大好きだった。そんなレオンもミコトと接することで段々と周りにも優しくなっていく。
 最初はミコトと試験勉強をしていたはずなのに違う勉強になっていたり攻略対象者の中で一番攻略は難しいけど仲良くなった後のストーリーはものすごく甘い。
 僕は現実でもあのストーリーを見たいからミコトとレオンを付き合わせたい。

 「アバーテ、ユーマ・アバーテ。任せていいな」
 「あっ、はい。大丈夫です」

 妄想の世界に旅立っていたら突然教師に名前を呼ばれ何も分からず返事をした。

 「それじゃあこのクラスの級長はレオン・ビアシーニで副級長はユーマ・アバーテだ。2人ともよろしく」

 話を聞いていなかったらいつの間にか副級長に選ばれていた。
 目立つことなんかやりたくないけど選ばれたからにはやるしかないか。それにレオンと一緒ならミコトとくっつけるチャンスもできるはず。

 「頑張りますのでよろしくお願いします」

 僕は色々な想いを込めてみんなの前で挨拶をする。
 その日はそれぞれの簡単な挨拶だけで終了となった。
 教室から出て行くとき何か視線を感じたけど振り返ってもそれが誰なのかは分からなかった。

 「疲れたぁ」

 寮に帰ると制服を脱ぎベッドに倒れ込む。緊張感からくる疲労でいつの間にか眠ってしまっていた。
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